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会社買収後に注意したい減損処理とは?その対象と処理のプロセスを解説

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公開日:2021年12月27日  最終更新日:2021年12月27日

減損処理は、投資した固定資産から期待する収益を見込めない場合に実施する会計上の処理をいいます。この減損処理はM&Aの関係においてとても重要になります。本記事では、減損処理の概念、減損処理の対象、減損処理の測定のプロセスについて解説します。

減損処理とは

企業は、企業価値を高めるために、さまざまな投資を行います。人材への投資や新製品開発への投資など、その形態はさまざまありますが、例えば生産設備への多額の投資をしたあとに、投資した固定資産から当初想定していた収益の回収が見込めなくなる場合があります。

この場合、実際の価値以上の資産が貸借対照表に計上されることになってしまい、財務諸表に関する適切な情報を提供することができなくなります。そこで、価値が低下した固定資産を実際の価値に即した価値まで下げる会計上の処理を実施することがあります。これを減損処理といいます。

減損処理を行うためには一定の制約があります。減損処理の会計上のルールをしっかりとおさえた上で、適切に財務諸表を作成する必要があります。

減損処理の定義

減損処理とは、投下した資本に対して回収が見込めない固定資産の価値を下げる会計上の処理をいいます。「減損」という言葉の通り、資産の価値が下がったときに行います。

2006年3月期決算期以降から、大企業や上場企業を対象として、減損会計が義務化されました。これにより、資産の収益性の低下により、投資額の回収が見込めなくなった場合には、回収可能性を適切に財務情報に反映することが要求されるようになりました。

減損処理を行うと、投資の成否について開示することになりますので資本効率を意識した経営を後押しすることになります。

減損処理の対象

減損処理は全ての資産を対象にすることができるわけではなく、固定資産に限られます。減損会計は、「固定資産の減損に関する会計基準」によって処理方法が定められています。

ただし、他の会計基準に減損の規定がある場合は対象外となり、各基準に従って処理する必要があるので注意が必要です。

ここでは、減損処理の対象となる「有形固定資産」、「無形固定資産」、「投資その他資産」と「固定資産の減損に関する会計基準」の例外について解説します。

有形固定資産

減損処理の対象に有形固定資産があります。有形固定資産とは、事業活動のために長期に使用する資産をいいます。具体的には、土地、建物、機械装置等があり、これらは貸借対照表上の資産の部に計上されます。

企業は事業や売上を拡大するためにこれらの有形固定資産を購入して投資します。しかし、事業活動が上手くいかず、その資産から当初想定していたキャッシュフローの回収が見込めない場合に減損処理を行う場合があります。

無形固定資産

無形固定資産とは、有形資産と異なって具体的な形をもたない固定資産をいいます。のれんや、特許権、商標権等といった権利やソフトウェア等も含まれます。

この中でも、のれんはM&Aをした際に計上される勘定科目で、買収価格のうち、被買収企業の純資産を上回った価格の部分を指します。

全てのM&Aが必ずしも成功するわけではなく、場合によっては想定していた収益を回収できない場合があります。その場合、のれんの減損処理を行うことがあります。

投資その他の資産

投資その他の資産とは、固定資産の一つで、有形固定資産や無形固定資産のいずれにも属さない資産をいいます。企業が長期に保有することを目的とした投資有価証券、関係会社株式、出資金、長期貸付金等があります。

たとえば、企業間で安定的に事業取引を継続するために保有していた株式が大幅に下落し、回復する見込みがない場合は、これを減損処理することがあります。

注意すべき対象外の資産

固定資産であっても減損処理の対象とならない資産があります。減損処理の対象になるのは固定資産ですが、減損処理に関する会計基準とは別の会計基準に減損処理の定めがある資産については、減損会計基準の対象外となります。対象外には以下5つがあります。

  • 「金融資産に係る会計基準」における金融資産
  • 「税務効果に係る会計基準」における繰延税金資産
  • 「研究開発費等に係る会計基準」において無形固定資産として計上されている市場販売目的のソフトウェア
  • 「退職給付に係る会計基準」における退職給付にかかわる資産
  • 長期前払利息等財務活動から生ずる損益に関する経過勘定科目

減損処理の4つのプロセス

減損処理はM&Aにおいても重要な会計処理になります。減損処理のプロセスには高度な専門性が求められますが、あらかじめ減損処理について把握しておくことで、M&Aに伴うリスクを認識した上で検討することができます。

ここでは、減損処理をどのように進めていくのか、その減損処理のプロセスについて解説していきます。

日本基準では、減損処理のプロセスは大きく分けて、①資産のグルーピング、②減損の兆候の把握、③減損損失の認識の判定、④減損損失の測定の4つから構成されています。

1:資産のグルーピング

資産は別個独立して存在するわけですが、事業活動との関係でいえば、その資産単独でキャッシュフローを創出しているわけではなく、それぞれの資産が一体となって機能し、製品やサービスといった付加価値を生み出しています。

そこで、キャッシュを創出する最小の単位まで資産を合理的な範囲でまとめて考える必要があり、これを資産のグルーピングといいます。このグルーピングによってまとめられた資産グループ単位で減損が判定されることになります。

2:減損の兆候の把握

資産のグルーピングによってまとめた資産単位ごとに、減損の兆候があるかを把握します。減損の兆候とは、資産又は資産のグループに減損が生じている可能性を示す事象をいいます。減損の兆候としては以下のようなものがあります。

  • 営業活動から生じる損益又はキャッシュフローが継続してマイナスである場合
  • 使用範囲又は方法について回収可能性が著しく低下させる変化がある場合
  • 経営環境の著しい悪化がある場合
  • 市場価格の著しい下落がある場合

3:減損損失の認識の判定

減損損失の認識の判定とは、減損兆候のある資産と資産グループについて減損処理を実施するか否かを判断することをいいます。対象となる資産の帳簿価格と割引前将来キャッシュフローの総額を比較して判断します。

割引前将来キャッシュフローとは、資産又は資産グループが将来的に生み出すと予想されるキャッシュフローを「時間的価値」を考慮せずに合計したものをいいます。

ここで割引後の将来キャッシュ・フローではなく割引前の将来キャッシュ・フローを用いる理由としては、割引後よりも割引前の将来キャッシュ・フローの方が大きいため、割引前の将来キャッシュ・フローをもってしても帳簿価額の回収が見込めないとすれば、減損の存在が相当程度確実であると考えられることが挙げられます。

減損損失の認識の判定にあたっては、割引前将来キャッシュフローの見積りに依存することになります。また、その見積は企業の事業計画等によって推定されるため主観的な要素が入ることになります。

4:減損損失の測定

減損損失の測定とは、減損金額がいくらになるかを測定するプロセスをいいます。減損を実施する固定資産について、期待していた収益がどれくらい見込めないのかを測定することで減損損失を把握します。

具体的には、減損損失の対象となる資産グループについて、使用価値と正味売却価格のいずれか高い方の価格まで帳簿価格を切り下げ、その切り下げた金額を減損損失として当期の損失に計上することになります。

減損損失の計算方法

減損損失の金額は、減損損失額=固定資産の簿価-回収可能価格で算出できます。回収可能価格とは、使用価値と正味売却価格のいずれか高い方の金額をいいます。

使用価値とは、減損損失の対象となる資産グループを継続的に使用した場合と、使用後に生ずると見込まれる将来キャッシュフローの現在価値をいいます。一方で、正味売却価格とは、減損損失の対象となる資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算出した額をいいます。

使用価値の算出には割引率を算出する必要があるなど、これらの測定にあたっては専門性の高い計算が必要になってきます。

減損処理の主な影響

減損処理することで主に財務諸表に影響が出ます。

まず、減損処理は固定資産の帳簿価格を切り下げることになるため、貸借対照表上における資産の部の金額が減少することになります。

また、減損損失はその会計年度における損失に該当します。そのため、特別損失として損益計算書に計上されることになります。

ただし、減損処理は過去に現金の支出があった資産の価値を下げる会計上の処理のため現金の支出を伴いません。そのため、間接法で作成されたキャッシュ・フロー計算書の営業活動に係るキャッシュ・フローの算出において、税引前当期純利益に対する加算項目として取り扱われます。

次年度以降の減価償却費負担の減少

固定資産の取得原価は、一定期間にわたって減価償却費として費用計上することが求められています。減損処理することで当該固定資産の帳簿価額が減少するため、次年度以降の減価償却費の計上額が減少します。

まとめ

減損処理は、M&Aとの関係においてとても重要になります。事前に減損処理の概念、メリット・デメリット、検討プロセスを把握しておくことは、M&Aを有効に活用するために重要になります。

また、ここまでご覧いただいた通り、減損処理は、グルーピングから減損損失の測定に至るまで、専門的な知識が要求されます。そのため、減損処理を実施するか否かは、公認会計士等の外部の専門家に相談することが一般的である点も合わせて頭に入れておくと良いでしょう。

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