メディアドゥ、ウェブブラウザ開発ベンチャーLunascapeを3.75億円で買収
公開日:2017年4月10日 最終更新日:2017年4月29日
2017年4月6日、電子書籍事業を運営するメディアドゥは3.75億円で、2005 年「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、国産ブラウザベンチャーのLunascape社を100%子会社化したと発表した。
メディアドゥの買収目的
今回の Lunascape の子会社化は、『電子書籍×ブラウザ』によって、読者の電子書籍での読書インフラ環境、及び出版コンテンツのデジタル流通をさらに一歩前に進めるための大きなチャレンジとなる。国際的な電子出版の動向としても、「パッケージとオンラインの融合」が起こってくることが予想されており、今後電子書籍 UI においてブラウザの位置付けが重要になってくるものと考られているようだ。
さらに、本M&Aではサービスの側面だけでなく、Lunascapeとの技術交流によって、メディアドゥが得意とするサーバーやネットワークといったバックエンドテクノロジーに加え、エンドユーザーに最も近いフロントエンド領域のテクノロジーを強化することも大きな目的の一つと発表している。
M&Aサマリー
買い手企業 | 売り手企業 | |
社名 | 株式会社メディアドゥ | Lunascape株式会社 |
属性 | 東証1部上場企業 | 未上場企業 |
業種事業内容 | IT/電子書籍取次・運営 | IT/webブラウザの開発 |
設立年 | 1999年 | 2004年 |
本社所在地 | 東京都 | 東京都 |
社員数 | 119名 | 不明 |
資本金 | 9億1,200万円 | 3000万円 |
直近の売上高 | 155億円 | 3800万円 |
直近の営業利益 | 3億円 | 100万円 |
財務状態 | 資産超過 | 資産超過 |
ディールデータ | ||
売却額 | 3.75億円 | |
譲渡スキーム | 全株取得 | |
M&A理由 | 事業シナジー、開発力の強化 | プロダクトのシナジー |
Lunascapeの特徴
会社名:Lunascape株式会社
本社所在地:東京都港区
代表:代表取締役社長 近藤秀和
事業内容:ウェブブラウザ製作、ウェブブラウザ関連事業へのライセンス、ウェブサービスの開発運営。
備考:Lunascape は、同社近藤秀和社長が 2004 年の経済産業省のイノベーション創出と IT 人材発掘・育成事業である『未踏事業』 のスーパークリエータに認定されるとともに、2005 年「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、国産ブラウザーの技術を牽引してきた会社である。
今月には、世界最先端のブラウザ技術にウェブの最新技術を融合し、よりウェブとの親和性が高いブラウザとして、Windows,macOS 向け新型ブラウザー「Lunascape Phoebe」のリリースを予定している。さらに電子書籍配信機能なども搭載するとのことだ。
しかし、直近の業績としては、平成27年3月の当期純利益は0円、平成28年3月の当期純利益は-400万円の赤字だった。今回の売却額は、同社の高い技術力にプレミアムが乗ったことが大きいと考えられる。