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コロナ禍での業績悪化から大逆転!出資を即断させたCEOが語る、M&Aクラウドの活用法


公開日:2022年8月5日  最終更新日:2023年1月23日

遊びやイベントでつながるフレンディングアプリを運営する株式会社つなげーと。「M&Aクラウド」を介して、2022年2月8日に株式会社ガイアックスから資金調達を実施し、事業拡大に向けて動き始めました。

今回のディールでは、初回面談時に出資意向を獲得することに成功。出資企業に即断させたポイントとは何だったのでしょうか。M&Aクラウドの活用方法から面談時の心構えまで、代表取締役の鈴木一郎様にお話をお聞きしました。

【 プロフィール 】
株式会社つなげーと 代表取締役:鈴木 一郎(すずき・いちろう)
1977年生まれ。山形県出身。横浜国立大学工学部卒業。出版社にて編集者、ベネッセコーポレーションで進研ゼミの教材開発やマーケティング、ぐるなびでソーシャルメディア事業戦略とアライアンス業務等を経て、当社を起業。

仕事の領域に縛られない、大人の部活動を作りたい

代表取締役:鈴木一郎

ーー御社は、遊びやイベントを通して友人を作っていくCtoCプラットフォームを展開されています。2010年に創業ということなので、もう10年以上事業を展開されているのですね。

鈴木:はい。創業当時はオンライン中国語会話の事業を展開していました。オンライン英会話の企業がたくさんあったので、それの中国語版を作ろうと考え、立ち上げた形です。

ーー社名は当時から「つなげーと」だったんですか?

鈴木:そうですね。「人と人をつなげるもの」が作りたいという思いがずっとあって、「つなげーと」という社名にしました。教師の中国人と、中国語を学びたい日本人を“つなぐ”イメージでしたね。

ーー現在のサービスを提供するようになった背景は?

鈴木:大きな転機は、2011年の東日本大震災です。当時は、絆とか、つながりとか、そういうものがとても大切だと強く認識されるようになった時期でした。私自身、元々そういう考えを持っていたこともあり、サークルの掲示板のようなものを作ったんです。それが原型となって、2015年に本格的に事業を立ち上げました。

ーー「人と人のつながり」にとてもこだわりを持ってらっしゃったんですね。どうしてそれほどの強い思い入れがあるのですか?

鈴木:2つの個人的な理由があります。1つ目は中学や高校の部活動が好きだったから。吹奏楽部だったんですけど、大会に向けて脇目も振らず、めちゃめちゃ熱心に頑張って。特に、仲間と一緒にやっているという感覚が楽しかったんです。そういう思いを大人になってもしたいなって思って。

2つ目の理由は、仕事以外の部分を生かせるような場を作りたいと思ったことです。実は私、工学部出身なんですけど、あまり大学では勉強せずに作曲家になろうと思っていたんです。

ーー専門とは異なる領域ですね。

鈴木:そうなんです。作曲家の先生にずっとレッスンを受けていて。大学卒業と同時に、東京藝術大学を3度受験しました。ただ、残念ながら合格とはならず、そのまま就職することになりました。

そうして会社に入ったわけですが、「業務以外の事柄は一切関係なくなってしまう」ということに気付いてしまったんです。仕事をしていると、趣味だったり特技だったり、そういった個人的な事柄には全く関わりがなくなりますよね。

誰しもタレントや才能を幅広く持っているはずなのに、会社では業務に関わる狭い部分でしかそういうものを求められないのが、すごくもったいないと思ったんです。

ーー業務以外は全て関係ないものと見なされてしまう違和感、ということですね。

鈴木:そうです。例えば、私だったら作曲の能力とかがあるわけですが、会社に入ればそれで勝てる場面なんてあるわけもなく。会社の業務を一生懸命やればいいという話かもしれないですけど、それってどうなんだろうと思って。それが、サークルの掲示板を立ち上げたきっかけになります。

コロナで売上激減! 突破口となった発想の転換とは

ーーそこからは順調にサービス基盤は整えることができたのでしょうか。

鈴木:それがちょうどコロナの時期を迎えることになりまして。それまでは人が活動していたので、それなりに高成長市場に見えたんですよ。ただ、コロナでアクセス数が一気に減り、マネタイズも難しくなりました。その時はどうしようって感じでしたね。

会社全体で話し合っていろいろと試行錯誤したのですが、最終的には「サークルよりもイベントにフォーカスしよう」ということになりました。ユーザーが求めているのは、定期的に何かを行う場ではなく、ふとしたスキマ時間に他の人と一緒に何かを楽しめる機会だと気づいたんです。イベントにフォーカスすることで、成長ビジョンが見えてきました。

ーーイベントの掲示板って、他にもいくつかあるかと思うんですが、「つなげーと」の特徴はどんなところでしょうか。

鈴木:お客様の安心・安全を担保するための仕組みを整えているところですね。例えば、他のサービスだと、サクラで参加人数が多そうに見せたりすることも往々にしてあるようです。なぜこういうことが起きるかというと、運営側がイベントの質を担保する必要がない構造になっているからです。イベントの主催者に対して固定のサービス利用料を課しているので、イベントが作成された時点で運営側はマネタイズできるんですよね。

当社のサービスは、イベントでの売上のうち何%かをイベントの取材者からもらうという構造になっています。つまり、多くの参加者を集められるようなイベントを企画しなければ、運営側の利益も上がらない。だからこそ、アカウントには実名登録をお願いしていますし、ガイドラインに沿って各イベントを管理しています。

イベントの主催者側の視点で言うと、人の集まるイベントを企画すればするほど、主催者も収入が増える構造なので、結果として質の高いイベントが多く集まっているのが「つなげーと」の特徴ですね。イベントの企画・開催だけで生計が成り立つほど収入を得ている「イベントクリエイター」もいます。

「普段出会えない相手と出会えた」 M&Aクラウドのサポートでつながった「ご縁」

ーー御社の事業の特徴がよく理解できました。整理すると、2019年に資金調達されてから、コロナ禍での試行錯誤も経て、2021年に改めて資金調達をされたわけですよね。

鈴木:そうですね。資金調達はもちろん常に継続的に考えているのですが、やはり大変な仕事なので、一定期間に集中して行うように心がけています。実は、2021年の秋頃にも、少し活動はしていたのですが、まだ早いかなと思って辞めようと思ってたんですね。ちょうどそのタイミングでM&Aクラウドさんからお電話をもらって、「せっかくなのでお願いします」と。

ーー弊社からお電話したタイミングがマッチしたんですね!M&Aクラウドのサービスはいかがでしたか?

鈴木:担当者によるサポートがあって嬉しかったです。資金調達の過程では、企業をピックアップして最初の接点を作る部分が一番大変なんです。M&Aクラウドでは、担当者が企業選びの相談に乗ってくれただけでなく、メッセージの文面についてアドバイスもしてくれたので、ありがたかったですね。心的な負担がとても減りました。

起業家と投資家が集まっているコミュニティーにも属していたので、資金調達のツテがなかったわけではありません。ただ、そこで出会えないような相手と出会えたのは、M&Aクラウドを使用して感じた大きなメリットでした。

あとは、各企業とのやり取りについて進捗が一目でわかるUXがいいですね。返信ができていなかったりするとチェックマークが付いていたりとか。そのリマインドのおかげで、アクションの「漏れ」は極力少なくすることができたと思います。

ーー弊社のご支援が役に立って嬉しく思います。一通り打診をされた後、今回ご成約された企業様とマッチングされたんですね。

鈴木:そうですね。当社の打診に対して、最初にメッセージをくださった先方の担当者が、広報界のスターのような方で。私自身、元々その方の著書も拝読していましたし、イベントでお会いしてご面談していただいたこともあったんです。この方からメッセージが来た時には、「ご縁」を感じましたね。

ーー2021年12月9日に御社から先方に打診されたのをきっかけに、12月13日からメッセージのやり取りが始まり、12月24日には初回面談。打診から約2週間で面談まで進められたのですね。

鈴木:はい、プラットフォーム上のチャットでやり取りをしていたのですが、先方の返信もとても早くて。そして、初回面談の時点で先方の代表とお会いすることができ、その場で出資することをほぼ決めてくださったんです。先方の代表は、当社の事業内容をとても深く理解してくださっていて、単純に嬉しかったです。

ーー初回面談の時点で出資意向を獲得できたということなんですね。「人と人をつなげる」ということを事業ビジョンで双方掲げていらっしゃるので、共通性が多かったのかなとも推測します。現在は、どのように連携をされているのでしょうか。

鈴木:出資企業の代表には当社の株主報告会に来てもらって、方針を共有させてもらっています。他にも、先方オフィスの一部を貸してもらって、当社が業務できるようにしてもらったり、先方が関わるイベントに登壇させてもらったりと、色々なところで力を貸してもらっていますね。私としても、「頑張ろう」というモチベーションになっています。

ーー今回の資金調達を経て、今後はどのように事業を進めていくご予定ですか。

鈴木:アプリ内のSNS機能を拡充していく予定です。現時点でも機能自体はあって、ユーザーが別のユーザーをイベントのチャットに招待したりするのに使われているのですが、まだまだ「ベッドに寝転がって使える」レベルには到達していない。

当社のサービスは、人がリアルに出会うものです。実際に人と会う前に何が必要かと言うと、「興味を持ってもらうこと」。ベッドに寝転ぶくらいリラックスしている時に、イベントの情報を眺めて、「楽しそうだな」と思う。それが、イベントへの参加につながると思うんです。そういう仕組みを作りたいですね。

資金調達のポイントは、「事業をアピールすること」ではなく「事業をやり抜くこと」

ーーさらにイベントが楽しくなるような仕掛けを考えていらっしゃるんですね。最後に、今資金調達を検討している企業に向けて、一言お願いします。

鈴木:資金調達をする中で何より大事なのは、「自分の事業をしっかりとやってきた」という自信だと思います。

ピッチ資料内での言い回しとか、事業をアピールすることばかりに気を取られてしまうこともあると思うんですけど、その分事業内容を充実させられていなかったら意味がありません。

逆に、「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤を繰り返しながら、事業に全力投球できていれば、面談時の質問にも自信を持って答えられるはずです。

質疑では色々なことを訊かれます。例えば、「どうしてこういう機能は装備していないのですか?」だったり、「成長エンジンは何ですか?」だったり。

でも、面談時に問いかけられる質問って、結局20問〜30問程度しかないですよね。事業に注力していれば、1万問以上に対して自分で答えを出して事業を進めているはず。面談時には、1万問のうちの20問〜30問に答えるだけでいいんです。逆に、事業のことを普段考えられていなくて、20問にしか答えられていないというような状態だったら大変ですが。

何を訊かれても、自分の事業をやり抜いてきたという自信があれば答えられる。そう思いながら、これから私も資金調達を続けていきます。

ーー事業をアピールすることではなく、事業自体を磨くことに専念する。ハッとさせられる一言でした。本日はどうもありがとうございました!

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