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スタートアップの資金調達方法とは?4つの成長フェーズごとの資金調達方法を紹介


公開日:2021年8月31日  最終更新日:2022年11月18日

スタートアップ企業にとって、資金調達は事業の成長を左右する重要な課題であり、自社の状況や資金調達の目的に合わせて、適切な資金調達方法を選択する必要があります。本記事では、さまざまな資金調達方法の内容や特徴を具体的に紹介します。

参考記事:資金調達とは?具体的な方法・種類からメリット・デメリットまでわかりやすく解説!

スタートアップ企業の資金調達方法は?成長フェーズごとの資金調達方法を紹介

スタートアップ企業にとって資金調達は、事業の成長を左右する重要な課題です。資金調達にはさまざまな方法があり、企業の成長フェーズや資金調達の目的によって、適切な資金調達方法は変化します

本記事では、さまざまな資金調達方法の内容や特徴を具体的に紹介します。

スタートアップ企業とは?ベンチャー企業との違いは何?

近年ビジネスの場でよく耳にする、「スタートアップ企業」と「ベンチャー企業」には、どのような違いがあるのでしょうか。

明確な定義はありませんが、両者はほとんど同一の意味で使用されており、ベンチャー企業と呼ばれる設立間もない企業のうち、特に最新のテクノロジーを活用して急速な事業成長を狙う企業群を「スタートアップ企業」と呼ぶことが多いようです

また、これまでベンチャー企業と呼んでいた企業のことを、近年ではスタートアップ企業と呼ぶなど、両者を同一の意味で使用するケースも増えてきました。

スタートアップ企業が使える資金調達方法

スタートアップ企業が使える主な資金調達方法には、大きく分けて「投資家から出資してもらう方法(エクイティ・ファイナンス)」と「金融機関から融資してもらう方法(デット・ファイナンス)」の2つがあります

以下では、それぞれの資金調達方法の内容や特徴を具体的に紹介します。

投資家から出資してもらう

1つ目の資金調達方法は、投資家から出資してもらう方法です。スタートアップ企業が出資による資金調達を行う場合、主に以下の投資家から出資を募ることが多いです。

・個人投資家(エンジェル投資家)

・ベンチャーキャピタル

以下では、それぞれの投資家についての特徴を紹介します。

1:個人投資家(エンジェル投資家)

個人投資家(エンジェル投資家)とは、主に設立前後のスタートアップ企業やベンチャー企業に対して出資を行う個人の投資家のことを指します。

多くのケースでは、資金提供の見返りとして出資先の株式が割り当てられます。

エンジェル投資家の中には、起業家やスタートアップ企業の経営者としての経験を持っている人も多いため、ビジネスアイディアの提供や協業先の紹介等により、事業成長を支援してくれるケースもあります

また、機関投資家から出資を受ける場合と異なり、投資家個人の資金から出資を受けることになります。したがって、出資金額が比較的小規模になりやすい一方で、着金までのスケジュールが短い傾向があります。

2:ベンチャーキャピタル(VC)

ベンチャーキャピタルとは、設立前後のスタートアップ企業やベンチャー企業に対して出資を行う投資会社のことを指します。出資のリターンとして株式を受け取ることで、M&Aや株式上場等のエグジットによる売却益を狙います。

投資先の企業価値向上のために、ベンチャーキャピタルから経営陣を派遣することで、投資先の経営へ参画するケースもあります。ベンチャーキャピタルは通常一つのファンドで数十社程度に分散投資するため、幅広いコネクションや豊富な経験を保有していることが多く、そこから有益な支援を得られる場合もあります。

ベンチャーキャピタルは自身の手元資金に加え、LP(Limited Partner・有限責任組合員)と呼ばれる出資者から預かった資金をもとにファンドを組成し、スタートアップに投資します

ファンドのサイズは数億円から大きいものでは数百億円を超えるものまでさまざまです。ファンドサイズに見合ったリターンを出す必要があるため、個人投資家から出資を受ける場合と比較すると、1社あたりの出資金額が比較的大きくなる傾向があります。

ひとくちにベンチャーキャピタルといっても、政府系組織が主導する「政府系」、特定業種の企業が主導する「事業系」など、さまざまな形態が存在します。

「政府系」は社会や政策の動向に関連の深い案件、「事業系」は自社事業とのシナジーや協業が見込まれる案件が、それぞれ優先的に投資対象として検討されることが多いため、自社の状況や資金調達の目的に合わせたベンチャーキャピタルを選定する必要があります。

裏を返せば、ベンチャーキャピタルに対して自社への投資を売り込む(ピッチをする)際には、それぞれのファンドの特性を踏まえたアピールをすることが重要とも言えるでしょう。

3:出資を受ける場合のポイント

出資による資金調達は、出資金に対する返済義務が発生しないため、スタートアップ企業にとっては魅力的な資金調達方法となります

投資家は将来的なリターンを求めて出資を行うため、事業計画や資本政策を作りこみ、投資家にとってのメリットを論理的に説明することが求められます。

また、出資のリターンとして株式を割り当てることで、投資家に一定の経営参画権を与えるケースもあるため、創業者が柔軟な経営を行うことが難しくなる可能性も考えられます。

出資金額の大小のみではなく、契約内容や投資家が信頼に値するかを十分に検討してもらえることが、出資を受ける上でのポイントとなります。

金融機関から融資してもらう

2つ目の資金調達方法は、金融機関から融資してもらう方法です。金融機関から融資してもらう場合、主に下記の方法が考えられます。

・日本政策金融公庫の信用保証付き融資

・信用保証協会の保証付き融資

・地方公共団体の融資制度

以下では、それぞれの資金調達方法の内容や特徴について具体的に紹介します。

1:日本政策金融公庫の融資制度

日本政策融資公庫とは、民間金融機関の取組みを補完し、事業に取組む人たちを支援する政策金融機関です。

新事業育成資金により、新規性・成長性が認められる中小企業に対する積極的な融資を行っているため、設立間もないスタートアップ企業でも融資を受けられる可能性が高くなります

また、「新創業融資制度」という、新たに事業を始める人や事業を開始して間もない人を対象に無担保・無保証で融資を実施する制度も用意されており、自社の状況に合わせて検討することができます。

参考:新たな事業に挑戦する中小企業、ベンチャー企業向け融資制度|日本政策金融公庫

2:信用保証協会の信用保証付き融資

信用保証協会とは、中小企業・小規模事業者に対して信用保証を提供することで、資金調達を支援する公的機関です。

設立間もないスタートアップ企業の場合は、大企業と比較して経営リスクが大きいため、思うように融資時の審査が通らない場合があります。そこで、信用保証協会が金融機関に対して債務不履行のリスクを保証することで、企業が融資を受けやすくなります

信用保証を受ける場合は、最初に別途保証料を支払う必要があります。

また、信用保証協会が提供する信用保証は、あくまでも金融機関に対する保証であるため、融資を受けた企業の債務が免除される訳ではなく、融資条件に従ってしっかりと返済を行う必要があります。

3:地方公共団体の制度融資

制度融資とは、中小企業や小規模事業者の資金調達サポートするために、地方自治体・金融機関・信用保証組合が連携して提供する融資のことです。 金利が低い、長期間での借入が可能など、中小企業や小規模事業者にとって利用しやすい条件で融資を受けることができます

信用保証協会から保証を受けることを制度融資の条件としている場合は、別途保証料を支払う必要があります。

また、地方自治体・金融機関・信用保証組合とのやり取りが必要となるため、コミュニケーションに一定の負担もあり、融資の手続きを完了するまでに時間を要します。

参考:起業マニュアル 制度融資の活用|独立行政法人 中小企業基盤整備機構(J-Net21)

4:プロパー融資

プロパー融資とは、信用保証協会を通さず、金融機関が企業に対して直接行う融資のことを指します。信用保証組合から保証を受ける必要がないため、別途保証料を支払う必要はありません。

しかし、万が一業績悪化などにより企業が債務を返済できなくなった場合、金融機関が損失を100%負担しなければならないため、融資時における審査のハードルが高くなります。そのため、設立間もないベンチャー企業や、十分な事業の実績がない企業は、プロパー融資を受けることが難しくなります。

スタートアップにおすすめの資金調達先は【成長フェーズ】ごとに異なる

スタートアップ企業は、成長フェーズのどの段階にあるのかによって、適切な資金調達先が異なります。

成長フェーズとは

スタートアップ企業には、大きく分けてシード、アーリー、ミドル、レイターという4つの成長フェーズがあります。それぞれの成長フェーズによって、適している資金調達方法が異なります。

以下では、それぞれの成長フェーズにより活用できる資金調達方法の内容や特徴を具体的に紹介します。

1:【シード期】の調達先

シード期とは、まだプロダクトやサービスを持っておらず、これから事業を立ち上げるフェーズです。社歴の短さや事業リスクの高さ等の要因により、資金調達に苦労する場合が多いです。

事業立ち上げのための法人設立資金、運転資金、人件費、プロダクト・サービスの開発費等が必要になりますが、資金需要は比較的少ないため、個人投資家から少額の出資を受けて資金調達を行うケースが多いです

シード期における主な資金調達先としては、下記が考えられます。

・エンジェル投資家

・日本政策金融公庫

・VC(ベンチャーキャピタル)

2:【アーリーステージ】の調達先

アーリーステージとは、プロダクトの市場投入・事業化を達成し、顧客からフィードバックを受けながら、事業の改善を繰り返していくフェーズです。

事業リスクの高さと信用の乏しさの乖離が大きいため、資金ニーズと借入可能枠のギャップが大きくなる場合が多いです。そのため、資金不足による倒産のリスクもアーリー期において増大します

人件費を中心とした運転資金や設備投資資金、知的財産権の獲得に関する資金など、事業の拡大や成長に向けた資金ニーズが大きくなり、資金不足に悩みやすくなります。

アーリー期における主な資金調達先としては、下記が考えられます。

・日本政策金融公庫

・VC

・エンジェル投資家

3:【ミドル期】の調達先

ミドル期とは、プロダクトやサービスが市場において一定の認知・評価を獲得しており、更なる成長を目指しているフェーズです。

事業が赤字の場合であっても、固定費は売上で賄うことができており、さらなる売上拡大や効率性の向上によって黒字化を目指している場合が多いです。

認知度の向上・事業規模の拡大によって資金調達がしやすくなりますが、追加の設備投資、人件費の膨張など、必要とする資金調達額も比例して大きくなります

ミドル期における主な資金調達先としては、下記が考えられます。

・民間銀行

・日本政策金融公庫

・VC

4:【レイター期】の調達先

レイター期とは、事業の規模拡大や経営の効率化によって経営基盤も安定しており、倒産リスクはひとまず落ち着いているフェーズです。

この段階では株式の上場(IPO)も視野に入ってきているため、上場やその先を見据えた成長戦略を立てる必要があります。当該戦略を実現するために、数十億円規模の大型の資金調達をするケースもあります

IPOを目指す場合には、監査法人やコンサルティングファーム、証券会社へ支払う報酬等により、新たなキャッシュアウトが生じます。

レイター期における主な資金調達先は、下記が考えられます。

・民間銀行

・VC

その他の資金調達方法

上記にて紹介した資金調達方法以外に、各種助成金・補助金やクラウドファンディングを利用して資金調達を行うことも考えられます。

以下では、それぞれの資金調達方法の内容や特徴について具体的に紹介します。

補助金・助成金を利用する

補助金・助成金とは、特定の目的に沿った取り組みを推奨するための仕組みであり、取り組みに要する資金に対して、補助金・助成金という形で給付を受けることができます。 

融資を受ける場合と異なり、返済が不要である一方、取り組みの結果を報告した後で給付を受け取るケースが多いため、資金を受け取るまでに時間を要します

以下では、スタートアップ企業が利用しやすい補助金・助成金として、「地方創生起業支援事業による起業支援金(東京圏の一部を除く全国)」と「東京都中小企業振興公社の創業助成金(東京都)」を紹介します。

地方創生起業支援事業による起業支援金(東京圏の一部を除く全国)

地方創生企業支援事業による起業支援金とは、地域課題を解決する社会的事業を新たに起業する人を対象に、起業のための伴走支援と助成金を提供する制度です

子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など、それぞれの地域課題に応じた幅広い事業分野が制度の対象となります。

出典:起業支援金|内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生

東京都中小企業振興公社の創業助成金(東京都)

東京都中小企業復興公社の操業助成金とは、公益財団法人東京都中小企業振興公社が行っている、都内で創業予定または創業して5年未満の中小企業等を対象に、助成金を提供する制度です

また、助成対象期間終了後も、東京都中小企業振興公社が継続的に支援を行い、きめ細かいサポートを受けることができます。

参考:創業助成金(東京都中小企業振興公社)|東京都産業労働局・東京都創業NET

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、群衆(クラウド)と資金調達(ファンディング)を組み合わせた造語で、不特定多数の人々がインターネットを介して、個別のプロジェクトに対して資金提供を行う資金調達方法を指します。

さまざまな出資の形態があり、市場に出回っていない物やサービスをリターンとする「購入型」、社会貢献を目的としたプロジェクトが多く、基本的に支援者にリターンがない「寄付型」、支援者に金銭的なリターンが発生する「金融型」などの形態があります

また、起業家や企業に対してではなく、個別のプロジェクトに対して資金提供を受けるため、プロジェクトごとに詳細な収支計算や総括をした上で、配分や報告を行う必要があり、一定の事務コストが発生します。

出資を受ける場合の注意点

出資を受ける際には注意すべき点もあります。 出資は融資とは異なり、返済の義務がなく、事業を発展させることにリソースを割くことが可能になることが大きなメリットです。

一方、出資者は事業が発展し、出資額以上のリターンを得られることを期待しています。出資の対価として株式の大半を提供した場合、出資者の意向に沿った経営を行う必要が生じることも考えられます。このようなことが起きないように、契約前に契約内容をよく確認する必要があります。

参考記事:
事業会社からの資金調達のリアルとは?注目スタートアップCEOが明かす資金調達の勘どころ

まとめ

スタートアップ企業にとって、資金調達は事業の成長を左右する重要な課題です。自社の状況や資金調達の目的をしっかりと認識した上で、適切な資金調達方法を検討することで、事業の成長に繋げましょう。

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