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会社売却の6つのメリット|会社を売る際の注意点とポイントも徹底解説


公開日:2021年6月25日  最終更新日:2022年11月18日

会社売却のためには専門的な準備や手続きが必要なため、なかなか具体的な行動に踏み切れない場合も多いでしょう。ここでは会社売却の概要、メリットやデメリット、M&Aについてなど具体的に説明していきます。企業に成長をもたらす会社売却の流れを把握しましょう。

会社売却とは

M&Aを活用した会社売却は増加傾向にあり、様々な目的で実行されています。 会社売却は、経営者の希望や経営状況に合わせた効果が期待できる方法です。

特に企業の経営者は、「会社売却の定義」「会社売却の主な理由」「会社売却が与える主な影響」などについて、理解を深めておいたほうがいいでしょう。

会社売却の定義

会社売却とは、会社の財産や権利・義務を第三者に売却することです。会社の財産とは、現預金や株式、営業用資産などの有形資産と、特許やブランド、開発システムなどの無形資産を指します。

会社の権利・義務とは、取引先との契約関係や従業員との雇用契約などのことです。会社売却は、株式譲渡によって会社全体を売却する方法と、事業譲渡によって特定の事業のみを売却する方法の2通りがあります。

会社売却の主な理由

企業の経営者は様々な理由で、M&Aを活用して会社売却をします。 「後継者不在の問題」「会社の将来についての不安」、新たな事業展開をするための「事業の選択と集中」「事業再編」などです。

ここでは、会社売却の主な理由である「後継者不在の問題」と「新たな事業展開」について解説します。

後継者不在の問題

中小企業では、後継者が決まっていないという問題が深刻化しています。株式会社東京商工リサーチ(TSR)の調査によると、2020年の「中小企業の後継者不在率」は57.5%(10万6573社)で、2019年より1.9%上昇しました。

「後継者難での倒産状況調査」では、2020年の倒産は11月時点で340件になっており、過去最多だった2015年(1~12月)の279件を大きく上回っています。

これに加えて、新型コロナウィルス流行による業績悪化など会社の将来について不安のある企業では、経営者に子どもがいても後継者にはならないこともあるでしょう。

このように、後継者不在の問題を抱えている企業の場合、M&Aを活用した会社売却を成立させれば後継者を探す必要はありません。

出典:2020年「後継者不在率」調査|東京商工リサーチ 

出典:「後継者難」の倒産状況調査(2020年1-11月)|東京商工リサーチ 

新たな事業展開

中小企業でも利益追求のために、事業の多角経営を行う企業が増えています。多角経営の場合、自社の経営資源を得意な事業に集中できなくなるというデメリットが生じるケースがあります。

そのため、戦略的に事業を選択し経営資源を集中することが必要です。M&Aを活用した事業譲渡を成立させれば、特定の事業に経営資源を集中できるため事業の発展や成長を期待できるでしょう。

また、「事業再編」でも、事業譲渡は有効です。企業では、特定の事業で「資金不足」「従業員の不足」「設備や環境の未整備」などの問題を抱えていることがあります。そのような場合、事業譲渡で買い手側企業の資金や人材などを投入すれば、事業再編が可能です。

さらに、会社売却をすれば短期間で多くの資金を得ることができるため、その資金を利用して新たな事業を始めることもできます。

会社売却が与える主な影響

M&Aで会社売却をした際には、従業員、取引先、売り手側企業の経営者、役員などに影響を及ぼします。会社売却をする際に売り手側企業は、その影響を考慮してしなければなりません。

ここでは、会社売却による従業員、取引先への影響について解説します。

取引先への影響

会社売却の際、取引先は、買い手側企業と取引契約を結ぶかどうか決めなければなりません。そのためには、事前に売り手側企業の経営者などに買い手側企業の信頼性などを確認しておいたほうがよいでしょう。

会社売却後にも取引を続ける際には、取引契約などを買い手側企業の名義に変更するなどの諸手続きが必要です。

従業員への影響

中小企業のM&Aを活用した会社売却の場合、従業員の雇用は維持されるケースが多いです。

「買い手側企業が、人材確保を目的としていることが多い」「売り手側企業の経営者が、従業員の雇用の維持を売却の条件にしていることが多い」「雇用契約が維持されるため、日本の労働法では従業員を簡単には解雇できない」などの理由があげられます。

従業員の待遇も良くなることがほとんどです。会社売却の際には基本的に、買い手側企業のほうが売り手側企業より規模が大きく、売却後は買い手企業の給与体系になるため、給与が上がるケースもみられます。

さらに、従業員が専門的なスキルやノウハウを持っている場合は、買い手企業に優遇され、より待遇がよくなる可能性もあります。

会社売却を行う事のメリット6つ

企業の経営者は、「高齢なので引退したいが後継者不在で廃業できない」などの悩みを抱えている人も多いものです。そんな問題を解決できる可能性があるのが会社売却です。会社売却には様々なメリットがありますが、ここでは6つご紹介します。

1:創業者や株主に多額の利益が得られる

中小企業では、後継者不在による廃業が年々、増えています。廃業するにしても、司法書士や税理士への依頼費用など廃業コストがかかります。経営はうまくいっているが後継者不在で廃業を考えている場合などは、M&Aによる会社売却を検討してみるとよいでしょう。

会社売却をすれば、廃業コストが必要なく売却資金を獲得できる可能性が高いからです。 企業価値の評価が高ければ、創業者や株主は多額の売却利益を得ることができます。

中小企業の場合は、創業者が100%株主になっていることが多いので、創業者自身に多額のお金が入ります。

会社の売却価格は査定によりますが、優良企業・大規模企業などであれば、数億円で売却できる可能性もあります。

2:後継者問題を事業承継によって解決できる

事業承継とは、現在の経営者から後継者へ事業を引き継ぐことです。事業承継は、大きく分けると「親族内承継」「役員・従業員承継」「M&Aなどによる第三者承継」の3つに分類することができます。

「M&Aなどによる第三者承継」とは、「会社売却による事業承継」のことです。「親族内承継」「役員・従業員承継」は、減少傾向にあります。 後継者問題を解決するには、会社売却による事業承継のほうがより効率的なためです。

国も相談窓口を設置するなど、事業承継を推進しています。経営者が高齢で後継者不在の場合、社員の雇用や取引先のことを考慮して、会社売却をするケースも多いです。

後継者不在が理由で事業を継続することが難しい場合、会社売却で外部から後継者を見つけることができます。株式譲渡をする場合は、企業名を残したまま第三者に経営を引き継ぐこともできるのです。

3:事業規模の拡大

M&Aによる売り手側企業と買い手側企業との相乗効果で、会社を成長させ事業規模が拡大することもあります。この相乗効果のことが、シナジー効果です。シナジー効果を目的としたM&Aには、会社の業種や業態の違いにより、水平型M&Aと垂直型M&Aがあります。

水平型M&Aとは、売り手側企業と買い手側企業が同じ業種・業態の場合のM&Aです。例えば、小売業であれば、売り手も買い手も小売業の企業です。同業種・同業態の会社を買収することで事業規模が拡大し、仕入コストの削減などを図れるのです。

垂直型M&Aとは、同業種でも開発・製造・流通・販売をそれぞれ行う会社が、サービスの統合を目的として行うM&Aです。すべてのサービスを一貫して行うことができるため、安定的な販路の確保や手数料などのコストを削減などにより事業規模を拡大することもできます。

水平型M&Aでも垂直型M&Aでも、買い手側企業が買収の効果に納得すれば、売却価格が高くなる可能性もあります。

4:社員の雇用が守られる

経営が厳しい状況にあるときや将来に不安を感じている場合、廃業を考えます。しかし、廃業すれば社員が職を失うことになるため、なかなか廃業には踏み切れません。 このようなときに、会社売却で事業承継をすれば会社が存続でき社員の雇用が守られます。

会社売却の際には、ほとんどの場合、買い手側企業に社員の雇用が引き継がれます。買い手側企業が、人材確保を目的として買収するケースなどが多いためです。会社売却では会社が存続するため、会社と社員の雇用契約も継続します。

そのため、雇用契約書に記載のある給与や労働時間などの雇用条件も守られます。

5:社員のキャリアアップ・スキルアップが見込める

M&Aを活用した会社売却の場合、一般的に買収を希望するのは大規模な企業です。 そのため、大規模な企業に属することで、社員のキャリアアップ・スキルアップが見込めるでしょう。

また、給与のアップや福利厚生の充実も期待できます。

6:会社経営における借入の連帯保証人から除外される

個人保証が、会社経営者の大きな負担になっています。個人保証とは、会社が金融機関から借入をする際に、経営者や親族などが連帯保証人になることです。個人保証には、「経営者による思い切った事業展開ができない」「早期の事業再生ができない」などの問題があります。

しかし、会社売却をすれば、企業に借入がある場合、株式譲渡であれば借入も買い手側企業が譲り受けてくれます。 買い手側企業が上場企業の場合は、ほぼ確実に連帯保証人から除外されるのです。買い手側企業が未上場企業の場合にも、買い手側企業が引き継ぐのが一般的です。

事業譲渡の場合は、一部の事業を売却して得た資金を借入の返済に充てることができます。また、経営者保証に関するガイドライン(経営者保証ガイドライン)を利用し、一定の条件を満たせば経営者の個人保証が外されます。

出典:経営者保証に関するガイドライン|中小企業庁

会社売却を行う事の注意点4つ

会社売却を行う場合、いくつかの注意点があります。買い手企業とトラブルを発生させないためにも、注意点をしっかり理解しておきましょう。ここでは、「売却方法」「ロックアップ」「マネジメントの変化」「意思決定のスピード」「買い手企業とのトラブル」について解説します。

1:売却方法を決める必要がある

会社売却をする際には、経営者の希望や今後の事業展開などを考慮して売却方法を決める必要があります。

「事業譲渡」「株式譲渡」「合併」「マネジメントバイアウト(MBO)」の特徴を理解しておきましょう。

事業譲渡の特徴

事業譲渡とは、会社が行っている事業の全部または一部を第三者に譲渡することです。会社が行っている全部の事業を譲渡することを「全部譲渡」、一部の事業を譲渡することを「一部譲渡」といいます。

事業譲渡では、譲渡する事業を売り手側企業が選べるのが特徴です。譲渡する資産や負債についても、契約で選ぶことができます。

事業譲渡のメリットは、「売却資金を一部の事業に集中できる」「会社経営を継続できる」などのことです。デメリットは、「手続きが複雑で、コストが大きくなる可能性がある」「株式譲渡などと比べると成立するまでの時間がかかる」などのことがあげられます。

株式譲渡の特徴

株式譲渡とは、売却会社の株主が持っている株式を買い手側企業に譲渡し、会社経営を承継する手続きです。譲渡人と譲受人が株式譲渡契約書(SPA)を締結し、株式の売却を行い株主名簿の書き換えをすると手続きが完了します。

株式譲渡は他のM&Aと比べると手続きが簡単なため、中小企業の会社売却ではもっとも多く活用されるM&A手法です。

株式譲渡には、「事業譲渡に比べて売却益に対する税金が安い」「会社が存続する」などのメリットがあります。株式譲渡のデメリットは、「株式の50%以上を売却すると実質の支配権がなくなる」「会社の負債が大きいと買い手がつきにくい」などのことです。

合併の特徴

合併とは、複数の会社を1つの法人格に統合するM&A手法です。 会社売却では売り手側企業の法人格は存続しますが、合併では売り手側企業の法人格が消滅するのが特徴です。

合併には、「買い手側企業に資金がなくても実行できる」「シナジー効果が期待できる」などのメリットがあります。合併のデメリットは、「他のM&A手法に比べて手続きが複雑」「株価が下落する危険性がある」などのことです。

マネジメントバイアウト(MBO)の特徴

マネジメントバイアウト(MBO)は日本語では「経営陣による買収」で、経営者や経営陣が自社の株主から株式を買収し経営権を取得する手法です。

マネジメントバイアウトには、「経営の効率化と迅速な意思決定が可能になる」「後継者問題が解決できる」などのメリットがあります。

マネジメントバイアウトのデメリットは、「既存株主と対立する危険性がある」「マネジメントバイアウトを行う際の資金調達の問題」などのことです。

2:ロックアップが発生する

ロックアップとは、会社売却後も売り手側企業の役員などが一定の期間、会社に残り、経営に携わることを義務付けることです。会社経営で重要な役割を果たしている人が会社に残るので、キーマン条項とも呼ばれています。

買い手側企業が、買収後も安定した会社経営を維持するために一定期間、前の経営陣に経営を任せるという手法です。ロックアップの期間は、一般的に1~2年程度に設定されるケースが多くなっています。

3:従業員のモチベーション維持策を考える必要がある

会社売却後には、マネジメントの変化によって社員のモチベーションが低下してしまうことがあります。企業文化や社風になじめなかったり、仕事内容や事業領域が変化したりして、ストレスを感じるケースも多いのです。

そのため、会社売却を行うときは、社員のメンタル面への配慮がとても大切です。

参考記事:会社が買収された後の待遇はどうなる?買収による3つの変化について解説|M&A toZ

4:意思決定のスピードが遅くなる

会社売却をすると、会社での意思決定のスピードが遅くなる可能性があります。買い手側企業が買収により、複数の会社で事業を運営すると利害関係が複雑化するためです。

会社売却を行う際の6つのポイント

会社売却を成功させるには、ポイントを抑えて行うことが大切です。以下のような売却のポイントを理解しておけば、経営者の希望や経営状況に合わせた売却も可能になります。

1:売却目的の明確化

M&Aによる会社売却を成功させるためには、売却の目的を明確にすることが重要です。

「後継者問題を解決したい」「事業を拡大したい」など、会社によって目的は様々です。自社の経営戦略に合わせて、売却の目的を明確にしましょう。

2:売却のタイミング

会社売却では、売るタイミングがとても重要です。売却のタイミングを間違うと、企業価値が下がって売却できなくなることもあります。例えば、会社の業績が悪い状態では企業価値が低下してしまうため、会社売却のタイミングに適しているとはいえません。

3:自社の強み・弱みの分析

会社売却では、自社の持つ経営の強み・弱みを明確にすることが、買い手企業のへのアピールになり、今後の事業計画に反映することもできます。例えば、「魅力的な取引先」「シェア」「特許・技術」などは強みになります。

会社を高値で売却するためには、自社の強みを磨くことが大切です。

これによって、会社売却後のトラブルも避けることができるでしょう。

4:買い手企業探し

会社売却では、相乗効果を発揮できる買い手企業を探すことが大切です。

相乗効果により、売却後に事業が成長・発展する可能性が高いためです。相乗効果が見込まれれば、会社売却を成功させることに繋がるでしょう。

5:専門家の助言

会社売却には、高度な専門的知見や買い手との交渉力が必要になるため、適切な専門家からのアドバイスを受けることが成功のカギとなります。

会社売却では、売り手企業の立場から買い手企業との交渉などを行って利益を最大化してくれるファイナンシャル・アドバイザー(FA)を見つけるとよいでしょう。

FAの協力を得ることで「売り手企業の利益を最大化できる」「M&Aの専門的なアドバイスを受けることができる」「売却までの期間が短く成約率が高くなる」といったメリットがあります。

参考記事:仲介、FAの違いは何?M&A業者選びの基本|M&A to Z

会社売却を円滑に進めよう

M&Aを活用した会社売却は、「後継者問題の解決」「事業の選択と集中」など多くのメリットがあります。

会社売却は、自社のさまざまな課題を解決するために役立つ手法です。経営者の希望や経営状況に最適な会社売却をすれば、事業の発展にも繋がります。

M&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」なら、会社売却の買い手となる企業をインターネット上で探すことが可能。FAによるアドバイスを受けることもできます。最適な買い手企業を見つけ、自社の課題解決につなげましょう。

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