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会社の固定資産を売却するときの注意点とは?親子会社取引についても解説!


公開日:2022年1月20日  最終更新日:2022年11月18日

本記事では、固定資産の基礎知識から固定資産の売却時の会計処理までをわかりやすく解説しています。固定資産の売却をすることで、一時的な資金を手にすることができますが、会社の損益計算書を痛める可能性もあることを頭に留めておきましょう。経営者の方はぜひご一読ください。

参考記事:資金調達とは?具体的な方法・種類からメリット・デメリットまでわかりやすく解説!

固定資産とは

固定資産とは、企業が長期間保有する資産の総称です。貸借対照表においては、貸方の資産の部に計上されます。

貸借対照表において固定資産は、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産に区分されます。固定資産それ自体を売買することは前提とされておらず、取得した固定資産を活用して収益を生み出すことを念頭に置いているケースが一般的です。

固定資産の取扱いに関連する会計処理の中には複雑なものもありますが、本記事では、わかりやすく解説していきます。

固定資産の例

固定資産は、有形固定資産と無形固定資産に大別されます。有形固定資産は、形のある資産のことで、建物・土地・構築物・車両運搬具・工具・機械装置等が含まれます。

一方で、無形固定資産には、営業権・のれん・ソフトウェア・ダム使用権・意匠権など形のない資産が含まれます。どれも明確な形がなく概念的なものであるため、厳密な価格を算出しにくいのが特徴です。

備品

取得金額が10万円以上、20万円未満の物品で、耐用年数が1年を超えるものは「備品」という勘定科目を用いて処理します。例えば、家具・パソコン・カメラ・エアコンなどが備品に当てはまります。

一般的には備品に該当するものだったとしても、金額がある10万円を下回るものや、耐用年数が1年未満のものの場合、費用計上をすることがあります。ここからは、それぞれの処理の違いについて以下わかりやすく解説します。

出典:税務最新情報|一般社団法人 東京法人会連合会

全額費用計上している場合

備品を全額費用計上するのは、金額が10万円未満のものや耐用年数が1年未満のものを購入したときです。

本来であれば、減価償却をして年度毎に資産価値を減価させるのが「資産」の勘定科目の取り扱いですが、上記に該当する場合には購入年度内に全額経費計上することができます。全額経費計上する際には、備品勘定ではなく経費勘定を用いるようにします。

固定資産として計上している場合

備品を固定資産として計上した場合は、耐用年数に応じて減価償却を実施します。減価償却の際には、「直接法」あるいは「間接法」のいずれかを選択します。

直接法は、資産をそのまま減価する方法です。貸借対照表上においては、資産を減価償却費の金額分減らし、損益計算書には減価した分の金額を減価償却費として記載します。

一方で、間接法は減価償却累計額に科目を移し替える方法です。損益計算書は直接法と変わりませんが、貸借対照表の上では貸方に減価償却累計額が記載されます。

固定資産売却時に注意すること

固定資産の売却を完全子会社、完全親会社などの100%グループ会社間で実施する際には注意が必要です。

100%グループ内での固定資産の売却の場合、会計上は関係がない会社同士の取引と同様の仕訳を実施しますが、税法上はグループ法人税制の適用対象となるため申告調整する必要があります。

したがって、100%グループ会社間での固定資産売却の場合は、税法上の調整が必要になると認識しておくとよいでしょう。

参照:通算グループ内の法人の間の取引の損益調整 | 国税庁

固定資産売却の仕訳

固定資産を売却する際には、会計上の処理と税法上の処理の違いを明確にして仕訳を実施する必要があります。この中で特に複雑なのは、固定資産売却の際の仕訳処理と、消費税との関係です。

併せて少し複雑なのが、減価償却費の取り扱いです。一般的に、減価償却を実施するのは期末になるため、期中に売却をした固定資産をどのように減価償却すればいいのか悩む経営者もいます。

ここからは、「消費税」が発生するかについてや、「期中に売却したときの会計処理」についてわかりやすく解説していきます。

消費税

まず注意しておきたいことは、消費税の扱いです。固定資産を売却する場合、利益が発生していなくても消費税は発生します。例えば以下のケースを考えてみましょう(減価償却額は0とみなします)。

簿価2,000万円の固定資産を1,000万円で売却する場合、発生する固定資産売却損は1,000万円です。したがって、利益は発生していません。しかし、この場合において売却金額1,000万円に対して発生するのが消費税です。

なお、仕訳する際に会計ソフトを活用している場合であっても、上記の場合は仮受消費税が反映されないことがあるため、ソフト内の仕訳の中身を確認することをおすすめします。

期中売却したときの会計処理

固定資産を売却した際に注意すべき2つ目のポイントが、期中に固定資産を売却した際の減価償却費の取り扱いです。税法上、減価償却費は期末の減価償却金額に準じて実施するため按分はできませんが、会計上は所有期間に応じて減価償却費を按分することが一般的です。

固定資産売却損とは

固定資産を売却する際には、固定資産売却損が発生する可能性があることにも注意しておきましょう。

固定資産売却損は損益計算書上の特別損益として表示されるため、損失が大きい場合には純利益が赤字になるリスクがある点には注意が必要です。

固定資産売却損に関する会計処理

固定資産売却損に関する会計処理を理解するために、1,000万円で購入した機械装置を現金500万円で売却し、その際の減価償却累計額は400万円であったケースを考えましょう。

上記の固定資産売却損を考える場合は、まずは帳簿価額を求めます。

機械装置の帳簿価額は1,000万円から減価償却累計額400万円を引いた600万円です。

つまり、帳簿価額600万円に対して、売却金額は500万円となるため、100万円の固定資産売却損が発生しています。

上記の例の場合は、借方に現金科目500万円、減価償却累計額400万円、固定資産売却損100万円を置き、貸方に帳簿価額の1,000万円を記載します。

まとめ

本記事では、固定資産の基本と固定資産の会計処理をわかりやすく解説してきました。

会社の資金繰りが圧迫している場合には、固定資産の売却が資金繰り改善に向けた一つの手段になりえます。

しかし、固定資産の売却により資金を確保できたとしても、売却価格が帳簿価額を下回る場合には特別損失が発生し、会社の業績に悪影響を及ぼすリスクがあるため注意が必要です。

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