【システム・ロケーション×Inspiration】10年以上かけて初成約!M&Aクラウドで理想の出会いを実現した成約ポイントとは

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【システム・ロケーション×Inspiration】10年以上かけて初成約!M&Aクラウドで理想の出会いを実現した成約ポイントとは

自動車の価値を算出するシステムをコアに多様なソリューションを提供しているシステム・ロケーション株式会社は、2022年4月1日、自動車販売店向けに販促・営業支援ソリューション事業を展開するInspiration株式会社の全株式を取得し、子会社化しました。

両社はM&Aクラウドのマッチングプラットフォームを利用してどのように出会い、成約に至ったのか。システム・ロケーション 代表取締役社長の千村 岳彦氏(写真右)と専務取締役の前田 格氏(写真左)にお話を聞きました。

プロフィール

システム・ロケーション株式会社:千村 岳彦(ちむら・たけひこ)

1960年生まれ。1983年、慶応義塾大学卒業後、山一證券株式会社に入社。同年退社し、日本IBM株式会社に入社。1992年、同社を退社後、システム・ロケーション株式会社創業。1996年より現職。

システム・ロケーション株式会社:前田 格(まえだ・さだむ)

1968年生まれ。1991年、慶応義塾大学卒業後、安田火災海上保険株式会社(現 損害保険ジャパン株式会社)入社。2002年、システム・ロケーション株式会社に入社。事業開発部長、取締役を経て、2021年より現職。

M&Aクラウドだからこそ、理想の相手に巡り会えた

システム・ロケーション 代表取締役 千村氏
システム・ロケーション 代表取締役 千村氏

――システム・ロケーションさんは、自動車の価値算出システムを核としたソリューションを提供されています。業界では独自の地位を築かれてきたと思いますが、なぜM&Aを検討されるようになったのでしょうか?

千村:お客様のニーズがめまぐるしく変化するなかで、そのニーズに対応したソリューションを提供するためには、自社のリソースだけでは不十分な場合もあります。そこをM&Aで補おうと考えたわけです。

具体的には、エンジニアを抱えているシステム開発会社をはじめ、データ分析や営業などの面で当社とシナジーが見い出せる会社を探していました。

ーーM&Aを検討されるようになったのは最近ですか?

千村:いいえ、10年以上前からです。これまでの期間にM&A仲介会社から提案を受け、検討した案件も多数ありましたが、どれも帯に短したすきに長しで、成約に至ることはありませんでした。

――その後、2019年10月にM&Aクラウドに買い手として記事を掲載いただくことになります。

前田:アプローチできる売り手の間口を広げる意味でも、M&Aクラウドで掲載するのがベストな選択だと判断しました。

ーー今回の成約まで約2年半の間、どのようにM&Aクラウドをご利用いただいていたのでしょうか?

前田:売り手からオファーがあった場合は通知が届くので、その内容はすぐに確認していました。また、自分から売り手を検索し、スカウトすることもありましたね。最終的に10社以上からお声がけをいただいたと思います。

そこから気になる5社~6社と面談し、可能性が高そうな会社については千村とトップ面談を行いました。

――M&Aクラウドのサービスについては、どのような感想をお持ちですか?

千村:売り手情報が定期的に送られてきて、後は自分たちのペースでじっくりと判断して進められるM&Aクラウドは当社にフィットしていると思います。こういう仕組みだからこそ、Inspirationのような理想的な相手に巡り合えたのではないか、と。

面談時に感じたのは、「こんな会社があったのか!」という驚き

――Inspirationさんからオファーが届いた時の印象は?

前田:どの案件もそうですが、オファーの情報だけでは、実際に成約に至るかどうかはわかりませんでした。ただ、Inspirationについては事業内容に関心を持ったので、面談をお願いしました。

――初回面談後、その印象は変わりましたか?

前田:顧客領域が重複していないので、率直にいいなと思いましたね。商品自体も興味深いものでしたし、社内の雰囲気もいいと感じました。そこで、トップ面談に話を進めました。

――2回目に千村社長が面談されたのですね。その時はどのような印象を抱きましたか?

千村:びっくりした、というのが最初の感想ですね。

当社は自動車にまつわる各種データベースや自動車の価値算出ノウハウなどの基礎技術を、自動車ファイナンス事業者や自動車販売会社に提供している会社です。自動車流通業界でも独自性の高いサービスを提供しているので、他に同じような会社はないと思っていました。

一方のInspirationは、元々業界内で名の知れた会社だったようで、主に自動車ディストリビューター向けシステム開発や、自動車販売店向けソリューション事業を展開している会社です。同じ業界に属する類似業種でありながら、客層や商品ラインナップは異なる。そんな会社があることを私たちは初めて知り、驚いてしまったわけです。

――どのような部分でシナジーがありそうだと感じましたか?

千村:例えば当社は、国内メーカー系のディーラーに強いのですが、Inspirationは輸入車ディーラーに強い。もし一緒になれば、顧客層の拡大につながり、お互いの顧客にお互いの商品を提案できると考えました。

また、営業手法も相互補完できそうだと感じましたね。当社の顧客は大企業が多いため、組織的な営業を得意としています。一方、Inspirationの顧客は大小さまざま。そのため、組織的な営業よりも個人の営業力に強みを持っています。お互いのノウハウやネットワークを融合すれば、いいとこ取りができると思いました。

さらに、当社はシステム開発を外部に委託している部分が多いのですが、Inspirationはほとんど内製化しています。当社の開発案件を将来的にInspirationに任せることもできそうだと考えました。

――事業内容以外の部分で何かお感じになったことは?

千村:うちの社風に合っていると思いました。おおらかでギスギスしていない、落ち着いている感じ。物事の進め方に対する考えも似ているのでは、と。

一世一代の出来事だからこそ、丁寧なコミュニケーションを

――相性のよさを感じたということですね。その後、買収の決断に至るまでどのような経緯があったのでしょうか。

千村:例えば、最初に前田が面談した段階が五合目だとしたら、私が面談した段階が六合目くらい。一、二度会ったくらいでは詳しいことなんてわかりませんからね。

面談なども含めてコミュニケーションを重ねて詰めていくうちに徐々に信頼関係ができあがり、九合目まで達したと判断できました。その後、2022年1月に基本合意を締結しました。

――九合目に持っていくまでの間で、特に入念にチェックした部分は?

前田:相手の経営陣の人柄、社風、サービスの内容、お客様の状況、財務の状況、そういったものを一つひとつ丁寧に紐解いていきました。

Inspiration側にとっても売却は一世一代の出来事ですから、私たちとしても丁寧に真摯に対応しなければなりません。そのような積み重ねのなかで、お互いがだんだんと確信を持てるようになったのだと思います。

面談をほぼ対面で行ったのも、お互いの信頼構築の中で大きな役割を果たしていたかもしれません。オンラインで問題ないミーティングもあると思いますが、M&Aについては、相手の会社の様子を知るためにも対面の方がいいと感じています。

例えば、オフィスを見て「社員が全体的に疲れているな」と感じられるような会社だったら、ちょっと心配してしまいますよね。そういったことも対面じゃないとわからないからです。

PMIのポイントは、お互いへの尊敬と尊重

システム・ロケーション 専務取締役 前田氏(左) 同 代表取締役社長 千村氏(右)
システム・ロケーション 専務取締役 前田氏(左) 同 代表取締役社長 千村氏(右)

――2022年4月1日、株式譲渡契約を締結となりました。社内の反応はいかがでしょうか。

千村:社内では「こんな会社があったんだ」「この商品ならいろいろな展開ができそう」という声があがっています。

実は4月の正式契約より前、1月の基本合意後から、両社で協業の方法を話し合い、実際に取り組みを進めてはいたのです。もし買収が破談になったとしても、協業はできるだろうという感触があったんですね。

例えば当社とInspirationの担当者が一緒にお客様先へ訪問して、お互いの商品を提案するといった活動を進めていました。今後、協業を本格化していくなかで、社員からもいろいろな意見やアイデアが出てくるのではないかと思っています。

――お客様からはどのような反応がありましたか?

千村:商品のラインナップが増えることに興味を持っていただいています。ただ、当社のお客様にInspirationの商品を紹介する場合も、Inspirationのお客様に当社の商品を紹介する場合も、すぐに売れるとは思っていません。ニーズに合わない部分は出てくるはずです。

そこをヒアリングして、お客様のニーズに合うようなかたちで手直しする。それを何度か繰り返すことで、半年後くらいから成果が出てくると予測しています。

――社員同士の交流は始まっているのでしょうか?

千村:先日はInspirationの社員全員と当社の経営層で懇親会を開催しました。次は現場単位で全員を交流させたいと思っています。イベントなどを開催して関係を深めていければと思います。

――PMIを進めるうえで心がけたいことは何ですか?

千村:これは当社のポリシーでもあるのですが、社員が疲弊しない仕事のやり方を取り入れたいと思っています。サービスに合ったお客様を厳選し、いい付き合いができるような仕組みを作れば、社員は楽しく仕事ができます。これをInspirationにも当てはめていきたいですね。

また、お互いに尊敬・尊重がないとダメだと思っています。お互いのいいところをよく知る。それから苦手なことがあれば補い合う。そういったことを大事にして両社の融合を進めていきます。

――ありがとうございます。それでは最後になりますが、M&Aを検討している企業に向けてアドバイスをお願いします。

千村:仲介会社に依頼するにしてもマッチングサービスを利用するにしても、間口は広げておいた方がいいと思います。そしてあきらめずに焦らずに、自社に最適な相手を見つけることが大切ですね。

当社も引き続き、いい出会いがあれば積極的にM&Aを検討していきます。とはいえ、数字を作るためだけのM&Aは全く考えていません。あくまでも本業を伸ばすことを目的に、一緒になることでシナジーを創出できるような相手を探していく予定です。

――千村さん、前田さん、本日はありがとうございました。



■本ディールの経緯
2019年10月9日 システム・ロケーションが『M&Aクラウド』で募集開始
2021年9月9日 Inspirationが『M&Aクラウド』に登録
2021年10月1日 初回面談設定するも台風でリスケ
2021年10月6日 初回面談(対面、双方の事業内容紹介)
2021年10月18日 2回目面談( 対面、システム・ロケーション代表とInspiration取締役で実施)
2021年10月25日 4回目面談(対面、システム・ロケーション全常勤取締役が参加して情報交換)
2021年11月9日 QA表やり取り開始(メール等、プレDDに相当する内容を実施)
2021年11月18日 業務提携契約締結
2021年11月29日 代表者面談(対面、双方意思確認とランチ会食)
2021年12月16日 営業部門面談(対面 、情報交換と協業検討)
2021年12月18日 財務に関するヒアリング(対面)
2022年1月26日 基本合意書締結
2022年2月20日 労務に関するヒアリング(対面、システム・ロケーション同席なし)
2022年3月10日 法務に関するヒアリング(対面)
2022年4月1日 株式譲渡契約締結



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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

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