【オズビジョン×emy products】「漢方D2C」立ち上げ直前! 面談後数日で出資決定を引き出した秘訣とは?
投資家:株式会社オズビジョン
出資先:株式会社emy products
公開日:
2021年10月18日、株式会社emy productsは、サブスクリプション型漢方ブランド「NEOTAO」のローンチを発表。おしゃれなパッケージデザインとパーソナライズされた処方を前面に打ち出し、若者向けにD2C展開を図っていく計画です。同社は「NEOTAO」(https://ec.neotao.jp/)のローンチに向けた資金調達で「M&Aクラウド」を活用し、2か月足らずで3社と成約。そのうちの1社、株式会社オズビジョンとの成約に至った経緯、今後のビジョンなどについて、オズビジョン 代表取締役の鈴木 良氏(写真中央)、同 社長室長の入江 崇広氏(写真左)、emy products 代表取締役の平賀 靖章氏(写真右)に語っていただきました。
プロフィール
高校卒業後アルバイトをしながらビジネススクールに通い、2006年にオズビジョンを創業。ポイントモール「ハピタス」をリリースし、会員数350万人、流通総額1,200億円を突破し、創業以来13期連続増収。2016年Pollet株式会社を創業。2017年JIPC(日本インターネットポイント協議会)理事に就任。
2008年に株式会社オズビジョン入社。ポイントモール事業でクライアント営業の後、マーケティング責任者として集客と販促に従事。2017年より新規事業やAIの研究開発など新しい試みを責任者として推進。その後ポイントモール事業部長を経て、2021年より社長室にて会員基盤と購買データを活用した事業企画・M&A・提携を担当。
慶應義塾⼤学商学部卒業後、2013年株式会社ディスクガレージ⼊社。年間100公演以上のコンサートの運営を⾏う。2017年に株式会社AbemaTV参画。K WORLDチャンネルプロデューサーとして、24時間⾒れる韓国専⾨のチャンネルを歴任。他、テレ朝夏祭りでAbemaTV初の飲⾷ブースの展開、AbemaFesの開催を担当。
若者向けのおしゃれな漢方D2Cへピボット
――まずは「NEOTAO」のご紹介をお願いいたします。
平賀 顧客一人ひとりの体質に合わせて、漢方原料をベースとしたサプリメントを組み合わせ、サブスクリプションでお届けするサービスです。体質診断は専属漢方医の監修のもとで行い、ユーザーとはSNSなどで密なコミュニケーションを取りながら、信頼性の高いブランドに育てたいと考えています。特に若い女性をターゲットにした、おしゃれなパッケージデザインも特徴の一つです。
――emy productsさんは2020年1月のご創業ですね。
平賀 はい。僕はもともとAbemaTVに勤めていた関係で、タレントさんやインフルエンサーさんとのつながりがあるんです。それを活用し、1期目はタレントを広告塔とした化粧品ブランドを立ち上げ、そのプロモーションのために、YouTubeチャンネルなども運営していました。ただ、これはタレントへの依存度の高いビジネスモデルだけに、会社としてコントロールしづらい要素もはらんでいるんですね。それで、2期目からは新たにプロダクトそのものの価値で勝負するビジネスを立ち上げたいと思い、漢方由来のサプリメントのブランドに挑戦することにしました。
――どんな経緯で漢方ブランドに決めたのですか?
平賀 事業アイディア自体は、社内で100案くらい出しました。中で見込みのありそうなものについて、当社で協力してもらっているインフルエンサーさんにアンケートを取ったり、化粧品ユーザーにサンプルを送ってみたりして、絞り込んでいったんです。3案ほどに絞った段階で、以前から事業のアドバイスを頂いていた方に相談したら、偶然、その方も自社で漢方ブランドを企画し、商品のデザインなどにも取り組み始めているところで。そこで、その会社にはうちの株主として入っていただき、一緒に立ち上げを進めていくことになりました。
――それがいつごろですか?
平賀 今年の1、2月だったと思います。そこから2社のアイディアを突き合わせ、いいとこ取りしながらマージして、製造を委託する工場を選定して。ローンチまでに必要になる資金の見通しを立てたうえで、3月下旬ころから調達に動き始めました。D2C領域に出資しているVCや事業会社を対象に、自分の人脈で当たれるところには片っ端から当たっていった形です。
目標額の6割ほどまでは出資いただける見通しが立ったのですが、その時点で、すでに紹介でアプローチできる先には当たり尽くした感がありました。アイディア自体には興味を持っていただけても、「すでに健康食品、サプリメントの事業に投資している関係で、今のタイミングでは判断できない」と言われるケースが多かったですね。「もっと間口を広げて当たっていかないとだめだな……」と痛感していたときに、「M&Aクラウド」を知ったんです。
――当社のアドバイザーの小林と大学時代からの友人だったそうですね。
平賀 小林君に相談してサービスを知り、「無料で使えるのなら」と登録したところ、その日から、カスタマーサポートの方がおすすめの打診先をどんどんリストアップしてくれました。7月上旬に登録した後、「M&Aクラウド」経由で3社からの出資が決まり、契約締結するまで、2カ月足らずでしたから、本当にスピーディーでした。
最初に会ったのは、起業家の気持ちに寄り添える経験者
――オズビジョンさんとは、最初はWebで面談されたのですね。
入江 その際は私たちではなく、当社の出資先の経営者に担当してもらいました。
鈴木 一次面談は基本、その人に任せているんです。彼自身、スタートアップの経営者で、過去には会社売却経験もあるので、面談相手の気持ちがよく分かるんですね。彼が推薦する面談先が、週次で開いているM&Aの定例会に上がってきて、だいたい3分の2は次のステップに進めています。
平賀 本当にこちらの立場に立って話してくださる方で、勇気づけられました。プロダクトのローンチに向けて、工場への発注の段取りなども並行して進めていましたし、「M&Aクラウド」登録前に出資を決めてくださった会社にも待っていただいている状況で、かなり焦っていた中だったので……。「大丈夫ですよ」と優しく声をかけていただき、Web面談から1、2週間後には、鈴木さん、入江さんとの面談をセッティングしていただきました。
――このときはリアルの面談ですか?
平賀 はい。面談自体はそれまでに何十件と経験していたものの、コロナ禍でWeb面談が多く、久しぶりのリアル面談で緊張しましたね。鈴木さんは身長も高いですし、お会いした瞬間に若干ビビりました(笑)。
――それはWebでは分かりづらい部分かもしれませんね(笑)。
平賀 お話しし始めると、いろいろ突っ込んで質問してくださり、僕も調子を取り戻しました。当社の「NEOTAO」ブランドは、最初はサプリメントから展開を始めますが、将来的には医薬品の申請も行い、本格的に漢方業界に進出する計画です。「医薬品になると、マーケティング上どんな効果があるのか?」といった点を詳しく聞いてくださり、満足のいく説明ができたと思います。
鈴木 漢方と言えば、一般的にはおじいさん、おばあさんが飲むものと認識されている中で、若者向けにUXを整えて提供していくことには可能性を感じます。健康食品やサプリメントのブランドはすでにすごい数が出てますが、その中で「漢方由来」でかつデザインに訴求力があるというのは、逆に新しい。面白いドメインですよね。
面談後「7日間で返事をください」に迅速対応!
――オズビジョンのお二人は、平賀さんに対する印象はいかがでしたか?
鈴木 起業家にもいろいろなタイプがいて、それぞれに合った事業の進め方があると思いますが、平賀さんの場合、お人柄が誠実で純粋そうだなというのが第一印象でした。実際、これまでにいろいろな起業家の先輩たちから協力を得られていますし、このコミュニケーション能力があれば、今後さまざまな困難にぶつかったときにも、周りに助けられながら乗り切っていけるだろうと感じましたね。
ビジネス面では、D2Cの場合、私は商品開発力よりも、どちらかというとマーケティング力の比重が大きいと思っています。その点、emy productsさんは、すでに化粧品ブランドのD2Cで経験を積んでいますから、そこは今度の漢方ブランドでも生きてくるはずです。
入江 こちらの質問に対して、都度、明確な回答が返ってきて、しっかり調べられているな、という印象でした。面談前後のやりとりでも、いつも気持ちのいいコミュニケーションが取れるので、信頼できました。
――平賀さんは「M&Aクラウド」登録前にも多数の面談を経験されていますし、万全の準備で臨まれたのですね。
平賀 面談時のとっさの質問にスムーズに答えられないという状況をそれまでにたびたび経験してきたので、そうしたポイントは必ずメモに残し、「何を聞かれても自分の言葉で答えられるように」というつもりで復習していました。プレゼン資料も毎回ブラッシュアップして、自分が自信を持って面談に臨める状態をつくってきたことがよかったと思います。
あとは、先ほどお話ししたようにかなり急いでもいたので、面談時に具体的な議論まで進むよう、資料はすべて事前にお送りしておきました。
鈴木 7日以内に返事をくれって言われましたからね(笑)。「さすがにタイトだな」と思いつつ、真剣さ、必死さが伝わってきて、むしろ好印象でしたけど。
入江 金曜日に面談して、週明けには出資OKのご連絡をしました。プロダクト自体がこれから世に出るものだけに未知数の部分が多く、難しい投資判断でしたが、ここは覚悟を決めて可能性に賭けようと。商品のローンチ前から支援していくことは、当社にとっても楽しみでもあり、大きな学びになるだろうと思っています。
漢方D2C×ポイントモールでパワーアップへ
――「NEOTAO」の今後の展開について、ビジョンをお話しください。
平賀 今後ローンチから10~12カ月をめどに、会員数1,000人の達成を目指します。現状、若い世代にとって、「自分の体調に合わせた漢方」という専門性の高いプロダクトをサブスクで買っていくというのは馴染みのあることではないですから、とにかく試してくれる人を増やし、口コミの力で敷居を下げていく。SNSを中心にあらゆる手法を使って、まずは1,000人獲得する。そこでだいたい先行投資期間が終わり、購買データも溜まってくるので、あとは右肩上がりで利益を伸ばしていきたいと考えています。
サプリメント商品の中には、効果の訴求の仕方がややグレーだったり、極端な値下げ広告で集客したりしている例もありますが、「NEOTAO」はあくまでホワイトなブランドとしてユーザーの信頼を獲得していきたい。2、3年後には医薬品の申請を行い、自社のクリニックも持って、医薬品を販売できる体制を整えていく計画です。いずれば既存の漢方薬大手メーカーに肩を並べ、新しい風を吹かせたいという意気込みでいます。
鈴木 ぜひ思い切りやっていただきたいですし、当社もできる限りの協力をしていくつもりです。
当社の運営するポイントモール「Hapitas」(https://hapitas.jp/)では、ショッピングのヘビーユーザーを抱えています。350万人の会員が年間1,200億円の買い物をしているんです。この中には健康志向の強い方、新しもの好きの方もたくさん含まれていますから、まずそうした会員の送客で協力できるでしょう。また、商品開発の面でも、その1,200億円規模の購買データから見える消費トレンドを分析し、お伝えしていくことができると思っています。
――「NEOTAO」の普及と進化を楽しみにしています。鈴木さん、入江さん、平賀さん、本日はありがとうございました。
■本ディールの経緯
2021年6月30日 オズビジョンが「M&Aクラウド」で募集開始
2021年7月6日 emy productsが「M&Aクラウド」に登録
2021年7月9日 emy productsからオズビジョンに打診
2020年7月21日 初回面談(Web)
2021年8月10日 2回目面談(リアル)
2021年9月2日 契約締結
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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。