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【トライアンフ×C2】「お互いの夢を叶える」ためのM&A、信頼関係を築いた交渉の流れを探る

2018年9月、総額9.2億円の評価額で株式会社トライアンフコーポレーションの仲間入りを果たした株式会社C2。M&Aクラウド経由で出会い、わずか約3カ月間というスピードで資本提携を実現させた2社の間には、どのようなストーリがあったのでしょうか。
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事業の拡大や従業員の幸せ、夢を叶えるためのM&A

(以下、質問は全て筆者、回答はトライアンフコーポレーション代表取締役の小澤勝氏とC2代表取締役の安田昭夫氏、敬称は省略させていただきます)

ーーまずは安田さん、M&Aを検討しはじめた経緯を教えてください。

安田:会社が10期目を迎えたタイミングで、この先のさらに10年、どのように経営を進めていこうか考えていました。次の10年を考える中で技術の変化に対応したり、組織の若返りが必要になったり、ということを考慮して、経営戦略を探ったのがきっかけです。独立資本のまま頑張っていくのか、IPOを目指してやっていくのか。M&Aもそうした選択肢のひとつでした。


ーー結果的にM&Aの形を選んで良かったと思いますか?

安田:はい。準備に高いコストがかかるIPOや、自分達だけで技術の革新、マネジメント層の獲得・教育をしていく自社経営よりも、一緒に進める仲間と経営していける方がメリットが大きいと感じました。結果的に今の社員が幸せになるというのが大きな決め手でした。


ーー株主価値をもっと上げてから検討することもできたと思うのですが?

安田:社員が若く、業績が良い今のタイミングなら、もし資本提携がうまくいかなくても、他の方法を検討できます。だから選択肢が多い今がベストでした。


ーーM&Aで苦労したのはどんな部分ですか?

安田:M&Aはもちろん初体験だったので、社員に説明するのが難しかったです。買収というとネガティブなイメージを持っている人もいるのではないか、と不安になりました。何から、どんなことを話していいかもわからず、インターネットで検索するなど情報を集めていました。


ーー実際、社員さんに話をしてみてどうでしたか?

安田:質問はとても多かったです。15〜20分程度話して、質疑応答を3時間くらい繰り返しました。とにかく「不安なことを払拭する」と決め、質問されてわからないことがあっても曖昧にしないように意識しました。いままで通り仕事を続けられる、ということを一番アピールしましたね。


ーー小澤さん、C2と連携して良かったと感じることはありますか?

小澤:資本提携が決まってからまだ1ヶ月しか経過していません。これまでに従業員への説明、連結会計への組み込み、スケジュール、経営報告の方法などPMIを進めていましたので、実務的にはこれからというところですが、C2が保有しているコンテンツが世の中に広がって行くことを想像することが楽しみですね。
もともと大企業向けのシステムの受託サービスから始まった弊社は、当れば売れるが当らないと食えない側面のあるコンテンツサービスを一切持たずに経営していました。
堅実に経営をしてきたからこそ現在の成功があると思っているのですが、何百万人ものユーザーが使うサービスを作る仕事は、とっても夢があります。C2と組んだことで、育てるべきコンテンツができ、ヘルスケアサービスでトップレベルのコンテンツを共に作るという夢を持てたのは、嬉しいことです。


ーー素敵ですね、一緒にやっていく上でお二人が大切にしていることはありますか?

小澤:弊社グループでは事業計画によるコミュニケーションを大切にしています。今年何をやるか、どういう経営をしていくか、事業計画の作成過程でコミュニケーションしながら、お互いにコミットして進めていきます。

安田:弊社は、今、とても大きなプロジェクトに取り組んでいますが、いくつか大きな課題があります。トライアンフ側もそこは認識してくださっているので、まずは協力してそれを乗り越えていきます。

M&Aが決まってからの苦労もある、備えておくことが大切

ーー安田さんがM&Aで大変なことはありましたか?

安田:トライアンフは上場企業なので、特に会計や情報セキュリティの水準を合わせていくのが大変でした。これまでやってきたことよりも複雑なので、トライアンフ側に指導いただきながら、進めています。

小澤:C2は、数字や情報面がはじめから綺麗に整理されていましたし、在庫もなくシンプルなビジネスをされていたので、様々なM&Aを見てきた中から言うとPMIはとても簡易な方でした。従業員数が100名を超えてきたり、様々な地域に拠点を持つ会社とのM&Aは、なにかと苦労が多いです。


ーー小澤さんに伺いたいのですが、買収する側の企業で他に大変なケースにはどんなものがあるんでしょうか?

小澤:例えば、社長さん個人と会社との取引がたくさんある場合ですね。あとは不動産や有価証券、保険など整理しなければいけない資産が多い時も手間がかかります。中でも会社と個人の貸借が多い、いわゆるドンブリ勘定の会社は、全てにおいてもルーズなケースが多く、契約書や規程類を見直す必要が発生することが多いんです。そういった部分に手をかけなくて良い会社は、買い手側から見てもきちんと経営している、という好評価に繋がります。


ーー安田さんはバックオフィス、情報整理などをどう意識して経営されていたんですか?

安田:ひとつ一つの課題を意識していたというよりは、「客観的に良い会社ってどんな会社だろうか」ということを常に考えていました。その結果、情報整理がきちんとされ、誠実に経営していることが大切だと思ったんです。実は過去に金融機関から借入れする際に、ITコンテンツ・ビジネスについてなかなか理解してもらえないという壁に当たった経験があり......チェックが厳しかったり、たくさんの質問をされたことがありました。その時から、理解されやすく客観的に良い会社を目指すようになりました。

小澤:意識していてもルーズになってしまう経営者さんは多いので、きちんと保たれているC2は本当に素晴らしいと思います。


ーー逆に小澤さん側で大変なことはありましたか?

小澤:金融機関との調整が一番大変でしたね。バリュエーションと取引条件は早い時点で大筋合意したのですが、金融機関側からの注文が多く、スキーム変更と日程変更が重なりました。そのせいもあり、クロージングするまでに、安田社長とは何度もお会いしました。メールのやりとりはほぼ毎日していました。ですが、安田さんにはご心配をお掛けしましたが、信頼関係は最後まで揺らぐことはありませんでした。


ーー今後、C2の事業や組織はどのように変わっていくのでしょうか?

小澤:資本提携とは、株主構成が変わるだけなので、組織については変わらない部分の方が多いと思います。事業に関しても、100%変わらないですね。正直、すでに機能的にお仕事されているので、手放しでも事業は育つと思います。

安田:C2の原型を残したまま、提携をきっかけにガバナンスを強化して”ちゃんとした会社”になっていけるのは良いと思っています。

M&Aのイメージを固め、擦り合わせることが成功への秘訣

ーー今回のM&Aを通して、売り手として会社の売却を考えている経営者へのアドバイスはありますか?

安田:今回あらためて思ったのは、売り手は慣れていないということです。面倒かもしれませんが、経営課題の解決方法としてどんなフェーズでも、M&Aを検討して情報を持っておくことは、いざというときに役立つと思います。慣れていないまま話を進めてしまうと、「ここまで話を進めてしまったから」と妥協して自分が望まない結果に甘んじることになります。なので焦らずに、そして早めの段階で、相手がどこを見て自分の会社を欲しいと言っているのか、自社の強みや弱みは何なのかを探って欲しいです。

小澤:そうですね、とにかく買い手に会って妥協できることとできないことを固めていった方が良いと思います。何のためにM&Aをするのか主たる目的と副次的な目的を明確化して、早い段階から交渉のテーブルに乗せた方がスムーズになります。

安田:第三者と相談お話する機会を多くするのも有効です。全ての条件にこだわってくると副次的なことも妥協しなくなりがちなので、第三者と話しながら整理するのも重要なことだと思っています。

小澤:事業継承のケースでは、なぜ会社を清算するのではなくM&Aなのか自問自答して欲しいですね。スタートアップのケースでは、自分が持っているリソースだけでは解決できないことが切っ掛けであるはずなので、事業の成長に何が必要なのか、見誤らないようにして下さい。


ーー小澤さんは売り手企業のどういう点を見られているんですか?

小澤:基本的にM&Aは買い手と売り手に圧倒的情報格差がある状態でスタートします。売り手が全ての情報を持っている中、買い手は何も情報を持っていない状況です。なので、売り手との信頼関係は最重要課題です。いろんな情報を収集して、合理的であるか、矛盾はないか、を総合的に見ます。あとは、売り手の真のニーズを見抜くということもしています。C2のケースでは、正直「資本的独立を維持したまま十分成長できそうな状況なのに、なぜM&A?」と思いました。しかし、数字と様々な情報を照らし合わせていくことにより、C2が何を必要としているのかを確認できました。


ーー小澤さんはどんな会社をM&Aしたいと思いますか?

小澤:買い手に対して嘘をつかない誠実な会社ですね。金額交渉ひとつとっても、騙してでも金額をあげようとする人と現実に基いて交渉しようとする人は違います。はじめてのM&Aで「緊張してうまく説明できないかもしれない」「専門的なことについて行けない」ということがあるかもしれませんが、誠実でいることは誰にでもできますし、買い手側にも必ずその態度が伝わります。


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M&Aを通してお互いを支え合う関係になったトライアンフコーポレーションとC2。小澤さん、安田さんのような信頼関係を結ぶパートナーに出会えるのもM&Aならではです。キャピタルゲインのために株式を売るというだけでなく、会社を成長させるために売ることで開ける未来も大きいのではないでしょうか。
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