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売却する?売却しない?PEファンドに企業を売却するメリット・デメリット


公開日:2021年10月25日  最終更新日:2022年11月18日

企業の売却先候補として事業会社以外にPEファンドがあります。売り手企業の事業内容等から事業会社に売却するよりもPEファンドに売却するほうが、望ましい場合があります。そこで、本記事ではPEファンドへ売却するメリットやデメリット、基本的な流れについて解説します。

PEファンドとは

PEファンドとは、Private Equityファンドの略で、未上場株式等に投資するファンドのことを指します。未上場株式等とは、例えば、大企業の子会社やノンコア事業、オーナー系の中小企業の株式を指します。また、事業再生も一部PEファンドの投資対象に含めることもあるでしょう。

運用資産は、数十億円から数千億円とファンドによって規模は幅広く、投資対象も異なります。

PEファンドには、EXIT(株式の売却)戦略があり、投資先の株式の上場や第三者への売却によってキャピタルゲインを得てリターンを獲得することが主な目的です。およそ投資から3年から5年で売却することが多いようです。

PEファンドへの売却と事業会社への売却の違い

PEファンドは顧客から預った資金でリターンを上げる目的で会社買収を手掛けているため、いずれ買収した会社の株式を売却することになります。そのため、経営支配権を有する株主は将来的に変わることになります。

一方で、事業会社への売却の場合、買い手の事業と組合わさることでシナジー効果が期待され、基本的には買い手の事業として存続することができます。

参考記事:
PEファンドによるM&A、過去5年間の買収額ランキング上位5件を考察

PEファンドに売却するメリット

売り手の事業の性質上、他の事業会社との統合が難しい場合や、他の事業会社の企業文化や方針が売り手とでは合わない場合、また、競合他社に機密漏洩したくないような場合には、PEファンドへの売却が向いているといえます。

また、オーナーは、会社が上場していなくてもPEファンドに株式を売却することで保有株式を換金でき、創業者利潤の獲得を実現できます。従業員の雇用も守られるといったメリットもあります。

PEファンドに売却するデメリット

PEファンドへの売却の場合、経営の効率化を徹底するため、コストカット(経費の見直しや人員整理等)が進められる場合があります。

また、PEファンドの買収には、LBO(レバレッジドバイアウト)という手法が用いられる場合があります。LBOとは、売り手の今後のキャッシュフローや資産を担保に金融機関から買収資金を融資して借入れて買収を行うことです。

PEファンドがLBOを用いた買収を検討している場合、買収後にどのような財務体質になりそうかを確認しておく必要があります。

PEファンドに売却する方法

PEファンドは、事業会社とは異なって、顧客から預かった資金を運用しているので運用リターンを上げなければならない立場にあります。

そのため、そもそも、自社の事業がPEファンドの投資対象になるのか、PEファンドの期待リターンに応えられるか、しっかりと検討することが重要になります。

その上で自社の強みを整理し、どのPEファンドに提案をするのかターゲットを絞ります。いざ提案が決まれば、資料を作成し、面談、条件交渉と続き、デューデリジェンスの実施、最終契約交渉、クロージングという流れになります。

売り手企業にとってこれら一連のプロセスは普段の業務では経験することがないことから、取引を円滑に進めるために、アドバイザーを雇うことが多いと言えます。通常はM&A仲介会社やアドバイザリー会社、弁護士や公認会計士をつけることになります。

国内で有名なPEファンド

有名なPEファンドとしては、例えば大型ファンドを運用するPEファンドとしては、KKRやBain Capital、Carlyle Group等が有名です。主に大型案件を対象に投資をしており、世界有数の規模と知名度を誇るファンドです。

また中小型ファンドを運用するPEファンドとしては、インテグラルやエンデバー・ユナイテッド、J-STAR、アント・キャピタル・パートナーズ等が挙げられます。これらのファンドは日本企業への投資実績は多数にもわたります。

売却時に必要なアドバイザー① FA

FAとは、ファイナンシャル・アドバイザーの略で、M&Aの計画の立案からクロージングまで一連の流れ全般をコーディネートする役割を担います。M&Aの専門家として、財務・法務・税務に関するアドバイスや戦略の立案、取引の交渉もFAが行ったりします。

M&Aの仲介は、同一の仲介者が売り手と買い手の間に入って交渉の仲介を行うため、あくまで両者にとって中立的な立場となります。

これに対して、FAは、売り手か買い手のいずれか一方につくため、クライアントの利益が最大となるように努める立場にあります。

売却時に必要なアドバイザー② 弁護士

売却時における弁護士の役割は、法的な視点からM&Aに関するあらゆる法的リスクを調査し、その対応についてアドバイスすることです。また、M&Aで必要になる契約書等の書類の作成や一連の法的な手続きについてサポートをします。

調査で明らかになった法的リスクを踏まえて、相手方と買収条件を交渉しクロージングまで法律の専門家の立場からサポートをします。

売却時に必要なアドバイザー③ 財務・税務専門家(公認会計士等)

売却時に財務・税務専門家が活躍する場面は、主に財務デューデリジェンスです。売却する会社の財務や会計に関する調査を行い、財務・会計的な見地からリスクを洗いだしアドバイスする役割を担います。買収スキームについて会計や税務の観点からアドバイスも行います。

財務デューデリジェンスでは、過去から現在までの財務状況や損益状況、今後のそれらの見通しが調査され、買収価格や買収条件の重要な判断要素になります。

まとめ

PEファンドへの売却の場合、PEファンドはいずれEXITしなくてはならないため経営の自由度が制限され、借入れを行った場合には返済義務を負担するといった制約があります。

しかし、その一方で、PEファンドは資金量が豊富であること、また買収後も、売り手はどの事業会社にも属さず事業の独自性を維持したまま、事業を継続することができます。

自社の事業内容や性質、企業文化等を照らし合わせると、事業会社への売却よりもPEファンドへの売却のほうが向いている場合があります。買い手候補を事業会社に絞らず、PEファンドも含めて検討するのが良いでしょう。

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