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【企業買収を成功させたい経営者必見!】企業買収で成長戦略を実現する!

かんたんM&A力診断
かんたんM&A力診断

公開日:2021年11月30日  最終更新日:2022年5月20日

企業買収の基本的な流れから、メリットやデメリット、成功させるためのポイントについて説明しています。

市場規模が縮小している日本において、企業買収の件数は年々増加しています。企業買収で成長戦略を実現させたい経営者の方はぜひご覧ください。

企業買収とは

日本国内における企業買収の件数は年々増加しています。少子高齢化の影響で国内市場の成長が鈍化する中で、企業買収は企業の成長をスピーディに実現できる重要な選択肢と捉えられています。

また、中小企業においては後継者不在の問題も深刻であり、企業存続のために売却を検討するケースも増えています。企業規模の大小に関わらず、買収や売却については詳しく知っておく必要があるでしょう。

企業買収の定義

企業買収の定義ですが、ある企業が別の企業の経営権を得るために、新たにその企業の株式を一定割合以上保有することを指します。企業統合における代表的な方法の一つです。

発行済み株式数の過半数を得ると、株主総会で取締役の選任・解任などの普通決議を成立させることが可能であり、発行済み株式数の3分の2を超えると定款変更などの特別決議を成立させることが可能です。

企業買収のスキームは様々ですが、発行済み株式数の過半数以上を取得することで買収を実行します。

出典:e-Gov法令検索|会社法第第三百九条

M&Aと企業買収

M&AとはMerger and Acquisitionの略称で、企業の合併・買収を指します。企業買収もM&Aの手法の中に含まれます。

M&Aは企業全体の合併・買収だけでなく、事業譲渡や会社分割、株式譲渡などの一部事業の譲渡や、広義での資本業務提携を含めた総称として使われることもあります。

買収と合併との違い

企業買収と合併はどちらも買い手企業が売り手企業の経営権、支配権を得るために行われます。ただし、買収の場合は売り手企業が存続し、合併の場合は売り手企業が消滅する点が異なります。

企業買収の一般的な流れ

ここからは企業買収の一般的な流れについて説明します。企業買収の戦略を立案してからクロージングまでに要する期間は、早くて数か月、遅ければ1年以上かかるケースもあります。

それぞれのステップについて、重要なポイントに絞って説明します。

買収目的の明確化と戦略立案

まず、買い手企業は具体的な買収目的を明確化することと、自社全体の事業戦略を立案する必要があります。

M&Aや企業買収を通じて自社が獲得したいリソースや達成したい目的は、企業によって様々です。企業買収の目的を明確にすることで、相手先の選定や投資すべきか否かの判断の際に正しい選択を実行し、結果的に費用対効果の高い買収が実現できます。

また、買収について考える前に、自社の事業戦略が本当に企業買収することで達成できるかを判断する必要があります。買収目的の明確化や戦略立案に関しては、後述の「M&A専門家」に相談しながら進めていくことも重要です。

買収対象の選定

買収の目的が明確化され、戦略や方針を策定した後は買収対象の選定作業を行います。いくつかの基準を設定し、買収対象となり得る企業をスクリーニングする作業です。

選定における主な基準は、買い手企業とのシナジー効果が期待できるかどうか、買い手の事業戦略との整合性、売り手企業のブランド力や競争力、事業の規模感などが挙げられます。

一般的には、はじめにスクリーニングをかけた候補先をロングリストとしてリストアップしたのちに、さらに一定条件で絞り込んだものをショートリストとします。ショートリストの中から実際の買収候補として打診を行っていきます。

M&A専門家との契約

続いて、M&A専門家との契約を行います。M&A専門家はアドバイザーとも呼ばれ、金融機関や会計事務所、M&A専門会社などが該当します。

M&Aの専門家は、買収先企業の選定や相手企業との交渉、煩雑な事務手続きなどを代行してくれます。買収にあたって、一連の流れをサポートしてくれる存在であり、財務関係や税務、法律などの多くの専門知識を有しています。

初期的な条件提示・交渉

続いて行われるのが初期的な条件提示・交渉です。買収対象候補となる企業の中から、アドバイザーと検討した企業への具体的な打診が行われます。

具体的な条件提示の内容ですが、大まかな希望買収価格、スケジュール、スキーム、資金の調達方法などが挙げられます。売り手企業側の雇用継続や給与水準、福利厚生などの今後の待遇などについても明確にしておく必要があるでしょう。

基本合意書締結

売り手と買い手の双方で秘密保持契約を締結した後に、交渉により基本的条件が合意に達した段階で基本合意書の締結を行います。

基本合意書は様々な項目が含まれます。なかでも、買い手側がデューデリジェンスを行う権利や独占交渉権は重要であり、基本合意書に盛り込まれるケースがほとんどです。

基本合意書締結後は、売り手企業から今まで以上に詳細な情報提供を受けながらデューデリジェンスを実施します。そして、交渉期間中は買収価格や買収条件等について独占的な交渉を進めることが可能です。

デューデリジェンス

M&Aや企業買収におけるデューデリジェンスは、買収対象企業を詳細に調査することを指します。調査項目は多岐に渡りますが、事業内容や経営環境、財務状況や収益構造、法務や人事面のコンプライアンスについてなどを総合的に調査する必要があります。

買収価格を正しく算出するための重要なステップです。デューデリジェンスをしっかりと行わなければ、簿外債務の見落としや高値掴みの原因になり得るでしょう。

一般的にデューデリジェンスは、法律や税務・財務、対象会社に関連するビジネスコンサルなど各専門家に費用を払って外注するケースが多いとされています。

バリュエーション

M&Aにおけるバリュエーションとは企業価値評価を指します。会社や事業の収益性、資産価値、取引先や類似企業の株価などの様々な要素を基に企業価値を算定します。

バリュエーションの方法や考え方は様々です。類似企業の株価を参考にする「マーケットアプローチ」や、将来のキャッシュフローや収益性を参考にする「インカムアプローチ」、企業の純資産額を参考にする「コストアプローチ」などが代表的です。

評価方法にはそれぞれメリットとデメリットがあり、評価の目的によっても算定価値が変わることがあります。アドバイザーのサポートを受けながら正しい評価算定を行う必要があります。

条件交渉

続いて、具体的な条件の交渉に移ります。具体的にはM&Aのスキーム、買収価格、経営陣や従業員の処遇、引き渡し時期等について検討します。

デューデリジェンスで明らかになったリスク項目などに基づき、買収価格の見直しや、リスク低減のための保証設定や施策についても交渉します。

また、トップ面談のフェーズでは、信頼できる相手かどうかなどの数値化できない情報を得ることが出来ます。ここでは細かい条件の交渉というよりも、経営理念や価値観などをお互いに確認することが重要です。

最終契約の締結

売り手企業との契約条件の合意に達した後は、最終契約を締結し、法的に手続きを進めていきます。

クロージング

譲渡代金の支払いや株券の受け渡し、役員の交代や役員退職金の支払いなどの決済を行います。

クロージングの内容はM&Aのスキームによっても異なります。株式譲渡や事業譲渡、合併、株式交換など、それぞれ完了までのプロセスが異なるため注意が必要です。

PMI(統合プロセス)

PMIとはPost Merger Integrationの略称です。M&Aや企業買収成立後の統合プロセスを指します。具体的には、経営戦略やマネジメントの手法などの経営統合、実際の業務やインフラなどに関する業務統合、企業の文化や風土などの意識統合が必要です。

PMIは買収の検討段階で想定していたシナジー効果を得るために重要なステップと言えます。従業員の不安や反感などがリスクとして顕在化してしまうと、十分なシナジー効果が得られないのはもちろん、M&Aそのものが破談になるケースもあります。

企業買収の目的

M&Aを検討する上で、まずは目的を明らかにする必要があります。一般的に買い手側の目的として、経営資源の獲得や海外進出などが挙げられます。新しい事業や設備を一から作り上げるよりも時間やコストのリスクを抑えるメリットがあります。

市場が縮小している日本においては、企業買収における「時間を買う」という考え方が浸透しつつあります。既存事業か新規事業かに関わらず、事業拡大のための時間を早めることが企業買収の目的とされるケースが多いです。

一般的に企業買収の目的と捉えられている点について説明していきます。

経営資源の獲得

企業買収の買い手側の目的として、経営資源の獲得が挙げられます。

人口減少の影響で国内市場は縮小しており、資源(人的資本等含む)が限りある中でスピード感をもって実行することが厳しくなってきています。M&Aでは、すでに実績のある企業の買収により、リスクを抑えつつスピーディに経営資源を獲得することができます。

事業の多角化を図る上でも企業買収は効果的です。

自社の既存事業とのシナジー効果を見込める新事業の立ち上げは、収益性向上の面で魅力的です。一方で、新事業を一から立ち上げることはコストと時間がかかりますが、企業買収ではスピーディに事業の多角化を実現できます。

海外進出(クロスボーダーM&A)

買い手側の企業買収の目的として、海外進出のための活路を求めるケースが挙げられます。国内市場の縮小に対応するべく、海外進出を目指す企業は増えています。

海外進出のための時間短縮や、海外進出の失敗リスクを抑えるための手段としてM&Aが選択されています。一から海外での事業を立ち上げるよりも、すでに海外で実績のある企業を買収するという考え方です。

日本企業による外国企業の買収が増える一方で、外国企業による日本企業の買収も増えています。買い手が外国企業で売り手が日本企業の場合は「Out-In型」、買い手が日本企業で売り手が外国企業の場合は「In-Out型」と呼ばれます。

敵対的買収と友好的買収

買収には敵対的買収と友好的買収があります。買収側と買収される側の双方が合意している買収が友好的買収で、買収される側の経営陣の合意を得ていない買収が敵対的買収です。

敵対的買収は一般的に上場会社に対しては公開買付け(TOB)により仕掛けられることが多いです。一方で、友好的買収は相手方の同意が得られているため、様々な検討を行った上で買収を進めることができます。

日本国内で行われる買収は大半が友好的買収とされており、特に非上場会社における敵対的買収はほとんど起こっていません。非上場会社の場合は株式が市場に流通しているわけではないため、オーナーの同意を得ずに株式を取得することが困難であるためです。

敵対的買収とは

敵対的買収は、買収される側の企業の経営陣の合意を得ていない買収のことを指します。具体的には、買収対象会社の取締役会の同意を得ずに仕掛けられる買収のことです。

買収者は議決権を取得する目安となる、総株主議決権の過半数を取得することを目指します。一般的には公開買付け(TOB)によって買収を仕掛けることが多いです。

友好的買収とは

友好的買収とは、買収側と買収される側の合意に基づいて行われる買収のことを指します。相手方の同意が得られているため、様々な買収のスキームを選択肢として検討できます。

非上場のオーナー企業の買収では、オーナーの同意を得ずに株式を取得することが困難な点と、従業員の納得感を得る必要がある点から、友好的買収が選択されることがほとんどでしょう。中小企業では中核社員一人当たりの役割が大きくなるため、モチベーションの維持が重要です。

企業買収(M&A)の代表的な手法

企業買収の代表的な手法として、「株式譲渡」「株式交換・株式移転」「第三者割当増資」「会社分割」の4つが挙げられます。

合併とは異なり、買収の場合は買収される側の企業の法人格が存続します。上記4つのいずれかの方法を用いて株式を取得することで、会社の持ち主が変わるといった仕組みです。それぞれの手法について詳しく説明します。

1:株式譲渡

株式譲渡とは、売却会社の株式を買収会社に全て譲渡し、会社を売買する方法です。法律上、会社の中身は変わらずに所有者がそっくりそのまま移ることになり、債務や許認可、従業員の雇用契約なども引き継がれます。

株式譲渡は手続きが容易であることもメリットです。事業譲渡とは異なり、資産や契約などを全てそのまま引き継ぐため、手続きを簡素化できます。クロージングまでの期間も短くすることが可能です。

2:株式交換・株式移転

株式交換・株式移転による買収では、買収される側の株式を交換、移転することで子会社化されます。

株式交換と株式移転の大きな違いは、売却会社の株を既存の買収会社が取得するか、新たに設立した法人格が取得するかという点であり、前者が株式交換、後者が株式移転です。

株式交換

株式交換は、買収される会社が子会社となり、全ての発行済株式を買収会社に取得させて、完全親子会社関係を構築する手法です。経営統合や子会社の完全子会社化による経営効率の向上などを目的として用いられることが多いです。

買い手側は、株式取得の対価として自社の株式を渡すため、現金を使わずに買収を実行することが可能です。対価として現金を渡す場合は株式譲渡になります。

株式交換は非上場会社のM&Aで選択されることは珍しく、主に上場会社で用いられる手法です。

株式移転

株式移転は、買収される会社の株主が保有する全株式を新設会社に取得させます。新設会社は持株会社となり、買収された会社は子会社となります。

株式移転には一社の企業の株式のみを単独で移転するケースと、複数の企業の株式を共同で移転させるケースがあります。後者を共同株式移転と呼びます。共同株式移転の場合は、その企業間で親子関係が生じないことも特徴です。

株式移転では、事業を統合する際に、合併と比較してより緩やかに進められる点がメリットと言えます。一般的には、ホールディングスなどの持株会社を設立する組織再編で用いられます。

3:第三者割当増資

第三者割当増資とは、企業が特定の第三者に対して新株を発行し、引き受ける権利を割り当てる増資方法です。新株を発行せず、既存の自己株式を交付する自己株式処分もありますが、この場合は増資には該当しません。

M&Aにおける第三者割当増資について説明していきます。

第三者割当増資とは

第三者割当増資は企業の買収においても活用することが可能です。たとえば、発行された新株を引き受けた会社は議決権比率が高まります。議決権比率を過半数以上、取得すれば普通決議を可決することが可能で、3分の2以上を取得すれば特別決議を可決することが出来ます。

第三者割当増資がM&Aの手法として選択される場合、会社法上の手続きだけでなく、別途、多様な合意事項が締結される場合が多いです。一般的には、新株割当先と発行会社で資本業務提携を結ぶ目的として、第三者割当増資が選択されることが多いでしょう。

出典:e-Gov法令検索|会社法第第三百九条

4:会社分割

会社分割とは、とある事業に関する権利義務の一部または全部を別の会社に承継させる手法を指します。会社分割の特徴は、分割後に会社が存続する点です。スプリットアップと呼ばれることもあります。

会社分割である吸収分割と新設分割の2種類について説明していきます。

吸収分割

吸収分割とは、切り出す事業の権利義務を既存の会社に承継する手法です。特定の事業を他の会社に直接承継する場合は吸収分割を選択するケースが多いです。

新設分割と比較した際のメリットもあります。吸収分割では事業を承継する側があらかじめ許認可を取得しておくと、分割成立と同時に事業を開始することが可能です。タイムラグが生じることなく事業を開始できる点は新設分割との違いです。

新設分割

新設分割とは、切り出す事業の権利義務を新たに設立した会社に承継する手法です。事業の分割は1社だけでなく、複数の会社が共同で新設分割を行うことや、新設分割と株式譲渡を併用することも可能です。

切り出す事業を専門とする新会社を設立するメリットが大きい場合に、新設分割が採用されます。

一方で、吸収分割と比較したときのデメリットもあります。新設分割の場合、新会社設立後でなければ許認可申請はできず、事業開始までのタイムラグが生じることになります。

企業買収のメリット

企業買収のメリットは業界や目的によっても異なりますが、一般的には新規事業参入、事業成長のスピード化、シナジー効果・コスト削減、リスクの分散、財務力強化、節税などといった点が挙げられます。

それぞれについて詳しく説明していきます。

既存事業の拡大

企業買収によって、既存事業の規模やエリアの拡大を図ることが可能です。

規模の経済を働かせることで、コストダウンと収益増を目指すパターンがあります。取引量の増加により、取引先への交渉力が強化されるケースや、設備の稼働率を上げられるケースがあります。自動車や鉄鋼、化学、金融などを始めとする工場を保有する業界でよく見られるケースです。

新たなエリアへの進出を試みる際に、一から事業や店舗を立ち上げるのではなく、既にその地域で実績をあげている同業種を買収するパターンもあります。病院や老人ホーム、店舗型のクリーニングやコインランドリー事業などでよく見られるケースです。

新規事業参入

買収には新規事業参入を効率的に進められるというメリットもあります。

自社の設備投資だけで新規事業を立ち上げる際は時間やコストが大きくなります。必要な設備の整備だけでなく、従業員の雇用や育成、技術や新たなノウハウの習得と蓄積、流通チャネルや新規顧客の開拓などが必要です。

一方で、既に実績がありビジネスモデルができあがっている企業を買収することで、時間・コストの削減はもちろん、新規参入の失敗リスクを減らすことも期待できます。

事業成長のスピード化

企業買収によって、事業成長の速度を速めることも期待できます。

すでに必要な経営資源が揃った状態の企業を買収するため、時間と労力を削減することが可能です。これは新規事業に限らず、既存事業の成長に関しても当てはまります。

企業買収によって、自社の既存事業の弱い部分の強化を図るケースなどもあります。

シナジー効果・コスト削減

シナジー効果やコスト削減を狙った企業買収も行われています。シナジー効果とは、2つの企業や事業が買収によって統合された際に、1+1が2以上になる状態を指します。

シナジー効果の主な例ですが、ブランド効果やクロスセリング、アップセリング、技術やノウハウの統合、信用力や資金調達力の向上などが挙げられます。

コスト削減の例として、営業拠点や生産拠点の統廃合や物流コストの削減、重複部門の削減などが挙げられます。

リスクの分散

先述のように、企業買収によって新規事業参入の障壁が下がります。また、事業の多角化によりリスク分散ができる点も企業買収のメリットと言えます。

企業経営においては、新技術の台頭や顧客ニーズの変化などの様々な環境変化に対応する必要があります。万が一、一つの事業で撤退や縮小を余儀なくされた場合でも、複数の事業を運営していればダメージを抑えられます。

縮小、撤退した事業の人員や設備などを他の事業に振り分けることも可能です。業績悪化による経営規模縮小といった最悪の事態を避けられる可能性もあるでしょう。

財務力強化

企業買収によって財務力の強化も図れます。買収対象企業が保有する人材や不動産、設備といった有形の資産はもちろん、技術やノウハウ、ブランド力、信用力、取引先、流通チャネルなどといった無形の資産も取り込むことが可能です。

取引量が大きくなることで様々な仕入れコストを削減できたり、設備の稼働率をあげることで、規模の経済を働かせることができます。

節税

企業買収によって節税効果が期待できるケースもあります。日本より法人税率が低い国の企業を買収し、新本社を設立することで合法的に節税することが可能です。

租税地交換やタックス・インバージョンと呼ばれることもあり、近年は米国企業がこの節税方法を頻繁に行った影響から、規制が強化されつつあります。

企業買収のリスク

企業買収にはメリットだけでなくリスクも伴います。主に、買収対象会社に簿外債務などが存在する場合やPMIの失敗によるシナジー効果減少、のれんの減損リスクなどが挙げられます。

いずれも買収前の戦略立案やデューデリジェンスの徹底によりリスクを抑えられる可能性はありますが、リスクについて正しく認識しておく必要があるでしょう。

それぞれのリスクについて詳しく説明していきます。

簿外債務等の存在

企業買収のリスクとして、売却側の簿外債務などの存在が挙げられます。簿外債務とは貸借対照表に計上されていない債務のことです。例えば、未払い賞与や未払残業代などが簿外債務になっていることが多いです。

買収側がデューデリジェンスの際に簿外債務や偶発債務の存在を見落とすと、当初想定していなかったリスク、損失を後に被ることになります。交渉中に簿外債務等を発見した場合は、減額交渉や最終局面での破談に繋がるケースも想定できます。

PMIの失敗によるシナジー効果減少(アナジー効果)

企業買収のリスクとしてPMIの失敗も挙げられます。人事・労務関係の変更や経営方針の統一などが上手くいかず、従業員の不安や反感が募り、結果として人材流出につながるケースなどもあります。

新規事業の方向性が合わず、顧客へのアプローチが統合できずにノウハウが活かせないといったことも考えられます。

PMIが失敗してしまうと1+1が2以下になってしまうケースが起こり得るでしょう。このようにシナジー効果が減少してしまうことを、アナジー効果やディスシナジーと呼びます。

のれんの減損リスク

企業買収には、のれんの減損リスクも考慮しなければなりません。

そもそものれんとは、会社の実際の買収価格と、買収される会社の純資産額の差額のことを指します。超過収益力と表現されることもあり、目に見えない収益力という意味です。具体的には、企業のブランド力や信用力、利益創出のためのノウハウが該当します。

つまり、のれんの減損とは「実際に買収してみたら当初の想定よりも収益をあげることができなかった」ということになります。のれんの減損が起こり得る原因には、買収価格が高過ぎるケースや、PMIの失敗などによりシナジー効果が得られないケースなどが考えられるでしょう。

企業買収の成功のために

企業買収を成功させるためのポイントには主に、買収対象先の選定についてやデューデリジェンスの徹底、M&Aアドバイザーなどの専門家の活用、買収後のPMIを成功させるなどが重要だと考えられます。

買収対象選択のチェック

企業買収を成功させるポイントの1つに、買収対象選択のチェックが挙げられます。具体的にはシナジー効果やコスト削減効果が見込めるかどうか、買収対象先の規模が妥当かどうかを見極める必要があります。

それぞれについて詳しく説明していきます。

シナジー効果が見込めるか

買収対象選択をチェックする際に、シナジー効果が見込めるかどうかは重要なポイントです。シナジー効果とは、2つの企業や事業が買収によって統合された際に、1+1が2以上になる状態を指します。

シナジー効果の主な例として、ブランド効果やクロスセリング、アップセリング、技術やノウハウの統合、信用力や資金調達力の向上などが挙げられます。

買収対象の規模は妥当か

買収対象選択をチェックする際に、買収対象の規模もチェックする必要があるでしょう。対象先の事業規模が自社と比較して大きすぎると、買収のリスクが高くなります。

自社より規模の大きい企業を買収するとマネジメントが困難であり、シナジー効果を生み出すことが難しいと考えられることや、従業員同士の軋轢も生まれやすく派閥化してしまうことのリスクもあります。

買収金額が高すぎる場合は、のれん代が多く計上されているケースも存在します。思った以上に利益が伸びなかった場合にのれんの減も大きくなってしまい、一気に経営困難に陥るケースも考えなければなりません。

一般的には、自社と比べて規模が小さい企業や事業の買収を検討するケースが多いとされています。

デューデリジェンスの徹底

買収を成功させるにあたって、デューデリジェンスを徹底することも重要なポイントです。買収に際して、買収先の実態をできるだけ正確に把握しておくことがリスクを抑えることにつながります。

デューデリジェンスは通常、弁護士や会計士、経営コンサルタントなどを派遣して実施します。財務や会計処理、税務、人事、コンプライアンスに関する調査はもちろん、ビジネスモデルや取引状況、競合他社を含めた市場環境などについても調査します。

売却側の視点に立つと、自社内部に他人が入り込み様々な調査が行われるため、不快に感じることもあるでしょう。しかし、買収側の視点に立つと、大きな投資を行う上での責任とリスクを抑制する必要があります。

専門家の活用

企業買収を成功させるにあたって専門家の活用もポイントであり、顧問会計士や税理士、金融機関やM&Aアドバイザリーを上手に活用することが重要です。

専門家の主な役割には、売り手企業とのマッチングや紹介から、相手方との交渉、法務・税務・労務関係の専門知識を要する手続きなどが挙げられます。その他にもアドバイザーとして細かな相談にも乗ってくれます。

パートナーとなる専門家の選び方は、すでに取引のある金融機関などに相談する方法や、近年では様々なセミナーや相談会への参加、Webでの情報収集することも挙げられます。

買収後のPMI

企業買収を成功させるうえで、買収後のPMIも重要なポイントです。PMIの失敗により人材流出やシナジー効果の減少などが起こると、買収当初の想定よりも収益を稼げなくなってしまいます。

PMIを進める上で重要なポイントはいくつかありますが、社内の業務プロセスの整備や企業文化のすり合わせ、経営方針の統一といった業務面と意識面の2要素の統合を意識することが重要です。

企業買収価格の決め方

売り手企業の価値を算定して企業買収の適切な対価を定めます。売り手企業の価値よりも高値で買収した場合は後に損失として計上されるため、注意が必要です。

売り手企業の価値算定方法にはいくつか種類があります。それぞれについて説明していきます。

企業買収における企業価値評価とは

企業価値はエンタープライズ・バリューとも呼ばれます。企業買収における企業価値は、一般的に事業の特性、成長性、経営環境などから総合的に判断され、最終的には買い手と売り手の間の交渉で決められます。

非上場会社の企業価値評価は上場会社と比べて、基準となる市場価格が無いため難しく、目的に応じて適した評価方法を選択する必要があります。

企業価値を評価する目的は、オファー価格の妥当性の判断、ひいては投資するべきか否かの意思決定の判断基準を設定するためです。

企業価値評価の方法

企業価値評価の方法には大きく3つのタイプがあります。インカムアプローチ、コストアプローチ、マーケットアプローチの3つです。

インカムアプローチでは将来のキャッシュフローを基に企業価値を算出し、コストアプローチでは純資産を根拠に、マーケットアプローチでは同業他社の市場株価などを根拠に価値を算出します。

算出方法や根拠となる指標が異なるため、それぞれのメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

1:インカムアプローチ

インカムアプローチ法では、将来期待されるキャッシュフローを、利益実現に見込まれるリスクなどを加味した割引率で割り引いて企業価値評価を行います。

将来のフリーキャッシュフロー算定して評価を行うDCF法や、株主が受け取る配当額から評価を行う配当還元法などが代表的な手法です。

将来の収益性や企業固有の性質を反映できる点が長所と捉えられています。一方で、会社の継続を前提とした価値評価であるため、企業の継続性が疑わしい場合は評価が難しいとされています。

また、将来性や事業計画を基に価値評価を行う性質上、情報に恣意性が入る余地が大きい点は短所と捉えられています。

2:コストアプローチ

コストアプローチ法はネットアセット・アプローチ法とも呼ばれ、会社の純資産を基に企業価値評価を行う手法です。純資産を会計上の純資産額に基づいて評価を行う場合は「簿価純資産法」、時価に置き換えて評価を行う場合は「時価純資産法」と分けることが可能です。時価純資産法の中でも、さらに再調達原価法と清算価値法に分けることが出来ます。

再調達原価法は、企業が所有する資産や負債を現時点で取得し直す場合に必要な金額を基に評価を行う手法です。買収時点で、同様の事業を展開するためのコストと捉えることが出来るため、M&Aの実施可否の判断基準になります。

清算価値法は、企業が所有する全資産で全負債を弁済した際に残る金額を基に評価を行う手法です。解散を前提としているため、評価額がプラスの場合は法人税率を掛けて控除します。一般的に、この清算価値は株式価値の下限となります。

3:マーケットアプローチ

マーケットアプローチ法は市場価格を基に企業価値評価を行う手法です。代表的なものとして、市場株価法、類似会社比較法、類似取引比較法の3つがあります。

市場株価法は上場会社の価値評価を行う際に選択されます。1~3か月程度の期間内で、毎日の終値の平均を計算して評価額とします。短期的なマーケットの上下動の影響を排除して、その企業の企業価値を適正に反映するためです。

類似会社比較法は非上場会社の価値評価を行う際に選択されます。非上場会社の場合は市場株価が存在しないため、類似企業にあたる上場会社の市場株価を参考にして価値評価を行います。財務指標の差や流動性が欠如している点を考慮して計算されます。

類似取引比較法は、類似するM&Aの取引事例を参考に価値評価を行う手法です。ただし、中小企業のM&Aは財務数値が全て開示されるわけではないため類似度の判定が難しいです。類似会社比較法と比較して選択される機会は少ないとされています。

まとめ

企業買収の基本的な流れから、メリットやデメリット、成功させるためのポイントについて説明してきました。企業買収の魅力は様々です。

新規事業参入や既存事業の強化をスピード感を持って進められる点や、規模拡大により規模の経済性を効かせられる点は、市場が縮小している日本においては重要なポイントと言えます。本記事を参考に、M&Aや企業買収を検討してみてはいかがでしょうか。

M&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」では、M&Aを応援をしています。買い手企業探しをインターネット上で完結できるのはもちろん、経験豊富なアドバイザー(FA)の手助けを受けることも可能です。お気軽にお問い合わせください。

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