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グローバル化戦略の大きな一歩|クロスボーダーM&Aの目的とポイント

かんたんM&A力診断
かんたんM&A力診断

公開日:2021年11月30日  最終更新日:2022年5月20日

クロスボーダーM&Aの概要と目的・メリットを紹介します。クロスボーダーM&Aならではの特徴と、三角合併・LBOというクロスボーダーM&Aに用いられることの多い手法について解説し、リスクと成功に導くポイントもあわせてお伝えします。

クロスボーダーM&Aとは

クロスボーダーM&Aとは、国際間でのM&A取引のことであり、外国企業との間で行われるM&Aのことを指します。国内企業による海外企業の買収はIn-out取引、海外企業による国内企業の買収はOut-in取引と呼ばれます。

近年、中小企業によるクロスボーダーM&Aの件数は増加傾向です。この記事では、クロスボーダーM&Aの目的や手法、留意点をわかりやすく解説します。

クロスボーダーM&Aの主な目的(メリット)4つ

クロスボーダーM&Aには、国内企業同士のM&Aとは異なる目的・メリットがあります。国内市場は縮小傾向にあるため、海外市場に参入することでビジネスの拡大を目指すことが可能です。

また、新興国の成長著しい市場に参入することで、大きな利益を得られる可能性があるなど、クロスボーダーM&Aならではの魅力があります。

1:自社のグローバル化

クロスボーダーM&Aを活用して海外の企業を買収することで、ビジネスのグローバル化を一挙に進めることができます。海外の生産設備を保有し、有能な海外の人材やノウハウにアクセス可能になり、グローバル化戦略を推進できるのがクロスボーダーM&Aのメリットの一つです。

2:新規市場の拡大

クロスボーダーM&Aにより、多くの企業にとって重要な成功戦略である新規顧客の獲得が可能になります。特に発展途上のマーケットに参入する場合は競合が少なく、大きな利益を得られる場合があります。また、国内より規模の大きな市場でビジネスを行うことで、事業のスケールを拡大できるのもクロスボーダーM&Aのメリットです。

3:新製品開発

クロスボーダーM&Aにより、効率的に海外企業のノウハウを取り入れることができ、それにより、日本にはまだない新製品の開発や販売を行うことができます。

また、世界の最先端の技術を取り入れた新製品を開発するチャンスが生まれます。そのような製品には先進性があり、訴求力が高いため、より高い利益獲得に繋がることがあるでしょう。

4:コスト削減

クロスボーダーM&Aの大きな目的・メリットはコスト削減です。海外進出により安価な労働力を獲得することが可能になります。

国内の労働人口は減少傾向にあり、長期的なトレンドとして人手不足となるでしょう。結果として求人費用、人件費が国内では高くなることが想定されます。グローバル市場における安価で有能な人材確保は大きなメリットです。

また、グローバルな調達による材料費の削減が期待できます。材料費だけでなく燃料コストや、生産設備の運営費用を削減できる可能性もあるでしょう。コスト削減による価格競争力の向上がクロスボーダーM&Aによって可能になります。

クロスボーダーM&Aの特徴3つ

クロスボーダーM&Aには、国内でのM&Aとは大きく異なる特徴がいくつかあります。これらを知っておくことで、クロスボーダーM&Aを成功させるためのポイントを捉えることができます。

1:エスクローの利用

エスクロー(Escrow)とは、契約当事者の間に第三者が仲介し、取引の安全性を確保する制度です。日本語では第三者預託と訳されます。

日本国内での取引では、契約成立から期間を置かずに対価の決済が行われるのが一般的です。一方、クロスボーダーM&Aにてエスクローを利用した場合、買い手が第三者であるエスクロー・エージェントに買収対価を預けます。その後、一定期間が経過した後、買収対価が売り手に払い出されます。

この制度を用いることによって、買い手側は買収後に問題が発覚した場合に、投資額を取り戻せなくなる危険を回避することができます。売り手側としては、売却後に買い手側の資金繰りが悪化した場合に、売却対価を受け取れないリスクを軽減できるというメリットがあります。

2:法規制によるM&Aの制限

クロスボーダーM&Aは相手企業の国の法律に準拠して実施しなければなりません。M&Aを規制する法律は国によって異なります。国によっては特定の業種の買収が制限されていることがあります。規制当局にM&Aを申請し、認可を受けることが必要になる場合もあるでしょう。

また、環境にかかわる法律や情報保護関係の法律など、地域や業種に特有の法律も確認しなければなりません。M&A対象の企業が所在する国だけでなく、その企業と取引がある他の国においても、法規制や必要な許認可申請をクリアにしておきましょう。

想定するM&Aストラクチャーを実行した場合に、規制対応や許認可申請にどれくらいの時間・コストがかかるでしょうか。この点は、クロスボーダーM&Aを検討する早期の段階で、現地国の法律事務所のコンサルティングを受けることが重要です。

3:PMIが困難な場合が多い

クロスボーダーM&Aの特徴として、PMI(買収契約成立後の統合プロセス)が難しい場合が多いことが挙げられます。対象企業は海外企業のため、言語や商習慣、文化の違いを乗り越えて統合を進めなければならないからです。また税務や会計制度、雇用制度の違いも考慮しなければなりません。

国や地域によってビジネスのスピード感もまちまちです。一般的に、日本の意思決定プロセスは遅いと言われています。一方で、M&A取引のケーススタディが蓄積されていない新興国では、PMIに時間がかかることも多いでしょう。そのため、相手企業のスピード感を意識して、コミュニケーションの取り方を工夫する必要があります。買い手側の企業は目的意識を明確に持ち、主体的にプロセスを推進することが重要です。

クロスボーダーM&Aで使える主な手法

クロスボーダーM&Aでは、国内企業同士のM&Aではあまり見られない特殊なスキームが用いられることがあります。クロスボーダーM&Aならではの、特徴的な2つの手法をご紹介します。

三角合併

買い手側企業にとっての三角合併のメリットは、株式の交換という形で買収が行われるため、現金が必要ない点です。このため、大規模案件でも比較的容易に実行することができます。なお、買い手企業・売り手企業ともに、株主の承認が必要になることに留意しましょう。

LBO

LBOのメリットは、買い手側の企業が自己資産を抑えて買収ができる点です。特に、安定したキャッシュフローを生み出せる会社を買収する場合には、ローリスクハイリターンで有効な手法といえるでしょう。

クロスボーダーM&A実行時の主なリスク5つ

ここまでクロスボーダーM&Aのメリットを見てきましたが、クロスボーダーM&Aには、当然、リスクもあります。クロスボーダーM&Aに発生する可能性が高いリスクは、下記の5つです。

・カントリーリスク

・訴訟リスク

・環境リスク

・労働問題・雇用関係リスク

・為替リスク

1:カントリーリスク

クロスボーダーM&Aは、相手国内の政治・経済などの社会情勢による影響を強く受けます。買収相手の国の政治や経済情勢の変化により市場に混乱が生じると、投資した資産の価値や収益性が変動し、投資回収が困難になるというリスクがあります。

政情が不安定な地域では、政変や地域紛争もリスクとなるでしょう。突発的な争乱や政権交代などによって、国際的な商取引が停止するというリスクも、カントリーリスクと言えます。

2:訴訟リスク

クロスボーダーM&Aでは、国によって訴訟に対する考え方が異なることもリスクとなります。米国のような訴訟大国では、頻繁に訴訟が発生するだけではなく、多額の賠償金を請求されることがあります。

3:環境リスク

環境に対する基準や規制も、国によって大きく異なります。日本より環境汚染に厳しい国も存在するのが現状です。土壌汚染や水質汚染などに対し、巨額の賠償金支払や厳しい罰則が科されるリスクがあります。

4:労働問題・雇用関係リスク

クロスボーダーM&Aでは、労働問題・雇用関係について問題が発生するリスクがあります。雇用制度や労働文化は、歴史や文化背景により各国さまざまです。相手国での雇用制度や考え方を考慮して買収後の雇用・待遇を定めなければなりません。労働者側に納得感のある説明ができず、労働組合が中心となって買収に反対したため、経営統合が失敗したという事例があります。

また、日本企業でよくみられる人事ローテーション・定期的な配置転換は海外企業ではあまり行われません。買収先企業の雇用文化をよく理解したうえで、経営統合後の人事制度を検討する必要があります。

5:為替リスク

クロスボーダーM&Aでは為替の変動により、投資した外貨建て資産の価値が上下するというリスクがあり、為替変動によって当初予定した収益が実現できなくなったり、結果として高値掴みの買収になってしまうことがあります。

また、買収先企業の純資産の円貨換算額の変動は、連結財務諸表の包括利益に含まれます。買収企業を連結子会社とする場合は、相手国の為替変動が連結財務諸表に影響をあたえることに留意しましょう。

出典:為替変動リスクと企業決算|新日本監査法人

クロスボーダーM&Aを成功させるポイント4つ

クロスボーダーM&Aでは、一般的なM&Aとは異なる知識やノウハウは欠かせません。言語、地理的な距離、相手国の市場等の理解など、成功のためには周到な準備が必要です。ここではクロスボーダーM&Aを成功に導くポイントを4つ説明します。

1:M&A実行前の段階からPMIの計画を具体的に立てておく

クロスボーダーM&Aでは、具体的なPMIの計画を早期に作成することが必要です。M&A実行後の目指すべき姿を明確にしたうえで、そこから到達するにはどうすればよいか、戦略・ストーリーに基づいて計画を立てましょう。

周到な計画を立てることで、十分な時間やリソースの投入が可能です。また主体的に買収・統合プロセスを推進することができ、成功へ大きく近づくことができます。

2:現地国の法律に詳しい専門家を確保する

クロスボーダーM&Aを成功に導くためには、現地の規制に強い専門家を確保しておくことが必要です。買収実施段階での法規制だけでなく、買収実施後の事業運営に影響する法規制について事前に把握しなければなりません。各国の法規制には多くの専門的知識と経験が必要になるため、早い段階から現地の法律に詳しい専門家の助言が必要です。

また、昨今ではESG投資の盛り上がりやSDGsへの取り組みなど、コンプライアンス意識が世界的に高まっています。中長期的な企業価値の向上に向けて、これらの要素を考慮したM&Aを進めるためにも、専門家の知見が必要になるでしょう。

3:現地市場を考慮したバリュエーションを行う

事前に相手をよく知ることが、M&Aを成功に導くカギとなります。しかし、クロスボーダーM&Aでは、国境の壁、言語の壁のために、現地の市場や事業環境などに関する情報が不足する場合があります。

特に新興国のクロスボーダーM&Aでは、情報開示や収集の方法が確立されておらず、不確実要素が多くなりがちです。限られた情報のなかでも現地の市場を十分に考慮したバリュエーション(企業価値の評価)を実施しなければなりません。

そのため、事前に綿密なデューデリジェンスを実施し、十分な情報を入手することが重要です。実際に現地に足を運び、現地の経営者とコミュニケーションをとることも検討してみてください。また、国際的な投資の盛り上がりにより、企業価値向上の必要性が高まっているため、投資家からの評価も確認することが重要です。

4:ブレークアップフィー条項をあらかじめ定めておく

クロスボーダーM&Aでは、ブレークアップフィー条項をあらかじめ定めておくことが望ましいとされます。ブレークアップフィー条項とは、売り手側が買い手側に違約を支払うことにより、契約を終了できるようにする条項のことです。この違約金の額は、取引する金額の約1%から5%の間で設定されることが多いと言われています。

ブレークアップフィー条項を定めておくことで、競合する買い手が出現して当初予定した取引が実施されない場合などに、売り手側は違約金を支払う義務が生じます。売り手側が他の買収提案を受け入れる抑止効果が期待できるわけです。

また、当初の取り決め通りに買収取引を進める動機づけにもなります。ブレークアップフィー条項を活用して、対抗買収者の出現リスクを考慮し、スムーズにM&A取引を進めることがポイントです。

まとめ

近年、増加しているクロスボーダーM&Aには多くのメリットがあります。海外展開への有効なステップとなるクロスボーダーM&Aの特徴や手法をよく理解し、リスクを把握したうえで、自社の戦略に適したクロスボーダーM&Aを検討しましょう。また、法律面の問題をクリアにするために専門家のアドバイスが必要不可欠です。ブレークアップフィー条項を取り決めて取引を保護することも必要です。

事前に綿密な計画を立て、相手企業の情報を十分に入手することで、たとえ国境・言語・文化の壁を越えたM&Aでも成功に導くことができます。クロスボーダーM&Aの成功により、グローバル企業として飛躍し、新たな成長を遂げることができるでしょう。

M&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」では、M&Aを応援をしています。買い手企業探しをインターネット上で完結できるのはもちろん、経験豊富なアドバイザー(FA)の手助けを受けることも可能です。お気軽にお問い合わせください。

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