24歳CEOが率いるHRテックが、教育研修・就職支援の大手ジェイックにジョイン。日本の人材業界を活性化する大きな一歩に!

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24歳CEOが率いるHRテックが、教育研修・就職支援の大手ジェイックにジョイン。日本の人材業界を活性化する大きな一歩に!

企業向けの教育研修事業と若年層向けの就職支援事業を展開する株式会社ジェイックは2022年8月1日、法人向けキャリアカウンセリングプラットフォームの運営事業を営む株式会社Kakedasの株式の80%を取得し、子会社化しました。

M&Aクラウドの買い手企業・売り手企業としてプラットフォーム上で出会った両社は、初回面談から高い熱量を持って交渉を進め、クロージングに至りました。ジェイック代表取締役の佐藤 剛志氏、取締役経営企画本部長の谷中 拓生氏、Kakedas代表取締役CEOの渋川 駿伍氏にその経緯を伺いました。

プロフィール

株式会社ジェイック 代表取締役 佐藤 剛志(さとう・たけし)

早稲田大学卒業後、コンサルティング会社を経て個人で独立。2000年より現職。中堅中小企業を中心に社員教育事業と人材紹介事業を展開する。2005年、「就職カレッジ®」を開講。これまでに20,000人以上の若者を支援し、就職へと導いた。

株式会社ジェイック 取締役経営企画本部長 谷中 拓生(たになか・たくお)

立命館大学経済学部卒業後、2006年4月に株式会社ジェイックに入社。営業カレッジ西日本事業部長、経営企画部ゼネラルマネージャー、経営企画本部長、執行役員経営企画本部長を経て、2019年4月より現職。

株式会社Kakedas 代表取締役CEO 渋川 駿伍(しぶかわ・しゅんご)

高校在学中、17歳で初の起業を経験。高校卒業後も日本の大学には進学せず、海外大学のオンラインコース履修による学位取得を目指す。19歳で起業し、登録者数国内最多のオンラインカウンセリングサービス『Kakedas(カケダス)』など、法人向けサービスを展開している。

「M&Aクラウドは単なるプラットフォームではなく、血の通ったサービス」

株式会社Kakedas 代表取締役CEO 渋川 駿伍(しぶかわ・しゅんご)
株式会社Kakedas 代表取締役CEO 渋川 駿伍(しぶかわ・しゅんご)

――Kakedas様が事業の売却を検討した理由をお聞かせ下さい。

渋川 Kakedasはキャリアコンサルタントの伴走によりキャリア形成を支援する、日本最大級の法人向けキャリアカウンセリングプラットフォームを運営しています。国家資格キャリアコンサルタント約2,000名にご登録いただいています。

2017年の創業からIPOを目指して事業を伸ばしてきたのですが、2021年、ある会社から買収のオファーをいただいたことがありました。その会社と交渉する中で、IPOではなくM&Aによって会社を成長させるイメージを持つことができました。そこでM&Aでの成長可能性をさらに探るためM&Aクラウドを使い始めました。

――数あるサービスの中で、M&Aクラウドを選んだ理由は?

渋川 知り合いの方から話を聞いて親近感を持っていたことと、プラットフォーム上ですべて完結できる点がいいと思ったからです。

限られたリソースの中でM&Aの交渉を続けていくためには、ツールは絞った方が良いと考え、M&Aクラウド一本で取り組みました。

――実際に使ってみていかがでしたか。

渋川 プラットフォームアドバイザーの方には、買い手候補の選定をサポートいただいたり、オファー文面の書き方をアドバイスいただいたり、いろいろと助けてもらいました。

特に重大な用事がなくても「調子はどうですか?」みたいな感じで電話をくれたり、佐藤社長との面談前で緊張していた時にも鼓舞したりしてくれましたね。当社の副社長にも途中まではM&Aのことを話せず、誰も相談できる人がいなかったので、サポートがすごくありがたかったです。M&Aクラウドは単なるプラットフォームではなく、血の通ったサービスだと実感しました。

M&Aクラウドだからこそ、出会いやすい領域がある

株式会社ジェイック 代表取締役 佐藤 剛志(さとう・たけし)
株式会社ジェイック 代表取締役 佐藤 剛志(さとう・たけし)

――ジェイック様はどのような理由でM&Aを検討し、M&Aクラウドに登録いただいたのでしょうか。

佐藤 当社は2019年に東証マザーズ(現グロース)市場に上場しており、M&Aは外せない成長戦略の一つと考えてきました。多くの仲介会社ともお付き合いしていますが、プラットフォームも選択肢として持っておく必要があると考え、M&Aクラウドに登録しました。

――M&Aクラウドを利用してみて、いかがでしたか?

谷中 登録している企業の領域が、当社のニーズと近かったなと思います。当社がM&Aの対象としているのは、「企業向けに研修やアセスメントを提供する会社」「ユニークな領域に強みを持つ人材紹介会社」「HRテック関連会社」です。特にHRテック企業は、プラットフォームの方が出会いやすい印象がありますね。

ミッションもビジョンも事業もオーバーラップ。「各サービスに横串を通せるソリューションを、目の前に提示された気分」

株式会社ジェイック 取締役経営企画本部長 谷中 拓生(たになか・たくお)
株式会社ジェイック 取締役経営企画本部長 谷中 拓生(たになか・たくお)

――初回面談は2021年10月1日、オンラインで行われましたね。どのような話をしましたか?

渋川 他社との面談では、まずお互いの自己紹介をして人柄を知るところまでで終わっていましたが、ジェイックさんとは、会う前からお互いのことをおおよそ理解できていたので、初回面談から具体的なシナジーにまで踏みこんだ話ができました。

谷中 実は当社のビジネスは景気の影響を受けやすく、上場直後に見舞われたコロナ禍のために、成長戦略の見直しを迫られていたんです。そこで、就活・転職・教育研修など、我々の各種サービスを通して、ユーザーのキャリアを継続的に支援していくソリューションの提供を考えていたのですが、その具体的な方法に悩んでいました。

渋川さんと話した時に、当社のそれぞれのサービスに横串を通せるソリューションを、まさに目の前に提示された気分でしたね。

Kakedasさんのサービス単体でも時流に乗っていて成長できるし、我々のサービスの一つひとつと連携もできると感じました。商談を終えて、すぐに佐藤に「いい会社ありましたよ!」と伝えました。

佐藤 珍しくすぐ来たよね(笑)。M&Aの初回面談後の報告はたいていメールできますが、今回は直接報告に来ましたから、ピンと来たんだなとわかりました。

――翌週には2回目の面談が行われました。この時は佐藤社長も出席されたんですね。

佐藤 そうです。渋川さんに事業内容をプレゼンしてもらい、大変優秀な人だと感じました。しかも24歳。自分が同じ年の頃、こんなことを考えていなかったなと(笑)。また渋川さんには、優秀なだけでなく誠実で真っ直ぐなところを感じました。

渋川 Kakedasのようなスタートアップは、未来や夢を語ることをとても大事にしています。ジェイックさんは、それを青臭いと笑うのではなく、同じ目線で考えて、実現を一緒に目指してくれる会社という印象を持ちました。佐藤社長からは「オーバーラップ」という単語がとにかく頻繁に出てきたのをよく覚えています(笑)。

佐藤 「人生の主人公を増やす」がKakedasさんのミッションで、良い言葉だなと思いました。私たちは、「主人公になれていない」と思ってる人たちの就職支援を行っていますから。

例えばフリーターは、仕方なく今の状況に甘んじているケースも多く、どこか後ろめたい気持ちを持っている。彼らが自分のことを、「人生の主人公」と感じることができたら、それは最高の事業になりますよ。そういうミッションやビジョンの部分で、私たちとKakedasさんが目指してるところはオーバーラップしますし、事業の細部でもオーバーラップする部分はたくさんありました。

――事業面では、どのような協業ができそうと考えましたか?

佐藤 当社は主に、教育支援、若年層未経験者の就業支援、新卒の就職支援を手がけています。

教育支援では、いろいろな教育研修を提供していますが、効果測定や継続までをフォローしきれていないという課題があります。「ジェイック×Kakedas」なら、Kakedasさんのプラットフォームに在籍するキャリアコンサルタントの皆様の力を借りて、そこをうまくできる可能性が出てきます。

新卒の就活支援事業においても同様です。当社は100校以上の主に私立大学のキャリア課と提携して就活生の支援をしています。就活生は不安を抱えているので、情報提供をして相談に乗ってあげるとすごく安心します。フリーターも同様です。当社も既にサポートしていますが、Kakedasさんのキャリアコンサルタントの皆様に参画いただければ、もっとたくさんの人を支援できます。本当にいろいろなシナジーが考えられるんです。

最高潮の熱量で迎えたクロージング。「時間をかけたからこそ、強い信頼関係を築けた」

インタビューの様子
インタビューの様子

――基本合意契約が締結されたのが11月。その後、クロージングまで半年以上をかけていらっしゃいますね。

渋川 既存株主からいろいろな助言をもらいつつ、納得できるかたちで条件面を詰めていったために時間を要しました。僕自身が初のM&Aで慣れていないことが多かったのもあります。

谷中 我々にとっても初めての本格的なM&Aで、全体的にバタバタとしてしまいました。でも、クロージングまで長くかかったからこそ、一つの山を越えられたという一体感が生まれましたね。

渋川 そうですね。谷中さんとは何度も電話をして、同志のような感覚を抱いた瞬間があります(笑)。そういう経験を経て信頼感が強くなりました。

谷中 両社ともにM&Aを成功させたいという思いはありましたから、クロージング前ですが、渋川さんをお呼びして社内でキックオフを行いました。

渋川 ジェイック本社にお伺いすると、大きい研修室に取締役の皆さんが勢揃いしていて……緊張しました(笑)。自分自身の生い立ちから事業にかける思い、M&Aの計画に至るまで、たくさん話をしました。質問もたくさんいただき、各事業のトップが自分事としてこのM&Aを真剣に考えてくれていることがわかり、「一緒にやっていけそうだ」と確信しましたね。

M&A活動を始めた当初持っていた熱量が、どんどん高まっていくかたちでクロージングを迎えられたのがよかったです。M&Aでは、熱量が少しずつ下がっていって破談になることも往々にしてあると思いますが、ジェイックさんとのディールでは、むしろより思いが徐々に強まっていった印象です。

――今後の抱負をお願いします。

佐藤 シナジーは無数に考えられますが、大きなかたちでいえば、両社のサービスを掛け合わせてキャリア相談のマーケットをつくっていきたいと思います。人はコーチングを受けたり悩みを相談したりすることで、考え方や行動が大きく変わり、前へ進んでいけるもの。キャリアの相談をすれば仕事観やパフォーマンスがすごく変わると思うんです。でも今はそういうサービスが普及していません。

多くのビジネスパーソンが、自分のキャリアの相談相手を持つことができれば、人材が元気になり、日本を活性化させられる思います。

渋川 それはキャリアコンサルタントの皆さんにとっても価値のある事業だと思います。資格者は全国に5万人ほどいますが、自分の理想通りに資格を仕事に生かせている人は一握り。転職前提のアドバイスではなく、より包括的なキャリア支援を志向する人ほど、人材紹介サービスの事業モデルの中で葛藤を抱くことが多い。彼らも一緒に成長しながら事業をつくれるのはすごくいいですね。

私も引き続き代表取締役としてこの事業を牽引していきます。当社のメンバーもM&Aを経て全員残り、一緒に頑張ってくれることになりました。第二創業期として、事業を新しくゼロイチでつくっていく気概を持っています。

例えば、女性向け、学生向け、LGBTQ向けなど、ターゲットを絞ったかたちでのキャリア開発支援サービスを構想しています。ジェイックさんとともにたくさんの事業を立ち上げ、「事業群」をつくっていきます。そうなれば基軸となる売上が見えてくるし、新しい挑戦にもつながるはずです。

――「人生の主人公」を増やす両社の試みに期待しています!本日はありがとうございました!



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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

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