1869年(明治2年)、横浜で呉服店として創業した松屋は、以来、お客様の生活の変遷に沿って革新を重ね、成長を遂げてきました。
現在、百貨店を核として、飲食業、環境開発関連のビル総合サービスや広告、流通関連の輸入販売、事業サポート関連の事務用品・文具小売、洋服補正、商品・食品検査、商品販売取次、カルチャースクール運営等を事業ドメインとして、グループ経営を行っています。
本店を構える銀座は、伝統と革新、国際性と地域性が共存し、時代の先を行く文化が交差するエリアであり、松屋は一貫してこの地にふさわしい個性的な百貨店を目指してきました。銀座と浅草の2店舗展開であることもあり、メガ百貨店とは一味異なるおしゃれなテイストを訴求しています。
松屋が日本で最初に始め、今では一般化した趣向も多く、屋上遊園地の「○○ランド」という呼称や、特に女性客に評価される「美しくなるビアガーデン」の企画などが挙げられます。
銀座という土地柄もあり、近年は、訪日外国人のお客様も多数ご来店頂いています。商品面では、特に訪日外国人のお客様の嗜好に合わせることはせず、日本のお客様から支持される商品を揃えることで、訪日外国人のお客様の支持にも繋がっています。今後も訪日外国人のお客様にも一層快適にショッピングをお楽しみ頂けるよう、決済対応をはじめとする環境整備を進めていきます。
松屋は2019年11月に創業150周年を迎えます。2018年度までの前中期経営計画では、「熱烈な松屋ファン」を増やしていくことを目指し、お客様とのより強固な絆づくりを推し進めてきました。2019年度からスタートした現中期経営計画では、創業150周年のさらに先まで大切にしたい独自性を象徴する言葉として、「デザインの松屋」を掲げています。
「デザイン」は松屋が伝統的にこだわりを持つ分野であり、ポスターデザインなども昔から高い評価を受けてきました。松屋には、60年以上前から、日本を代表する著名なクリエイターや建築家による審査を経て、厳選されたデザイン性の高い商品を展示販売する「デザインコレクション売場」を設けています。
現中計では、デザインとは「気遣い」であると定義しました。お客様の買物体験全体において、いかにお客様の立場に立ち、こまやかな配慮・工夫を徹底できるか―そうした角度からお客様の支持を獲得していくことを目指します。そして、このような“松屋らしさ”を全社員が共有・再認識したうえで、「モノ」から「コト」へ、また、「モノ」においては個人の嗜好に合った商品を求める消費動向への対応を一層強化していきます。
モノの面では、例えば、飲食業を展開している関連会社のアターブル松屋グループが運営する「エノテーカピンキオーリ名古屋」が中京地区のミシュランで1つ星を獲得するなど、高い評価を得ています。
また、「コト」提供に関しては、企画力のある文化催事が大きな強みです。多彩なテーマで企画展を開催しており、百貨店に馴染みの薄い若年層の取り込みを意識した企画も多数投入し、その高い集客効果は社外でも注目されています。そのため、銀座での会期終了後、企画料を頂いて他の百貨店や全国の美術館等での巡回展を行うケースも増えています。
また、カスタマイズ施策としては、ここ数年、提携企業を対象とした紳士用スーツのパターンオーダーの受注に注力しており、会員数、売上ともに順調に伸ばしており、また、2019年3月には女性エグゼクティブ向けに、専属担当者がコーディネート提案を行う「ファッションコンサルティングサービス」も新たに立ち上げ、好評頂いています。
上記のような新たな事業展開を加速していくため、あるいは現在の経営資源では十分に対応できない経営課題に関する知見・ノウハウを獲得していくため、社外から協力頂ける事業者様の情報を幅広く集めています。その延長線上において、M&Aや資本提携といった選択肢も検討します。
主な検討領域は以下の通りです。
★「コト」提供、顧客対応強化のためのパートナー
先ほどご説明したような様々な取り組みを社内で進めている一方、お客様の買物体験全体に及ぶ、お客様のニーズに対応した施策に挑戦していくためには、社内のリソースやアイディア、ノウハウだけでは限界があります。「コト」提供、あるいは顧客対応の領域で、豊富な経験値を持つ社外のパートナーをお迎えし、協業体制の下で、新たな可能性を追求していきたいと考えています。
近年、小売りチャネルが多様化する中で、百貨店の良さとは、日常とは少し趣の違った時間と空間、これを買物体験と総称していますが、それを楽しんで頂けることです。したがって、リアルの店舗を全く絡ませない仕組みとは親和性が薄いと考えている一方、リアル店舗を体験してもらうことに資するのであれば、ネット連携なども検討したいと考えています。なお、過去の協業による取り組みの事例としては、訪日外国人のお客様を含めた遠方からのお客様やご多忙なお客様の利便性向上のため、Web上で事前に商品をオーダー頂き、ご来店時に速やかにお渡しする仕組みを構築、トライアルした例があります。
★顧客管理や決済多様化への対応等、生産性向上に資する知見やノウハウを持つパートナー
現状、情報システムの面では全般的に強化が必要であり、松屋にとってベストな仕組みを検討すべく、まずはグループ内の知見の拡充が不可欠です。CRMや決済システムを専門とする会社様、特にコストを抑えつつ、斬新な発想で課題解決をサポート頂けるような事業者様を歓迎します。
CRMは「熱烈な松屋ファン」づくりのベースとなり、カスタマイズ対応や外商営業の高度化においてもカギを握る分野です。ポイントプログラムなどを介して蓄積される購買データを基盤に、お客様ごとの好みや趣味などの定性情報を乗せ、松屋独自の財産となるプロファイルを育てていくため、プロの知恵を借りたいと考えています。
★グループ会社のパワーアップのためのパートナー
グループ会社において担っている事業の補強やパワーアップに資する事業者様も歓迎致します。弊社の重要な経営課題の一つにグループ会社の強化があります。例えば、ビルメンテナンス事業や店内装飾をはじめとする内装・デザインを手掛ける事業もあり、その強化を目指しています。また、松屋も含めてWebデザインの領域もリソース・ノウハウともにまだ十分とは言えず、良きパートナーに出会えればと考えています。
冒頭でお話しした通り、銀座という立地のステータスもあり、ハイレベルな顧客基盤を有するとともに、取引先各社とも緊密な関係性を築いており、安定した取引先基盤が強みとなっています。
その上で、東証一部上場会社である当社と協業することにより、営業力をはじめとする対外交渉力の面でシナジー効果を感じて頂けると考えます。
社風の面では、若手からトップ層に至るまで、百貨店業に対して真摯に向き合って取り組んでおり、気持ちよく仕事を進められる環境です。お客様にお買い物を楽しんで頂く空間を演出する者として、自分たちも仕事を最大限に楽しみたいと思っていますし、新しいことにもどんどん挑戦していきたいと考えています。
私たちは長きにわたり、銀座という独特の文化を持つ地で百貨店業を営んできたことから、社内のメンバーだけでは、どうしても視野が広がりにくくなっている自覚があり、今こそ外部から革新の風を入れたいと考えています。「老舗だから、自分たちのやり方に合わせてほしい」というスタンスではなく、むしろ新たに協業させて頂く会社様からできるだけ多くのことを吸収したい、示唆を与えて頂きたいという思いです。相手先様の企業規模には全くこだわりませんし、販売する商品(MD)に関わる事業者様以外であれば、まずは検討させて頂きながら、これまで見えていなかった可能性を探りたいと期待しています。
新鮮なご提案をお待ちしています!