「社員を1日でも早く安心させたい」初回から社長と面談できたことで、スピード成約!人材育成×ITサポートで、日本一のサービスを目指す
買い手:株式会社インソース
売り手:株式会社ビー・エイ・エス
公開日:

講師派遣型研修事業やITサービス事業などを展開する東証プライム上場企業の株式会社インソースは、2022年6月1日、コールセンターサービスやITサポートサービスを行う株式会社ビー・エイ・エスを子会社化しました。両社はM&Aクラウドを介して2022年3月に出会い、約2か月半でのスピード成約となりました。
インソース 代表取締役 執行役員社長の舟橋 孝之氏、経営企画グループマネージャーの高橋 美純氏、ビー・エイ・エス 代表取締役社長の森谷 正夫氏に、交渉の経緯や今後の展望を聞きました。
プロフィール
得意先の方針変更で、売上が大幅減。視野に入ったM&Aという選択肢

――ビー・エイ・エス様が売却を検討した理由をお聞かせください。
森谷 当社はPOSレジやPCといったハードウェアの障害受付、パソコン等のサポートデスク、サーバー構築やネットワーク環境構築などのSES業務を提供しているIT企業です。1987年の設立から順調に成長してきましたが、近年はリーマンショックなどを受け、成長が鈍化していました。
特に状況が大幅に変わったのは、2018年ごろです。創業以来の取り引きがあり、当社売上の8割以上を占める得意先で、当社に発注していた業務の大半を内製化する方針が打ち出されました。その結果、当社の売上が大幅に減ることになったんです。
新規顧客の開拓にも努めましたが、コロナ禍で、当社の得意とするPOSシステム運用のニーズも縮小していて……。どうしたらいいだろうかと経営者仲間に相談したところ、M&Aを勧められたんです。M&A仲介会社やプラットフォーム会社を紹介してもらい、そのうちの1社がM&Aクラウドでした。
――売却にあたって、ここは譲れないという条件はありましたか?
森谷 従業員の雇用の確保、これは絶対でした。それさえ約束していただければ、売却価格にはこだわらないくらいの気持ちでした。また、当社の平均年齢は40代。子供がまだ小さかったり、家のローンが残っていたりする従業員も多くいます。彼らが転勤しなくて済むよう、吸収合併ではなく、存続するかたちを望んでいました。加えて、私を含め役員の活躍の場があればありがたいと思っていましたね。
ーーM&Aクラウドでご成約となりましたが、実際に使われてみていかがでしたか?
森谷 成約が早くできたのはM&Aクラウドのプラットフォームだったからだと思います。仲介会社や、他のプラットフォームと比べても使いやすく、スムーズに買い手との連絡や交渉を進められましたね。
募集記事を更新し、マッチング率が向上!M&Aクラウドは工夫次第で効果がさらに上がる!

――インソース様はどのような経緯でM&Aを検討されたのでしょうか?
舟橋 当社は、企業や官公庁向けの研修プログラムの提供を軸とした事業を展開している企業です。eラーニングコンテンツの配信や、人事部門向けの業務サポートシステムの提供なども行っています。
法人を対象としたサポートサービスの拡充に向け、協業できるパートナーを求めており、その手段としてM&Aを検討していました。
ーー2020年1月に募集記事を公開されてから、2年半ほどM&Aクラウドをご利用いただいています。ご感想を教えてください。
舟橋 M&A関連部署が自発的に登録していたので、私は記事が掲載されているのを知らなかったんです(笑)。私が初めて知った時には、残念ながら効果は今一つ出ていませんでした。
そこで、当社のアピールポイントや募集対象領域をアップデートするため、私自身が買い手ページの文章を全面的に書き直しました。すると、売却・資金調達を希望する企業からたくさんオファーが来るようになったんです。工夫次第で効果が明らかに変わるので、とても面白いですね。記事を掲載した後も、企業側で必要に応じてアレンジしていくことが大切なのだと実感しました。
買い手企業の皆様、募集記事の中で自分たちの思いを丁寧に正確に記載していれば、マッチング率は上がると思いますよ!(笑)
当社も引き続きM&Aを進めていきます。財務面も含めてオファーを真剣に記載いただいている企業の皆様とは、ぜひお会いしたいですね。当グループに入って、子会社の社長を続けるのではなく、インソースの社長を目指したいという経営者様も歓迎します。一番優秀な人がマネジメントすればいいというのが当グループの方針です。どしどしご応募ください!
初回から社長と面談!社員を安心させたい一心で実現した、約2ヶ月のスピード成約

――ビー・エイ・エス様がM&Aクラウド上で売却活動を始められたのは、2022年3月でした。
森谷 20社ほどに打診し、そのうち数社と面談に進みましたが、最初の面談がインソースさんでした。
オンラインでの面談だったのですが、最初から舟橋社長が参加されたことにまず驚きました。そして話し始めて5分で心を決めました。「この会社の仲間に加わりたい」と。一目惚れみたいなものです。その後も数社と交渉を進めましたが、結局インソースさん以上に相性がいい会社はありませんでした。
舟橋 私も好印象でした。ビー・エイ・エスさんは、当社の欠けているリソースを補完する事業を展開しているので、ぜひ仲間になってほしいと思いました。当社は年率20%以上の成長を続けていますが、そのおかげで人手が足りません。その点、ビー・エイ・エスさんはまさに優れた人材がそろっていて、ニーズにピッタリでした。
しかも、森谷社長は財務・経理のナレッジを有しているということもあり、決算書がきれいで数字にウソがない。そして何よりも熱意がすごかった。二言目には社員のことを語っていて、社員を大切にしている様子が伝わってきました。
森谷 私は事前に、インソースさんはお堅い会社かなと想像していました。研修とか教育の会社ですからね。でも、そのイメージは覆されました。舟橋社長はSE出身で、関西出身で、年齢も1つ違いで、私と共通点が多い。絵が好きという意外な一面もある。話をすればするほど好感を持ちました。
――お互いが初回の面談でかなり好印象だったんですね。その後はどのように交渉を進めましたか?
森谷 財務情報などの資料をどんどんお渡しして、反応を待ちました。とにかく早く成立させたいという一心でした。
高橋 当社から森谷社長に資料をリクエストすると、すぐに届く。その資料で気になった点を指摘すると、すぐにまた修正して送ってくれる。短期間でそんなやり取りを繰り返しました。
森谷 舟橋社長には当社に見学に来ていただいたこともあります。その時には「新しい取引先になるかもしれない社長さんです」と社員に紹介しました。勘のいい社員は「ただの取引先ではなさそうだ」と薄々気づいていたみたいですけどね。
舟橋 交渉を開始した直後からコールセンターやオフィスなどを何度か訪問しました。会社を知るには財務情報だけでなく現場を見るのが一番なんです。いい会社か悪い会社かも、職場に足を踏み入れた途端にわかります。その点、ビー・エイ・エスさんの社員は、比較的年齢層が高いのにみんなシャキッとしていました。常識人がそろった大人の会社という印象を受けました。
――デューディリジェンスをしつつ、訪問して社内の雰囲気も探りつつ、交渉を進めていったんですね。最終的にはいつ決定したのでしょうか?
高橋 6月1日の契約前日、5月31日に臨時取締役会の場で決定しました。交渉開始から決定まですごいスピードでした。
舟橋 当社は融通の利く会社ですが、それでも上場企業なので一定の段取りが必要なんです。今回は異例とも言える段取りで進みました。森谷社長の要望に全力で応えたんです!(笑)
森谷 1日も早くと舟橋社長に猛プッシュしましたから。ご対応いただき本当にありがとうございます!高橋さんはいろんな相談に乗ってくださって、感謝しています。今でも一番の理解者です。
――森谷社長がそこまで急いだ理由は何だったのでしょうか?
森谷 社員を1日でも早く安心させたかったんです。近い将来、大半の仕事がなくなるっていう情報は全員に共有していましたから。社員たちにとってもずっと心配だったと思います。売却のことは6月1日のプレスリリース後、初めて話しました。社員は「嬉しいけど、本当なの?」ってびっくりしてる感じでした。
グループ連携で、既に増収効果を実感!相互補完で日本一のサービスを目指す
――インソース様の子会社として新たなスタートを切りました。グループ入り後の心境は?
森谷 オーナー社長と違って、上場企業子会社の社長には厳しいルールがあることに驚きました。一方で舟橋社長から、コスト競争力強化においてテクニカルサポート業務の重要性が急速に増してきているとお聞きしておりましたので、システム運用管理やサーバー監視等のヘルプデスク業務、ハードウェアのキッティング等のシステムサポート業務、システム開発やクラウド構築等のSES業務などを通じて、テクニカルサポートに関する経験を活かせると感じました。
舟橋 実際にインソースのなかでビー・エイ・エスさんの人材の取り合いになっています。インソースグループの特徴は、子会社の自主独立性が極めて高いこと。また、部署を超えて欲しい人材に直接オファーしてもいいことになっています。だから優秀なビー・エイ・エスさんの人材にスカウトが殺到しているんです。私はこれを「山賊ルール」と呼んでいます(笑)。
森谷 私を飛び越えて担当者同士で勝手に話が進んでいて、驚いたんです。舟橋社長に「どういうことですか?」って確認したら、そういうルールだと教えてもらいました。私も割と切り替えが早いものですから、すぐに納得しました。
舟橋 ビー・エイ・エスさんの優秀な人材には、グループ内で積極的に活躍していただきます。一方でビー・エイ・エスさんにも自主独立性は認められていますから、どんどんやってもらいたい。実際に新規サービスの構想も進んでいます。
――グループ内の連携はどのようなかたちで進んでいますか?
舟橋 ビー・エイ・エスさんは土日祝にもコールセンターの営業をしています。そこで、インソースの土日祝の電話対応もビー・エイ・エスさんに委託しました。そうしたらもう、全員ハッピーになりました。当社の担当者は土日祝に出勤しなくてよくなるし、人件費は減るし、委託費を差し引いても年単位の増収効果を見込んでいます。
働き方改革が叫ばれるなか、土日祝のコールセンター業務をアウトソーシングしたいというニーズは高いと思います。ここは成長分野と見込んで、外部へのサービス提供も拡大していきたいと思います。
森谷社長は取引先を失うことで悩んでいましたが、当社の営業力を使ってビー・エイ・エスさんのサービスをアピールしていけば、この分野で日本一になれるかもしれませんよ。
――日本一のサービスが誕生することを願っています!ありがとうございました!
■本ディールの経緯
2020年1月30日 インソースが『M&Aクラウド』に掲載
2022年3月14日 ビー・エイ・エスが『M&Aクラウド』に登録
2022年3月22日 ビー・エイ・エスがインソースに打診
2022年3月25日 初回面談(WEB インソース:舟橋社長を含め3名とビー・エイ・エス:森谷社長で、双方の事業内容紹介等)
2022年5月31日 インソース臨時取締役会にてM&Aが決定
2022年6月1日 クロージング
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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。