「食×人材」が、クックビズのメイン事業です。当社のミッションは、「食に関わるすべての人の成長を実現する」こと。この未来を実現するため、今できることを逆算しながら、事業を展開しています。人材業をメインにしているのは、飲食業界が抱えるもっとも大きな課題が人材不足だからです。人に関する課題を改善・解決できれば、飲食業界はもっと良くなる。2007年の設立から、その信念を持ち事業に取り組んできました。
会社が成長し、現在では人材紹介や求人広告サービス、ダイレクトリクルーティング、研修サービス、メディア事業とさまざまなサービスを提供しています。このうち、メイン事業となる人材紹介では、「食」の提供に関するところをすべて対象としている点が特徴です。外食店だけではなく、介護施設、給食センター、病院、宅食・中食業者、ホテル・ブライダル施設など、幅広い業界に対応しています。そのほか、店舗管理や接客スタッフといった調理以外の部分に携わる人材、パティシエやバーテンダーといった専門職、事業部長など高いキャリアを持つ人材にも対応。
現在、全国8拠点に展開しています。全国展開している競合がいないため、これも弊社の強みです。地域によって異なる豊かな食文化を誇る日本では、地域の料理ならではの調理技法、食文化が根付いています。弊社では地域性も網羅できるため、「この料理に長けた職人がほしい」といったニーズにも対応できるのです。
「食を、世界のまんなかに。」──これが、当社クックビズが目指す世界です。日本の飲食業界が抱える課題は人材不足が主ですが、中長期視点で見てみると、さらにさまざまな課題をはらんでいることがわかります。たとえば、2015年に国連サミットで採択されたSDGs。世界が解決していくべきこの課題には、「飢餓をゼロに」「安全な水を」「海の豊かさを守ろう」など、食に関わるものがいくつか含まれています。
当社は、こうした食に関する社会課題をテクノロジーを活用して解決したい。そう考えています。
「食×人材」事業を展開してきたクックビズですが、これからは「食×something」、つまり食と何かを掛け合わすことで新たな事業を進めていきたいと考えています。その「何か」は自社のものでもよいのですが、M&Aや業務提携により、他社と共に取り組むことで、より幅広い展開を目指しています。
イメージ例のひとつは、テクノロジーの活用です。テクノロジーの飲食への活用は、現在アメリカで進化を見せています。代替肉や機能性食品がその一端です。では、日本では何ができるのか、何をすべきなのか。
それはやはり、国内飲食業界の課題である人材不足の解消、つまり省人化だと我々は考えています。
たとえば、オペレーションの運営改善や食品ロスの削減を図ることで収益増加に繋げ、他業界よりも低い給与の増加を実現したい。
それを解決をするためにはテクノロジーを有する会社が必要です。また、離職を防ぐためのエンゲージメント向上ツールのなかでも、サービス業に特化しているツールを展開している会社にも興味があります。HRテックやフードテック、店舗DX(デジタルトランスフォーメーション)など、当社と掛け合わせられる「something」が、今当社が求めているものです。
おかげさまで既存サービスは順調で、財務状況も良好です。そのため、M&A先の会社様には、積極的に事業投資の機会を提供させていただきます。中長期的にやりたいことがあるのに、立ち上げたばかりのベンチャー企業であるがゆえに潤沢な資金がなく、一方で投資家に見せる成果を出すために事業に力を入れなければならない。こうしたジレンマを抱えている会社様は、ぜひお話を聞かせてください。当社と目指したい先が同じであれば、じっくりと成長戦略を練り、実現を共に目指したいと考えています。
その他、長年多くの飲食店様などと関係性を築いてきた点も、弊社の財産です。現在の取引先数は約1万社。社長ともやり取りする機会が多いのが特徴です。培ってきた信頼関係という見えない強みを活かし、「これはお客様に伝えたい」と感じたサービスやプロダクトは、マッチするお客様にご紹介いたします。サービスの認知度向上、セールスポイントのアプローチができる。これも、当社が皆様のお役に立てるポイントです。
本来であれば、この項では「ぜひ、当社とM&Aを」と言うべきでしょう。しかし、あえて今回は、「まず、シミュレーションから始めませんか」と言わせてください。
代表取締役社長CEOである私、藪ノは、クックビズが上場する際、株主が増えることに抵抗感がありませんでした。株主は複数いて当然であり、自分が株主である必然性もないためです。長く続く会社は、創業者とオーナー、現経営者が異なるケースが多く、私も資本と経営、業務執行をひとりの人間がする必要がないと考えています。大切なのは、自分の権限を守ることではなく、会社の事業を伸ばすこと。そして、顧客の方を向いて仕事をすることです。
とはいえ、資本政策は後戻りができません。やりようによっては、会社を追い出されてしまうかもしれない怖さもあるでしょう。ただ、常にシミュレーションすることは可能です。私も、「上場と非上場のどちらがいいのだろう」「大株主で居続ける方がいいのかどうか」「外国人株主率がどの程度あるのがいい形なのだろう」「大手企業が株主になったらどうなるだろうか」と常に思考を働かせ続けています。
こうしてシミュレーションを繰り返し続けることは、いざというときの判断力のベースになります。買収の話がやってきたときにも、「この話には乗るべきではない」「これは乗るチャンスだ」といい判断を下せるのです。シミュレーションをしていない場合は、降って湧いた話に戸惑ってしまうばかりで、適切な判断が難しいのではないでしょうか。
目の前の仕事に取り組み続けることは大切です。しかし、M&Aといった非日常な展開について常にシミュレーションを繰り返しておくことも、いい判断を下すセンス磨きのために非常に大切なことだと考えています。判断の結果、「クックビズとM&Aしたい」と思っていただければ嬉しいです。そのときこそ、ぜひお声をかけていただきたいと思っています。