どのくらい準備すべき?売却の際に求められる情報一覧
公開日:2017年2月27日 最終更新日:2017年3月13日
事業や会社の売却を検討する際に、どういった書類を準備する必要があるか気になりますよね。先にどんな書類が必要で、どんなことを見られるのかが分かっていれば、それに向けて情報を整えたりすることができます。今回は、売却の際に準備しておくべき書類を紹介します。
情報を開示する目的
M&A業者が、書類を依頼する場合、二つの目的があります。一つ目は、ノンネームシートを作成するためです。ノンネームシートとは、売り手企業が特定されない範囲で、買い手企業が興味あるかどうか判断してもらうための資料になります。準備していただく情報がまとまっていることと、業者の腕次第でマッチングと売却条件に影響してくる重要な資料です。
二つ目の目的は、デューデリジェンスのためです。デューデリジェンスとは、買収や投資の検討する際に、対象企業のリスクや価値を見極めるためのものです。買い手企業に紹介する前に、この企業は買い手に紹介してもいいような健全な企業なのか?希望売却価格は適正か?といったチェックを行います。
また、実際に買い手と面談し基本合意契約を結んだ後、M&A成立の最終契約をする過程でまでに買い手企業がより精緻なデューデリジェンスを行います。
基本情報
1.会社案内(パンフレット)
会社概要や事業が簡単に分かる資料を求められる場合があります。webサイトにしっかり情報公開している場合は、必要ない場合もあります。
2.商業登記簿謄本
デューデリジェンスのために使われます。必須の書類になるでしょう。
3.定款
同じくデューデリジェンスのために使われます。必須の書類になるでしょう。
4.組織図
30人以上の組織であれば必須。
5.役員経歴書
役員が代表のみの場合、代表の経歴書が求められる場合があります。役員ではないが、重要なポジションである箇所の経歴書一式を求められることもあります。
6.株主名簿
必須になるでしょう。株主に反社会的勢力や犯罪履歴がないか?株主と不自然な取引がないかなどが見られます。
7.従業員名簿(入社年月日含む)
求められることが多いです。社労士に問い合わせて作成していきましょう。
8.退職金規定・賞与規定
売却後社長が会社の資産をほぼ持っていくような退職金規定があると、釘を刺されます。こちらも開示必須です。
9.労働組合
労働組合の有無を聞かれることがあります。あるとネガティヴに働くことが多いでしょう。
10.保有している許認可
特許や商標、免許権利等があれば、それを証明するものを開示しましょう。
事業関係
1.商流が分かる図
基本情報で伝わりにくい場合求められることがあります。
2.上位10社程度の主要得意先・仕入先リスト(過去3期間の取引金額含む)
必須項目です。買い手を探す段階では、簡易的なもので問題ないケースが多いですが、買い手からのデューデリジェンス時は必ず見られるポイントと言ってもいいでしょう。実際に買い手が顧客先との面談をする場合もあるようです。
3.事業計画書
将来の事業計画などがあれば、プラスに働くことがあります。なければ求められません。
4.サイトの流入数が分かるもの
webサイトであれば、googleアナリティクスのデータ、webマスターツールのデータを開示する必要があります。検索キーワードの順位や、PV数、MAU数、成長率などが見られます。
5.外注先の契約書
高い確率で求められます。例えば、ライターに記事を発注している場合や、ソフトウェアを外注している場合の権利関係を見られることになります。
財務関連
1.決算書・税務申告書(勘定明細含む)3期分
必須です。包み隠さず開示しましょう。
2.当期首から直前月末までの月次試算表
必須です。作成していない場合作成する必要が出てきます。買い手を探す時点では求められないケースもあります。
3.各事業の売上高(できれば利益まで)が分かる資料(3期分)
必須です。事業ベースの場合、人件費の計上が難しいですが、仮でもいいので作成しましょう。
4.含み損益がある資産があればその内容
必須です。後手に回るほどトラブルが大きくなるので、予見できればその旨を事前に伝えておきましょう。
5.保有不動産に関する固定資産税評価額明細書
必須です。
6.借入金に供している担保があればその内容
必須です。連帯保証周りの契約は、相手方に引き継がれることが一般的です。