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ホールディングス化のメリット・デメリット|ホールディングス化の3つの手段も


公開日:2021年5月25日  最終更新日:2022年11月17日

ホールディングス化とは

ホールディングスとは、持株会社により、傘下のグループ企業(子会社)を統一的に支配する組織形態です。

この組織形態を取り入れる理由としては、グループ全体を統一的に管理する一方で、個別の事業については役割分担を明確化できる事や、意思決定のスピード向上、柔軟なリソースの配分等が挙げられます。

ホールディングス化は垂直分業的ガバナンスとも言われます。

ホールディングスの持株会社は3種類

持株会社は、持株会社が事業を行うかたわらグループ企業の株式保有によって支配しているのか、あるいは事業は行わず支配に特化しているのかによって分類されます。

過去、持株会社は独占禁止法により禁止されていましたが、業務の縦割りを排して企業活動の効率化を実現するため設立が認められるようになった企業形態です。

1:事業持株会社

事業を行う一方でグループ会社を支配する持株会社です。事業持株会社は、子会社の株式を保有し支配をする一方で、自らも生産活動等の事業を行います。

後述の純粋持株会社と対比して用いられる用語です。

2:純粋持株会社

事業は行わず、グループ会社を支配する事のみを行う持株会社です。

子会社の株式を保有し、その株式からの配当等が主な売り上げとなります。事業持株会社と対比して用いられる用語です。

3:金融持株会社

各種の金融機関を子会社グループとしてまとめ、株式保有する事により支配する企業です。

銀行や証券会社、信託銀行、リース会社等が子会社となりグループ化する事で、お互いの不得意分野を補う事や、金融再編への迅速な対応を行う事ができ、多くの金融機関がこの組織形態を取り入れています。

ホールディングス化のメリット

ホールディングス化により人材面のメリットと、役割分担による経営の効率化が実現します。

グループ内で経営者になることができたり、経営ノウハウを学び持株会社の役員にキャリアップするなどができることから、優秀な人材の確保や配置が可能となります。

また、持株会社は意思決定や投資決定など経営戦略に特化し、一方、子会社は事業戦略に集中するなどの役割分担ができるというメリットがあります。

これらのメリットにより、経営の効率化や迅速な意思決定等ができるようになります。

メリット1:優秀な人材の離職防止

例えば、ホールディングス化していない企業である場合、ポストには限りがあるため、従業員のキャリアプランには限界があります。モチベーションが上がらない優秀な人材が離職する事もありえます。

一方、 ホールディングス化でグループ内に子会社が生まれることにより、従業員にとっては、経営者を目指すというキャリアプランを描くことができるようになり、ひいては優秀な人材の離職防止にもつながります。

メリット2:モチベーションの向上

キャリアアップ志向や独立志向の強い従業員のモチベーションを向上させる効果を期待できます。

最終的には経営者という道が開かれている為、長期的に同じ企業でキャリアアップを行いたい従業員や、独立志向の強い従業員のモチベーション向上のきっかけとなります。

これは、前述のように従業員の離職数を抑える効果があると考えらえれています。

メリット3:意思決定を迅速化できる

持株会社はグループ全体の意思決定に特化した企業であるため、意思決定が迅速です。

事業についてはグループ各社が行い、持株会社は、グループ全体の管理・監督や、事業理念に基づいた意思決定等を担うといった役割分担がなされているため、グループ全体にとって最適な選択についての、意思決定が迅速に行われると言われています。

メリット4:投資・事業戦略を切り分け事業活動に集中できる

役割分担により、グループ各社は事業に集中できます。投資や事業戦略といった事柄を持株会社が担う為、グループ各社は専門の事業に集中する事ができます。

これが、ホールディング化の役割分担によるメリットと言えます。

メリット5:労働条件を柔軟に設計できる

ホールディングス化することで、労働条件を柔軟に設計することも可能になります。

例えば、冠婚葬祭事業では従業員の勤務日は土日が中心となる一方で、一般的なBtoB事業は平日勤務が中心です。

両事業を1社で営む場合に比べ、両事業を子会社化してホールディングス化することで、異なる労働条件に合わせた多様な労働条件を設計することができます。

メリット6:経営幹部人材の育成

後継者候補に子会社の経営者を歴任させ、経営者としての素養を身につけさせた上で、持株会社の経営幹部として登用するという手段が考えられます。

つまり、ホールディングス化により、経営幹部を育成する環境の整備も可能になるのです。

ホールディングス化のデメリット

ホールディングス化を実行することにより、人材面、経営コスト面や、セクショナリズムなどのデメリットが現れる場合があります。

デメリット1:経営コストが増大する

ホールディングス化すると複数子会社の業務が重複して、コストが増大する場合があります。

持株会社と各子会社に総務・人事・財務経理等のバックオフィスを設置すると、維持に膨大な費用が掛かります。

いかにバックオフィスの業務を効率的にし、費用をおさえていくかが、ホールディングス化の重要なポイントの1つとなります。

デメリット2:子会社の経営者が必要になる

ホールディングス化することで、子会社を含め経営者の資質のある人材が多く必要になります。

各社の事業全般に対する知識やスキルが求められるほか、人事・労務・財務に関する知見を併せ持つ経営者に適した人材の確保は容易ではありません。

デメリット3:意思疎通が円滑に進まなくなる可能性がある

ホールディングス化により、グループ内の企業にセクショナリズムが生まれ、コミュニケーション不足に陥る可能性があります。

子会社同士の関係性が希薄になるだけでなく、持株会社と子会社の間のコミュニュケーションが難しくなることも考えられます。

ホールディングス化の3つの方法

ホールディングス化の方法として「会社分割方式」「株式交換方式」「株式移転方式」の三つが挙げられます。それぞれメリット・デメリットがあり、自社の状況に応じた手段の選択が必要です。

方法1:株式交換

既存の2社間で、完全親会社と完全子会社を決める方法です。

親会社は、子会社の株式を100%獲得します。対価として、親会社から子会社に対して、株式や有価証券が交付される事がほとんどです。

参考記事:株式交換の主な手続き7つ|メリットとデメリットや株式交換の事例、株式移転との違いも解説|M&A to Z

方法2:会社分割

既存会社を複数の会社に分割する方法です。

事業を別会社に移して持株会社となる場合や、既存の他の会社に事業を承継させる場合、新たに設立した会社に事業を承継させる場合などがあります。

成長部門の独立化、不採算部門の切り離し、事業譲渡の際の契約が煩雑ではない、などのメリットがあります。

方法3:株式移転

持株会社を新たに設立し、既存会社は保有する株式を全て持株会社に移転し、子会社となります。それに既存会社は、再編を行う際の手続きが比較的スピーディーに行えます。

既存会社の事業運営に大きな影響が出ない事、会社分割方式に比べ資金や時間がかからない事等がメリットとして挙げられます。

中小企業経営がホールディングス化するメリット

ホールディングス化は、大企業のみならず、中小企業にもメリットがあると言われています。

メリット 1:全事業を管理する負担を軽減できる

グループ内で役割分担や、事業ごとに企業があることからリスクを分散することができます。

持株会社は経営戦略に、一方で子会社は各事業領域の事業戦略に集中することができるため、グループ全体でみると安定的な管理が実現します。

メリット2:成長戦略を実現しやすくなる

経営戦略を持株会社の専管事項とすることで、中長期的なビジョンにより成長戦略を展開することができます。

グループの最適化の視点で経営資源が投入されれば、継続的な成長が期待できます。

また、ホールディングス化されていない場合と比べ、グループに多く企業を抱えるため、多くの経営スキルを持った人材が必要となり、これを通して、組織力を強化し、成長する組織とすることができます。

自社の状況に合わせホールディングス化も検討しよう

これまで見てきたように、中小企業にもホールディングス化で享受できるメリットは多数あります。 自社の状況にあわせて、ホールディングス化も視野に専門家に相談するのもよいでしょう。

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