Sansan創業者・寺田親弘氏の功績
公開日:2021年11月26日 最終更新日:2022年11月22日

Sansan株式会社の創業者・寺田親弘氏は、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションを掲げ、事業の新規開拓を行ってきました。市場に存在しない状況から新規事業として立ち上げを行い、事業展開までに至った歩みについて興味を持っている方も多いでしょう。
また、上場に至るまでの間には、複数回の資金調達を行っています。資金調達の戦略についても、参考になるところがあるのではないでしょうか。
さらに、寺田氏は現在展開中の事業のみならず、新たな隣接領域でもさらに市場を拡大し、ビジネスインフラを構築するという目標を掲げています。この記事では、Sansan株式会社の創業から上場までの歩みや、今後の展望までをご説明します。
目次
Sansan設立までの歩み
寺田親弘氏は1976年、東京に生まれました。慶應義塾大学を卒業後、三井物産株式会社に入社し、米国勤務や社内ベンチャーの立ち上げなどを経て、2007年にSansan株式会社を創業します。
Sansan株式会社は、クラウド名刺管理サービス「Sansan」や交換した名刺からつながるSNS「Eight」などのサービスを展開する企業です。
資本金は2021年8月31日時点で63億33百万円、2019年6月に東証マザーズに上場しています。その後2021年1月に東証1部に市場変更を果たしました。2022年5月期の第1四半期実績(2021年10月8日公表)では、売上高が前年比で+25.4パーセントと好調なものとなっています。
出典:2022年5月期 第1四半期 決算説明資料|Sansan株式会社
出典:東京証券取引所マザーズへの上場に伴う当社決算情報等のお知らせ|Sansan株式会社
Sansan設立までの歩み/社長になるまでの歩み
寺田親弘氏は1976年、東京都に生まれました。幼いころから会社経営者であった父親の姿を見て育ったため、起業を意識することが多かったようです。そんな幼少期を経て、寺田氏は、慶應義塾高校から慶應義塾大学環境情報学部に進学します。
大学を卒業後、三井物産株式会社に入社しました。三井物産時代は情報産業部門に配属となり、ベンチャー企業の日本向けビジネス展開支援を行っていました。寺田氏の座右の銘は「挑戦と創造」で、これは三井物産の社是からきているとのことです。
その後、社内ベンチャーの立ち上げや関連会社への出向を経て、Sansan株式会社を創業しました。社名のSansanとは、「~さん」のさんであり、それが2つ並ぶことによって「人と人」や「出会い」を意味するものになっているといいます。Sansanのビジョンには、人と人との出会いの力でイノベーションを生み出したいという思いが込められています。
Sansan設立
Sansan株式会社は、「名刺の電子管理」という市場が盛り上がって大きくなってきたと考えられていることが多くあります。しかしそうではなく、実際には「名刺の電子管理」という市場自体をSansan株式会社が作り出してきたという方が正確です。
紙の名刺に対する問題意識があったことに加え、イノベーションと呼ばれる新しい文化や習慣を自ら生み出していくという姿勢で、名刺の電子管理という市場を開拓し、広げていきました。2021年に入り、企業のビジョンとして「ビジネスインフラになる」というビジョンを掲げて事業を行っています。
人と人との出会いを重要なものと考え、出会いがイノベーションを起こすきっかけとなるとの目的意識のもとで、Sansan株式会社は市場の中で新しいサービスを作り出しています。
もともとは法人向けの名刺管理サービス「Sansan」が主要なサービスでしたが、法人のみならず個人でも利用できる「Eight」というサービスを展開することでさらにSansan株式会社のサービスがリーチできる層を増やしていきました。
寺田氏は、名刺は現在まだソーシャルな価値を十分に引き出せていないと考えています。そのために市場を個人向けにも広げていく戦略を選択しました。そのような理由から、Sansan株式会社の主要サービスは、法人向けの名刺管理サービスに加えて個人向けの名刺管理サービスが加わりました。
この個人向けのアプローチには、名刺でつながるソーシャルメディアという新しい媒体を展開することで、名刺の立ち位置を変え、新たな価値を付加できるのではないか、というもう一つの狙いもあります。
Sansan設立後の功績、エピソード、苦労したこと
創業直後から2012年頃までは、資金繰りの面では苦しいこともありましたが、2013年から2018年頃までは、Sansan株式会社では積極的に資金調達が行われてきました。
当初、2011年の段階から上場を検討していましたが、もっと事業を拡大することを決意し、シリーズAで受けた投資をすべてテレビCMの広告費用に使う決断をします。まだマーケットを拡大する余地があると判断しての行動でしたが、テレビCMは予想通り認知度向上に大きく寄与しました。
その後も、2013年に5億円規模、2014年に14.6億円規模など、ベンチャーキャピタル等からの複数回の投資を主として、複数回の資金調達を実現しました。
上場を果たした現在は、単に広告を打ち宣伝を行うだけではなく、事業を展開して多角的に成長させる必要があると考えています。
出典:Sansan、総額14.6億円の第三者割当増資を実施 〜法人向け名刺管理・共有サービスを北米で提供開始〜|Sansan株式会社
寺田親弘氏とSansanの現在と未来について
名刺は、ビジネスのシーンにおいて、多くの場合出会いのタイミングで交換されるものであり、渡した人物を表す正確な情報が記載されているだけではなく、それをいつ、だれが、どこで、なぜ交換したのかという情報自体も大きな意味を持っています。
それにもかかわらず、名刺は、21世紀の現在でも紙のままであることから、管理・活用方法には、業務効率化や有効活用の大きな余地があるとSansan株式会社は考えています。この分野を成長の余地のある分野として、自社サービスをビジネスインフラ化するというビジョンを目指して事業を拡大しています。
また、現在は名刺サービスのみに留まらず、BillOneという請求書の電子化サービスを展開しています。こうしたサービスは名刺管理の隣接領域でもあり、これらのサービスを一括して展開できることで優位性を得られると考えています。
しかし、寺田氏は、現在展開中のサービス領域は、まだ現状ではグローバル市場のみならず国内市場でも、自社サービスの展開の余地がまだまだ大きくあると考えています。請求書だけではなく、契約書等も電子化の機運が起こりつつある昨今、ビジネスシーンのあたりまえを変えていくという大きな目標に到達するため、Sansan株式会社は新規事業も含めて今後もサービスを展開していくことを検討しています。
出典:2022年5月期 第1四半期決算説明資料|Sansan株式会社
寺田親弘氏のプロフィール
寺田親弘氏のプロフィールは以下の通りです。
- 生年月日:1976年
- 出身地:東京都
- 最終学歴:慶應義塾大学環境情報学部卒業
- 経歴:大学卒業後、三井物産に入社する。社内ベンチャー立ち上げ等を経て、2007年、Sansan株式会社を創業し現在に至る。
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