( 平日10:00〜18:00 )
プロのアドバイザーにお気軽に相談いただけます。 menu

【オンラインイベントレポート】Synergy Lunch Fever #4 株式会社イノベーションと株式会社ウィルズに聞く「勝ち続けるために必要なキーワードとは?」

2020/09/30

勝ち続けるために必要なキーワードとは?


M&Aクラウドは2020年6月から、「M&Aクラウド」掲載中の買い手企業の皆様に登場いただくオンライントークセッション「Synergy Lunch Fever」をスタートしました。毎月1社、異なる掲載企業より経営者やM&A担当の皆様をゲストにお迎えし、全5回のリレートークを予定。お昼休みの時間を使い、参加者の皆様からの質問にも答えながら、買い手から見たM&Aの今とこれからについて、カジュアルなトークを展開していきます。

第4回のゲストは、 BtoBマーケティング支援の領域で、IT製品や人事・総務サービスの比較・資料請求サイト「ITトレンド」「BIZトレンド」やマーケティングオートメーションツール「List Finder」などを運営する株式会社イノベーションの富田 代表取締役社長。また、「元リクルート」のつながりでご招待いただいた、ブロックチェーン技術を活用した株主管理プラットフォームの提供をしている株式会社ウィルズの杉本 代表取締役CEOを特別ゲストとしてお呼びしました。

今回のウェビナーでは、直近のM&Aについてや今後への展望をはじめ、経営者を育てるリクルートの企業風土、そして成功するM&Aのポイントなどについて、ざっくばらんにお話頂きました。



ゲスト

img

富田 直人(株式会社イノベーション 代表取締役社長)

1987年4月に株式会社リクルートに入社。IT企業に対する企画営業・マーケティングやIT関連メディア「キーマンズネット」立ち上げなどの経験を経て、2000年12月に株式会社イノベーションを設立、代表取締役に就任。2019年7月 株式会社コクリポ代表取締役に就任

img

杉本 光生(株式会社ウィルズ 代表取締役CEO)

株式会社リクルートコスモス、株式会社インテリジェンスを経て、株式会社アイ・アールジャパンに入社。その後、株式会社ストラテジック・アイアールの経営に参画。 2001年合併による新会社ジー・アイアール・コーポレーション株式会社取締役に就任。 2004年10月、当社を設立し代表取締役社長に就任。15年に及ぶIRコンサルティングの経験を活かし、効率的なIR活動の実現を目指して、IR-NAVIゲーションシステム(現在の「IR-navi」)を考案・プロデュース。一方で、個人投資家と機関投資家との間にある投資情報格差を是正すべく、個人投資家向け株主優待サイト「プレミアム優待倶楽部」を考案し、国内上場企業に対して、戦略的個人投資家向けIRを提唱。日本IR協議会メンバー。2019年、東証マザーズ市場に上場。


モデレーター

前川 拓也

株式会社M&Aクラウド 代表取締役COO
ホクレン農業協同組合連合会に所属し、100億円規模の収支計画を組む業務を行う。退会後は生産調整されている農畜海産物を直接飲食店に届けるeコマース事業moremoreを2014年に立ち上げる。2年後に事業を売却。事業売却時に感じた不快感と父の会社を継がずに廃業させてしまった悩みを解決するためにM&Aクラウドを立ち上げる。

岡道 俊人

2003年に株式会社平和に入社。東京エリアの責任者として営業部門の統括を行う。 平和時代に経験したPGMホールディングスの大型買収を目の当たりにし、M&Aの世界に興味を持つ。 M&Aクラウドでは、営業部門の責任者として従事する。

株式会社イノベーション 富田 直人氏(以下、富田氏)
株式会社ウィルズ 杉本 光生氏(以下、杉本氏)
M&Aクラウド 前川 拓也(以下、前川)
M&Aクラウド 岡道 俊人(以下、岡道)

パート1 スタートアップに重要なのは「経営者の想いや覚悟」と「壮大なビジョンを描けること」

岡道 前回開催したウェビナーでは、イートアンド株式会社の文野会長と加藤取締役をお迎えし、Synergy Lunch Fever第3回目として、
  • 成功するM&Aのポイント
  • スタートアップのどこを評価するか?
  • 飲食業界で安定した経営を続けるには
を中心にお話頂きました。

前回のハイライトについては今回のウェビナーでも色々聞いていきたいのですが、まずは「スタートアップのどこを評価しますか?キャッシュフローや人、サービスの完成度の中で、どこが一番重要だと思いますか?」 について、富田さんお願いいたします。 富田氏 当然どれも重要だと思いますが、1つ挙げるとしたらやはり、人。経営者ですね。 一般的に優秀だとか優秀じゃないということよりも、経営者の想いとか覚悟が、とても重要だと思います。 経営していると、どんなに素晴らしいビジネスモデルと素晴らしいサービスを作って提供していても、お客様や社内、競合に色々なことが起きてきます。 その時に、いかに覚悟を持って取り組むか。その想いが、お客様やパートナー、社員を動かしていきますので。 なので、このパッションとか想い、覚悟がすごく重要だと私は思っています。

例えば、スタートアップにはすごく多いと思いますが、元々始めた事業とは違うところで成功するってよくある話ですよね。 当社の例でいくと、当社は元々リスティング広告の代理店とテレアポの会社でして。 テレアポは渋谷と高崎、福岡のコールセンターがあって150人規模でBtoBのテレアポをやっていましたが、そのどちらも売却および撤退して、今の事業にピボットしました。 こういうことってよくあると思うのですが、その中で、諦めない・諦めるという決断や覚悟は経営者にしか出来ないと思いますし、それは経営者にとってとても大事なことだと思います。 岡道 杉本さんはいかがでしょうか。 杉本氏 まず私は、ビジネスモデルを考えるにおいて、現状、世の中にない、新しい市場を生み出せるかどうかが非常に重要だと思っています。 起業するというと、既に世の中にある事業やビジネスモデル、例えば昔からある不動産事業などに革新性を生み出していくというパターンと、これまで世の中に全くないものをゼロから生み出していくというパターン、この2つがあると思います。 私は、ゼロから新しい価値を生み出すこと。そしてそのビジネスモデルが、世の中のデファクトスタンダード、業界標準になるくらいあるか、ということを重視しています。 そういう意味では、スタートアップの起業家には、壮大なビジョンを描けるかがまずは重要だと思いますね。

ただその一方で、ビジョンそのものが壮大でも、足元のキャッシュフローがショートしてしまうと会社は継続できないですよね。 したがって、足元の地道な業績とキャッシュフローをケアしながら、一方で遠い未来に大きな壮大なビジョンを描けるか、というのが起業家の条件なのかなと。 そして富田さんもおっしゃったように、そこに辿り着くまでは諦めない、成功するまで続けるという執念。執念がないと、どんなに良いビジネスモデルでも成功しないと思います。

リクルートの「起業家精神を育てる風土」を経験したからこそ、今がある

岡道 次の質問は、1つ目につながる部分がありますが、 「イケてる起業家の共通点」 について質問させてください。 特に、お二人とも元リクで成功されている上場企業の社長ですが、元リク社長に共通点みたいなものはありますか? 富田氏 元リク社長ってよく言われていますし、確かに大量採用の大量退職なので、社長の数もそれなりにおります。でも、元リク社長が全て成功しているとは私は思いません。 ただリクルートのDNAをお話すると、「自分で考えてやり続ける」という文化はありましたね。やらされ感でやるのではなく、自分で考えてやり遂げるということを、最初から経験できたと思います。

私が入社した頃は、新規事業の新規営業をずっとやっておりまして、何をやったら良いのか誰も教えてくれない中で、いきなりやりなさいという形で。考えてやり続けないと仕事がない、という環境に放り込まれるケースが非常に多かったんです。 そういった、いきなりサバイブしなければいけない、砂漠にぼんと出されて何か取ってこい、そういった環境が、起業家精神を育てるのかなと思います。 私自身もそういう経験をしたからこそ、そう簡単に諦めないとかやりきるぞという想い、自分で何とかしなければいけない、という覚悟が若いうちから育てられたのかなと思っています。 杉本氏 イケてる起業家については、私は、例えるとしたら石橋を叩いて叩いて、それでもリスクをとって最後まで渡りきれる人なのかなと思っています。 具体的に言うと、石橋を叩くというのは、まずそこにどんなリスクがあるかを細かく調査・分析する能力があって。 そして、リスクがあるとしても、渡りきったところに成功があるとしたら、勇気を持って渡りきるまでチャレンジし続ける。 そういう、緻密な部分と大胆な部分を併せ持つことが起業家には必要だと思っています。

そして、元リクについてはよく聞かれるんですが、自分のことで言うと、リクルートの入社のときに、この会社に骨を埋めるつもりはないんですけど、それでも良いですか?と言ったら、「君、採用」と言われたんです。リクルートには、そういう企業風土が昔からあった気がして。 私は新入社員のときに寮に入っていたのですが、日曜日などは寮の仲間と集まって、これからどんな商売やったら儲かるか?って、そんな話ばっかりしていた記憶がありますね。

新入社員のときから、新しい商売をどうやったら生み出せるかな?という話を常にしているような、そんな同期の仲間が多かった。 その風土が、今のこの自分の状況に導いているのかなという気がしますね。 岡道 次に、今の話の流れに関係してきますが 「リクルートの方は退職後もネットワークが強力で、元リクネットワークで一緒に打合せしたり食事したりする機会が多いという印象を持っています。その中で今M&Aの話題がでたりすることはありますか?」 という事前質問を頂いていますが、いかがでしょうか? 富田氏 元リクは杉本さんや私のように自分で会社を立ち上げる人もいれば、ベンチャー企業の役員になったり、大手にいらっしゃる人もいて。 そういう方々と、リクルート時代は全然知らない仲だったけど、たまたま元リクという共通点で仲良くなるというのも多いんです。元リクの方って感覚が似ていて、仕事ができる人が多くて、お互いの商品を使ったりすることもありますし。

その中で言うと、元リクの方って独立心が強いので、M&Aというより一緒にビジネスやろうぜ、という形が多いです。 ですのでその延長線上に、今後合併するとかの話が出てくる可能性はあると思います。まだ具体的にはないのですが。 杉本氏 私も富田さんとほぼ同じ意見ですね。 同期と会ったりして今の事業の話をすることがありますが、みんな自分が主役だと思っているタイプが多いので、どこかに吸収されるとかM&Aの話にはなりにくい。 それよりも、どちらかというとアライアンスですね。 こことここで、一緒に手を組んでやれる分野はないかなとか、対等な関係において一緒にやろうかという空気の方が強いと思いますね。

勝ち続けるには、「参入障壁の高い圧倒的な強みを持ち、またそれらを常に考え続けること」が必要

岡道 3つ目に
「その業界で勝ち続けるためのキーワードって何でしょうか?」 という質問です。長く続けている事業はなぜ強いのか?というところですが、いかがでしょうか。 富田氏 当たり前の話ですが、競争優位性が何かを、ひとことで語れることですね。 ここは何で強いの?と聞かれたら、事業者は当然のことながら、お客様も競合も、これだ!と誰もが分かる明確な強みがあること。 その強みがあると長く続きますし、それがあるからこそ、お客様からもご利用頂けて、応援もして頂ける。他社にない圧倒的な強みを明確にするということが、とても大事だと思います。 杉本氏 こういう目まぐるしい世の中で勝ち続けるって非常に難しいと思いますが、他に類似したモデルがないということと、その事業の参入障壁が高いということがあれば強いと思いますね。 独自の競争力、コアコンピタンスがしっかりしている、そういうモデルが強いと思います。 前川 ベンチャー起業が資金調達するときに、必ず参入障壁はどこにありますか?という質問をされて、だいたいのベンチャーさんはあまりない、というのが現実かなと思うのですが。 参入障壁を作るというところで、どういう準備をしていけばそれができてくるのかを、お伺いしたいです。 富田氏 私も、起業の頃や新規事業の立ち上げで全然強みがない中で同じように質問されたら、非常に曖昧。明確な強みはないとは言わないけれど、こういう風にしたい、と申し上げるしかないと思うんですね。 ただ大事なことは、強みがないと生き残れないと思い込むこと、だと思います。 強みがないと絶対に生き残れないと思い込むと、強みを見つけますよね。

それにはまず、その社長や組織が何が強みかということをビジネスと離れて置いておくこと。例えば、人の強み。ここが強いけどここが弱いということを徹底的に分析する。 それが今の事業と市場に合っているかどうかを、常に強みがないと滅びるという危機感を持てやっていくと、だんだん出来てくると思うんですよね。 我々の元々持っている強みは何だろうとしっかり認識することが、強みを作る源泉になるんじゃないかと思います。 岡道 杉本さんいかがでしょうか。 杉本氏 当社の事業で例えると、もう15年程上場企業様にご利用頂いているIR-naviというデータベースがあるんですね。15年でずいぶん進化してきたんですが。 その進化の源泉にあるのが、ユーザーであるパナソニックさんやオリックスさんなどの上場企業様から頂いた、ここを改良してほしいという要望を全部聞いてきたということです。

15年で200件くらいありますね。 そのような形で、ユーザー目線のシステムの仕組みを作ってきました。 当社が長年蓄積してきた、上場企業が何を求めているかという要望とそれに合わせたシステムの仕組み。これを簡単に真似するのは難しいんじゃないかと思いますね。

パート2 M&A成功のポイントは「考え方や戦略の移管」と「お互いの強みを掛け算に、弱みを補完し合うこと」

岡道 ここで4つ目と5つ目の質問を合わせた形で質問させてください。 富田さんは昨年のM&A、杉本さんは先日のリリースを踏まえて、 「M&A成功のポイントとシナジーをどういった視点でとらえていますか?」 について、お話を伺いたいです。 富田氏 シナジーという言葉は、とても曖昧だと思います。 分かりやすい例で言うと、同じお客様に別の商品を売るシーンですね。 会社内でいくつかプロダクトがある場合、例えばA社に対してA、B、C、D、Eというそれぞれ別部署で扱う5つの商品を売るだけでも難しいんです。 例えば私がA社を担当していて、社内の鈴木さんていう人が「紹介してよ」と言っても、「いやいや今忙しいから無理」とか、「もっと他のものを案内したい」とか。 こんな感じで、社内でも営業シナジーって結構大変だし難しいと思うんです。 うちも昨年コクリポという会社がグループに入りましたが、そこで我々の1,000以上いらっしゃるお客様全てにコクリポを案内できるかというと、他の営業も案内したいわけです。

こんな感じで、同じお客様に別の商品を売るというのは、なかなかフィットするものってないですし、組織的にも難しい。 ですのでシナジーはお客様を直接案内することだけじゃなくて、このビジネスはこういう形でやると上手くいくという考え方や戦略、組織の作り方のようなところまで含めて考えると良いかなと思います。

M&A成功のポイントもそうだと思っておりまして。 自社の組織上の強みとか戦略を、横に移管できるかどうか、というところまで考えて行う。 組織の弱みを強くするのって難しいので、強みは何かということを考えて、それに合う事業や組織をグループ化していくことがとても大事だと思います。 逆に、我々も新規事業やアライアンスで失敗したものは、強みがなく得意じゃないところですね。

そして、シナジーも大事ですが、冒頭でも話したように誰がその会社の社長をやるか、ということも、とても重要だと思っています。 前の社長がそのまま担当されるケース、買収側の社長が兼務されるケース、役員の方やその業界に強い方が担当するケース、様々あると思うんですが。 会社の成長のためにリーダーに全てを任せないといけないので、誰をリーダーにするかというのは大事ですね。

「世の中を変える革新性」と「成長性」があるところをM&Aしていきたい

岡道 富田さんは先日、資金調達も完了して、10億円の買収資金で積極的にやっていきますというところを公表されておりました。 こちらは、成長性・革新性が高い事業と組織を検討対象としますとのことですが、こちらに関してコメント頂いてもよろしいですか? 富田氏 私どもはイノベーションという社名の通り、革新性、世の中にないものを生み出したい、世の中を変えていくような仕事をしたいという想いがあります。 この、〇が2つ以上というのがポイントでして。 例えば、元々伸びている業界でそれ以上に伸びる、こういったところであるとか。 あとはまさにM&Aクラウドさんのように、その会社がより独自性や、業界を変えるようなニッチな戦略、他社がやっていないような仕組みがある。こういうところ。 もしくは業界がシュリンクしていても20%で伸びる、こういったところを見ております。

去年の6月に買収したコクリポはウェビナー専門ツールになりまして、zoomが競合になります。zoomはweb会議を中心を行うツール、web会議の中にウェビナーがあるという位置付けに対し、コクリポは集客から顧客のアンケート管理まで非常に簡単にできるという特徴があります。 買収したのは去年の6月ですが、コロナがきて急激に伸びました。

でも去年の今頃はwebセミナーは普通やらなかったし、イベントはリアルで行っていたと思うんです。 こういった、世の中を変えるということに非常に興味があります。 そして今年の2月にはもう一社、IFAの会社を買収し新たに株式会社Horse IFA Partnersを立ち上げました。全く新しい領域となる金融業です。 IFAはIndependent Financial Advisorと言って証券の営業を特定の金融機関から独立して行うという形態で、比較的新しい業界です。

一般的には証券というのは大手の証券会社から提案を受けて買う、もしくは、ネットで行うというのがほとんどだと思うのですが、Independent Financial Advisorは独立系のファイナンシャルアドバイザーで、中立的な立場から顧客にアドバイスします。 これも成長性・革新性が非常に高いと思っておりまして。 今までの事業をベースに行いますけれども、事業領域を絞らずに、特に経営者をみてM&Aを行っていきたいと思っています。

本業の延長線上で事業の発展性が見通せたとき、M&Aを考える

岡道 ウィルズ様からも先日、株式会社ネットマイル様に対するM&Aのプレスリリースが出ておりました。まずはそこに関してお話を頂けますか? 杉本氏 IRというのは対象が大きく分けて、機関投資家と個人投資家の2つに分かれます。 弊社は、個人投資家のマーケティングという意味でプレミアム優待倶楽部という事業を展開しています。企業の株式に投資すると、優待ポイントがインターネット上で与えられるというビジネスモデルです。

現状は、優待ポイントを弊社独自のWILLsCoinというコインを介して、各社の優待ポイントを合算でき、例えばJALのマイルなどにも交換できます。 ただ、その他にも色々なポイントがありますので、それらとの相互乗り入れを目指してきたんです。

その中で、ネットマイルはポイント業界の早い段階から展開していらっしゃって、色々なポイントとAPI連携を既にされている。こういったインフラを弊社の事業と合わせることで、ポイントの利用範囲を広げられるシナジーが働きます。 こういう狙いがあって今回のM&Aが実現しました。 前川 「ネットマイルの買収に関して、どこから話が出たのか、きっかけは何だったのでしょうか?」 と質問がきています。 杉本氏 ネットマイル社長の畑野さんとは、これまで10年以上長いお付き合いをしていまして。畑野さんが主催しているトライアスロンチームに籍を置いたりなどの関係もあって、相談を受けたのがきっかけですね。 前川 こういう領域を買いたい、というところではなく、最初は売り主さんから相談があって。そこで確かにこういうシナジーがたくさんあるよね、というところから始まったのでしょうか? 杉本氏 そうですね。私はあくまで本業の延長線上に、そのサービスを拡充することができる、発展させることができるということが見通せた時に、M&Aを考えるという感じですね。

M&Aで失敗しないためには、デューデリジェンスを入念に行うことが重要

岡道 「M&A成功のポイントとシナジーをどういった視点でとらえていますか?」 についてはいかがでしょうか。 杉本氏 私は、核融合が起こるようなM&Aが理想だと思いますね。 どういうことかというと、単にB/S、バランスシートを膨らますだけの足し算のようなM&Aではなくて。 例えばA社の持っている技術の価値が10だとして、B社が持っている価値も10だとして、単純に足すと20ですよね。 ですが、この2つの技術が融合することによってその価値が100倍、1000倍になるというようなM&Aが一番良いと思っています。

先日のリリースの話をすると、現状INMのバランスシートというか財務状況は決して良くないんですよね。ですので、現状は足し算にはならないんですが。 ただ、同社の持っている技術やインフラと、現状当社に欠けている部分を合体させることによって核融合が起こればいいなと、そんな風に捉えているんです。 直近よりも3年後5年後に、どういう花を咲かせるかというところに視点がありますね。

そういう意味で言うと、良いM&Aはお互いの強みが掛け算になって、しかもお互いの弱点を補完し合えるのが理想だと思います。 失敗する場合はどういう時かというと、私は長年IRコンサルティングをやっていたので色々なケースを見てきましたが、デューデリジェンスが重要だと思います。 その会社のことを深く知る、分析するという入念なデューデリジェンスがあって、その先にどんな未来が描けるかという中長期的な構想力。この2つがあったときに成功するのであって。

デューデリジェンスが甘いと失敗するというイメージが強いですね。

パート3 イートアンド株式会社からのトークリレー:「在宅勤務への不公平感の解消方法」「ブロックチェーンの未来」そして「社名へ込めた想い」

岡道 前回のイートアンド株式会社の文野さんと加藤さんからお二人にご質問を頂いております。まず富田さんへ、文野さんから 「イノベーションさんは働き方の提案や合理化・効率化をご提案されていますが、コロナ禍での在宅勤務について、どうバランスを保っているかを伺いたいです。在宅勤務に関して総論は賛成なんですけれども、各論を見ると不公平やデコボコ感があると感じています。そのあたりはいかがですか?」 とのご質問がありました。富田さん、いかがでしょうか。 富田氏 我々は営業やマーケだけでなく「働くを変える」ミッションを持っておりますし、我々自身も働くを変えようという強い意志があり、テレワークはコロナ前から実験的に導入しておりまして。

そしてオリンピックがある7月8月は交通事情が悪くなるのでテレワークを、という話もあったので、設備を整えていた中でコロナが起きたというプロセスがありました。 当社は、基本的に在宅勤務は積極的にやっていこうと考えています。でも、やっていく中で当然不具合や不公平もあるんですね。テレワーク手当やWiFiへの会社の支援、交通費など色々な課題があります。

それは当然あるという前提で始めてみて、社員にアンケート取ったりマネージャーに意見を聞いたりして、会社として公平性とか整合性を取っていくのが重要かなと考えています。 ちなみに我々120人くらいいるんですが、今4人しか来ていないです、私は毎日来ていますが。 岡道 次に杉本さんへ、文野さんから 「ブロックチェーンの未来はどうなっていくのでしょうか?」 とのご質問を頂いております。 株主管理のプラットフォームでブロックチェーンを活用されているということですが、このあたりはいかがでしょうか。 杉本氏 ブロックチェーンが未来にどう活用されていくかというところは、私も正直まだ分からないところがあります。 ただ、当社ではインターネット上で電子議決権を行使できる仕組みを持っているのですが、この議決権の賛成票・反対票の集計管理をブロックチェーンの仕組みで開発しているんですね。

ブロックチェーンは賛成票と反対票を一切改ざんできないという優位性があるので、この仕組みを応用して、セキュリティレベルの高い仕組みを構築したんです。 当社のWILLsCoinもそこで開発されています。 このように、ブロックチェーンは金融マーケットには非常に馴染むというか、今後金融業においてはこの技術は色んな方面で活用されていくのではないかと想像します。

社名に込めたのは「変革に対する強い想い」と「意思を集結して未来へ向かうこと」

岡道 加藤さんからはお二人に、 「社名に込めた想いをお伺いしたい」 と質問がありました。 富田氏 当社はBtoBの法人営業の領域を改革する、ということで始めましたが、それを働くという領域に変えていって、そしてそれを世の中に、という形にしていきたいと考えております。そうやって、社名に負けないような変革をしていかなければいけないと思っています。 大切なことと言うのは、想いですよね。

せっかく会社を立ち上げたのであれば、みんながやっている仕事よりも世の中を変えていく方がワクワクするし、社員も喜ぶじゃないですか。その想いがとても大事かなと思っています。 ややもすると、成長ってこんなもんで良いかなとか、みんながやってるこれは面白そうだからやろうとか、こういう形になってしまうのが一般的なんですが。 でもそれでは面白くないですし、この社名に負けないように常に襟を正して改革をしようという想いです。 岡道 ウィルズさんの社名に関しては 「リクルートの考え方にある【WIll Can Must】ここから名付けたのですか?」 というお話もありました。こちらはいかがでしょうか。 杉本氏 残念ながら、それではなくて。
弊社は今から5年くらい前に情報漏洩の事故を起こしたんです。 先ほどのブロックチェーンの話とつながるのですが、情報のセキュリティレベルを高くするというのは我々のようなビジネスにとっては非常に重要で。 この情報漏洩があったあとに、今後会社はどうしていこうかという、ピンチに陥った時期があって。そのときに社名を変えたんです。

ウィルという言葉には意思という意味がありますよね。それに、未来を表す動詞でもあります。 ですので、ウィルを複数形にすることによって、社員一丸となって意思を集結して、未来に打って出ようという意味を込めて、どん底から未来へ向かって頑張ろうという意味で付けた社名です。

モチベーションを保つために「エネルギーのコントロール」と「常に高い目標を掲げること」を意識

前川 次に僕の方から聞きたい質問があります。 冒頭で、経営には覚悟やパッションが重要ですという話があったと思いますが、お二人が今モチベーションを保ち続けるために心がけていることや、毎日続けていることはありますか?頂いた質問の中でも、富田さんのお身体はどのように鍛えていますか?というものがありました。 富田氏 身体については、私はもともと痩せ体質なんですね。 ですので、スポーツジムに通いパーソナルトレーナーを付けているのと、ザバスというプロテインを1日60グラム必ず摂っていますね。 経営していますと色々な事があります。当社も上場後色々なことがあって悩んだときもありましたし、今も課題は多いんですが。 その中で、自分がいかにエネルギーを最大化するか。それを自分でコントロールする必要があると考えていまして。 具体的には食事、睡眠、運動、これが大事ですね。

あとはメンタルも重要で、毎日良かったところを必ず3つ書いて寝ています。瞑想もメディトピアというアプリを使って毎朝20分くらいやっていますね。 そして嫌いなことはやらない、ということですね。好きな人と会う。昨日も杉本さんと会ってました。 岡道 杉本さんはいかがですか? 杉本氏 私はゴルフを始めたのが遅くて、42歳くらいのときに初めてクラブを握ったという状況なんですが。 最初の方は130とか140を叩いていて、100は切りたいなと頑張ってきて、何年もかけてやっと100が切れるようになって。 100切れればいいやと思っていたんですが、90台になると欲が出てきて80台で回りたいと思うようになってきたんですよね。そして今は70台を出してみたいと思うようになりました。

ここで何が言いたいかと言うと、自分の限界に線を引かないというか、常に高い目標を自分の中に掲げ続けると、それを達成するには何が必要かという考え方になってくるんですよね。

仕事も同じだと考えておりまして。 私が起業したときの最初の目標がIPOだったんですが、それは達成できたので、また自分に高い壁を課して、その高い壁を超えていきたいと。 常に目標を設定することが、モチベーションが途切れないポイントなのかなと思っています。

次回ゲストへの質問リレー:「M&Aや資金調達を用いた成長に対する強い想い」、「金融マーケット向けデータベース参入の勝算」

岡道 次回のゲスト10月日のゲストは、株式会社ユーザベースの稲垣様と千葉様です。 お二人からトークリレーという形でそれぞれご質問をお願いいたします。 富田氏 ひとつは、ユーザベースさんはIPO後も資金調達されていて、海外も含めてアグレッシブにM&Aやってらっしゃると思うのですが、成長に対する強い想い、それを伺いたいですね。 もうひとつはNewsPicksさんの記事はとても洗練されていると思うのですが、編集方針を伺いたいです。 岡道 杉本さんはいかがでしょうか。 杉本氏 ユーザベースさんは金融マーケット向けの情報データベースの領域を扱っていらっしゃると思うのですが。 この領域にはブルームバーグやトムソン・ロイターという大手の会社がある中で、参入するときにどういう勝算があると考えられたのか、というところが非常に興味があります。

私どもも金融情報を扱っていますが、弊社はあくまで発行体、事業会社向けのサービスを展開していますので、そういったところに興味があります。 岡道 最後に一言ずつお願いいたします。 富田氏 M&Aというのは、これから世の中を大きく変えていく、事業承継や成長の手段など、色々な意味があると思っておりまして。今後も皆さんと交流しながら世の中を良くするところに力をいれていきたいと、改めて思いました。 杉本氏 M&Aというのは、シナジーという言葉もありましたが、産業の新陳代謝のスピードを上げていける手法だと思うんです。 それによって人類や世の中の発展スピードが早くなって、どんどん新しいサービスが生まれてきて。 そしてそこがさらに付加価値を生み出していくという意味で、良いM&Aが世界的にもっともっと進んでいくと良いなと思っています。 岡道 ありがとうございました。



なお、今回のオンライントークセッションのフル動画を以下からご確認いただけます。

動画はこちらから


第5回のイベント(株式会社ユーザベース、10/21開催)についてはこちらかお申込みいただけます。

申し込みはこちらから
SHARE
expand_less