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【2021年最新版】令和のスタートアップM&Aまとめ


公開日:2021年11月7日  最終更新日:2022年11月18日

IT領域を中心にスタートアップのEXIT (エグジット) 手段として、M&Aの活用が盛んになっています。今回は、令和のスタートアップM&A に焦点を当て、売却価額のランキング化、業種別分析と価格分析を行いました。ぜひ参考にしてください。

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売却価額ランキング

どのような企業が買収・売却を行っているか、令和のスタートアップM&A売却価額をランキング化してみました。

順位 売却価額*1(億円) 比率 スキーム 買収発表年月 売り手企業

買い手企業(証券コード)

リンク

1位

120.2億円

80%

買収

2021年7月

ZIZAI

ディー・エヌ・エー<2432>

📄

2位

43.4億円

63%

買収

2019年10月

ラクサス・テクノロジーズ

ワールド<3612>

📄

3位

40.7億円

36.2%

買収

2019年11月

オープンワーク

リンクアンドモチベーション<2170>※2

📄

4位

33.3億円

89%

買収

2021年2月

トリコ

ポーラ・オルビスホールディングス<4927>

📄

5位

27.8億円

70%

買収

2021年3月

サイトビジット

フリー<4478>

📄

6位

27.4億円

100%

買収

2019年9月

ダイナテック

バリューコマース<2491>

📄

7位

19.9億円

72.3%

買収

2019年11月

スマートキャンプ

マネーフォワード<3994>

📄

8位

16.1億円

100%

買収

2021年5月

アイデンティティー

デジタルハーツホールディングス<3676>

📄

9位

15.4億円

80.8%

買収

2021年3月

エンブレース

スズケン<9987>

📄

10位

15.0億円

100%

買収

2021年2月

メディパス

メドレー<4480>

📄

※1 売却価額及び取得比率は小数点第二位以下切り捨て。
※2 リンクアンドモチベーションによるオープンワークの買収は、持ち株比率20%を56.22%に引き上げることで実施された。

2021年だけで半数以上を占めており、スタートアップの大型買収が目立ちます。下記にも触れますが、TOP10には売り手企業、買い手企業ともにIT関連企業が占めています。

業種別分析

売り手企業の業種(TOP5)

売り手企業側はシステム開発関連のM&Aが顕著で、買い手企業にとっては近年競争が激化するエンジニア採用において、開発リソースの確保や自社のシステム基盤の拡充が狙いといわれています。

順位 業種 件数 被買収企業・事業例(買収企業)
1位

システム開発

12件

●ビジネスサーチテクノロジ(ジーニー)

●リアルグローブ(SHIFT)

●エニシアス(クレスコ)

●ベーシック(じげん)

●バルテス(アール・エス・アール)

2位

インターネットメディア

4件

●ジラフ(マーケットエンタープライズ)

●ライナフ(アズーム)

2位

コンテンツ制作・配信

4件

●Nagisa(メディアドゥ)

●イーフロンティア(クシム)

2位

広告・イベント

4件

●ダイナテック(バリューコマース)

●ギフトモール(トレンダーズ)

2位 業務支援サービス 4件

●澪標アナリティクス(TIS)

●アナグラム(フィードフォース)

*業種はSPEEDAによる分類を使用

買い手企業の業種(TOP5)

買い手企業は人材関連サービス(13件)が最多で、次いでシステム開発(9件)、ソフトウェア開発(9件)、インターネットメディア(8件)と続きました。IT関連企業のスタートアップM&Aに対する積極性が目立つ結果となりました。

順位 業種 件数 M&A成約事例(被買収企業・業種)
1位

人材関連サービス

13件

●ランサーズ(MENTA

●キャリアインデックス(Type Bee Group)

2位

システム開発

9件

●エコモット(フィット)

●Nexus Bank(maneo マーケット)

3位

ソフトウェア開発

9件

●アジャイルメディア・ネットワーク(クリエ・ジャパン)

4位

インターネットメディア

8件

●ガイアックス(ロコタビ)

●イード(マイケル)

5位

広告・イベント

6件

●バリューコマース(ダイナテック)

●くふうカンパニー(キッズスター)

価格分析

売却・譲渡価額の概観

売却・譲渡価額における、中央値(2.69億円)を境にM&A案件を大小に分類しました。被買収企業・事業における業種最多の「システム開発」は、売却価額の大きいM&Aで顕著でした。

営業利益赤字企業・事業のM&A

スタートアップM&A全体において、営業赤字の売り手企業は41.4%でした。そのため、スタートアップは赤字であってもM&Aの検討対象に十分なり得ることがわかりました。

M&Aランキング(赤字額TOP15 )

順位 営業利益*1(億円) 種類

被買収企業・事業

買収企業(証券コード) 売却・譲渡価額*2(億円) リンク
1位

▲5.3億円

買収

エンブレース

スズケン<9987>

15.4

📄

2位

▲4.1億円

買収

リサーチ・アンド

・イノベーション

インテージホールディングス

<4326>

11.2

📄

3位

▲3.0億円

吸収合併

アキュルナ

ナノキャリア<4571>

📄

4位

▲2.8億円

買収

コイネージ

マネーパートナーズグループ

<8732>

📄

4位

▲2.8億円

買収

ロボット投信

ミンカブ・ジ・インフォノイド

<4436>

2.5

📄

6位

▲2.7億円

事業譲渡

モード・エ・ジャコモ

アイティエルホールディングス

📄

7位

▲2.4億円

買収

マイケル

イード<6038>

0.8

📄

8位

▲1.8億円

買収

Nagisa

メディアドゥ<3678>

📄

9位

▲1.6億円

買収

トリコ

ポーラ・オルビスホールディングス<4927>

33.3

📄

10位

▲1.5億円

事業譲渡

Smarprise

ゲームエイト

📄

11位

▲1.4億円

買収

アヴァント

プロパティエージェント<3464>

0.6

📄

12位

▲1.3億円

買収

サイトビジット

フリー<4478>

27.8

📄

13位

▲1.2億円

買収

アイデンティティー

デジタルハーツホールディングス<3676>

16.1

📄

14位

▲1.0億円

買収

ソウ・エクスペリエンス

ギフティ<4449>

14.8

📄

15位

▲1.0億円

買収

スマートキャンプ

マネーフォワード<3994>

19.9

📄

※1 営業利益が公開されている被買収企業・事業(58件)が対象

※2 売却価額及び営業利益は小数点第二位以下切り捨て

赤字でM&Aを実施した企業の特徴

売り手企業の15社中11社と、赤字企業でもM&Aを実施できたスタートアップの大半はIT関連企業でした。赤字企業を買収するケースを調査すると、主なケースは以下の3つでした。

①非IT企業がデジタル化対応・促進のために赤字IT関連企業を買収するケースI

②IT関連企業がシナジー効果、事業領域の拡大や更なるIT化促進を期待して他の赤字IT関連企業を買収するケース

③非IT企業であっても買い手企業にとってシナジー効果があるケース、成長性が高い場合や新型コロナウイルスの影響で一時的に赤字が出ているケース

③のようなケースであれば、非IT企業であってもM&Aの対象に十分なり得ることがわかりました。

特徴的なM&A事例

価格が非公開であるため売却価額ランキングに掲載していないものの、昨今のM&A市場において特徴的なM&Aを以下に抜粋して掲載します。

日付 売り手企業 買い手企業(証券コード) 特徴 リンク

2020/01/23

Origami

メルペイ

寡占一人勝ち市場であるモバイル決済領域での強者によるM&A

📄

2020/1/28

コードタクト

NTT コミュニケーションズ

大企業によるEdTechスタートアップの買収。教育現場のDX推進

📄

2020/04/01

終活ねっと

DMM.com

今後も伸びる終活市場を見越した終活スタートアップの買収

📄

2020/06/19

ロコタビ

ガイアックス<3775>

コロナ禍において旅系メディアの買収。シェアリングエコノミー案件

📄

2020/08/04

クービック

ヘイ

大型調達スタートアップによる、スタートアップの買収

📄

2020/10/13

Nagisa

メディアドゥ<3678>

巣篭もり需要のマンガアプリの買収

📄

2021/05/31

マージナル

キャリアインデックス<6538>

Web面接専用システムの買収。人材領域のDX推進

📄

まとめ

近年のデジタル化促進の影響もあり、令和のスタートアップM&Aの主な売り手企業も、買い手企業も共にIT関連企業でした。今後もデジタル化促進の流れは加速していき、これに金融緩和の影響も相まってIT関連企業のM&Aはさらに活発化していく可能性が高いです。

前で述べた通り、もちろん非IT企業であっても成長性が高かったり、買い手企業にとってシナジー効果が高かったり、赤字が新型コロナウイルスの影響と一時的な場合には10億円以上という高値でM&Aできるケースもあります。

もっと詳しい情報が欲しい情報が知りたい方は、「令和のスタートアップM&Aまとめ」をダウンロードできます。

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