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会社を売る際に意識すべき4つのポイントとは?会社売却のメリットと手法も紹介!


公開日:2021年5月7日  最終更新日:2023年1月23日

会社を売りたい場合に意識したい4つのポイント

さまざまな理由から、会社を売りたいと考える経営者は数多く存在すると言われています。会社を売ることで多くのメリットが発生し、経営者が抱えている問題解決にも繋がるでしょう。

では、会社を売りたい場合にはどういった事に意識を向ければ理想的な会社売却が実現できるでしょうか。そこで、意識すべきポイントを4つご紹介します。

ポイント1:会社を売りたい目的を明確にする

まずは売りたい目的を明確にすることがポイントです。なぜ会社を売りたいのか自身の中で目的を明確にしていないと、M&Aの手法を選べず、準備に取りかかることができないでしょう。

なぜ会社を売りたいのか、売却後はどうするのか等、今一度売りたい理由を見つめなおし、M&Aの準備にとりかかりましょう。

ポイント2:専門家の協力を得る

FA(ファイナンシャル・アドバイザー)や弁護士、公認会計士等のM&Aの専門家に協力を得ることもポイントです。専門家の協力を得ることで、買い手の情報集めをはじめ、様々な場面で支援を行ってくれるでしょう。

ただし、M&Aの専門家でない方に相談してしまうと、おおまかな相談のみで終わってしまう可能性があるため注意が必要です。会社を売る目的がはっきりしている状態であり、M&Aの専門家に相談して協力を得ることができれば心強い味方となるでしょう。

ポイント3:経営に力を入れる

売却前に経営に力を入れることもポイントと言えるでしょう。

買い手側の企業は、業績が好調で競争力のある会社を譲り受けたいと考えます。そのため、 他社との差別化を強化するといった工夫により自社の経営に力を入れ、業績が伸びれば自社の魅力が増し、譲受企業の目に留まりやすくなります。

ポイント4:デメリットについても考える

最後に紹介するポイントが、会社を売却した際に発生するデメリットについてです。 会社を売ることで得られるメリットも多いのですが、デメリットもあることを把握しておきましょう。

売り手経営者株主が会社を売却して得た資金で新たな事業の立ち上げを検討しているなど、早期のイグジットを目指している場合、ロックアップ(キーマン条項)がデメリットになります。M&A時の契約にキーマン条項を付してしまうと、経営者は売却後も数年間は企業を離れられず、大きなデメリットとなってしまいます。

さらに、人材の流出も視野に入れるべきでしょう。売却前に自社に勤めていた優秀な人材が、売却先の新たな会社の社風に馴染めないまま退職してしまう可能性もあります。

また、会社の売却をマイナスイメージで捉える顧客も少なからず存在しているのも事実であり、売却それ自体が会社のイメージ低下に繋がる恐れもあります。したがって、会社を売りたい人はデメリットに関しても、しっかり把握しておくことが重要と言えるでしょう。

会社を売ることで得られる6つのメリット

会社を売りたいときには、できる限り多くのメリットを得たいと考えるのは自然なことです。

そこで、本章では、会社を売ることで得られるメリットとはどのようなものがあるのかについて、順を追って紹介していきます。

メリット1:会社を売ることで保有株式を現金化できる

最初に紹介するメリットは、保有株式を現金化できることです。なお、事業譲渡の場合、保有株式を直接現金化することはできないため、事業譲渡後に別途、役員退職金や配当等によりキャッシュを吸い上げる手続が必要です。

多くの中小企業はいわゆる「オーナー企業」であり、企業の発行済株式の大部分を経営者が保有しています。近年ではオーナー経営者の高齢化と後継者不足が加速し、事業存続の危機に立たされている会社が多いと指摘されています。

保有株式を現金化することで老後の資金を確保でき、獲得した資金を使って新たな事業や投資を始めることができます。

出典:No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)|国税庁公式サイト

メリット2:事業承継の選択肢が増える

次に紹介するメリットは、事業承継を行う際の選択肢が増えることです。経営者がオーナーである中小企業で後継者が不足している場合、会社を売却することで経営株主としての地位を第三者に移転することができ、事業承継に関する悩みを解決できることがあります。

ただし、個人への株式譲渡により事業承継を行う際には、承継に係る個人の負担も大きくなることがあります。これは、会社の規模によっては株式の取得に係る費用が多額にのぼってしまうことや、代表取締役に就任する際に経営者保証が必要となることが主な原因です。そのため、個人に対して株式譲渡による売却を行う際には、譲受人である個人の経済的負担が重くなる場合に注意しておく必要があります。

もちろん、個人への売却以外にも、外部の企業に会社を売却し、経営を引き継いでもらうことも可能です。

メリット3:業務からの解放

業務から解放されることもメリットのひとつです。 会社を売却し、経営株主としての地位から降りることで、会社の存続に関係する重要な業務を外部の企業に引き継いでもらえます。

ただ、株式譲渡を行ったとしても代表取締役は引き続き2年程度残るような契約を結ぶこと(ロックアップ)があります。その場合、ロックアップ期間中においては契約に基づき業務を行う必要があります。その上で、当該ロックアップ期間が明ければ業務から解放されます。

メリット4:個人保証を外すことができる

次に紹介するメリットが、会社に対する個人保証を外せることです。自身が会社のオーナーである状態では、債務に係る個人保証を外すことや、第三者に移すことは難しいでしょう。

ですが、 会社をM&Aで外部の企業に売却することができれば、譲受企業に引き継いでもらうことが可能でしょう。

メリット5:シナジー効果

シナジー効果を期待できるのもメリットです。 自社の経営が苦しく、赤字の状態で会社を売却することになったとしても、買い手の事業ドメインとの相性や技術的な観点でシナジー効果が期待できると判断された場合には、M&Aが成立することがあります。

複数の企業が協力することで有利に事業が進展していくシナジー効果が期待通りに発現できた場合には、M&Aの成立時点で収益性に問題があったとしても、対象会社の業績が回復するケースがあります。

例えば、製品開発には定評があるものの、営業力に課題があり業績が伸び悩んでいる会社があるとします。この場合の改善策として、営業力のある企業の傘下に入ることで、売却先企業の営業ネットワークを生かして売上を伸ばすといった方法があります。

もちろん、ひとくちにシナジー効果と言っても、それを当初の期待通りに発現させるためには並々ならぬ努力が必要です。しかし、単体で成長を続けている企業のみならず、業績が芳しくない企業であっても、シナジー効果が発揮されることにより売却後に成長を遂げる可能性があります。

メリット6:事業存続ができる

事業存続ができることもメリットといえます。 会社を売却することができれば、譲渡先の経営株主のマネジメントの下で、あるいは他の企業の傘下で事業を存続させることができます。

経営不振によって存続が不可能になった場合でも、事業や保有資産が高く評価されれば売却が実現するケースもあります。事業を残したいという気持ちが少しでもあるようでしたら、売却を検討してみてはいかがでしょうか。

会社を売るための3つの手法

会社を売りたいと考える経営者は少なくありません。そこで、上手に会社を売るためには多くの手法を知っておくことが大切です。

会社売却を行うにあたり実務上採用されることが多い手法は株式譲渡ですが、その他にも会社分割や事業譲渡が挙げられます。また、合併、株式交換、株式移転といった手法もあります。今回はその中でも、特に知ってほしい3つの手法である、株式譲渡、事業譲渡、会社分割をご紹介しましょう。

1:株式譲渡

株式譲渡は、売り手の株主が保有する株式を買い手に譲渡する手法です。

事業譲渡では売り手の対価受領主体は会社ですが、株式譲渡では株主です。一部の事業のみを売却しようと考えている企業の場合は、会社分割と組み合わせるなどの工夫が必要でしょう。

買い手目線ではのれんが連結貸借対照表に計上されるため、税務上の償却メリットを享受することができなかったり繰越欠損金の引継ぎができないといったデメリットがあります。さらに個別承継の事業譲渡と比べて偶発債務・簿外債務等の引継ぎにおける買い手のリスクが高い点についてもデメリットといえ、売却交渉上の論点となるでしょう。

一方、 事業譲渡に比べて手続が簡素であるというメリットもあってか、事業承継を含む多くのM&Aで採用される手法であり、中小企業では株式譲渡を活用した会社売却の手法を選択することがほとんどです。

2:事業譲渡

事業譲渡とは、事業目的のために組織された有機的一体として機能する財産(無形・有形)を一括して譲渡することをいいます。

現在会社が運営している事業を全て譲渡することも可能ですし、事業の一部のみ譲渡することも可能です。事業譲渡とよく似た手法に、後述する会社分割があります。

会社分割との最大の違いは、会社分割が会社法上の組織再編行為に該当するのに対して、事業譲渡は取引法上の行為であるという点です。これにより、会社分割では分割対象となる資産・負債を一括して承継会社に引き継ぎます(包括承継)が、事業譲渡では分割対象事業の資産・負債を個別に移転する必要がある(個別承継)という違いが生じます。

したがって、 事業譲渡を用いることで、対象事業の特定の資産や負債に対しては譲渡しない対応を取ることが可能になります。

また、株式譲渡との最大の違いは、その譲渡主体です。株式譲渡では売却資金は株主が受領するのに対し、事業譲渡では会社が譲渡対価を収受します。これにより、会社は追加の手続きを経ることなく会社経営用の資金を獲得できるというメリットがあります。

ただし、株式譲渡と比べて手続きが煩雑である場合が多いため、注意が必要です。

3:会社分割

会社分割とは、 株式会社または合同会社が、行っている事業に関して保持する権利義務のうち全部また一部を分割し、他の会社に承継させることを言います。

上述の通り、事業譲渡の場合、株式の動きに左右されない取引法上の契約のため、会社法上の組織再編行為に該当しません。しかし、会社分割の場合は会社法における組織再編行為に該当します。

したがって、分割対象となる事業の資産や負債を包括承継することとなるため、簿外債務や訴訟リスクについても移転してしまうおそれがあります。このようなリスクを抑えるため、売却時においては買い手から表明保証を求められることが一般的ですので、弁護士等の専門家と相談しながら対応することをおすすめします。

会社の事業を譲渡する面では事業譲渡と類似した手法ですが、会社分割では譲渡資産に係る消費税が課税対象外であったり、事業譲渡では債権者保護手続が不要であるなどの相違点があります。

会社を売りたい場合はよく考えてから行動しよう

昨今、事業承継の手段として、事業譲渡や株式譲渡を含むM&Aの存在感が高まっています。売却を検討する理由は企業や株主によって様々ですが、売ると決めたのであれば主要な論点や売却を通じて期待できるメリット、売却において利用される手法を把握しておくべきでしょう。

M&Aによる会社売却が成立しても、売却後に重要な従業員の退職等の問題が生じることがあるため、すべてのM&Aがうまくいくとは限りません。そのようなリスクを少しでも抑えるためにも、専門家に協力を仰ぐなどして、自身の理想とする会社売却を実現していきましょう。

M&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」では、M&Aを応援をしています。 買い手企業探しをインターネット上完結できるのはもちろん、経験豊富なアドバイザー(FA)の手助けを受けることも可能です。お気軽にお問い合わせください。

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