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企業合併の5つのメリットとは?デメリットや税務も詳しく解説


公開日:2021年8月31日  最終更新日:2022年11月17日

企業合併には、吸収合併と新設合併があり、両者の違いを把握した上で自社に最適な手法を選ぶことが重要です。

本記事では、企業合併の種類からメリット・デメリット、税務に関する知識まで詳しくご紹介します。M&Aを検討中の方は合併の基礎知識を身につけましょう。

企業の合併とは

合併とは、複数の企業が1つの法人格へ統合するスキームです。ここでは、吸収合併と新設合併の違いとそれぞれのメリットをご紹介します。

吸収合併

吸収合併とは、1つの会社が他の会社を取り込むスキームです。吸収された会社のすべての資産が吸収した会社に引き継がれます。

一般的には、規模が大きい会社が小さい会社を吸収します。また、コスト削減やシナジー効果等を目的に、親会社が子会社を吸収するケースもあります。

吸収合併のメリットは、手続きが簡素で手間と時間を削減できることです。存続会社の権利関係の再申請も不要です。

新設合併

新設合併とは、合併する複数の会社を解散し、1つの新しい会社を作ってすべての資産を移転させるスキームです。合併する会社がすべて消滅するため、吸収合併と比べてメリットよりもデメリットの方が大きく、現在はほとんど行われていません。

新設合併では、株主が新設会社から株式または社債を受け取りますが、吸収合併では消滅会社の株主が存続会社から株式または社債、もしくは現金を受け取ります。

吸収合併の場合は存続会社の許認可が消滅することはありませんが、新設合併だと新しく会社を作ることになるので、許認可の再申請が必要です。

参考記事:
合併と買収の違いは?合併・買収に使う各手法の特徴と、メリット・デメリットを解説

企業合併の5つのメリット

企業合併を選択すべきかどうか判断するために、メリットを事前に確認しておきましょう。企業合併におけるメリットを5つご紹介します。

シナジー効果を発揮できる

シナジー効果とは単純に足し算をした以上に効果が現れる相乗効果のことです。合併におけるシナジー効果は、合併する複数の会社が別々で事業を行うよりも、ひとつになることで新たな付加価値が生まれたり、重複する事業コストの削減ができたりすることで大きな効果を発揮できることを意味します。

下記でシナジー効果を狙った合併の事例をご紹介します。

日本創発グループは、グラフィックグループ株式会社の株式の一部を取得しました。また、日本創発グループを存続会社として、グラフィックグループ株式会社と吸収合併しています。

参照ページ:グラフィックグループ株式会社の株式取得及び吸収合併による日経印刷株式会社の完全子会社化に関するお知らせ

この事例では、事業領域の近い両社が保有する製造設備や製造管理技術、印刷技術などの経営資源を融合発展させることで、印刷物製造の効率向上や品質向上、さらにはワンストップサービスなど、顧客の要望への対応力が向上し、企業価値の向上に導くシナジー効果を狙っています。

株価上昇などの利益を得られる

株主が合併に対してポジティブなイメージを持った場合、株価が上昇する可能性があります。吸収合併はそれぞれの会社が対等な立場で統合する側面があることから、ポジティブに捉える株主が多いといわれています。

買い手側の資金が不要

吸収合併は、消滅会社に合併の対価として株式を渡すことも可能です。その場合、現金が不要なため、現預金が多くない場合でも資金調達を行わずに実施できます。

低コストで事業の拡大が可能

合併では、消滅会社から優秀な人材や事業用の設備、販売網、取引先などを取得できるため、低コストでの事業の拡大が可能です。また、技術開発や従業員の教育などに要する時間を短縮できるため、スピーディーに事業を軌道に乗せることが可能となります。

権利義務・資産を継承できる

事業譲渡では、事業に必要な権利義務や資産を個別に引き継ぐ必要があります。一方、吸収合併では権利義務を包括的に引き継げるため、手続きを簡略化できます。

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企業合併における3つのデメリット

企業合併にはいくつかのデメリットもあります。ここでは、企業合併のデメリットを3つをご紹介します。

他のM&Aよりも手続きが多い

企業合併の手続きは事業譲渡や株式譲渡よりも多いため、手間と時間をかかります。企業合併に必要な手続きは会社法で定められており、手続きを正しく行わない場合は合併が無効になるため、専門家のアドバイスの下で行うことが重要です。

株価が下落する可能性がある

吸収合併に対する印象は株主によって異なります。吸収合併に対してネガティブなイメージを持つ方が多い場合、株価が下落する可能性があります。

実際に株価が上がるか下がるかは、合併しなければわかりません。そのため、株価の上昇・下落を理由に合併を行うことは避けた方がよいでしょう。

経営プロセスの負担が大きい

合併の際は、人事制度やITシステムなどを統合する必要があります。また、統合の際は従業員の感情やデューデリジェンス(Due Diligence・DD)で発覚したリスクなどを考慮する必要があるため、必ずしも成功するとは限りません。

この統合プロセスには多大な労力と時間がかかるため、従業員に大きな負担がかかります。コア業務に支障をきたし、一時的に収益が低下する可能性も否定できません

スムーズに統合を進めるためにも、合併の契約段階で具体性のある計画を立案することが大切です。

企業合併に必要な手続き

企業合併には、次の手続きが必要です。

  • 合併契約締結のための取締役会決議
  • 合併契約の締結
  • 債権者への異議申述公告・個別催告
  • 事前開示書類据置
  • 株式買取請求に係る株主への通知、公告
  • 株主総会招集手続
  • 株主総会決議
  • 合併の効力発生
  • 事後開示書類据置
  • 吸収合併に係る変更登記

また、簡易合併と略式合併のケースも確認しておきましょう。簡易合併とは、一定の要件を満たす場合に存続会社の株主総会承認を省略できるスキームです。

また、略式合併は消滅会社が一定以上の議決権を支配する場合に、消滅会社の株主総会の承認が不要になるスキームです。通常の合併と比べて手続きの数が少ないため、時間と手間を抑えられます。

参考記事:
吸収合併のメリットと主な手順|新設合併との違いも解説

合併に伴う税務

合併における税務については、税制適格合併と税制非適格合併で異なります。ここでは、合併に伴う税務の種類とそれぞれの内容をご紹介します。

税制適格合併

税制適格合併は、一定の要件を満たした場合に資産などの移転を帳簿価額による引き継ぎがされたと見なされ、譲渡損益の計上を繰り延べることができるものです。税制適格合併では、非適格合併のようにみなし配当課税は生じません。

税制適格合併の要件は次のとおりです。

(1)100%の資本関係

・存続法人の株式のみを対価とする

・「交付された株式のうち継続して保有する見込みのもの」と「保有株式の合計」が消滅会社の発行済株式の80%以上

(2)50%超えて100%未満の資本関係

・存続法人の株式のみを対価とする

・「交付された株式のうち継続して保有する見込みのもの」と「保有株式の合計」が消滅会社の発行済株式の80%以上

・従業員の80%以上が引き継がれる見込みがある、主要な事業の継続の見込みがある

税制非適格合併

非適格合併の場合、消滅会社の株主は時価で株式を譲渡し、合併新株などの交付を受けたものと見なされます。

そして、みなし配当と譲渡損益が発生し、これらに課税されます。また、繰越欠損金を引き継げるのも適格合併のケースに限ります。

まとめ

企業合併は、株式譲渡や事業譲渡と比較した上で、自社に適した場合に行いましょう。また、手続きが煩雑なため、基本的な知識を身に付けた上で、まずは専門家に相談してみることがおすすめです。

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