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2020年にIPOした注目スタートアップ5社の資本政策まとめ


公開日:2021年3月18日  最終更新日:2021年9月22日

2020年上場の注目スタートアップの資本政策を特集

2020年のIPO市場は、コロナ禍による新規上場の落ち込みがあったものの、1年で全99社が東証に新規上場を果たし、IPO活況の年となりました。

本記事では、2020年新規上場企業99社の中でも注目度の高いスタートアップ企業を5社厳選し、各社の資本政策を解説します。

注目スタートアップ企業の設立からIPOまでの軌跡を研究して、自社の資本政策や投資戦略に応用しましょう。

IPOとは何か?

新規上場による株式の一般売出し

IPOとは、Initial Public Offeringの略で、 株式公開を意味します。上場した企業の株式は、一般の投資家に向けて売り出されます。通常、上場時にはIPO企業の代理として証券会社が証券の募集・売出しを行います。

企業の資金調達機会、既存株主の収益機会

IPOで発生する 株式の売出しは①新規株式の発行による公募売出しと、②既存株主による株式売り出しの2種類に分類できます。

①新規株式発行(公募売出し)

上場にあたって企業が新たに株式を発行し、投資家に売却します。株式売却益は企業の純資産として計上されるため、 公募売出しによる株式売却益は企業のIPO時の資金調達となります。

②既存株主による株式の売り出し

IPO前からの既存株主が、上場にあたって保有する株式を売り出すことです。スタートアップ企業の初期から投資していたVC(venture capital)などの株主が、利益を確定するために保有株式を売却するケースが該当します

IPOを見れば資本政策のポイントが分かる

資本政策とは何か?

スタートアップ企業にとって、 効率的な成長やIPO時の資金調達の最大化、そして上場後の経営権維持のために、株主構成をデザインし、計画的に資金調達することが重要です。このような株主構成や資金調達に関する方針を「資本政策」と呼びます。

IPO時に提出される有価証券報告書等には、各社の資本政策の工夫が凝縮されています。IPOの事例を研究することで、資本政策立案のポイントが見えてきます。

資本政策理解の第一歩、IPO前の株主構成

信用力に乏しいスタートアップ企業は金融機関からの借り入れが難しいケースも多く、資金調達の主な手段は、関係者や投資家に対する株式の付与(売却)です。

後述のように、IPO前の株主構成はIPO時のバリュエーションに影響を与える可能性があります。そこで、スタートアップ企業は成長に必要な資金を誰からどれくらい調達するのか、株主構成を慎重に検討しなければなりません。株主構成を検討することは資本政策の第一歩と言えます。

IPO前のスタートアップ企業の株主と潜在的株主は、以下の4者で構成されるケースが一般的です。

経営者

多くの場合、設立時には経営者の持株比率は100%ですが、資金調達によって外部関係者や投資家に株式を付与するたびに持株比率は少しずつ減少していきます。経営への影響力を確保するために持株比率を下げすぎないことが資本政策のポイントの一つです。

VC/CVC/PEファンド

VC/CVC(Corporate Venture Capital)/PE(Private Equity)ファンドは、成長段階のベンチャー企業へ出資し、IPO時または株価上昇後に株式を全売却(エグジット)または一部売却することで収益を得ます。

事業会社

スタートアップ企業との事業上の関連が深い事業会社が、資本業務提携等により株式の取得および出資を行う場合があります。事業会社は投資先スタートアップとの事業上のシナジーを目的とするため、IPO時やIPO直後に株式を売り出す可能性が低い傾向があります。

従業員

スタートアップ企業では、従業員へのインセンティブ付与を目的として、ストックオプションを付与するケースもあります。

 

ストックオプション(新株予約権/潜在株式)とは?

あらかじめ規定された価格(行使価格)で株式を取得する権利。ストックオプションの取得者は、株価が低い段階で発行された新株予約権を、将来株価が上昇した時点で権利行使を行うことで、時価との差額分、株式を安く購入できる。

 

IPOの事例研究で見るべき指標5選

IPOの事例研究にあたって、株主構成以外にも以下の5つの指標が参考になります。本記事でも、5つの指標をつかって各事例の特徴を考察しています。

①オファリングレシオ(O.R)

オファリングレシオとは、上場時における発行済み株式数に占める売出し株数(①新規株式発行[公募売出し]と②既存株主による株式の売り出しの合計)の割合を指します。上場する株式の流動性を測る指標として使われます。 オファリングレシオが低いほど、株式のプレミア度が高まり、 株価が上昇する傾向があります。

②公募比率/希薄化

公募比率とは、売出し(オファリング)株式総数に占める公募売出しの株式数の割合を指します。公募比率が高いほど、上場時に調達した資金のうち、高い割合が企業の成長資金に充てられるため、企業の将来の成長期待を高め、株価が上昇する傾向があります。また、売出し株式数全体に占める売出し株式数(全体から公募売り出しを除いた株式数)を売出し比率として出す場合もあります。

一方、公募売出しによる新規株式発行数が大きい場合、株式の希薄化が生じるため、経営層などの既存株主にとってはリスクとなります。そのため、新規株式発行数は、投資家からの成長期待が株式価値の希薄化分を上回る水準で設定するのが望ましいと考えられます。

※株式価値の希薄化の懸念として他に考えられる要素としては、潜在株式(ストックオプション)数の多さがあります。潜在株式割合が大きいほど、株式発行による希薄化リスクが高まります。

③内部比率/株主構成

内部比率(内部持株比率)とは、発行済み株式数全体に占める企業内部(経営層や従業員)の所有株式数の割合を指します。内部比率から経営者の経営への影響力の大きさを測ることができます。通常、内部比率は創業時から資金調達に伴う株式発行の度に減少するため、IPO時に維持したい内部比率から逆算して資本政策を立てることが重要です。

また、IPO時に売り出さないVCやPEファンドなどが株主構成の大部分を占めれば将来の株式の売り圧力が強い状態となり、株価形成に悪影響を及ぼす恐れもあるため、株主構成には注意が必要です。

④仮条件価格と公募価格の差

IPO時の投資家からの評価を測る指標として、仮条件価格と公募価格の差があります。仮条件価格とは、IPO前に主幹事証券会社があらかじめ提示する公募価格の価格帯のことで、この範囲内で最終的な公募価格が決定されます。投資家期待十分なIPO案件では、仮条件価格の上限と公募価格が一致します。

⑤初値騰落率

IPO時の投資家からの評価は、初値騰落率からも測ることができます。初値騰落率とは公募価格(公募売り出しの株価)に対する初値(上場日以降で最初についた市場価格)の騰落率を指し、IPO直後の投資家の需要を反映するため、市場で人気が高い銘柄ほど高くなります。

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2020年上場の注目スタートアップ5社、資本政策一挙紹介

2020年のIPO企業の中から、注目のスタートアップ企業5社の資本政策を紹介します。

なお、本資料は株式会社日本取引所グループの運営サイトに公開されている新規上場申請のための有価証券報告書等を中心に作成したものです。資本政策表は、Iの部や目論見書などから読み取れる範囲で、一部推測も行っています。

具体的には、IPO時の株式構成を確定させた後、時間経過を遡りながら過去の資金調達ラウンドや新株予約権発行における割当先を特定(割当先の内訳がIの部や目論見書に掲載されていない場合はIPO時の株主構成と最終的に辻褄が合うように推測)しています。

①ジモティー:VC・事業会社が中心の株主構成

地域情報掲示板サービスを提供し、消費者からの高い認知度を誇るジモティーは2020年2月に上場しました。小型の上場でしたが、 VCや事業会社が中心の成長モデルという特徴に注目です。

株式会社ジモティー資本政策のポイント

  • VCファンドによる100%出資で設立。VCなどの外部比率が高く推移
  • 資金調達は主に事業会社から行っており、上場時にはオプトホールディングス、NTTドコモなど事業会社が過半数を占める
  • IPO時に売出しを行ったのは3社のみ
  • オファリング12.7億円のうち、IPO調達額は5,000万円

 

【企業概要】

  • 設立:2011年02月16日
  • 上場:2020年02月07日
  • 上場までの所要年月:8年11ヶ月
  • 事業概要:地域情報掲示板「ジモティー」を運営。不動産・売買・交換等の情報のWebプラットフォームとして、ユーザー間のマッチングを提供。

 

【IPO概要】

  • 公募時価総額:56.9億円
  • IPO資金調達額:5,000万円
  • オファリングレシオ:22.3%
  • 公募比率:3.9%

 

資金調達概要と時価総額の推移

ジモティーIPOまでの時価総額の推移

上場時株主構成

ジモティー上場時株主構成

②ヤプリ:VC/CVCの売出しでO.R高め

スマホアプリの開発をノーコードで提供するヤプリが2020年12月に上場しました。市場期待が大きい事業分野ということもあり、注目度の高いIPOとなりました。IPO前は主にVC, CVCからの資金調達行ったため、イグジット機会を提供するためにオファリングレシオが高めのIPOとなったことが特徴的です。

株式会社ヤプリ資本政策のポイント

  • 主にVC, CVCからの資金調達。事業会社はセールスフォースのみ。
  • ファンドへのイグジット機会提供のため、オファリングレシオが高め(41.5%)だったが、上場後の株価は堅調。
  • 民事信託を利用した信託型新株予約権を設定。

 

【企業概要】

  • 設立:2013年02月14日
  • 上場:2020年12月22日
  • 上場までの所要年月:7年10ヶ月
  • 事業概要:アプリ開発・運用・分析をノーコードで提供するアプリ運営プラットフォーム「Yappli」を提供。

 

【IPO概要】

  • 公募時価総額:368.6億円
  • IPO資金調達額:11億円
  • オファリングレシオ:41.5 %
  • 公募比率:7.2 %

 

資金調達概要と時価総額の推移

ヤプリIPOまでの時価総額の推移

上場時株主構成

ヤプリ上場時株主構成

③モダリス:多数の外部投資家から出資を受け入れ

注目されるバイオベンチャー業界では、モダリスが2020年8月に上場しました。同社の特徴はIPO時点でVCや個人投資家などの外部株主がかなり多かったこと。加えて、バイオベンチャーとしては珍しく経営黒字での上場だったことから、投資家の反応は好調でした。

株式会社モダリス資本政策のポイント

  • コンサルタントなどの外部協力者にストックオプションを付与。
  • VCや個人投資家などの外部株主がかなり多く、シリーズBで内部比率が50%を割り込みIPOまで推移。
  • 外部株主は多いが各社の売出し株数は少なく、オファリングレシオは低め(9.9%)のIPOとなった。(初値騰落率110%)

 

【企業概要】

  • 設立:2016年01月14日
  • 上場:2020年08月03日
  • 上場までの所要年月:4年6ヶ月
  • 事業概要:ゲノム編集技術に基づく強力な治療薬創出プラットフォームを展開、遺伝子疾患の治療薬開発を行う

 

【IPO概要】

  • 公募時価総額:326.4億円
  • IPO資金調達額:25.2億円
  • オファリングレシオ:9.9%
  • 公募比率:77.8%

 

資金調達概要と時価総額の推移

モダリスIPOまでの時価総額の推移

上場時株主構成

モダリス上場時株主構成


④ニューラルポケット:計画的資本政策で最短のIPOを実現

AI企業ニューラルポケットは、 創業から2年半という最短期間で上場したことで話題となり、2016-2020年の上場スピードランキングで第1位となっています。

株式会社ニューラルポケット資本政策のポイント

  • 資本業務提携を締結し顧問に就任したシニフィアンにストックオプションの付与
  • UTECやSMBC VC、みずほキャピタルなどのファンドがIPO時に売り出さなかったためオファリングレシオが小さくて済み、また公募比率が高い上場となり初値が高騰。(初値騰落率:467%)

 

【企業概要】

  • 設立:2018年01月22日
  • 上場:2020年08月20日
  • 上場までの所要年月:2年6ヶ月
  • 事業概要:AI技術を用いて画像や映像を解析し、デジタルサイネージ、スマートシティ、およびファッション事業を展開。

 

【IPO概要】

  • 公募時価総額:124億円
  • IPO資金調達額:3.7億円
  • オファリングレシオ:4.2%
  • 公募比率:71.8%

 

資金調達概要と時価総額の推移

ニューラルポケットIPOまでの時価総額の推移

上場時株主構成

ニューラルポケット上場時株主構成

⑤Sun Asterisk:内部比率高めのIPO

企業のDX支援を手がけるSun Asteriskは、注目のDX銘柄として2020年7月に上場しました。会社設立から5年間は株主構成が内部比率100%で推移し、上場時も81.57%と高水準だったことが特徴的です。

株式会社Sun Asterisk資本政策のポイント

  • 設立から5年間、内部比率100%で推移。上場時も81.57%と高水準。
  • 上場直前期に農林中央金庫から普通株式による10億円の増資、申請期には複数の事業会社から普通株式による5億円の増資と複数の金融機関からのデットファイナンスを行い、累計20億円の資金調達。
  • 上場時売出しを行ったのは内部株主のみで、売出し額は14.3億円。
  • 民事信託を利用した信託型新株予約権を設定。

 

【企業概要】

  • 設立:2013年03月01日
  • 上場:2020年07月31日
  • 上場までの所要年月:7年4ヶ月
  • 事業概要:スタートアップの立ち上げに特化したソフトウェア開発やサービス開発を手がける。日本国内でIT人材の発掘・育成・紹介も行う。

 

【IPO概要】

  • 公募時価総額:253.4億円
  • IPO資金調達額:14.3億円
  • オファリングレシオ:11.3%
  • 公募比率:50.1%

 

資金調達概要と時価総額の推移

Sun AsteriskのIPOまでの時価総額の推移

上場時株主構成

Sun Asterisk 上場時株主構成

注目スタートアップ5社、上場時指標比較

2020年に新規上場した5社、ジモティー、ヤプリ、モダリス、ニューラルポケット、Sun AsteriskのIPO時指標をまとめました。各社の資本政策の特徴とIPO状況を照らし合わせることで、資本政策のケーススタディができます。一般的には、オファリングレシオと初値騰落率の関係などが注目されます。

  ジモティー ヤプリ モダリス ニューラルポケット Sun Asterisk
公募時価総額 57.9億円 369.6億円 326.4億円 124.6億円 253.5億円
オファリングレシオ 22.3% 41.5% 9.9% 4.2% 11.3%
公募比率 3.9% 7.2% 77.8% 71.8% 50.1%
内部比率 16.6% 49.6% 40.0% 72.4% 81.6%
潜在株式比率 7.6% 9.5% 9.6% 6.7% 9.4%
初値騰落率 130.0% 65.8% 110.0% 466.7% 72.7%

まとめ

2020年にIPOした注目のスタートアップ5社の資本政策を特集しました。 各社のエクイティストーリーを把握すれば、IPOを目指す経営者が資本政策を立てる上で参考にできます。

下記リンクより「2020年にIPOした注目スタートアップ5社の資本政策表」がダウンロードできます。

2020年にIPOした注目スタートアップ5社の資本政策表

IPO以外にもスタートアップの成長戦略にはさまざまな手段があります。M&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」では、スタートアップ企業の成長戦略としてのM&Aや資金調達を応援をしています。お気軽にお問い合わせください。

                   

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