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【オンラインイベントレポート】Synergy Lunch Fever #5 株式会社ユーザベースに聞く「M&Aの成功にはPMIが要。新しい価値観やプロダクトを持つ企業と出会いたい。」

2020/12/10
M&Aクラウドは2020年6月から、「M&Aクラウド」掲載中の買い手企業の皆様に登場いただくオンライントークセッション「Synergy Lunch Fever」をスタートしました。毎月1社、異なる掲載企業より経営者やM&A担当の皆様をゲストにお迎えし、全5回のリレートークを開催。お昼休みの時間を使い、参加者の皆様からの質問にも答えながら、買い手から見たM&Aの今とこれからについて、カジュアルなトークを展開していきます。

2020年最終回となる第5回目は「経済情報で、世界を変える」を掲げ、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」や、経済情報プラットフォーム「SPEEDA」などを手掛ける株式会社ユーザベース様から、稲垣 裕介代表取締役COOと千葉 大輔 執行役員CFOをお招きしました。 今回のウェビナーでは、TBSや三菱地所といった大手企業との資本業務提携や、今後のM&Aへの展望、そしてユーザベース社の強みなどについて、ざっくばらんにお話いただきました。

※本ウェビナーは10月21日に開催しています。米Quartz事業についての言及がありますが、11月に当該事業からの撤退を発表しています。
https://www.uzabase.com/jp/news/withdrawal-from-quartz-business/

パネリストプロフィール

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稲垣 裕介(株式会社ユーザベース 代表取締役COO)

大学卒業後、アビームコンサルティング株式会社に入社。プロジェクト責任者として全社システム戦略の立案、金融機関の大規模データベースの設計、構築等に従事。2008年に新野良介、梅田優祐とともにユーザベースを創業。2020年から現職。

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千葉 大輔(株式会社ユーザベース 執行役員CFO)

大学卒業後、ジャフコでベンチャーキャピタリストとしての経験を積む。その後クックパッドでIPO、予算管理、IR、市場変更、M&A、新規事業などを推進。VASILY(現ZOZOテクノロジーズ)の取締役CFOを経て、2018年にユーザベース入社。2019年にCFOに就任し、Accounting&Finance本部、IRを管掌する。

モデレーター

前川 拓也
株式会社M&Aクラウド 代表取締役COO
ホクレン農業協同組合連合会に所属し、100億円規模の収支計画を組む業務を行う。退会後は生産調整されている農畜海産物を直接飲食店に届けるeコマース事業moremoreを2014年に立ち上げる。2年後に事業を売却。事業売却時に感じた不快感と父の会社を継がずに廃業させてしまった悩みを解決するためにM&Aクラウドを立ち上げる。

岡道 俊人
2003年に株式会社平和に入社。東京エリアの責任者として営業部門の統括を行う。 平和時代に経験したPGMホールディングスの大型買収を目の当たりにし、M&Aの世界に興味を持つ。 M&Aクラウドでは、営業部門の責任者として従事する。

株式会社ユーザベース 稲垣 裕介氏(以下、稲垣氏)
株式会社ユーザベース 千葉 大輔氏(以下、千葉氏)
株式会社M&Aクラウド 前川 拓也氏(以下、前川)
株式会社M&Aクラウド 岡道 俊人氏(以下、岡道)

パート1:経済情報で、世界を変える」全てのビジネスパーソンのインフラのような存在になりたい

岡道 このたびユーザベース社に、M&Aクラウドのサービスに登録・掲載いただけることとなりました。 先日お二人にインタビューをさせていただいたところです。
本日は資料をもとに、ユーザベース社についてのご説明をお願いします。

稲垣氏 ユーザベースは2008年に、梅田、新野、僕の3人が共同創業という形で創業した会社です。
僕と梅田が高校の同級生、そして梅田と新野が前職の転職同期という関係があり、3人で一緒にやってきました。
梅田や新野が投資銀行やコンサル出身でビジネスサイドをメインでやっていて、私はエンジニアとしてSPEEDAを開発するという分担で当初はスタートしました。

会社のミッションとしては「経済情報で、世界を変える」を掲げていて、全てのビジネスパーソンに対して、インフラとして経済情報や最先端の情報を通じて価値を提供したいという想いを持っています。
img 当社のサービスの特徴としては、BtoBでは創業事業であるSPEEDA、BtoCではNewsPicksなど、BtoBとBtoC両方の領域で事業を展開している点が挙げられます。

なぜなら、ビジネスとしてデスクトップでしっかり情報を調べるというシーンもあれば、個人的な可処分時間の中で、移動中や朝起きた時のちょっとした時間の中で最先端の情報を得たいというシーンもあると考えているからです。

移動中や朝起きた時の個人的な時間の中で最先端の情報を得たいシーンや、ビジネスとしてしっかり情報を調べたいシーンなど、シーンごとにそれぞれ必要とする情報は異なると考えているからです。 だからこそ、BtoBとBtoCの両方の領域で事業を展開しており、それぞれで、ある程度の規模になってきました。

また、投資の意思決定や新しい事業を生み出したいと考えるときに、グローバル情報を見ない、ということはない時代です。 ですので、日本のお客様に情報を提供するという観点で「グローバル」もキーワードのひとつとなっています。 僕たちの製品に触れるだけで、自然とグローバルや最先端テクノロジーの動向が手に入るという形が理想的だと考えています。

当社はその理想のもと、経済全域で事業展開しています。
img 事業展開の方法としては、SPPEDAからであればINITIALやFORCAS、NewsPicksからであればQuartz(※1)のように、派生する形。 そしてそこから関連して、コンサル事業として具体的なデータ活用の方法についてのサポートを受けられるチームを買収して、一緒に事業を展開しています。 さらに飛び地ではありますが、ベンチャーキャピタル事業も始めて、新しい種に対して投資して、一緒にやっていける世界や事業を作れないかと考えているところです。

事業の内容に関しては、当社はBtoBのストック情報、BtoCのフロー情報では過去の情報と未来の情報どちらも見れる状態ができてきたと思うのですが、今後は「人」についての分野を強化したいと考えています。

なぜなら、実際にビジネスパーソンに会いたい、意見を聞きたい、またはその人の頭の中にある情報にアクセスしたい、そういったときに、ネットワークされた情報が必要になってくると思うからです。 そのような考えのもと、直近で「人」分野のMIMIRという会社を100%子会社化しました。 ストック・フロー・人。 この3つの観点で今後もお客様の役に立っていくという戦略で、事業を進めています。

※1:ユーザベースはQuartz事業からの撤退を11月9日に発表した(本セッションは発表前の10月21日に実施)

我々がまだ持っていないコンテンツやプロダクト、そして経営に携わってくれる人材と出会いたい

千葉氏 私の方からは、買収・出資についての考え方をお話します。
img 我々は「経済情報で、世界を変える」というミッションを持っています。 ですので、我々自身がまだ作れていないがユーザーに必ず届けるべきコンテンツを既に保有されている方々や、我々とは違う観点からのプロダクトを既にお持ちの方々、そして我々がリーチしたいけれども、まだできていない新規のユーザー層に既にリーチをしている方々に魅力を感じますね。

また現在我々は、ユニークなポジションでビジネスをさせて頂いていますが、他社に真似できないということはないでしょうし、取って代わられる側に回ってしまうかもしれないという危機意識があります。 ですので、既存の事業の参入障壁を高めるためのプロダクトやサービス、テクノロジーをお持ちの方ともぜひ接点を持ちたいですね。

そして、会社を経営していくにあたり、優秀な人材にチームの中に入っていただきたい、船に一緒に乗っていただきたいという視点も持っています。 ありとあらゆるところに網を張って、ご一緒できないかなと考えているのが買収や出資への考え方です。

予算は特に定めておらず、過去実績としては100億くらいのディールもあったので、記載の通り設定しています。

そして、対象ではない領域は迷いましたが、ユーザベースのなかで4つのやらないことを決めていますので、それに沿ったポイントを記載しています。 まず一つ目は、経済情報であるか?です。

ユーザベースでは経済情報で世界を変えると定義していますので、経済情報に該当しないものはやらないです。 二つ目は、世界を変える可能性があるか?です。

そのビジネスの延長線上や多少の変化の先に、世界にチャレンジできる可能性が全く見いだせない場合はNGです。 三つ目は、人とテクノロジーを活用しているか?です。

当社のミッションには「人とテクノロジーで変えます」という副文があります。 我々はコンテンツとしても能力としても人の力を強く信じているので、現在人とテクノロジーの力を活用できている、もしくはそれができることによってドライブできると確信が持てるものでなければ、やらないです。

そして最後は、プラットフォームビジネスであるか?です。 我々はプラットフォーム思考ですので、最終的にそこに行きつかないものは対象にならないと思います。

広義の意味でのユーザベースグループの仲間を増やしたい

岡道 M&Aについては図の通りですが、ユーザベース社ではM&A以外にも、昨年末のTBSや三菱地所との大型の資本提携、そして今月初旬に発表されたconnectの機能の提供開始など、さまざまな挑戦をされていると感じます。 そちらについてお伺いさせてください。
img 稲垣氏 TBSさんや三菱地所さんとは、僕たちが資金調達をどういう方法で行うかという選択肢の中で、戦略的に特定の会社さんと組んで事業の枠組みを広げる挑戦をしてみよう、という一環でやらせて頂いた形です。 出資ありきではなく、本当にお互いのシナジーを生み出せるのかどうかをお話させていただいてから実現しました。 TBSさんに関しては、動画領域への強化が根底にあります。

今後、情報の消化の仕方が記事の形や音声など多様化する中、やはり動画は強いものとして認識していて、僕たちも力を入れなければいけないと思っています。その考えのもと、動画への取り組みの一環ということでTBSさんとはご一緒させて頂きました。
先日はTBSさんの子会社のMBSさんと大阪で番組を一緒にやらせていただき、ネットと地上波の同時放送にも挑戦するなど、可能性を感じられる取組みが実現できています。

三菱地所さんとは、三菱地所さんの持つハード面の強さと、当社の持つソフト面の強さをうまく組み合わせられないか、というところでお話させていただきました。 三菱地所さんはリアルの建物を持つハード面の強さがあります。 一方で当社はコンテンツを中心としたソフト面の強さを持っています。 そのお互いの強みをイベント等通じて新しい取り組みが出来ないかと考えています。 こちらに関してはコロナの影響で今年はできなくなってしまったので、来年実現させたいと思っています。

千葉氏 また、人材領域connectに関しては、我々は人材がコアだと思っていますので、採用に対する想いというか比重がとても高いということで、始めた事業です。 その背景として、我々がご一緒したいなと思う方というのは当社以外でもオポチュニティがあって、すぐ入社頂けるわけではない、という課題があります。 ですので、何らかの形で、少しでもユーザベースグループに関わってくれる人を少しずつ増やしていき、実際に仕事をする過程でお互いの価値観も共有しながら、徐々に輪の中心に寄っていただけると良いなと考えているんです。

関わってくれる方全てが社員でなればいけない、という時代でもないので、広義の意味でユーザベースグループの仲間を増やしていきたいと考えています。

パート2:勝ち続けるために必要なポイントは「原体験」と「愚直さ」

岡道 ここから、本日のメイントピックになります。 前回開催したウェビナーでは、株式会社イノベーションの富田 直人代表取締役社長と、株式会社ウィルズの杉本 光生代表取締役CEOをお迎えし、Synergy Lunch Fever第4回目として、「勝ち続けるために必要なキーワードとは?」というテーマで

  • スタートアップ企業に重要なこと
  • M&A成功のポイント
  • 勝ち続けるために必要キーワード
を中心にお話いただきました。

img 前回のハイライトについては今回のウェビナーでも色々聞いていきたいのですが、まずは、その業界で勝ち続けるためのキーワードは何か?長く続いている事業はなぜ強い?についてお伺いさせてください。
img 稲垣氏 当社の場合は、原体験やペインの熟知があること、そして愚直で勢いのあるエンジニアがいることですね。 例えば当社で一番最初に立ち上げたのはSPEEDAでしたが、SPEEDAはもともと梅田と新野の創業者の2人が、コンサルファームと投資銀行での業務上で困っていたことを解決してきた、という経緯があります。

当時でもいろいろなデータベースの活用やGoogleや国会図書館での情報取得などは可能でしたが、そのデータを体系化して集めるのは難しい状況でした。 例えばひとつの競合のリストを作るときに、日本の家電メーカーとかでしたらある程度の勘があると思いますが、他の国の企業や、知見のないことを調べるのはかなり手間がかかったんです。 プレイヤーが網羅されているのかが分からないですし、言語の違いや、国によっては検索ツールすら違うということもあります。また、調べたものからさらに決算情報を調べたりしていたので、ひとつの競合リストを作るだけで3日くらいかかることもあって、そこがペインとなっていました。

ですので、SPEEDAでは、産業構造や競合構造、そこに紐づく情報がパッと取れるということなど理想を全てを詰め込み、エンジニアと一緒に愚直に作りました。 梅田と新野に原体験があってペインを熟知していて、それを即座に横で修正する勢いのあるエンジニアがいたからこそ、本当に欲しいと思うサービスを開発してくることができたんです。

このように、原体験があってペインを熟知していることと、愚直に修正する勢いのあるエンジニアがいることは、他社が真似しにくい点だと思っています。 だからこそ、当社はそこを唯一の競合優位性だと考えて実行していますし、それが差別化になっていると考えています。

逆に経営者に原体験がなかったり、空想で描いたものを作ろうとすると、ペインが間違っていて、うまくいかないこともあると感じています。 岡道 M&Aクラウドも会社売却の経験という原体験を持っている二人が立ち上げたので、近いものはあるのかなと思います。

違う強みを持つ人間が、同じ方向を向いたときの強度は圧倒的

千葉氏 ユーザベースは創業者が3人いますが、それも特徴のひとつだと思っています。
僕から見てもそれぞれキャラクターが全然違いますし、今までずっと仲良くやってきたわけではなかったとは思いますが、よくまとまっているなと感じています。 また、当社にはアナリストや記者、デザイナー、エンジニアなどいろいろな分野で力がある人が集まっています。でも実はそういう人って、我が強くて、キャラクターが立ってるんですよ。 なので、それぞれが個性のあるキャラクターを持つ中で、いかに同じミッションに向かって協力するかというところはとても気を付けているつもりです。
同じキャラクターの人が3人くっつくよりも、違うキャラクターの人が3つくっついたほうが圧倒的に強度的には高いと思うので、そこがうまく融合できているのは強みだと思いますね。 岡道 ”今までずっと仲良くやってきたわけではなかった”という点について、稲垣さんいかがでしょうか。 稲垣氏 それは多々ありました。今は超えた感じですね。
同級生とか仲良い人と一緒にやると、余計だと思うんですよ。
なので、もう一段飛ぶにはビジネスパートナーと友達はやっぱり違うという点を意識した方が良いと思いますね。

スタートアップに重要なのは経営者。ミッションとバリューのバランス感覚も大事

岡道 2つ目の質問は、イケてる起業家やスタートアップの共通点は何がありますか?キャッシュフローや人、サービスの完成度の中で、どこが一番重要だと思いますか?です。前職の経験も踏まえて、千葉さんがどういうところを見ていたのか、教えてださい。 千葉氏 当時のジャフコなので今は違うかもしれませんが、僕が先輩から教えてもらったのが「経営者は変えられない」ということです。 サービスとかビジネスドメインはピボットできますが、人そのものは変えられない、ということは結構きつく言われていました。 今は勢いが良くても、仮にその人の会社のキャッシュフローが悪化したときにどういう選択をするのか?ということや、もしくは、なぜその会社をやっているのか?ということ。そこまで見て、その人を支援して一緒に同じ船に乗れるのかまで考えろ、と言われていました。 それが投資のポイントだったと思います。

ただそのあと事業会社にきて、例えばM&Aで会社を売却すると経営者は物理的に変えられると感じました。 ですので、前職の経験も含めて、経営者ひとりだけでなく、経営チームがいかに優秀かというか、一緒にやりたいと思うかという視点もなきゃいけないと考えています。 そういう点では、見るべき項目は、年を取るごとに増えていってるんですよ。 ただ、そうは言っても何かひとつと言われたら、僕は経営者だと思っています。 前川 一緒になる前に面談して感じた感想と、一緒になったあとの感想が全然違ったことはありますか? 千葉氏 ユーザベースにおいてはないですね。 それ以外のときは投資家として投資をさせて頂いて、お金が入ったあとに態度が変わる人も当然いました。 また、売却すると一時キャッシュが手元に入りますから、そのあとのロックアップ期間に、あれ?ということは多々あるとは思いますね。 いくつものパターンは見てはいますが、現在のユーザベースグループのメンバーでビフォーアフターが変わったというのはないですね。 岡道 稲垣さんはいかがでしょうか。 稲垣氏 イケてるとは、シンプルに言うとミッションとバリューの話だと思っていて、それを最も体現しているのはトップとか、創業メンバーだと思うんです。 ミッションはひとことでいうと思想みたいなものだと思うのですが、外の経営者の方を見ていると、思想を感じる人と感じない人は明確に違うと思います。 思想は強さによって良い面も悪い面もありますが、グイっと行こうとしたときに、強烈に外の人を巻きこんだり、社員の気持ちを寄せてひとつに向かっていくときに、どうしても必要なシーンがあると思うんです。

その結果としてキャッシュフローもついてくると思いますし、サービスもチームによって作られていくので、やっぱりそこに尽きてくるとは思います。

ただ、単純にミッションだけでなくバリューも重要なのは、思想のある人の意思決定ってクールだし正しそうなんですが、結構間違ってる場合もあると思うんですね。 むしろ正解に近付けていく。そのストーリーの中の話になるので、1年後に失敗だと思ったことでも、3年後に見ると成功と見えることもあるのかなと。 なので、そこに向かっていこうとするときに、謙虚さや自己認識、自分をどう成長させるか、間違っていることは間違っていると言えるかどうかが重要だと思います。 思想の強さと、謙虚さや自己認識力、そして成長にちゃんと紐付けていく力が、僕の尊敬する方には共通する点だと感じますね。

パート3:M&AはPMIが200%。買った・売ったあとにどうするかが重要

岡道 3つ目に、M&Aをする際のシナジーはどういった視点でとらえてますか?その際の成長ストーリーをどのように描いてますか?を質問させてください。 前川 外側から見ていて思っていたシナジーと、話してみたら全然違うシナジーが描けたということはありますか? 千葉氏 あると思いますね。 情報の非対称性はM&Aはどうしてもあるので、開けてびっくり、というのは良い面も悪い面もお互いありますし、それがシナジーになっていくこともあるとは思います。 僕はシナジー含め、買収はPMIが200%重要だと思っていて、買った後・売った後どうするのかという話の方が重要だと考えています。 そこを買収の交渉時にどのくらい腹を割って話せているか、そこのストーリーを共通の認識として持てているのかが大事だなと思うので、そこの妥協はしないし、逆に少しでも違和感があれば立ち止まるようにしているのは、意識していますね。

うちの場合は何パターンかの買収や出資をしていて、例えばジャパンベンチャーリサーチ(今のINITIAL)は完全に買い取ってPMIを実施しました。 いろいろ紆余曲折ありながら苦労を重ねて、現在は当時とは違うサービスとはなりましたが、ようやくしっかり収益化してお客様からも評価頂いているところまでいけたと考えています。 ただ、当時描いてたPMIのストーリー通りにいっていないと正直考えていますね。 岡道 M&Aの際には相手側の経営者の方と機会を何度も持って、話し合って進めていく形ですか? 千葉氏 そうですね、これまでの国内3社の例で言うと、かなりコミュニケーション量は多いと思い ます。 岡道 その辺も踏まえて4つ目に、M&Aの成功のポイントは何だと思いますか?失敗したなと思ったときの共通点も併せて教えてください。 千葉氏 僕は買えた・買えなかったとか、ディールが美しかったというのは、そのあとに成果がでて初めて検証できると思っています。 そういう意味では、当社の全てのケースでは買収してまだそんなに時間が経ってないんです。 唯一2017年にM&Aしたジャパンベンチャーリサーチ(現在のINITIAL)が黒字化していて、我々の中での3年以内に黒字化させるというハードルはクリアしたと思っていて、現時点においては成功した方にカウントしたいと考えています。

ここからさらに成長するというのはハードルがありますし、SPEEDAとのシナジーもまだまだ利かせていける余地はあるとは思いますが。 他のところは、これから到達させていくフェーズなので、まだ失敗とも成功とも言えないと思っています。

M&Aは採用や結婚と一緒で、一緒になったときに、お互いにあれ?というのが多くないのが成功だと思います。 そのためには助走期間が長い方が良ければ助走を取った方がいいと思いますし、逆に直感的に一緒になった方が良いと思う人であれば、一緒になって問題が起きてから解決してくのでも良いし、いろいろなパターンがあると思います。

M&Aはほぼ3ヶ月以内に完了。スピーディに、柔軟に対応

岡道 M&AしてからPMIゆっくりやっていくというところに関して、5つ目の質問です。出資・買収までどのようなプロセスで進めていきますか? 千葉氏 プロセスについては柔軟に対応しています。
img 例えば直近7月に買収したMIMIRは、創業時に3分の1くらい出資をさせて頂いていました。お互い単独でビジネスをやっていきましょう、でもいずれ一緒になれるかもしれないよね、という経緯があって、今回のタイミングで一緒にやっていくことを決めたパターンです。 INITIALの場合は創業者の方が譲渡するということでまるっと買っています。 AlphaDriveの場合は、代表の麻生がもともとNewsPicksの執行役員という接点がありました。 このように入り口のストーリー次第で交渉のスタイルや買収のスキームも変わってきますので、お互いにハッピーになる形ということ以外、共通項はあまりないかもしれないですね。

スピード感は規模にもよりますが、早い方だとは思っています。3ヶ月以上かかることはほとんどないです。 90億近い買収のQuartzですら、話が出たところからディールダンまで6ヶ月くらいですかね。実際にデューデリしてスタートしましょうとなってからは3~4ヶ月くらいかと思います。 前川 M&Aの部隊は全体で何人くらいいらっしゃるんですか? 千葉氏 部隊は残念ながらなくて、ディールごとに執行役員や各部署のマネージャークラスが突然Slackのチャネルに招聘されます。 インサイダーでもあるので、最初は相当限定するんですけど、だんだん後ろのフェーズにいけばいくほど関わる人が増えてくる。 必要に応じて各エキスパート、各領域の強い人間がアサインされていく感じですね。

パート4:イノベーション社、ウィルズ社からのトークリレー:「M&Aや資金調達を用いた成長に対する強い想い」、「金融マーケット向けデータベース参入の勝算」

岡道 トークリレーという部分で、前回のイノベーション社の富田氏とウィルズ社の杉田氏からご質問を頂いております。
img 富田さんからは、ユーザベースさんはIPO後も資金調達されていて、海外も含めてアグレッシブにM&Aやってらっしゃると思うのですが、成長に対する強い想い、それを伺いたいです。 もうひとつはNewsPicksさんの記事はとても洗練されていると思うのですが、編集方針を伺いたいです。とのことですが、稲垣さんいかがでしょうか。 稲垣氏 僕たちは日本をエンパワーするような存在にはなりたいと考えていますし、ネットサービス、インターネットの領域でグローバルで成功している会社が日本からなかなか生まれない中で、そのハードルを超えたいと思っています。 僕たちがやりたいことやミッションとして掲げているものは大きな壁があるものだと思いますが、それを達成するために成長は必ず必要なもの、というのが想いですね。 そして僕たちの進めている道って、ヒリヒリとワクワクの選択の連続なんだと思うんです。 それ自体がバリューにも表れていると思いますし、自然とそういう会社を作ってきたというのが正直な言い方です。

記事の話については、編集方針は完全にファイヤーウォールを敷いています。 広告と編集は絶対間違えてはいけないと思いますし、編集とプラットフォームも一緒にやってはいけないですし、編集と投資も一緒になってはいけないので。 つまり、編集方針はユーザベース全体の経営方針の影響を受けずに、ジャーナリズムに則り、編集長が全てを決めるという独立性を強く保たなければいけないと考えています。 ですので、これまで編集長に対してこういう記事を書いてほしいとか、ここにお世話になっているからこういうことは書かないでほしいとか言ったことは一度もないです。 お世話になっているお客様のことを書いてお客様が怒ってしまってということもありましたが、メディアを掲げる以上そういうものであると思っています。 ただ、それとは別にユーザベースとしてのできることは、お客様のために全てやります。 編集権の独立を保ちながら、別の事業、ここまで最大限にお客様に尽くして価値を提供するということのバランスを保つのは、一番大きいポイントだと考えていますね。

あとは、記事はデザインとテクノロジーのそれぞれの領域を組み合わせて作っているので、先端的な領域や見せ方の工夫が出来ていることと、スマホ最適を前提に記事を作っているので、スマホで見ると見やすいというのも強みだと思います。 岡道 杉本さんからの質問は、金融マーケット向けの情報データベースの領域を扱っていらっしゃると思うのですが。 この領域にはブルームバーグやトムソン・ロイターという大手の会社がある中で、参入するときにどういう勝算があると考えられたのか、というところが非常に興味があります、というご質問です。 千葉氏 日本の情報は、グローバルにはブラックボックス状態になっています。 そのような状況でブルームバーグ、トムソン・ロイター等々、似て非なるサービスがある中で、僕たちの日本及びアジアの情報については強みだと思っています。 そして、ワンストップであることも強みです。

企業の財務情報だけ、マーケットの情報だけはいっぱいありますが、MIMIRで取り扱っている人の知見の情報とか、特許の情報まで含めてワンストップで問題が解決されるプラットフォームって実は意外と少ないんです。ですのでそこは意識していますし、評価して頂いていると思いますね。

M&Aクラウドをうまく活用して、M&Aしていきたい

前川 事前に頂いた質問から、ピックアップしてお伺いします。 数多くM&Aや出資されてると思いますが、売り案件のソーシングは具体的にどうやっていますか? 千葉氏 今まで成就したものは、事業サイドで何かしらの接点を持っていて、そこから入ってくるケースがほとんどですね。 お恥ずかしい話、当社の経営企画チームやファイナンスチームは僕を除くと4~5名しかいなくて、かつそれぞれにIRや予実管理にリソースを割いています。ですので、コーポレートが主導のソーシングはほぼできていないのが現状です。 そういった意味で、今回M&Aクラウドさんに掲載して一緒にやらせていただくことで、スタートに立てたと思っています。 岡道 最後にお二人から一言ずつコメント頂けたらと思います。 千葉氏 当社はこれまでM&A実績こそ何社かありますが、ミッション達成のためには足りないピースが多い状況です。 ですので、お互いに切磋琢磨できるような売り手の方や、アライアンスを組んでいける方も含めて、積極的に探していきたいと考えています。ぜひ気軽に接点を持たせて頂ければと思っています。 稲垣氏 僕たちがやろうとしている領域はダイバーシティがないと勝てない領域だと思うんです。 BtoB、BtoCの話もですが、グローバル、編集、広告、アナリスト、エンジニアなど多様な人材がいないと勝てません。 ですので、僕たちはダイバーシティを重要視にしています。

ただ、ダイバーシティが個々の我を通せばいいということではなくて、それぞれの可能性をどう広げられるのか、どう相乗効果を生むかということが何より重要なポイントとなると考えています。僕たちができなかったことを、新しい会社さんとの組み合わせによって超えていけるというのが理想だと思います。 僕たちもまだまだ変わらなければいけないというのは大前提ですが、我々に新しい価値観や力を持ち込んでくれる会社さんと一緒にやりたいと言うのは心から思っています。 一緒に変化していき、ミッションを達成を目指していける会社さんとお会いできたらと思います。 岡道 ありがとうございました。



なお、今回のオンライントークセッションのフル動画を以下からご確認いただけます。

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