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スタートアップのストックオプション発行|上場に向けてモチベ—ションをUP!


公開日:2022年1月31日  最終更新日:2022年11月18日

ストックオプションは、役員や従業員のモチベーションをあげる手段として利用されます。特にスタートアップ企業にとっては資金が充分ではない中、ストックオプションを活用することで機動的に人材を確保することができます。本記事ではストックオプションの発行について解説します。

ストックオプションとは

ストックオプションとは、株式を予め定められた行使価格で会社からその株式を購入できる権利のことをいいます。

ストックオプションは別名、新株予約権ともいい、スタートアップ企業の役員や従業員のモチベーションをあげるため、インセンティブ報酬というかたちで、ストックオプションを活用するケースが多くあります。

そして、スタートアップ企業の場合、事業が安定しないこともあり従業員に支払うことができる給料が充分ではないこともあります。そこで、ストックオプションを報酬とすることで、現在の給与が低くても、将来株価が上がれば多くの報酬により報いることができます。さらに、将来受け取れる株式の価値を高めようとする動機を役員や従業員に与えることもできるようになります。

これは、自社の成長性を高めることにも繋がります。

上場準備中の会社の資本政策とストックオプション

一般的に資金調達をするタイミングで、企業価値と株式の理論株価が決まります。そして、ストックオプションは将来的に株式を取得できる権利であるため、ストックオプションの発行価格は株式の理論株価と関係します。

そのため、資金調達のタイミングでストックオプションの発行数量を計画し、株主と調整します。

ストックオプション付与比率

経営者にとって、ストックオプションの発行で特に関心が高いのは、どれくらいのストックオプションの数を付与するかではないでしょうか。ここで大事なのはストックオプションを何個付与するかではなく、発行済株式総数に対して何割を付与するか、比率で考えることです。

ストックオプションが行使されると株式が割り当てられ、既存の株主の持分比率が低下するからです。持分比率に関する明確なルールはありませんが、一般的には最大15%程度にすることが多く、それを超える場合は上場審査で影響を与える可能性があると言われています。

ストックオプション発行手続き

ストックオプションの発行手続きは会社法の新株予約権の規定に則って行われます。ここでは、ストックオプションの発行に際して必要となる会社法の続きについて、募集新株予約権の募集事項の決定から、申込み・引受け、登記までの一連の概要を説明します。

募集事項の決定(株主総会特別決議)

新株予約権の募集事項の決定をする必要があり、非取締役会設置会社である場合、その承認機関は株主総会で、可決要件は特別決議になります。特別決議とは、総議決権個数の過半数の出席が必要で、その中から3分の2の承認を得る決議のことをいいます。

決定をしなければならない募集事項には、募集新株予約権の内容や数、行使に際して出資される財産の価格又は算定方法、行使期間等です。

また、株主総会で募集事項の決定を委任する特別決議をすることで、上記募集事項の決定を取締役又は取締役会の決定に委ねることができます。ただし、この場合でも、新株予約権の数の上限と払込金額の下限等については、委任決議の中で定める必要があります。

募集新株予約権の申込み・割当または総数引受契約締結

募集新株予約権を発行する手続きとして、申込みから割当てまで一連の手続きを踏む場合と、その手続きを省略して新株予約権の総数を引き受けてもらう契約を締結する方法の2つがあります。

申込み・割当ての方法による場合、会社は、募集新株予約権の申込者(役員や従業員等)に割り当てる数を通知する必要がありますが、総数引受契約を締結する場合、割当てする数の通知、申込み、割当てといった一連の手続きは不要とされるため手続きを省くことができるでしょう。

総数を引き受けてもらう先が予め決まっているのであれば、総数引受契約を締結することで、手続きを簡略化することができます。

ストックオプションの発行と登記

ストックオプションを発行したら登記が必要です。ストックオプションは会社法上、新株予約権として位置付けられており、ストックオプションの発行の登記事項は、新株予約権にかかる登記事項になります。

記載される登記事項は会社法第九百十一条第三項十二号で定められており、例えば、新株予約権の名称、新株予約権の数、新株予約権の目的である株式の数又は算定方法、新株予約権の行使に際して出資される財産の価格又はその算定方法等があります。

ストックオプション税制

ストックオプションは、役員や従業員のモチベーションを向上させるために報酬として発行されるものですが、過大な税負担が課されるとなると、そのモチベーションが阻害される原因にもなるでしょう。

ストックオプション税制では、租税特別措置法第二十九条の二で定められている要件を充たすことで、税制上の優遇措置を受けられることが認められています。以下では、ストックオプションに関する優遇措置を受けるための要件(適格要件)について説明します。

税制適格要件

ストックオプションに関する税制上の優遇措置を受けるためには、税制特別措置法で定められた適格要件を充たす必要があります。

詳細な要件は、同法第二十九条の二で定められており、例えば、新株予約権の発行内容や付与対象者、権利行使期間、権利行使価格、譲渡禁止規定等に関する要件があります。そこで、以下では税制適格要件の中で特にポイントになる要件について説明します。

令和元年改正法施行で対象者拡大

従来まで、税制優遇措置の適用対象者は取締役や従業員に限られていましたが、令和元年の改正法施行で外部協力者まで拡大しました。

これは、主にスタートアップ企業を想定しており、事業の運転資金がまだ充分ではないスタートアップ企業が柔軟にストックオプションを活用できることで、多様な人材を機動的に確保できるようにする狙いがあります。

ただし、付与対象となった外部協力者の範囲は無制限ではなく、例えば、プログラマーやエンジニア、弁護士や会計士等スタートアップ企業の成長に貢献する業務を担うと判断される者に限られます。

出典:経済産業省 ストックオプション税制の適用対象者を拡大します|経済産業省

権利行使期間

税制優遇措置を受けるためには、ストックオプションを行使するための期間について定める必要があります。無期限で行使期間を設けることは認められておらず、ストックオプションを付与する決議の日の2年後から10年を経過するまでの期間に行使することとしなければなりません。

権利行使価額

権利行使期間内にストックオプションを行使する際の価格です。税制優遇措置を受けるためには、権利行使価格は、ストックオプションにかかる契約を締結した時の株式の価格以上の金額とする必要があります。

出典:権利行使価額を「新株予約権発行の取締役会決議日の前日の終値」とした場合の税制適格の判定|国税庁

譲渡禁止規程

租税特別措置法では、ストックオプションに関しての契約の中で、ストックオプションを譲渡することが認められていません。そのため、その契約において、「ストックオプションを譲渡できないこと」とする内容を定める必要があります。

権利行使限度額

権利行使には限度額があり、租税特別措置法では、権利行使価格の年間の合計が千二百万円を超えないことが要件になっています。そのため、ストックオプションにかかる契約においては、権利行使限度額が千二百万円以下であるとする内容を定める必要があります。

株式交付

租税特別措置法において、ストックオプションの行使に際しての株式交付が、会社法第二百三十八条(募集事項の決定)の第一項に反して行われるものでないことが求められています。

保管委託

ストックオプションの行使によって取得した株式は、直ちに、交付した会社を通じて証券会社等の金融商品取引業者の振替口座簿に記載・記録、又は同業者の営業所・事務所に保管の委託・管理等信託とされる必要があります。

非上場会社のストックオプションの会計処理

ストックオプションの会計基準は、一般に公正妥当と認められる会計基準であるため、上場会社や非上場会社に関係なくこの基準が適用されます。

ただし、非上場会社のストックオプションの場合は、発行会社の株式の価格に関する情報が充分ではないため、適正な価格を見積もることが上場会社と比べて難しいことがあるでしょう。

そこで、非上会社の場合は、上場会社と異なって一般投資家がまだ存在しないことを勘案して、「自社株式の評価額」-「行使価格」=「ストックオプションの本源的価値」という算出の方法で処理することが認められています。

なお、ストックオプションの公正な価格を上記方法によって評価した場合、会計期間末のストックオプションの本源的価値の合計額等一定の内容を注記する必要があるので留意が必要です。

出典:企業会計基準第 8 号ストック・オプション等に関する会計基準 |公益財団法人 財務会計基準機構

ストックオプション導入を検討しよう

ストックオプションを発行することで、将来受け取れる株式の価値を高めようとするインセンティブが役員や従業員に働き、モチベーション高く業務に取り組むことが期待できます。

ストックオプションは資金が充分とはいえないスタートアップ企業でも、優秀な人材を機動的に確保して企業の成長性を高めていく手段としてとても有効な方法です。

また、ストックオプションの税制適格要件を充たせば過大な税負担も低減することができます。自社の成長性をあげる方法の1つとして、ストックオプションの導入を検討してみるとよいでしょう。

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