「協業すれば、成長できるとわかっていた」女性特化型SES企業が識学と手を組み、IPOに突き進む!

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「協業すれば、成長できるとわかっていた」女性特化型SES企業が識学と手を組み、IPOに突き進む!

独自の組織マネジメント理論「識学」を用いたマネジメントコンサルティングを行う株式会社識学は、識学ファンドを通じて、女性の活躍を推進するIT企業である株式会社YNPへ出資を行いました。

もともと識学のサービスに関心があったというYNP。今回、資本業務提携という形での協業に至ったのはなぜなのでしょうか。識学 事業推進部 識学ファンド推進室でディレクターを務める野見山佳紀氏と、YNP 代表取締役の野中優祐氏に、その背景をうかがいました。

プロフィール

株式会社識学 事業推進部 識学ファンド推進室 ディレクター 野見山 佳紀(のみやま・よしのり)

神戸商科大学商経学部卒。新卒で入社した外資系生保で、法政大学大学院との産学連携プロジェクトに参画、企業経営への造詣を深める。経営者に対して大局的見地から戦略提案をしたいとの想いからM&Aアドバイザリーへ。ディール・オブ・ザ・イヤー受賞。現在は、「資金調達と組織構築の2軸から企業成長に資するファンド」である識学ファンドでディレクターを務める。

株式会社YNP 代表取締役 野中 優祐(のなか・ゆうすけ)

2011年、21歳で起業。2017年に売却し、同年YNPを設立。女性に特化したシステム エンジニアリング サービスを開始し、2021年に売上高10億円を達成。

女性に特化したSESで事業拡大。IPOを目指し、資金調達

株式会社YNP 代表取締役 野中優祐氏
株式会社YNP 代表取締役 野中優祐氏

――まず、YNPの事業内容を教えてください。

野中:当社のメイン事業は、システムエンジニアリングサービス(SES)です。最大の特徴は、SES事業に在籍するシステムエンジニアが全員女性であること。システムエンジニアは男性に特化した職業であるというイメージを持たれがちです。その中であえて女性のシステムエンジニアを採用・育成し、顧客企業に派遣しています。

――組織全体で見ても、野中さんを含めた数名を除き、全社員が女性だとうかがいました。そもそも女性人材に着目したのはなぜですか。

野中:女性の活躍を後押しする企業にしたいという思いがあったんです。私自身、母子家庭で母が一生懸命働く姿を見ながら育ちました。しかし、母がいくら働いても家庭は貧しかった。そのような経験もあって、女性たちがもっと効率的に働くことができ、日々を楽しめるような環境を作ろうと決意し、YNPを立ち上げました。

当初、周囲からは「女性人材に特化したビジネスモデルなんて絶対に成功しない」と言われていましたが、蓋を開けてみれば、企業における女性エンジニアのニーズは想像以上に高くて。最近では、当社に応募してくれた女性に研修を提供し、顧客企業に紹介する人材紹介事業も開始しています。

――女性に特化したビジネスモデルは、企業側にも人材側にもニーズがあったということですね。では、資金調達を検討したきっかけは。

野中:IPOを決意したことです。それに向けて、人材採用や内部統制、M&Aに力を入れていきたかったんですが、それにはもちろん多額の資金が必要。そこで知り合いの経営者に相談したところ、資金調達クラウドを紹介されたんです。

資金調達クラウドの担当者と面談して候補企業のリストを作ってもらい、打診メッセージを送りました。中でも期待してメッセージを送ったのが、識学さんだったというわけです。

ファンド設立で、組織面に加えて資金面からも企業をサポート

株式会社識学 事業推進部 識学ファンド推進室 ディレクター 野見山佳紀氏
株式会社識学 事業推進部 識学ファンド推進室 ディレクター 野見山佳紀氏

――識学は、マネジメントコンサルティングサービスを展開しているとうかがいました。事業の特徴を教えてください。

野見山:最大の特徴は、意識構造学という原理原則に基づき、マネジメントを体系化していることです。

人は誰しも、思考の“癖”を持っているのですが、この癖が原因でお互いへの「誤解や錯覚」が生まれます。誤解や錯覚を解消するためには、会話をしたり、説明をしたりと、多くのコミュニケーションが必要になります。初対面同士であれば、このコミュニケーションは必要不可欠ですが、毎日顔を合わせて働く企業組織内では、非常に多くのロスタイムにつながってしまいます。

識学の理論は、「誤解や錯覚のメカニズム」を正しく認識することから始まります。本来不要なコミュニケーション(ロスタイム)を削減することで、メンバーの集中力・業務遂行力を高め、企業組織の能力が最大限発揮できる環境を整えることが、識学の効果効能と言えます。

識学のサービスを導入いただいた企業からは、「頭の中にあったイメージが言語化されていく感覚がある」という評価をいただいています。トップマネジメントのみなさんが常日頃感じている、言葉にならない違和感や疑問に対して、明確な指針や方向性を見つけていただけているのだと思います。

――独自のメソッドが強みとなっているのですね。では、出資を検討するようになった経緯は。

野見山:組織面のみならず、資金面でもサポートすることができれば、企業成長をより強く後押しできるのではないかと考えたことがきっかけでした。組織づくりの課題に直面している企業には、事業投資も本格化し始めるフェーズの企業が多いので、両面からサポートすることができれば、飛躍的な成長に寄与できるはずだというわけです。

そこで、社内に識学ファンドを立ち上げ、出資活動に注力するようになりました。資金調達クラウドに登録したのも、その流れですね。

――今回は、資金調達クラウドを通じて、野中さんから野見山さんに打診メッセージを送ったことから、交渉がスタートしました。打診を受けて、野見山さんはどのような印象を受けましたか。

野見山:まず、「識学」の効果を実感してもらいやすそうな企業だなと感じました。当社は業界業種を問わず出資検討をさせていただくのですが、識学導入がその企業にとって有益かどうかを重要視しています。つまり、識学が組織づくりを支援することで、企業成長に寄与できるかどうかということです。

その点、YNPの基本的なビジネスモデルは、人材に依存するSES。組織も100人を超えた段階で、上司と部下、部署同士といった縦横のコミュニケーション量が増え、ロスタイムが発生しやすくなっている可能性があると推測しました。だからこそ、「識学」と相性がよさそうだと考えたんです。

「絶対に後悔させません」初回面談で熱烈アピール

――打診のメッセージから約2週間後に初回面談を実施されていますね。

野中:厚かましくも、「絶対に後悔させません。出資してください」とアピールしたのを覚えています。というのも、「識学」を導入すれば、当社は必ず伸びるとわかっていたからです。

実は、資金調達に関係なく、前から「識学」の導入を検討していたんですよね。組織をつくるには、マネジメント層が不可欠。かつ、そのマネジメント人材は、社外から採用するよりも社内で育成したほうが、社員たちの納得感も高まります。そこで、マネジメント研修のサービスをいくつか視野に入れていたんですが、最大の候補が「識学」だったんです。

また、識学のCMを見ていて、安藤社長の「組織を成長させるのに“モチベーション”は不要」という言葉に共感していましたし、論理的かつ体系的な点も個人的に好きだったんです。そのため、万が一今回成約できなくても、「識学」は導入したいと考えていたぐらいです。

――野中さんの「識学」に対する熱い思いを感じます。それを受けて、野見山さんはどのような印象を持ちましたか。

野見山:風を感じました(笑)。Webでの面談だったんですが、視線が常に前を向いていましたし、断定的で言い切った話し方にも勢いがあった。2度のExitを経験するという、起業家としてすばらしいキャリアがあるのに、奢らない謙虚さも持ち合わせている。とにかく、野中さんの真っ直ぐな性格に、男ながら惚れましたね。

――ファンドのみならず、会社全体でYNPへの期待が高まっていた様子がうかがえます。その後は、どのように成約に至ったのでしょうか。

野中:交渉自体は、特に大きな課題もなくスムーズに進み、初回面談から約3カ月で契約を締結することになりました。

1つだけ予想外だったのは、識学さんからの出資額でしょうか。当初、10社程度からの資金調達を想像していたんですが、野見山さんが「全額、識学ファンドから出させてもらってもいいですか」と提案してくれたんです。迷わず、「ありがとうございます!」と答えましたね。

野見山:YNPさんは期待できる効果が大きかったので、より深く関わらせて欲しいという意味も込めて、そのように打診しました。資金調達先をできるだけ分けたいという企業もあると思いますが、今回はYNPさんに快諾してもらえてよかったです。

今後の成長に期待、ゆくゆくは、両社で事業開発も

――現在は、シナジー創出に向けてどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。

野中:まず、月次で収支報告を行うようになりました。シンプルなことかもしれませんが、経営的な観点から重要な事項をピンポイントに指摘してもらえるので、新たな発見も多く、助かっています。

また、組織づくりにおける目標設定も完了したので、いよいよ「識学」を受講する段階にまで来ましたね。

野見山:直近はその準備もあって、週1〜2回は顔を合わせていますよね。当社としては、もうすぐ始まるYNPさんの新年度をまるまるご一緒できることになりましたので、今回の成約はちょうどよいタイミングだったと思います。

野中:来期の成長率、ぜひ見て欲しいです。絶対に業績は伸びますから。

――では、両社の今後の目標や抱負をおうかがいしてもよろしいですか。

野中:IPOに向けて、まっしぐらに進むのみです。「できたらいいな」ではなく、「当然やるものだ」という感覚ですね。

そのためにまずは、プロジェクトマネジメントができるPM人材を育成していきます。単なるSESから脱皮し、ITコンサルティングのポジションを獲得するのが狙いです。また、M&Aも積極的に行い、受託開発事業の強化や事業エリア拡大に活用していこうと考えています。

そして、IPOを達成できた暁には、託児所をM&Aしたいと思っています。現在、オフィスに託児所を設けているのですが、子どもを連れてくるのが難しい社員もいるので、当社の社員証を見せれば、無料で子どもを預けられるような託児所を増やしていこうと考えました。こうした取り組みを通して、女性だから、あるいはシングルマザーだからといった理由で、働けない理由をなくしていきたいですね。

あと、識学さんと一緒に、女性に特化したマネジメントサービスを作るのも面白いと考えています。実際、大手も含めて様々な人材関連企業から、女性のマネジメントについて相談を受けたことがあるんです。絶対に需要はありますよ。

野見山:野中さんのこの真っ直ぐさ、やはりいいですよね。

当社は、野中さんが思い描くビジョンを実現できるような組織づくりを、全力でサポートしていきたいと思います。YNPさんが企業成長を実現されるということは、その事実だけで素晴らしいことですし、当社の理念である「識学を広める事で人々の持つ可能性を最大化する」を実証することにもつながります。

――最後に、資金調達クラウドを利用した感想を教えてください。

野中:率直に言って、利用して損はなかったと感じています。「返事は返ってこないだろう」と思っていたのに、約20社からレスポンスがあった。知り合いの経営者のアドバイスに、素直に従っておいてよかったなと。

また、これだけ多くの反応がもらえたのも、資金調達クラウドの担当者が、当社の特徴や強みをヒアリングし、打診すべき候補企業をリストアップしてくれたからだと思います。識学さんのように、特に気になる企業へのアプローチ方法を一緒に考えてくれたのも心強かったです。

野見山:私も、YNPさんのようなすばらしい企業と出会うことができ、感謝しています。ファンドは出会いを求める仕事。初回面談後のやり取りは、SNSやメールといった別の連絡手段に移行することが多いものの、マッチングの手段として頼りになるサービスであることは間違いありません。これからも幅広い企業との出会いを楽しみにしています。

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