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非上場株式を相続・贈与する場合の評価方法|帳簿価額とイコールではない?

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公開日:2021年12月27日  最終更新日:2021年12月27日

相続または贈与における非上場会社の株式の評価について、原則的評価方式である純資産価額方式と類似業種比準方式が適用される条件とその計算方法を記載しています。さらに各方式を選択できることにも触れていきますので、最適な方法を検討する材料としてご活用ください。

帳簿価額(簿価)とは

帳簿価額(簿価)とは、ある一時点において会計帳簿上に記載している資産または負債の評価額のことです。

不動産等の資産を取得した場合、まず購入した金額(取得価額)が簿価となります。償却資産であれば決算期ごとに減価償却(取得原価を耐用年数にわたって費用配分する手続)が行われ、それまでの取得原価から減価償却累計額を差し引いた金額を帳簿価額とします。

株式の帳簿価額は、取得時に取得原価を評価額とする点は同じ(ただし、自己株式は資産ではなく純資産として扱います)ですが、株式の種類・目的によって以降の会計処理の扱いが異なります。

上場企業の株式の評価額

上場企業の株式の評価は、市場価格で行います。つまり、課税時期(相続の場合は被相続人が死亡した日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の金融商品取引市場の終値に発行済株式数をかけたものです。

ただし、その終値が、課税時期が属する月、その前月、またはその前々月のそれぞれ1ヶ月間における日々の終値の平均額を超える場合は、その最も低いものとなります。

なお、課税時期に終値がない場合などの場合には、一定の修正をすることになっています。

出典:No.4632 上場株式の評価|国税庁

取引相場のない株式の原則的評価方式

取引相場のない株式とは、上場会社の株式や気配相場等のある株式(登録銘柄、店頭管理銘柄または公開の準備中の株式)以外の株式、いわゆる非上場会社の株式をいいます。

取引相場のない株式においては、その株式を相続や贈与等で取得する株主が、会社の経営を支配するような影響力を持っている同族株主等か、それ以外の株主かにより、評価方法が変わります。前者の場合は原則的評価方式、後者の場合は特例的な評価方式(配当還元方式)です。

原則的評価方式は、会社の総資産価額、従業員数、及び取引金額により、大会社、中会社、または小会社の3つに分けて、類似業種比準方式、純資産価額方式、またはそれらの併用方式を適用します。

会社の規模ごとの評価方法について、以下で説明します。

大会社

従業員数が70名以上の会社は、大会社に分類されます。70名未満でも総資産価額等の基準を満たすと大会社となります。

大会社の株式は、原則として類似業種比準方式により評価します。 類似業種比準方式とは、類似業種の上場会社の株価を参考に、評価する会社と類似業種の上場会社における1株あたりの配当金額、利益金額及び純資産価額(簿価)の3項目の各値の比較した結果をかけて評価する方法です。

類似業種比準方式では、類似上場会社の株価及び類似上場会社と評価対象会社の利益、配当、純資産、といった複合的な要素を加味して評価額に反映されるという特徴があります。

出典:(気配相場等のある株式の評価)|国税庁

中会社

中会社は、大会社に適用される類似業種比準方式と小会社に適用される純資産価額方式を併用して評価します。

中会社は、総資産価額、従業員数及び取引金額の規模により、さらに大・中・小の3つに分けられます。

株式の評価額については、それぞれ類似業種比準方式で計算された評価額と純資産価額方式で計算された評価額の割合が異なります。大のほうが類似業種比準方式の割合が高くなります。

小会社

小会社の株式は、原則として純資産価額方式により評価します。

純資産価額方式は、類似業種比準方式のように上場会社の株価を基にするものではなく、自社が保有する純資産の1株当たりの価額を評価額とする方法です。この純資産は、相続税のルールに従い評価したものであり、貸借対照表上の帳簿価額の純資産とは異なります。

純資産価額の内容、計算方法については、以下で説明します。

純資産価額とは

純資産価額とは、基本的には貸借対照表における純資産の総額を意味します。純資産は資産総額から負債総額を差し引いたものです。

有価証券は、貸借対照表上は帳簿価額で表示されていますが、相続または贈与における当該有価証券の評価を行う際には資産・負債とも財産評価基本通達に沿った評価額となります。貸借対照表上の純資産価額をそのまま使用することはできません。

ここでの純資産価額は、相続・贈与の時点で会社が仮に解散し資産等を清算した場合に、最終的に株主に分配される財産の総額とイメージするとわかりやすいでしょう。

純資産価額方式の計算方法

純資産価額方式は、相続や贈与する時に仮に対象会社を解散し、清算した場合に、残った財産を株主にいくらで分配できるかを計算しようとする方法です。簡単にいうと、会社の純資産価額を発行済株式の数で割って1株あたりの評価額を計算します。

帳簿価格は必ずしも現実に売却等を行い現金化することを想定したものではないため、保有する個々の資産を相続税のルールに従い評価し直した相続税評価額(時価)を基に算出することになります。

計算方法は、以下に説明します。

1.相続税評価額による資産及び負債の差額として純資産を算出

相続または贈与する時期における個々の資産と負債を相続税のルールに従い、相続税評価額(時価)に評価し直します。ひと口に資産といえども、土地建物・保険金・営業権等それぞれ扱いが異なり、個々に評価が必要となります。

評価し直した資産と負債の差額がベースの純資産となります。

2.法人税等相当額を計算

次に、1で算出した純資産価額から、貸借対照表上の簿価の純資産価額を差し引いて、2つの純資産の差額を求めます。差額がプラスの場合は差額を会社が確保している利益(含み益)と考え、その含み益に37%を乗じて法人税額等相当額を計算します。

純資産価額評価方式は、会社を清算した場合の評価です。相続または贈与する場合に実際に資産を売却するとは限りませんが、もし清算すると含み益は現金化された所得となります。その所得に対しては、法人税等が課されます。そのため、含み益にも法人税等相当額を考慮します。

3.1で算出した純資産に含み益を加えて2で算出した法人税額等に相当する金額を控除

1で算出した純資産に含み益を加えて、その含み益に対する法人税額等に相当する金額を差し引きます。これが、相続税評価額(時価)の純資産価額となります。

仮に清算した場合、含み益に対する法人税等を納めた後に、残った財産が株主などに分配されるため、株式の評価においても法人税額等相当額を控除します。

4.3により得られた純資産額を発行済株式数(自己株式は含まない)にて割り1株当たり純資産額を計算

相続税評価額の純資産価額を、相続または贈与する時点での発行済株式数で割って、1株当たりの純資産の金額を求めます。

評価する会社が自己株式を保有している場合には、発行済の株式数の中から自己株式数を控除します。

5.純資産がマイナスになった場合

純資産価額方式により計算した結果、資産の金額より負債の金額が大きくなり、純資産がマイナスになった場合、いわゆる債務超過の場合は、株式の相続税評価額(1株あたりの純資産額)は0円となります。

類似業種比準方式による株価算定方法

類似業種比準方式とは、原則的評価方法の一つです。類似する業種の上場会社の株価等を基に、非上場会社の株価を算定する方法です。主に大会社の株式の評価に使用されますが、中会社、小会社においても純資産価額方式との併用で使用することもできます。

算定方法は以下の通りとなります。

評価する会社の1株あたりの評価額=類似業種の上場会社の株価×1株あたりの配当金額、1株あたりの利益金額、1株あたりの純資産額(簿価)の3項目について、対象会社の各値を類似業種の上場会社の各値で割った値の平均×斟酌率×1株あたりの資本金の額/50円

類似業種における1株あたりの配当金額、1株あたりの利益金額、1株あたりの純資産額(簿価)は、国税庁より公表されています。

斟酌率は、大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5とされています。

最後の項目「1株あたりの資本金の額/50円」は、1株あたりの資本金の額が50円の場合は、省略することができます。これは、他の項目が1株あたりの資本金等の額を50円で想定していることによる調整だからです。

出典:平成29年度の主な税制改正|納税協会

まとめ

株式を相続や贈与する際の株式の取得に課される税金は、事業承継を決断するかどうかのポイントとなります。

大会社でも純資産価額方式を適用したり、小会社でも併用方式を適用したりすることもできます。事前にそれぞれの方式による評価額を比較して、最適な方式を検討しておくことが円滑な事業承継に繋がります。

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