【ポート×グリーンライト】個人が育てた有望サイトを法人の組織力で次のステージへ! サイト譲渡にかけた思いとは?

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【ポート×グリーンライト】個人が育てた有望サイトを法人の組織力で次のステージへ! サイト譲渡にかけた思いとは?

自社で運営する複数のバーティカルメディアから得られるデータを活用し、就職活動支援をはじめとしたサービスを次々と展開し、2018年末に東証マザーズおよび福証Q-Boardに上場を果たした急成長中のポート株式会社。2019年2月、「債務整理の森」(https://xn--x0qu8arpm90d4uqbt4a.xyz)「交通事故示談交渉の森」(https://kou2-jiko.com)などを株式会社グリーンライトから譲り受け、リーガル領域に参入しました。本件を仲介したM&Aクラウド 代表 及川が、事業譲受・譲渡までの思いやメディア売却のポイントなどについて、2社の代表に伺いました。

プロフィール

専門性が求められる分、差別化しやすいリーガル領域に特化してサイトを運営

及川:春日さんがM&Aを検討された背景からお話しいただけますか?

春日:当社はキャリア、ファイナンス、メディカルなどの領域で、ジャンル特化型のインターネットメディアを開発・運営するとともに、メディアを通じて獲得したデータを活用した事業創出にも取り組んでいます。たとえば、キャリア領域では、情報メディア「キャリアパーク」(https://careerpark.jp/)を介して毎年就職活動生の1/3に当たる約20万人のユーザーを獲得し、その会員データを使って、人材紹介ビジネスを展開しています。
「キャリアパーク」や「就活の未来」(https://shukatsu-mirai.com/)を展開するキャリア領域、カードローン・FXの比較サイト「マネット」(https://ma-net.jp/card-loan)を展開するファイナンス領域、そして「オンラインクリニック」(https://port-medical.jp/media)を展開するメディカル領域に加え、今後も新規領域に横展開していきたいと考えていますが、特にゼロからイチをつくるフェーズは百発百中で当たるものでもないし、時間もかかる。実際、過去に作ってきたメディアの中で、上手くいかなかったものもたくさんあります。
当社は2018年に上場して資金調達力もついた今、新規事業開発を社内のリソースのみで進めていくのは、その“打率”を考えるともったいない面があります。社内開発と、すでに基盤ができている事業を社外から買ってくることを並行して、バランスよく、上手に経営していこうと考えています。

及川:河田さんがサイトの売却をお考えになった理由も教えてください。

河田:サイトの成長に向け、SEOを含め自分なりにできる限りのことをやってきて、一人で運営している会社としてはこの辺りが限界かなと感じていたためです。組織力のある競合に比べると、どうしても営業面で弱くなってしまうので。売上も踊り場に来ており、この先、力のある会社の下でもっと伸ばしてもらえたらと考えました。

及川:2013年にローンチされた「債務整理の森」をはじめ、リーガル領域で次々とサイト開設されてきましたが、リーガル領域にフォーカスしたのはなぜですか?

河田:ほかにもいろいろなサイトを作ってみた中で、比較的戦いやすい領域だと感じたからです。内容的に専門性が高いので、しっかりした記事を書けるライターが少なく、ライバルになるサイトもあまり多くなかった。専門家を活用して記事の質で差別化し、SEOを工夫していくことで、順調に成果を出すことができました。

春日:今はクラウドソーシング等を活用して、手軽に記事サイトをつくってしまえる時代です。一方、ユーザーニーズは高度化していて、無料で読めるから内容もそれなりでよいというのは昔の話。ネット記事にも書籍レベルのコンテンツが求められるようになっています。特にメディカルやリーガルといった領域では、専門家の目線が入っているということは、読者の支持を得るうえで大きいですよね。

及川:春日さんは、なぜ今回リーガル領域に進出しようと思われたのですか?

春日:当社が新規参入領域を選定する際のポイントとして、マーケットの大きさも当然考慮しますが、最も重視しているのは、社会課題の解決につながる領域であるかどうかという点です。多くのユーザーが人生においてぶつかる普遍的な悩みに応えられるかどうか。中でも大きな悩みを抱えたときに、弁護士をはじめとする士業の専門家に相談したいというニーズが出てくると思うので、非常に取り組みがいのある領域だと考えました。

及川:会社のミッションに沿っていたということですね。

河田:もともとリーガル領域への進出を前提に、買収案件を探していたのですか?

春日:いえ、具体的な検討を始めたのは、M&Aクラウドさんから今回の案件を紹介いただいてからです。当社では、「社会課題の解決」「ジャンル特化」に加えて、コンテンツの専門性の高さをサービスの特徴として打ち出しています。専門家が自分の経験もからめながらユーザー向けにかみ砕いて説明し、そこに図解なども加えて、分かりやすいコンテンツに仕立てていく。河田さんのサイトはそこができていて、結果、安定したアクセス数を獲得し、売上も上げている。リーガル領域で他にそういうサイトはなかなかなかったので、非常に有望だと感じました。

初対面前の詳細な質疑応答を経て、互いの本気感を確認できた

及川:僕がお二人を紹介したのが2018年の12月ですね。河田さんのポートさんに対する第一印象はいかがでしたか?

河田:めちゃめちゃかっちりした会社だなと思いました。オフィスビルの外観もそうですし、最初に頂いた質問シートの長さも(笑)。

及川:会う前からすごい質問量でしたよね(笑)。

河田:及川さんから何社か紹介いただいた中でも、ああいうレベルの会社はほかにありませんでした。たいていは年商などの概略をパパっと聞いて、すぐ「会いましょうか」という感じだったので。ポートさんは、初めから業務状況を細かく聞いてくれた分、本気感が伝わってきました。

春日:当社にとって主力事業でのM&Aなので、自分たちのやり方とどれだけ近しいか、シナジーはどの程度あるのかを見ているところがあったと思います。馴染みのある事業だけに、内容理解はしやすく、高解像度で見極めることができました。質問シートをやりとりした時点で概略はつかめており、会ったときには、もうほぼ「行こう」という気持ちでした。

河田:それも伝わってきました。サイトをめぐる状況をかなり理解したうえで、前向きに話をしてくださったので、僕も「そこまで考えてくださっているのならぜひ」という気持ちになりました。

及川:春日さんの河田さんへの第一印象はいかがでしたか?

春日:僕らが会う前からあえていろいろ質問を投げるのは、そこでしっかり答えてくれる人は解像度高く仕事をしているし、M&A後の引き継ぎもスムーズにやってくれると経験的に感じているからです。河田さんの場合、回答の中身や詳細度から、「引き継ぎまでスムーズに進められそうだな」という感触を得ることができました。

及川:河田さんは、質問への回答スピードもすごく速いですよね。

春日:それも大事ですね。仕事への関心度や取り組み姿勢が表れますから。そのあたりの感覚にずれがあると、あとあと引き継ぎ時などに問題が起きがちです。

及川:最初のミーティングの後、お酒の席も設け、互いに信頼感を深めていただけたと思います。そこからデューディリジェンスに入っていきましたが、特に大変だった点はありますか?

河田:いやもう、デューディリジェンスは全部きつかったです(笑)。

及川:確かに堅いほうだなという印象はありました。上場直後でもあり、慎重に進められているのかなと。資料の作成もそうですが、チェックをする方も大変だったんじゃないですか?

春日:大変でした(笑)。ただ、当社にとって今回の案件で一番大きかったのは、リーガル領域への新規参入の是非を判断しなければならなかったことです。

及川:最終的には、何が決め手になったのでしょうか?

春日:河田さんも先ほど触れていたように、リーガル領域は市場規模に対してトッププレーヤーが少なく、今後優位なポジションを取っていける余地が大きい点です。特に、債務整理、交通事故、離婚、相続などのジャンルに特化したサイトに関しては、今はまだどの領域でもNo.1が決まっていない状況です。そうした中で、今回、基礎ができているサイトを獲得できることは、メリットが大きいと考えました。

及川:河田さんの方はいかがですか?

河田:すべてがそろっていました。高く評価していただきましたし、個人的なタイミングもよかった。3年ほどかけて育ててきた事業なので、明確に次の展開を示してくれるところに売りたい思いがありましたが、その点でも満足のいく回答を頂きました。

及川:今後の展開について、ぜひお聞かせください。

春日:「債務整理の森」は、リーガル領域のジャンル特化型かつコラム記事型のサイトとしては、当社調べで国内第5位くらいのアクセス数を獲得しています。ここからトップを目指し、コンテンツ・営業の両面で一層拡充していくとともに、リーガル領域の他ジャンルへの横展開も進めていきます。
今は、譲り受けたサイトについて、当社でのオペレーション体制の構築を進めています。河田さんは一人で毎月しっかり利益の出るサイトを創り上げたわけですが、これって話題性のあるスタートアップ同等かそれよりすごいことでしょう。

及川:個人の力が半端ないですよね。

春日:なので、そのオペレーションの質を、まずは当社で引き継ぐメンバーが再現できるようにしていくことが重要です。そのうえで、組織力を最大限に発揮して、事業拡大を図っていきたいと考えています。

メディア売却を考えるなら、年単位で準備を進めることが大切

及川:今回の案件を振り返って、特に印象に残っていることはありますか?

春日:主力事業でのM&Aを積極的に行っていることが、本業の採用活動にプラスに働いたのは、思わぬ効用でした。メディアディレクターが、財務・法務デューディリジェンスや事業算定にも携わり、もちろん買った後の事業も手掛けていく。面接の場でそういう話をすると、新しい経験ができそうだと感じて、興味を持ってくれるケースが結構ありました。

及川:メディア事業のデータを活用して、新たなビジネスの創出を手掛けられる可能性もあるのですよね。

春日:そうです。メディア運営、プロダクト構築、そして横展開の手段としてのM&A。そんなフィールドで、マルチに活躍できる人材を育てていきたいです。

及川:河田さんから、今後、メディアを売りたいと考えている方たちに向けて、アドバイスをお願いします。

河田:最近はSEOが不安定な中、アフィリエイターは、「1回売って終わりにしたい」という気持ちになりやすいと思います。でも、それにあまり引っ張られることなく、妥当な評価をしてくれ、かつ事業を伸ばしてくれる買い手をしっかり探すことをお勧めしたいですね。
売却に向けて、計画的に準備を進めることも大切です。漠然と「売れたらいいな」と考えているくらいでは、本当に売れないと思う。売却時期の目標を置き、年単位で動いていくくらいじゃないと、特に金額規模が大きくなるほど、難航すると思います。

春日:河田さんは、サイトを作り始めた当初から売却を意識していたんですか?

河田:最初から、いずれは大手ポータルサイトに買ってもらう想定でした。ただ、どんなサイトが実際に売れるかは読めなかったので、複数のサイトを立ち上げていたんです。

及川:個人のアフィリエイターにとって、売却先を最初から意識することは大事だと思いますか?

河田:いずれ売る気があるなら、大事だと思います。リーガルとか不動産、美容といったレベル感で領域を絞っておけば、後々資金力のあるトッププレーヤーに打診する展開があり得ますが、あまりニッチなコンテンツにしてしまうと、たとえば特定の商品がらみのサイトなどは売り先を見つけづらいですよね。あと、作るときから売却を頭に置いていれば、記事の質もそうそう下げられないですし、見た目もそれなりに整えないといけない。そのあたりを途中から見直そうというのは大変なことだと思います。

及川:春日さんからも、メディアの売り手に向けたメッセージをお願いします。

春日:当社は、これまで自社で「キャリアパーク」などのサイトを作るのにも、それぞれ数億円かけてきていますし、伸びしろのあるサイトを獲得するのに、ある程度のコストをかけるのは当然のことととらえています。あとは社内で作ったほうがよいか、既成サイトを譲り受けるのがよいか、ですが、本当に優秀なサイトなら、競合に回すよりも買ってしまったほうがいい。当社は、M&A案件のスクリーニングは自分でやっていることもあり、初期段階のスピードは速いほうなので、ぜひお気軽にお声がけいただきたいと思います。

及川:河田さんは、今後はどんな事業に取り組んでいくのですか?

河田:アフィリエイターとは全く違う畑になりますが、不動産領域で何か事業を創っていきたいと考えています。これまで培ったSEOスキルを強みに、新たな挑戦をしていきたいです。

及川:次の展開にも期待しています。本日はありがとうございました。


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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

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