【デザインワン・ジャパン×昼job】中小事業者の課題解決を共に目指す! 「エキテン」運営会社が人材事業への進出を決めた“ニッチ市場”とは?

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【デザインワン・ジャパン×昼job】中小事業者の課題解決を共に目指す! 「エキテン」運営会社が人材事業への進出を決めた“ニッチ市場”とは?

国内最大級のオールジャンル口コミ店舗検索サイト「エキテン」の運営を中心に、中小事業者に向けた集客支援サービス・SaaSを展開する株式会社デザインワン・ジャパン。「M&Aクラウド」のローンチ当初から記事掲載いただいている同社は2020年5月、ナイトワーク出身の求職者に特化した人材紹介サービスを手掛ける株式会社昼jobをグループに迎えました。2019年末に「M&Aクラウド」を介してつながった2社が、どのように信頼関係を築き、ビジョンを共有し、新型コロナウィルス感染症の拡大という経済危機をも乗り越えて成約に至ったのか――昼job 代表取締役の坪嶋 拓真氏(写真左)、デザインワン・ジャパン 代表取締役社長の高畠 靖雄氏(写真右)、同 社長室 統括の松原 渉氏に語っていただきました。

プロフィール

坪嶋 拓真(つぼしま・たくま)

1987年、大阪府八尾市出身。高校卒業後に単身上京、19歳からナイトワークを始め、20歳で自身の飲食店を出店。その後、未経験で不動産会社の営業職に転職し、入社7ヵ月で賃貸事業部責任者、入社1年半で人事責任者を務める。社内新規事業として始動した「昼job」の事業立ち上げを任され、2018年にスピンオフした株式会社昼jobで代表取締役に就任。

高畠 靖雄(たかはた・やすお)

1975年、兵庫県高砂市出身。岡山大学大学院工学研究科修了後、株式会社富士通へ入社し、スーパーコンピュータの研究開発、CRMソリューションソフト事業に携わる。2005年、株式会社デザインワン・ジャパンを設立し代表取締役に就任。2015年に東証マザーズへ上場、2016年には東証一部へ市場変更。

松原 渉(まつばら・わたる)

商工会議所や地方自治体の調査研究事業・計画策定支援等を経験後、2013年に株式会社デザインワン・ジャパンへ入社。入社後は「エキテン」事業のマーケティングや商材企画を手掛け、現在は社長室でアライアンスや投資・M&Aを推進。

自ら開拓した新規市場。強力な競合が出現する前に、パートナーを見つけたい!

――昼jobさんの事業紹介からお願いいたします。

坪嶋:ナイトワーク、いわゆるキャバクラなどで働いていた人が夜職を卒業し、昼職に就職するステップを専門的に支援する人材紹介会社です。

――立ち上げの経緯をお聞かせいただけますか?

坪嶋:きっかけは前職の不動産会社で採用担当をしていたとき、ナイトワーク出身の女性を採用したことです。履歴書に自撮り写真を付けてくるようなぶっ飛んだ子でしたが、面接のときからすごい気合いとモチベーションを発散していて。営業職で採用したところ、入社1年目で先輩たちをごぼう抜きして、一人で7,000万円くらいの売り上げを持ってきたんです。
そのガッツと覚えの早さを目の当たりにして、ここから採用活動の新しい可能性が開けそうだと感じました。通常の人材サービスでは敬遠されがちなナイトワーク出身者の中に、すごいポテンシャルが眠っている。採用担当者としての視点に加えて、僕自身がナイトワークの経験者でもあり、同じナイトワーク出身者の助けになりたい想いもありました。ここに特化した人材募集の仕組みを作れたら、まずは自社の採用活動を変えることができ、さらにはサービスとして事業化することもできるのでは、という目論見の下、取り組みを始めました。

――当初は社内新規事業としてスタートされたのですね?

坪嶋:はい。その後2018年8月に法人化し、僕が代表を務めることになりました。設立時はスピンオフという形で、勤めていた不動産会社の代表に半分出資いただきました。。

――坪嶋さんは不動産会社のお仕事を離れることに迷いはなかったのですか?

坪嶋:というか、むしろ僕の希望を通してもらったんです(笑)。昼job事業をやっていると、採用が決まった瞬間に、嬉し泣きする登録者がいるんですよ。不動産会社で賃貸物件の営業をしていたころ、契約が決まる場に立ち会えるのもやりがいがありましたが、昼jobではその数倍の感動を味わえる。もう自分の天職だと思っていました。

――その後、「M&Aクラウド」に登録いただいたのが2019年の秋ごろですね。登録時の背景をお話しいただけますか?

坪嶋:一つには、立ち上げのときからいずれは他社に買ってもらう想定で進めてきて、求職者もクライアント企業も一定数集まってきていたことがあります。また、ちょうどそのころ似たようなサービスを始めるところがちらほら出始め、早いうちに資金力のある会社に買ってもらう方がよいと感じていました。大きな会社に類似サービスを始められてしまったら、一気に抜かれてしまう可能性もあると思ったので。

――「M&Aクラウド」に登録後、カスタマーサポートのサービスもご利用いただきましたね。

坪嶋:当社は僕プラス3人という規模で、日々通常業務に追われていましたから、もしサポートサービスを利用していなければ、並行して売却準備を進めていくことは難しかったと思います。担当いただいた及川さんには、事業内容やこれから全国展開をしていきたいことなどをお話ししたうえで、デザインワン・ジャパンさん含め、マッチングしそうな買い手企業をお勧めいただきました。その後も、面談前には準備のポイントをインプットいただいたり、要所要所で背中を押してもらったおかげで、終始前向きに、かつタイムリーに対応していくことができました。

第一印象は「合わなさそう」⁉ カルチャーの違いを超えた関係を紡いで

――一方のデザインワン・ジャパンさんは、2018年のサービス開始当初から「M&Aクラウド」に掲載いただき、多数の売り手さんから打診を受けてこられました。面談もかなりされていますね。

高畠:ほかにも登録しているサービスはいろいろあるのですが、結局、進んでいくのは「M&Aクラウド」の案件なんですよね。

松原:「M&Aクラウド」には仲介会社ではなく売り手が直接登録しているので、ダイレクトに交渉できるところが良いと思っています。仲介会社が入ると、売り手に会えるまでに1~2カ月くらいかかってしまったりしますから。

――今回、昼jobさんからの打診に注目されたのはなぜですか?

松原:「エキテン」を通じ、顧客である店舗や中小事業者の皆さんと接していると、「集客もしたいけれど、スタッフが足りないので採用もどうにかしたい」という声を聞くことがあり、採用や人事関連サービスを社内に持ちたいという考えは以前から持っていたんです。ただ、通常の人材サービスに関しては、競合も多い中、グループ内でうまく育てていけるのかという懸念がありました。その点、昼jobさんは人材サービスの中でもニッチな市場に特化しているので、当社の下でも可能性がありそうだと直感しました。

――12月の初回面談は松原さん、坪嶋さんのお二人でなさったのですね? 第一印象はいかがでしたか?

坪嶋:「合わなさそうだな」と思いました(笑)。生きてきた畑が違う人だなと。

松原:私も最初は「あまり話したことのないタイプだな」という印象でした(笑)。

坪嶋:そもそも偏見を持たれやすいビジネスでもあり、「受け入れてもらえるのか?」と探るような気持ちでした。でも、実際話し始めると、昼job事業の経緯や苦労したポイントなど、すごく興味を持って質問してくださって。面談が終わるころには、「意外にいい感触だったな」という印象に変わっていました。

松原:M&Aの面談では、事業の話を飛ばして「売りたい」空気を前面に出してくる人も多いのですが、坪嶋さんの話しぶりはとても誠実で、それが印象的でした。この仕事にかける想いや使命感がひしひしと伝わってきて、私も話が終わるころには「この人となら、うまくやっていけそうだな」と。

――そこから高畠社長に話を上げられたのですね? 高畠社長は最初、昼jobさんの事業内容を聞かれたときは、どんな印象でしたか?

高畠:昼職未経験の層を対象にしているということは、研修など、通常の人材紹介よりもフォローに手間がかかりますよね。その分、大手の人材会社には進出しづらい領域なので、これは面白いなと思いました。ナイトワークからの卒業支援というのは社会貢献性も高く、初めて人材領域に挑戦する当社にとっては、よい切り口だなと。

――実際に坪嶋社長にお会いになったときは、いかがでしたか?

高畠:「チャラい人が来るのかな」と思っていたんですが(笑)、会ってみると本当に熱くて、誠実で、面白い人材だなと感じました。当社のメンバーは堅実に物事をこなす真面目タイプが多いのですが、それだけに新しい事業が生まれづらい面もあり、違うDNAを入れていく必要があると感じていたんです。別会社としてグループに加わってもらう形であれば、坪嶋さんの良い意味での「異質さ」もそのまま活かしながら、いい関係を築いていけるのではと思いました。

坪嶋:僕の方も、上場会社の社長、イコール怖くて厳しい方を想像していたので、高畠社長のソフトなお人柄にまずはほっとしました。面談後は日を置かずに「食事でも行きましょう」とお誘いいただき、それもすごく嬉しかったですね。

――会食は松原さんがセッティングされたのですか?

松原:はい。M&Aの場合も提携の場合も、面談で相性がよさそうだと感じた方は必ず会食にお誘いし、代表同士、話を深めてもらうようにしています。数字の話は後でもできますが、まずはお互いを信頼して、交渉のスタートラインに立てるかどうかを見極めたいので。

坪嶋:その会食の場で、僕が「どんな人と一緒に働きたいですか?」と社長にお聞きしたら、「上場企業の一員として恥ずかしいことさえしなければ、何をしても構いません。自由にやっていただきたいと思います」と言ってくださったんです。その瞬間、僕は「デザインワン・ジャパンさんのグループ会社になりたい」と意思が固まりましたね。

高畠:私からも事業展開について、いくつか気になる点を質問したところ、よく考えられた答えが返ってきました。「しっかりしているな」と安心しましたね。

松原:もちろんカルチャーの違いはあると思うのですが、それはむしろ良い違いで、噛み合うところはちゃんと噛み合う。これならルールを相談しながら、権限を移譲していけるという感触を得ることができました。

最終盤にコロナで環境急変! 信頼関係ができていたから、長い目で決断できた

――そこからデューデリジェンスを経て、5月のクロージングに至るまで、特に難しかった点はありましたか?

松原:それはやはり、新型コロナの感染拡大という想定外の事態が起きたことです。

――4月あたりから、店舗ビジネスは大変な状況になりましたよね。

高畠:このタイミングで人材事業に参入するのは勇気のいることで、価格に関しては、実際に交渉もさせていただきましたけれども。ただ、昼jobは人材会社の中でも紹介料がリーズナブルで、当社の顧客である中小事業者とは相性がいい。お客様の中には、職歴よりもコミュニケーション能力重視で採用したいという経営者も多く、そうしたニーズに見事にマッチするサービスです。その前提は揺らがなかったので、短期的なリスクを加味しつつも、長期的な目線で判断することができました。

松原:でも、これがもし仲介会社経由で、業績や財務情報ばかりをベースに検討している案件だったら、最後まで進んだかどうか・・・。今回は、早いうちに昼jobのオフィスを訪問したり、もちろん当社にも来ていただいたりして、コロナ前に信頼関係を作れていたことが大きかったと思います。最後、条件面で率直な交渉ができたのも、それまでに人間関係ができていたからこそです。

――昼jobさんへの訪問も早い段階でされていたのですね?

坪嶋:当社では従業員の採用時から、将来、売却を想定していることを伝えていたので、そこに関して戸惑いなどはありませんでした。むしろ社長や松原さんにおいでいただいたことで、「こういう方たちなのか」とうちのメンバーも安心できたようです。

――昼jobさんのビジネス上は、コロナの影響はいかがでしたか?

坪嶋:人材紹介業界は全体に大きなダメージを受けましたが、その中で当社は、事業の存続に関わるような心配はせずに済みました。それはやはり、ニッチな領域を開拓してきたおかげです。求人数に影響があったとはいえ、これだけの経済ショックの中でこの程度で済んでいることは、今後に向けて自信になりました。
一方、求職者さんの方は、毎月の登録者数が350名ほどだったところ、この4月、5月は2.5倍ほどに急増しました。「ナイトワーク出身者のキャリアチェンジをサポートする」というミッションの大きさを再認識しているところです。

一部上場企業のステータスも武器に、人材サービスの新たな可能性を切り拓く

――デザインワン・ジャパンのグループ会社として、今後はどんな事業展開を描いていらっしゃるのでしょうか?

坪嶋:グループ内の異業種第1号として、後に続く方たちのためにも、僕たちが失敗するわけにはいきません。上場企業の仲間に加えていただいたことに恩義を感じていますし、「あのとき買ってよかったな」と思っていただけるよう、成長戦略をしっかり遂行していきたいです。
まず、グループイン前から考えていた全国展開に関しては、従来の東京、大阪に加え、5月には福岡、札幌に拠点を開設しました。次は名古屋と仙台、これは1年以内に実現させたいと思っています。
そのほかの計画は、現時点では詳しくお話しできないのですが・・・ナイトワーク出身者に続くニッチ市場の開拓など、いくつか面白い構想があります。
当社は今のサービスを育ててくる過程でも、新規の営業先ではなかなか理解が得られず、壁を感じたことも数限りなくありました。そんな中、自分たちが成果を出し、社会の認識を変えていくしかないという思いで1社1社取引先を開拓。今では、通常の人材紹介では男性の応募者しか獲得できなかった会社、コミュニケーション能力の高い応募者を求めていた会社などから頼りにしていただいています。
こうした経験値があり、これからは一部上場企業のグループ会社というステータスもあるのですから、怖いものはありません。社会に新たな価値を生む人材サービスを実現させるために、果敢にチャレンジしていきます。

――デザインワン・ジャパングループ全体としての今後の展望もお聞かせください。

高畠:中小事業者の事業運営を支えるアクセラレーターとして、多彩な機能を備えたグループの形成を目指しています。販促活動をサポートするプラットフォーム事業からスタートし、前回公表したM&Aではプラットフォーム開発をバックアップするリソースを拡充。今回は新たに人材紹介の機能を獲得することができました。将来的には、グループの力で、クライアント企業のヒト・モノ・カネ・情報を全方位的にサポートしていけるよう、引き続きM&Aも積極的に活用しながら、仲間を増やしていきます。

松原:特に「ヒト」の領域は、ここに課題を抱えているクライアントが多いので、今後もM&Aに力を入れていきます。今回のような人材サービスはもちろん、現場の省力化に貢献するサービス、働きやすい環境づくりに役立つサービスなどにも注目しています。「M&Aクラウド」では、他のプラットフォームでは出会えないようなユニークな案件に出会えるので、これからも期待しています。

高畠:今回は、当社にとって仲介やFAを使わず、全てを自社で交渉・進行管理した初めてのディールでしたが、こうしたノウハウを社内に蓄積できたこともプラスになりました。小規模なM&Aを検討している会社にとって、「M&Aクラウド」は本当によいサービスだと思います。

――ありがとうございます。坪嶋さんからも、他の「M&Aクラウド」ユーザーに向けて、アドバイスをお願いいたします。

坪嶋:今、振り返って思うのは、会う前にあまり心配しても仕方がないということです。会ってみて初めて分かることがたくさんあるので、打診と面談設定はどんどん進め、実際に会話しながら互いの意向をすり合わせていく。そんなスタンスでいった方が、よい縁に出会えるのではないでしょうか。

――お三方とも、本日はありがとうございました。


■本ディールの経緯
2019年11月20日 「M&Aクラウド」で打診
2019年12月10日 初回面談
2019年12月16日 社長を交えて会食
2019年12月24日 昼jobオフィス訪問
2020年2月 デューデリジェンス開始
(2020年3~5月 日本国内で新型コロナウィルスの感染拡大)
2020年5月 クロージング


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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

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