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資金調達の種類とその特徴|資金調達を成功させるポイントも解説


公開日:2021年5月28日  最終更新日:2022年11月18日

経営者が抱える課題のひとつは資金調達

新規事業の立ち上げ・事業の拡大・キャッシュフローの改善など、経営上のあらゆる場面でキャッシュの確保が必要です。

然るべきタイミングで、適切な方法で、必要な金額を調達することは、経営を行っていく上で重要な課題のひとつといえます。

資金調達とは

「資金調達=銀行融資」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

よくイメージされる銀行融資はポピュラーな資金調達方法ではありますが、これは数ある資金調達方法の内の1つにすぎません。

ひと口に資金調達と言っても実にさまざまな方法があります。

資金調達の定義

資金調達とは、会社の事業に必要な資金を調達することを指します。

資金調達は、その性質によって大きく分けて3つのカテゴリに分けられます。

【3つのカテゴリ別】資金調達の方法とその特徴

ここからは資金調達方法とその特徴について解説していきます。今回は、エクイティファイナンス、デットファイナンス、アセットファイナンスの3つに分けて解説します。

資金調達方法とその特徴についてご興味がある方は、参考にしてください。

1:エクイティファイナンス

エクイティファイナンスとは、新株発行を行い出資を受けることで資金調達を行う方法です。

エクイティファイナンスは、資金の返済義務が生じないという点が大きな特徴です。調達した資金は負債ではなく資本となるため、自己資本比率を高めることができ、結果として財務基盤の強化に繋がります。

第三者割当増資

第三者割当増資とは、特定の第三者に対して株式を発行しその売却益を得るという資金調達方法です。

第三者割当増資では、自社の役員・取引先・金融機関などの縁故者に株式が割り当てられることもあり「縁故募集」とも言われます。調達の結果、提携先や取引先との関係強化にも繋がります。

第三者割当増資は、ベンチャー企業(スタートアップ企業)の資金調達手段としても一般的な手段です。第三者割当増資調達した資金は返済する必要がなく、資本金の増加により企業価値の向上も見込めるためです。

ベンチャー企業が第三者割当増資を行う場合、主にベンチャーキャピタル(VC、ベンチャー企業に投資するファンド)や事業会社内のベンチャーキャピタル(CVC)、事業会社、個人でベンチャー企業に出資するエンジェル投資家などから出資を受けることが一般的です。

近時、事業会社がベンチャー企業に出資する例も増えつつあります。資金調達先を探すことができるマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」なら、出資したい企業がその戦略を記事として公開しています。

2:デットファイナンス

デットファイナンスとは、金融機関や公的機関からの借入や債券発行等、負債によって資金調達を行う方法です。

他の2つの資金調達方法と比べ調達先が豊富で、自社の状況に合った調達先を選択できるため、効率よく資金調達できることが特徴です。

また、デットファイナンスで調達した資金を元により高い利益を生む設備への投資が可能になり、自己資本比率に対する利益率が高まる「レバレッジ効果」が得られるというメリットがあります。

返済を滞らせない限り経営に介入されるリスクはありませんが、信用力の問われる資金調達方法と言えるでしょう。

銀行融資

銀行自らが貸し倒れリスクを負う「プロパー融資」と、信用保証協会が保証人となり融資のサポートを行う「信用保証協会付き融資」があります。

信用保証協会付き融資は手数料が発生しますが、一般的にはプロパー融資と比較してスムーズに資金調達できることが多いと言われています。

参考:初めての融資と信用保証 | 一般社団法人 全国信用保証協会連合会

公的融資

公的融資は、国や自治体が行う融資制度を活用する資金調達方法です。

具体的には、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫といった政府系金融機関や、地方自治体の制度融資を活用できます。

審査項目や提出資料が多く、手続きが煩雑であり時間がかかりやすいと言われていますが、銀行融資より低金利である点がメリットです。

流動資産担保融資

流動資産担保融資とは、流動資産(主に在庫・売掛金・手形・機械設備)を担保にして融資を受ける資金調達方法です。

日本における銀行融資では、不動産担保(建物・土地)や人的担保(保証人)がメインの担保とされてきましたが、不動産を保有している企業は資産的に余裕のある一部の企業に限られます。

一方で、流動資産は一般的な企業であれば有していることが多く、今まで使っていなかったリソースを活用して資金調達を行うことができる方法として注目を集めており、金融庁もその普及を後押ししています。

参考:ABL(動産・売掛金担保融資)の積極的活用について|金融庁

3:アセットファイナンス

アセットファイナンスは、企業が保有する有形・無形の様々な資産を売却することで現金化するという資金調達方法です。ここで言う「資産」とは、不動産や過剰在庫はもちろんのこと、知的財産権や売掛債権なども対象です。

アセットファイナンスでは、その企業の信用力よりも対象となる資産の信用力が重視されます。よって、これらの資産を持っている企業であれば、経営が思わしくない場合でも活用しやすい資金調達方法と言えるでしょう。

また、資産を売却して得た資金を借入金の返済に充てることで総資産額を減らすことができるので、経営指標が改善し、別の資金調達方法を活用できる可能性も高まります。

過剰在庫を売る

会社に保管している在庫を売却することで現金化する資金調達方法です。

売れる見込みの高い適正な在庫であれば経営にプラスの効果をもたらしますが、過剰な在庫の保有は、棚卸などに費やす管理コストや、場所を占有するといった保管コストが発生します。

過剰在庫の販売により割引販売の必要がある場合は、当初想定していたよりも利益が下回る可能性はありますが、適正在庫量を見直す機会になり、コスト削減に繋がります。

企業の売掛債権を担保にする

企業の売掛債権を売却する資金調達方法で、昨今は「ファクタリング」という名称で広く知られるようになりました。

通常、売掛金が支払われ現金が手元に来るまで1~2か月のタイムラグが発生しますが、ファクタリングを活用することで、売掛債権の回収期日到来前に売掛債権の現金化を行うことが可能になります。

また、売却した売掛債権の売却先が倒産しても返済義務が発生しないというメリットもあります。

営業権・商標権・特許権を売る

有形資産のみならず、会社が開拓した顧客網や販売ネットワーク、特許、商標権などの無形資産を売却することで資金調達を行うことが可能です。

これらの資産は目には見えませんが、経営を行う上で重要な資産と言えます。無形資産を取得したいと考える企業は多いため、売却できれば多額の資金調達に繋がる可能性があります。

資金調達を成功させるポイント

無形資産資金調達を成功させる上で大切なポイントは、資金調達の「目的の明確化」です。

資金調達方法は実に様々な種類があり、時にどの方法が自社にとって適した方法なのか、何のための資金調達なのかを見失ってしまいがちです。

自社が目指す将来の経営ビジョンはどのようなものなのか、ビジョンを実現するにあたり達成すべき経営目標は何なのか、目標に対する現時点の経営状態との乖離はどれくらいなのかなどを明確にし、ブレイクダウンして考えることで自社にとって最適な方法を導き出すことができます。

資金調達は、「手段」であって「目的」ではないということを念頭に置きましょう。

目的に必要な資金額を明確にする

何年後にどれくらいの経営目標を達成したいのか、そのために必要なリソースが何なのかを、時間軸と合わせて逆算して計算することで、現時点で必要な金額がいくらなのかが明確になります。

必要額を明確にした上で過不足なく資金を調達することは、その後の経営に影響を及ぼす重要なファクターです。

調達した資金が不足した場合、追加での資金調達に手間がかかりますし、融資を受けた直後の再融資は企業としての管理能力を銀行から指摘される可能性もあります。

また、多少の余剰資金を持っておくことは問題ありませんが、多すぎる資金を調達すると比例して利息の支払いも増加します。

よって、資金調達の際、その用途と必要な資金額を明確にすることが求められます。

金融機関や投資家から信用の確立

融資や出資をする側にとっても、資金は大切に扱わなければならないものです。資金調達を成功させるためには、金融機関や投資家から「この企業に投資しても問題ない」という信用を得なければなりません。

そのためには、現状の財務情報や中長期的な経営計画・事業計画、資金調達後の資金管理計画について具体的に説明する必要があります。

また、財務情報などの定量的な情報だけではなく、経営者自身の姿勢や人間性などの定性的な要素も、時に企業の信用に影響を及ぼします。よって、資金提供者に対し正確な情報を伝えることはもちろんのこと、経営者として信頼される言動を心掛けることが大切です。

自社に合った資金調達方法を選ぼう

さまざまな資金調達方法を解説しましたが、大切なのは「目的の明確化」です。どの方法が優れているかではなく、どの方法を活用すれば描いている経営ビジョンの実現に近づくことができるのか、という視点で考えるようにしましょう。

ただちに資金を調達しなければならないという事態に陥った場合、先のことまで考えられず場当たり的な方法を選択してしまいがちです。しかし、その選択により、将来の資金繰りに悪影響を及ぼし事業の継続を妨げることは本末転倒と言えます。

資金調達を行う際は、現在保有している資産の内容やキャッシュフローの状況を踏まえ、総合的に考えた上で検討することが望ましいでしょう。また、ひとつの方法ではなく、複数の方法を組み合わせることで、それぞれのデメリットを相互的に補完することも可能です。

自社内で十分な検討ができない場合は、専門家などの第三者の意見を仰ぐこともおすすめです。自社にとって最適な資金調達方法を選択し、さらなる成長を実現しましょう。

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