M&Aの全てがここにある

menu close

あなたの会社を欲しがる
買い手が見つかります

faceノウハウ

M&Aの前に押さえておきたいのれん償却|売り手側も知っておくべきこと


公開日:2021年10月8日  最終更新日:2021年10月8日

企業買収のニュースで耳にすることも多い「のれん」について、M&A(Mergers and Acquisitions・企業の合併と買収)を理解するために必須となる基礎知識を解説します。

今すぐ無料でかんたんM&A力診断をする

「のれん」とは?

「のれん」とは、買い手企業が支払う買収金額のうち、買収先企業(売り手企業)の純資産を上回った金額のことをいいます。

企業はブランド力や技術力、知的財産など、金額では簡単に表せない無形の価値を持っています。また、売り手側企業の超過収益力とも言い換えられ、販売ルートや企画力や開発力、ノウハウなども含まれます。

株式譲渡を前提とした場合、のれんは取得価額から受け入れる子会社の純資産価額を差し引くことで算定されます。この金額が買い手側企業の連結貸借対照表の無形固定資産として計上されます。

買い手側企業にとっては、M&Aにより取得した子会社の持つ超過収益力をのれんという表示科目によって財務諸表に反映させ、投資家などに適切に開示するという意義があります。計上したのれんは毎期一定額を償却する必要があります。

なお、取得原価が受け入れる純資産価額を下回る場合の当該差額は「負ののれん」となります。負ののれんは、のれんとは異なり、発生した決算期に特別利益として一括計上されます。

減価償却とは?

減価償却とは、資産の取得原価を分割して費用計上する手続きのことです。償却期間の各事業年度に、費用を配分することになります。

減価償却の目的は、適正に費用配分することによって毎期の損益計算を正確に行うことにあります。減価償却費の計上は利益を押し下げますが、一方でキャッシュアウトを伴わない費用計上となるため、資金の内部留保をもたらす効果もあります。

参照:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁

のれん償却とは?

のれん償却とは、のれんの帳簿価額を定期的に減額していくことです。会計基準上、20年以内の期間にわたって、毎年「のれん償却費」を費用として計上することが要求されています。つまりM&Aで発生したのれんが大きいほど、毎年計上する費用が大きくなり、営業利益を圧迫します。

このためにも適正な価格でM&Aが行われよう、十分な検討が必要になるのです。なお、負ののれんについては前述のように、発生時に一括でPLに計上されるため「負ののれん償却」は行われません。

出典:のれんの会計処理 第32項|企業会計基準委員会 財務会計基準機構

のれんの償却期間

のれんの償却年数は、20年以内でその効果の及ぶ期間と定められています。

最長期間は20年ですが、実際には投資回収期間などを考慮して償却期間が決定されます。投資回収期間とは、企業を買収するために支払った対価を、その企業が生み出すキャッシュ・フローの何年分で回収できるか、という意味です。

たとえば、100億円で買収した会社が1年間で生み出すキャッシュ・フローが10億円だとします。この場合、100億円を回収するには10年かかることから、投資回収期間は10年となります。こうして、のれんの償却年数を10年と定めることがあります。

これはあくまでも一例ですが、このような合理的な見積りに基づいて償却期間を決定することが会計基準上要請されている点に留意しましょう。なお、会社によっては重要性の低いのれんについては一律で5年で償却するといった会計方針を定めていることもあります。

のれん償却方法及びのれん償却の仕訳方法

のれんは無形固定資産に分類されますので、直接控除法・定額法・残存価額ゼロで償却します。

直接控除法とは、のれんの帳簿価額から償却額を控除した残額をもって連結貸借対照表計上額とする方法です(株式譲渡の場合)。また、定額法とは、毎期同じ金額の償却費を計上する方法です。基本的に月割で計算されます。

のれんの償却には「のれん償却費」という勘定科目が用いられます。

たとえば、1,200万円ののれんを20年で償却する場合、1,200万円÷20年÷12か月=5万円が毎月ののれん償却額となり、下記の仕訳が計上されます。

借方勘定科目 借方金額(円) 貸方勘定科目 貸方金額(円)
のれん償却費 50,000 のれん 50,000

連結損益計算書上では「のれん償却費」という科目の費用が販売費及び一般管理費に計上され、連結貸借対照表の「のれん」は定期的に減額されていくことになります。

参照:無形固定資産の表示|e-Gov 法令検索 会社計算規則 第八十一条

のれん償却の影響は?売り手にとってのメリット・デメリット

日本基準を採用している会社であればのれんは必ず償却するため、のれん償却をメリット・デメリットで語ることはできません。

前述した通り、のれん償却額は償却期間にわたって販売費、および一般管理費に計上され続けますのでPLの営業利益を圧迫します。売り手側としてはより高く売却したくても、のれんの金額が大きくなることは買い手側に買収をためらわせる要因になってしまう可能性があります。

一方でのれん償却は、万が一のれんの価値が大きく下がるようなことがあっても、そのダメージを軽減させることができます。のれんという資産の価値を定期的に減少させておくことで、一括で多額の特別損失が計上されるというリスクを回避できるというメリットがあります。

税務上ののれんは償却されるの?

「のれん償却」という費用は、単純に会社の株式を売買した場合は、損金(税務上の費用)にはなりません。買い手側企業単体の貸借対照表上、のれんの金額は投資有価証券勘定に含まれているため、たとえ連結損益計算書で費用計上したとしても、税金計算においては特段影響を与えません。

なお、事業譲渡や非適格合併等などの一定のスキームを用いた場合には、税務上ののれんに近しい概念である「資産調整勘定」が発生します。資産調整勘定は5年で均等償却するため、損金算入することができます。つまり課税所得を減少させる効果を有します。

このため売り手側と買い手側の双方にとって、どのようなやり方でM&Aをするのかは重要なポイントとなるのです。

参照:自己創設営業権の時価評価について|国税庁

日本会計基準と国際財務報告基準(IFRS)との違い

日本基準とIFRSではのれんの扱いが大きく違います。この項目ではその違いをご説明します。日本会計基準におけるのれんの取り扱いのポイントは以下2点です。

  • 毎期、発生後20年以内の期間で毎期均等額を償却処理する
  • のれんの収益力が低下したときには、のれんの帳簿価格を下げる減損処理をする

一方IFRSでは、下記のように日本基準と全く異なる扱いになります。

  • のれんの償却をしない。一度資産計上したら、そのまま
  • 毎期、減損テスト(のれんの価値が下がっていないか評価する手続)を実施しなければならない

IFRSには毎期の償却費用計上がないため、多額ののれんが発生しても償却費による営業利益の圧迫がない点がメリットになります。反対に、減損処理が必要になった場合には、日本基準のように定期的な償却費計上をしていない分、損失額が多額になりうるリスクがあります。

また毎期実施する減損テストの実務上の負担を考慮する必要があります。

参照:のれんの会計処理 第32項|企業会計基準委員会 財務会計基準機構

IFRSとは?

IFRSとは、わかりやすくいうと国際的に統一された会計基準です。IFRSはInternational Financial Reporting Standardsの略で、日本語にすると「国際財務報告基準」となります。

これまでは国ごとに異なる会計基準を適用していましたが、経済活動のグローバル化に伴い、国際会計基準の必要性が高まってきました。そこで IASB(国際会計基準審議会)が策定したのがIFRSです。

IFRSを用いることで、財務諸表の国をまたいだ比較・分析が容易になります。これは海外投資家にとって大きなメリットです。

また、グローバルに事業展開をしている企業にとってもメリットがあります。これまでは子会社ごとに各国基準の財務諸表を作成する必要がありましたが、IFRS適用によって同一の会計基準で決算業務を標準化することができ、決算業務効率が向上するからです。

日本では2010年から適用可能となりました。強制適用は見送られていますが、金融庁は任意適用企業の増加を図っており、今後の適用状況については注意を払っておく必要があります。

参照:④任意適用の時期|金融庁

IFRSではのれんは減価償却しない

IFRS基準ではのれんの償却は行いません。のれんは発生時の金額で貸借対照表に計上されたままとなります。そこで、IFRS基準では、のれんの価値が低下していないかを判定する減損テストを行います。

減損テストの結果、のれんの価値が著しく下落している場合には、減損処理を行い、特損を計上することとされています。

減損処理とは、その資産の収益性の低下などにより投資額の回収が見込めなくなった場合に、一定のルールに従って、帳簿価額を減額する処理のことをいいます。

しかし、減損が計上されるときには多額の損失額になることが問題点とされています。なぜなら、のれんを償却せず減損テスト後に初めて損失が認識されるためです。このことが問題とされ、IFRSでものれんを定期的に償却するべきではないか、という議論がなされています。

IFRSを採用している企業でも、今後ルールが変更される可能性がありますので留意しておきましょう。

まとめ

M&Aを実施すると、多くの場合においてのれんが発生します。のれんの計算方法は、買収金額から買収された企業の時価純資産を差し引くことで求めることができます。

日本の会計基準では、のれんは20年以内の期間で均等に償却するように求められています。IFRSでは、のれん償却は行わず、のれんの価値が大きく低下した場合のみ減損処理することになっています。

のれんについてしっかりと理解しておくことがM&Aの成功につながるといえるでしょう。

M&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」では、会社を買いたい企業が、欲しい企業の要件を記事として公開中です。買い手となる企業を手軽に探すことができるほか、M&Aアドバイザーに会社売却について無料相談することも可能です。お気軽にご相談ください。

新規CTA
                   

あなたの会社を欲しがる
買い手が見つかります

M&Aに関するご相談

textsms

M&Aに関するご相談

textsms

ご相談はこちらから

remove close

ご相談はこちらから

remove close
keyboard_arrow_up