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株式交換とは?メリット・デメリットや手続きの流れについて解説

かんたんM&A力診断
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公開日:2022年1月20日  最終更新日:2022年5月18日

株式交換は被買収会社を完全子会社化したい場合に主に利用されます。買い手企業側が、そのメリットとデメリットをあらかじめ把握しておくことは買収を検討する上でとても有効的です。本記事では会社法上の手続きや税務を中心にそのメリット・デメリットを解説します。

株式交換とは

株式交換の定義は会社法第2条31号に定められており、株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させる方法のことです。主な利用目的は、被買収会社(買われる会社)を完全子会社化したい場合に限られます。

株式交換によって100%子会社になる会社を株式交換完全子会社、100%親会社になる会社を株式交換完全親会社といいます。合併と違って、被買収者の株式を取得するだけなので被買収者は引き続き会社として存続します。

株式移転との違い

株式移転とは、1社、または2社以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいい、3社が同時に新設会社に取得させることもできます。ホールディングスが会社名についているような、いわゆる持株会社を作る方法として主に利用されます。

株式交換は、すでに存在する会社が被買収会社を完全子会社化するスキームであるのに対して、株式移転は新たに設立する会社が完全親会社になる点で違いがあります。

株式交換をする4つのメリット

株式交換は会社法上の組織再編行為と位置付けられ、被買収会社を完全子会社化したい場合によく利用される手段の1つです。

合併などの他の組織再編行為と比べて、株式交換にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、株式交換することによる4つのメリットをわかりやすく説明します。

1:経営統合がしやすい

吸収合併の場合、被買収会社は存続会社に吸収されて消滅しますが、株式交換の場合は引き続き子会社として存続します。株式交換を使えば会社の企業文化や会社のブランド力を残したまま経営統合することができます。

買収会社は被買収会社の議決権を100%保有しているので、取締役の人選を自由に行えます。統合後も選任された従来の取締役メンバーで経営を任せることもでき、さらに自社から数名取締役を派遣してグループ経営の意向を浸透させていくこともできます。

2:少数株主を強制的に排除する事が可能である

買収会社は被買収会社の株主からすべての株式を譲渡してもらうことで、株式交換と同様に完全子会社化することができます。しかし、被買収会社の株主のなかには個人株主等の少数派が譲渡に応じない可能性もあるでしょう。

これに対して、株式交換は会社法上の組織再編行為に位置付けられており、株主総会の特別決議で承認を得られれば、たとえ被買収会社に株式交換に反対する少数株主(マイノリティ)がいたとしても強制的に反対株主が保有する株式を取得することができます。

3:シナジー効果を享受できる

株式交換における被買収会社の株主は自身が保有する株式と買収会社の株式とを交換する仕組みであるため、株式交換の対価が親会社株式の場合、被買収会社の株主は買収会社の株主になることが予定されています。

統合により上手くシナジー効果を発揮すれば、買収会社の株式を通じてそのシナジー効果を享受することができます。

4:買収資金が不要になる

株式交換における対価には、買収会社の株式のほか、完全親会社となる企業のさらに親会社の株式の交付(三角株式交付)や、現金の交付も認められています。一方で、完全親会社となる企業の株式を売り手企業の株主に交付する場合がほとんどのため、買収会社は手元に現金がなくても完全子会社化することができます。銀行から借り入れをして負債を抱えることなく買収することができます。

なお、令和元年改正会社法により、株式交付という制度が導入されました。これにより、買収会社の株式を対価にして、被買収会社の株式を部分的に取得し完全子会社ではない子会社にすることが組織再編行為としてできるようになりました。

株式交換をする3つのデメリット

株式交換は強制的に少数株主を排除することができる代わりに、会社法では株主保護手続きが定められています。

そのため、その手続きが煩雑であったり、また、株式交換に伴う株価下落リスク等のデメリットも様々です。そこで、ここでは株式交換の3つのデメリットについて説明します。

1:手続きが多い

株式交換の場合、株式譲渡と違って、会社法上の一定の手続きを経る必要があります。

株式交換を行う場合、買収会社は被買収会社と株式交換契約を締結し、原則、株主保護手続きを経る必要があります。株式譲渡と比べて手続きが多くなるためスケジュール管理がとても重要です。

2:株価が下落する可能性がある

株式交換の対価を買収会社の株式で行う場合、買収会社の発行済株式総数が増加するため、買収会社の株主の持分比率が低下します。

また、1株当たりの利益(EPS)が減少し配当額も小さくなるため、持分価値の低下を招く恐れがあります。これを株式の希薄化といい、株価が下落する可能性を含んでいるということです。

ただし、M&Aによるシナジー効果や株主還元政策によっては1株当たりの持分価値が下がらない場合もあります。

3:株主構成の変化

買収会社の株式を対価にすると、被買収会社の株主が買収会社の株主になるため、買収会社の既存株主にとっては好ましくない可能性もあるでしょう。買収会社の株主構成が変わることに留意しつつ、被買収会社の株主の顔ぶれに配慮する必要があります。

株式交換の主な7つの手続きと流れ

株式交換をする場合、主に会社法上で定められた手続きに則って進めていく必要があります。そこで、株式交換において事前に必要となる準備や事後的に必要となる手続きの中から特に重要な7つの手続きとその流れについて説明します。

1:取締役会議および株式交換の契約締結

買収会社と被買収会社との間で株式交換契約を締結しなければなりません。株式交換契約において定めなければならない事項は会社法によって決められています。

また、取締役会設置会社の場合、株式交換契約を締結することは重要な業務執行の決定に該当するため、事前に取締役会で決議しておく必要があります。

2:事前開示書類の作成と備置

株式交換契約、その他法務省令で定める事項を記載した書類を事前に作成し、本店に備え置かなければなりません。

備置開始日は、株主総会の日の2週間前の日もしくは、株主または債権者ヘの公告通知・催告の日のいずれか早い日が原則です。ただし、新株予約権買取請求権の行使に関する新株予約権者に対する通知が必要な場合は、新株予約権者に対する通知または公告のいずれか早い日までに備置を開始しなければならないといった例外もあります。

備置期間は、備置開始日から株式交換の効力発生日後の6か月を経過する日までの間です。

3:株主総会での株式交換契約の承認要求

買収会社及び被買収会社は、原則、株式交換の効力発生日の前日までに、株主総会の特別決議で株式交換契約の承認を経なければなりません。特別決議とは、議決権を行使することができる株主の過半数が出席し、2/3の承認を得る必要がある決議のことをいいます。

株主総会での承認が、株式交換契約の効力を発生する条件です。しかし、例外的に総会決議を省略することができる場合があります。これについては、簡易・略式株式交換のところでご説明します。

4:反対株主からの買収請求

株式交換に反対する株主は会社に対して自己が保有する株式を公正な価格で買い取るように請求することができます(株式買取請求権)。その趣旨は、公正な価格を受け取って会社から離脱する機会を保障する点にあります。

ただし、簡易株式交換に該当する場合は、株主の利益に与える影響が軽微であることから、株式買取請求権は認められません。

株式買取請求権を行使するためには、反対株主は会社に事前に株式交換に反対する旨を通知する等一定の要件を満たす必要があることに注意しなければなりません。

5:株券提出の手続き

被買収会社が株券発行会社であった場合、効力発生日の1か月前までに、株券等の提出公告及び各株主等への通知が必要になります。

6:効力の発生・登記

効力発生日に買収会社(株式交換完全親会社)は被買収会社(株式交換完全子会社)の株式の全部を取得します。株式交換親会社の発行済株式を取得させる場合、資本金や発行済株式総数は増加しません。株式交換の場合は、完全子会社となる会社の株主構成が変動するだけで、その財産は変動しません。

7:事後開示書類を備置する

株式交換の効力発生日後遅滞なく、買収会社及び被買収会社は、株式交換に関する一定の事項を記載した書面(事後開示書類)を作成し、効力発生日から6か月間本店に備え置かなければなりません。

簡易株式交換・略式株式交換の手続きについて

原則、株式交換の契約について株主総会の特別決議により株主から承認を得る必要があります。しかし、簡易株式交換又は略式株式交換に該当する場合、この手続きを省略することができます。

具体的には、買収会社が交付する対価の額が買収会社の純資産額の20%以下の場合には、買収会社での株主総会の特別決議は不要です(簡易株式交換)。

また、買収会社が特別支配会社(被買収会社の議決権の90%以上を保有している)の場合も、被買収者での特別決議は不要です(略式株式交換)。

株式交換で注意すべき3つのポイント

ここでは、株式交換において特に注意すべき点を税務の原則的取り扱い、株式交換比率、そして税務の特例措置の3つの観点から説明します。特に税務の取り扱いにおいては適格株式交換か非適格株式交換かによって税務の取り扱いが大きく異なるため注意が必要です。

1:税務の扱いについて

株式交換における税務の取り扱いを知っておくことは他の買収スキームと比較して検討する上で必要不可欠です。そこで、まず株式交換における税務の原則的な取り扱いを説明します。適格要件を満たした適格株式交換の特例については後述します。

資産評価損益への課税について

株式交換では、被買収会社の株式が移動するだけで、被買収会社の資産の移動はありません。

しかし、吸収合併の場合と整合性を図るため、資産を時価で評価し、「時価-簿価」を税務上の評価損益として計上することとされています。時価が簿価を上回れば評価益が生じ、下回れば評価損が生じたことになるため課税所得が変わります。

株式譲渡損益への課税について

株式交換では、原則として被買収会社の株主は時価により当該株式を譲渡したものとして扱われます。「時価-簿価」を譲渡損益と見なされるため、課税対象です。

しかし、株式交換の対価が被買収会社の株式であるときは、当該株式の株式交換にかかる譲渡損益は繰延べられ税金を払う必要がなくなります。

2:株式交換比率について

株式交換比率とは、買収会社の株式と被買収会社の株式を交換する比率のことをいいます。例えば、買収会社の1株に対して被買収会社の株式を何株割り当てるかを示す比率になります。ここではその株式交換比率に関する注意点を説明します。

企業価値・株式交換比率の算定について

企業価値の評価方法は、大別すると、インカムアプローチ、コストアプローチ、マーケットアプローチの3つです。

インカムアプローチとは、将来期待される利益やキャッシュフローに基づいて算出する方法をいい、代表的なものにDCF法や配当還元法があります。

コストアプローチとは、被買収会社が保有している純資産に着目して算出する方法をいい、代表的なものに簿価純資産法や時価純資産法があります。

最後に、マーケットアプローチとは、上場している同業他社や類似取引事例等から相場の価格をもとに算出する方法をいい、代表的なものに市場株価法や類似会社比較法があります。

被買収会社の事業内容や取り巻く環境等を考慮の上、複数の評価方法を併用して金額を決めることになり、株式交換比率が不適切な場合、いわゆるアクティビスト(モノ言う株主)が価格の変更を要求してくるケースがあるため慎重に検討することが必要です。

端数株式・単元未満株式の処理について

株式交換比率は「1:0.5」のように少数となるのが一般的なため、被買収会社の株主に交付されるべき買収会社の株式に端数が生じる場合があります。

1株未満の端数があるときは、その端数の合計数に相当する数の株式を競売し金銭化したものを株主に支払うか、会社が買い取る必要があります。

また、株式交換によって単元未満株式が生じた場合も同様に単元未満株主は会社に対して単元未満株式を買い取るよう請求することができます。

株価変動時の対処法について

上場企業が株式交換する場合、株式交換を公表すると短期筋の投資家等の影響で、株式交換比率の算定時に参考にした株価よりも大きく変動する場合があります。この株価変動リスクに対処する方法は固定比率方式と変動比率方式の2つです。

固定比率方式とは、買収会社の株式価値を1として、被買収会社の株式価値をこの1で割る方式をいいます。株式交換を公表後、買収会社の株価が上がれば被買収会社の株主は含み益を享受でき、逆に買収会社の株価が下がれば、被買収会社の株主はそのリスクを負うということです。

一方で、変動比率方式とは、先に被買収会社の株価を決めて株式交換が実行される直前で買収会社の株価を用いて株式交換比率を決める方式をいいます。買収会社の株価が下落しても、被買収会社の株主は先に決めた株式価値を享受することができます。

逆に買収会社の株価が上がった場合、その利益を享受することはできません。

3:株式交換の税務の特例について

株式交換が、組織再編税制の適格要件を満たす場合、被買収会社において時価評価資産の時価評価課税は行われません。適格要件を満たすためには、株式交換の対価が買収会社の株式であることに加え、買収会社と被買収会社の支配関係に応じて定められた要件を満たす必要があります。

株式交換の仕組みやリスクを理解しておこう

株式交換は被買収会社を完全子会社化する方法としてとても便利な仕組みです。

しかし、その一方で会社法上の手続きが煩雑であったり、株価変動リスクや税務といったあらゆる専門的な知見を踏まえた上で進めていかなければなりません。株式交換のメリット、デメリットをしっかりと把握した上で慎重に検討していく必要があります。

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