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買収された会社の従業員・役員の処遇はどうなる?企業売却を検討する経営者が気をつけること


公開日:2021年8月13日  最終更新日:2022年11月18日

本記事では企業買収後の従業員、役員の待遇について説明しています。今後M&Aを検討しているが、従業員の待遇がその後どうなるのかわからず事業売却に踏み出せないと悩みを抱えている経営者の方におすすめの記事になっていますので、ぜひ参考にしてください。

企業買収とは

企業の売却を検討しているけれど、企業売却後の従業員がどうなるのかわからず、なかなか売却まで踏み切れないという経営者の方もいるのではないでしょうか。

ここでは、企業売却後の従業員や役員がどうなるのかをわかりやすく説明します。

買収の定義

一般的に、企業の買収とは、株式の取得により企業の経営権を得ることをいいます。発行済み株式の過半数を取得すると、取締役の選任、解任などの普通決議を成立させることができます。

このため、企業買収をする際は少なくとも株式の50%以上の取得を目指すのが一般的です。

会社を売却する際は、株式の売却を通じて経営権を引き渡し、対価として現金を受け取るのが一般的な流れとなります。

また株式売却の他にも、事業譲渡や株式交換などM&Aにおける会社売却の方法はいくつもあるので、自社に適した売却方法を選択することが重要になります。

参考記事:
事業の売買(事業譲渡)とは?手順と売却メリット5つを紹介!
株式譲渡と事業譲渡の違いを比較!選択すべき基準も解説
株式交換の主な手続き7つ|メリットとデメリットや株式交換の事例、株式移転との違いも解説

買収された会社はどうなる?企業売却を成功させる3つのポイント

買収された後の会社における従業員や役員の待遇はどうなるのか、3つのポイントに絞って説明します。

M&Aの買収方法によって従業員のその後の待遇は変わってきます。本記事では特に、企業買収方法として一般的な「株式譲渡」と「事業譲渡」のケースにわけて、それぞれの場合の従業員の待遇について説明します。

また、買収された後の従業員のモチベーションを維持する方法についても解説します。

1:買収後の処遇は?気になる給与や報酬【株式譲渡編】

それでは株式譲渡における従業員の買収後の処遇について確認しましょう。株式譲渡では、買収された会社の株を引き渡すため経営者が変わりはするものの、従業員の待遇は基本的に変更はありません。

株式譲渡によって買収された会社の給与と退職金【従業員編】

まずは株式譲渡によって買収された会社の給与と退職金についてです。

株式譲渡後の退職金と事業譲渡後の退職金を比較するのは、2つの売却の方法によって従業員の給与と退職金の扱いが変わってくるからです。

特に、M&Aは会社が売却されるという従業員にとってはかなりセンシティブな話になるため、必ず従業員に対して説明をするようにしましょう。

株式譲渡における従業員の給料と退職金は以下のようになります。

1.給与は原則変わらない

2.退職金についても変更なし

株式譲渡の場合には、経営権の移転が発生するだけなので、給与についても退職金についても基本的には今まで通りになります。

株式譲渡によって買収された会社の役員報酬と退職慰労金【役員編】

株式譲渡を実施することで、企業の経営権は買収先の企業に移ります。このため、基本的には役員報酬と退職金を決めるのは買収先の企業になります。

株式譲渡における退職金の扱いは以下のようになります。

1.役員報酬は買収先の企業が決定する

2.退職金についても買収先の企業が決定する

ただし、「退職金についても買収先の企業が決定する」については事業売却における段階で決定をしておくケースもよくあります。

なぜなら、買収先の企業は株式譲渡にかかる手数料+役員報酬の支払い両方を支払う必要があるからです。

役員報酬の金額については以下の式で決まります。

所得税額=(退職金の総額 − 退職所得控除)×1/2×税率−控除額

買い手からすると、株式譲渡に係る金額と合わせて役員報酬も支払うことになるため、基本的には役員報酬の金額も含んだ金額を株式譲渡の金額に乗せることが多いのが実情です。

2:買収後の処遇は?気になる給与や報酬【事業譲渡編】

次に事業譲渡における従業員の給与と報酬について詳しく説明いたします。

事業譲渡では、事業譲渡の範囲を細かく設定できるのが強みですが、包括契約ではないため、個別で諸々の契約を結び直す必要があることが株式譲渡との違いです。

事業譲渡によって買収された会社の給与と退職金【従業員編】

事業譲渡では、事業譲渡の範囲を細かく設定できるのが強みですが、包括契約ではないため、個別で諸々の契約を結び直すことになります。

このため、事業売却により移籍する従業員は買い手企業と新たな雇用契約を結び直す必要があります。

事業譲渡後の従業員の給与と退職金の扱いは以下の通りです。

1.給与は雇用契約により再決定する

2.退職金についても再度契約を締結し直す必要がある

基本的には前例踏襲で、今までの給与が継続されるケースがありますが、注意しなければならないのが従業員の退職金です。

退職金は継続年数によって金額が変わってきます。このため、買い手と従業員とが雇用契約を結ぶ際、勤務年数には従業員の前勤務年数を含めるかを明確に買い手と交渉が必要になります。

こうした取り組みについては、会社のトップ同士で決定をしておくと従業員もスムーズに話を進めることができますので、必ず確認をしておくようにしましょう。

事業譲渡によって買収された会社の報酬と退職慰労金【役員編】

事業譲渡によって事業が売却された場合、売却された事業は買い手企業へと移りますが、その他の事業は全て既存の会社に帰属することとなります。

また、事業譲渡による売却代金により生じた売却益は全て法人に入るため、社長や役員などがこの譲渡益を手にすることはできません。

そのため、事業譲渡によって買収された後の会社の報酬と退職慰労金の扱いは以下の通りです。

1.報酬は変化なし

2.退職慰労金にも変化なし

どちらも、経営者が変わらないことが主因です。

会社を売却する際に注意したい2つのポイント

会社売却はもちろんメリットだけではありません。ここでは最後に、会社を売却する際の注意点として「合意書の内容によって待遇が変わる」「M&Aの手法によっても待遇が変わる」について説明していきます。

合意書の内容によって役員や従業員の待遇が変わる

譲渡企業と譲受企業の間で交わされる基本合意書によって全てを決められる訳ではありませんが、役員と従業員の待遇を決める際には、できるだけその旨を基本合意書に記載するようにしましょう。

譲受企業との見解の相違をなくすためにも、口約束での合意だけを取ることはおすすめできません。

M&Aの手法によっても待遇が変わる

今まで説明をしてきたように、M&Aの手法によっても待遇は変わりますので注意が必要です。株式売却の場合は会社全体の持ち主が変わるため、個別の契約が必要ないのに対し、事業譲渡の場合は会社の一部分のみを切り離す形になるため、個別契約を再度締結する必要があります。

自社にとって何が最適なのかを検討した上でM&Aを実施することが大切です。

まとめ

本記事では、企業売却後の従業員がどうなるのかについて説明しました。

従業員や役員にとって、会社売却にともなう移籍は決してネガティブなことではなく、むしろ新しい可能性につながることはご理解いただけたのではないでしょうか。

ただし、従業員や役員に会社売却を前向きにとらえてもらうには、これまで解説してきたとおり、M&A手法の慎重な選択や買い手企業との合意が大切になります。買い手企業との交渉を独力ですすめるのが難しい場合は、M&Aの専門家に相談することも有効です。

M&Aのマッチングプラットフォーム『M&Aクラウド』では、インターネット上で買い手企業を探すことが可能。買収後の従業員を自社の仲間として暖かく迎え入れることを明示する買い手企業も多数登録しています。併せて、同サービス上で、経験豊富なM&Aアドバイザーに相談することも可能。

企業売却を検討するなら、まずは『M&Aクラウド』で買い手企業の姿勢を調べるところから始めてみるとよいでしょう。

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