【シーラホールディングス×Unito】住まいの概念を覆す新鋭スタートアップ「Unito」が、プロップテックカンパニーのパイオニア「シーラ」と手を組み、その先に見据える次の一手とは?

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【シーラホールディングス×Unito】住まいの概念を覆す新鋭スタートアップ「Unito」が、プロップテックカンパニーのパイオニア「シーラ」と手を組み、その先に見据える次の一手とは?

「不動産投資の民主化。人生 100 年時代をテクノロジーと資産運用で豊かに。」をミッションに不動産クラウドファンディング事業などを手掛けるシーラの親会社である株式会社シーラホールディングスは2022年1月、「住んだ分だけの家賃で暮らせる部屋」など新しい暮らしを提供するプラットフォーム『unito』を運営する株式会社Unitoへの出資を発表しました。両社が『M&Aクラウド』を介してつながり、スピーディーな成約につながった経緯や、今後の事業展開に向けた思いについて、株式会社シーラホールディングス 取締役会長兼CEOの杉本 宏之氏(写真左)と、株式会社Unito 代表取締役の近藤 佑太朗氏(写真右)に語っていただきました。

プロフィール

杉本 宏之(すぎもと・ひろゆき)

1977年神奈川県生まれ。高校卒業後、宅建主任者資格を取得し不動産会社に就職。2001年に独立し、エスグラントコーポレーションを設立。2005年業界史上最年少で上場。2010年シーラホールディングスを創業。現在はプロップ(不動産)テックグループを掲げ、クラウドファンディング事業、マンションデベロッパー事業、マイニング事業、太陽光発電開発事業、CVC事業など、グループ売上高197億円までに成長させる。

近藤 佑太朗(こんどう・ゆうたろう)

1994年生まれ。東京都出身。明治学院大学経済学部国際経営学科に在学中の2017年1月、前身の「CARAVAN JAPAN(キャラバン・ジャパン)」を設立。ゲストハウスなどの宿泊施設を国内外で7拠点運営したが事業売却し、20年2月に住んだ分の家賃で暮らせるサービス「unito(ユニット)」を開始。社名もサービス名に合わせて変更した。

資金調達先を事業会社に方針転換。「打診後の高い返信率」で12社と面談

株式会社Unito 代表取締役 近藤氏
株式会社Unito 代表取締役 近藤氏

――Unitoはどのような事業を展開しているのでしょうか。

近藤 当社は家賃のイノベーションを起こすサービスを提供しています。メイン事業である『unito』は2020年にスタートした"家に住む"と"ホテルに泊まる"を融合したオンラインプラットフォームサービスで、キャッチフレーズは「住んだ分だけの家賃で暮らせる部屋」です。

家具・家電やアメニティなど、生活に必要なものがすべてそろったホテルのような賃貸住宅を提供し、住人が外泊中はホテルとして部屋を貸し出すことで家賃が割引される「リレントシステム」を導入しているのが大きな特徴です。

サービスを開始して以来、フラグシップとなる直営施設を開発・運営し、施設運営のノウハウと「月の数日だけ暮らす部屋」のあり方を模索しながら、『unito』の仕組みをプラットフォーム上で既存のホテルでも活用すべく、提携施設を拡大してきました。

――ありがとうございます。『M&Aクラウド』に登録いただいた背景を教えてください。

近藤 『M&Aクラウド』については、CEOの及川さんと友人だったのでよく知っていました。実は2020年に事業売却した際も、『M&Aクラウド』で売却しようとサービスを利用していたんです。

――そういった経緯があったんですね。Unitoとしてはいつごろ登録されたんですか?

今回もシリーズAの資金調達のため、2021年5月ごろにサービスに登録しました。初めは独自でVCを回っていたのですが、当社サービスの新規性が高くニーズが顕在化されていなかったことや、コロナ禍で投資家が慎重になっていることなどから、検討のテーブルには載るものの、承認に至ることがなくて。

そこでVCではなく事業会社をメインに話をしてみようと方針転換し、『M&Aクラウド』を活用して打診を始めました。20社くらいに打診して、12社と面談しましたが、同様のプラットフォームサービスのなかでも、返信率は高いのではないかなと思います。

「『M&Aクラウド』のようなサービスが今後は主流に」本件で出資は2例目

株式会社シーラホールディングス 取締役会長兼CEO 杉本氏
株式会社シーラホールディングス 取締役会長兼CEO 杉本氏

――シーラさんの事業内容をご紹介ください。

杉本 私たちはIoTを駆使したデザイナーズマンションの企画・開発・設計、販売、仲介、管理など一気通貫でデベロッパー事業を行っています。

そのほか、不動産を小口にして地域創生や社会貢献、挑戦をテーマにしたプロジェクトを展開する不動産クラウドファンディング事業『利回りくん』というサービスも提供しています。『利回りくん』は、不動産という媒体を通じて応援投資を行い、安定的な利回りを得るサービスです。登録会員数はサービスインから7か月で10万人を突破し、国内第2位の規模に成長しています。

――他にも、貴社ならではの強みなどがありましたらお聞かせください。

当社子会社である株式会社DEVELでは、「テクノロジーの力で常識を破壊する」という理念のもと、AIやビッグデータ解析など、先端技術を用いて不動産とITを融合させたプロップテック(PropTech)関連のサービスを提供しています。そのほかにも、仮想通貨を採掘するためのマイニングリグ製作事業も展開しています。

――シーラホールディングスさんは2019年11月から『M&Aクラウド』に登録いただいていましたね。

杉本 そうですね。従来のM&Aは仲介会社を利用して、多大なお金や時間をかけて行うものであり、実際にやろうとすると多大な労力がかかりました。

『M&Aクラウド』はプラットフォーム上で売り手と買い手がマッチングして、割安な手数料でM&Aを実施できる。これは非常にいい仕組みだし、今後はこのようなネット上のマッチングが主流になっていくだろうと考え、存在を知ってからすぐに登録しました。

実際に登録してからは、さまざまな企業から打診が来ましたし、具体的に検討、もしくはテクノロジーを活用した不動産×インテリアで急成長中の株式会社カラーアンドデコのように実際に出資した案件もあります。

――ありがとうございます。M&Aや出資検討時に大切にしていることは何ですか?

これからの不動産ビジネスを考えるうえで、プロップテックの潮流を無視することはできません。先ほどもお話しましたが、当社子会社でも、すでにAIやビッグデータ解析など、先端技術を用いたサービス開発に取り組んでいますし、プロップテック関連のベンチャー企業への出資も数多く行っています。

それらの点を踏まえると、当社の物件購買力や開発力を活かせるビジネスモデルを持つプロップテック企業を対象に、継続的にM&Aや出資を検討しているといえますね。今回のUnitoさんへの出資もその一環です。

シーラホールディングスに打診した背景は双方の“共通点”

――『M&Aクラウド』を介してシーラホールディングスさんに打診した理由は?

近藤 大きな理由は、シーラホールディングスさんのミッションに共感したからです。当社は東急株式会社とも提携していますが、東急さんは渋谷の街の再開発を100年という長いスパンで考えている。そういう企業姿勢がとても格好いいですよね。

シーラホールディングスさんも同じで、「不動産投資の民主化」を掲げて、プロップテックに注力するなど、従来の不動産会社とはひと味違う事業を展開しています。そこが当社の方向性とも合致すると思いました。

――具体的にはどのように合致したのでしょうか?

近藤 通常、賃貸住宅を借りようとすると、時間と手間がかかります。入居審査があって、年収がある程度あっても、安定収入でなければ落ちてしまうこともある。住まいという人々の生活の基本であるインフラにおいて、それは不合理な気がしてるんです。

一方で、当社のサービスはサイトで検索して、思い立ったその日からすぐに入居できるという点が大きなポイントです。これはユーザーにとっては非常に自由度が高く、大きな感動体験なんですよ。もう一つの特徴は、家賃を自分で決められる。例えば1カ月の3分の1、出張などで家を空けている人であれば、それだけ家賃が安くなる。

当社がやっていることは、まさに「賃貸住宅の民主化」です。「不動産投資の民主化」を掲げるシーラホールディングスさんと共通点がある。そう考えると、打診しない理由はないですよね。

――実際の交渉はどのように進んだのでしょうか。

近藤 最初に打診して、1回目の面談が2021年7月に行われました。その時はシーラホールディングスの取締役 CSOの渡邊さんに、1時間ほどかけて当社サービスについて説明しました。そして、2021年9月に杉本さんに2回目の面談をしていただいたという流れです。

2回目の面談はすぐに終わりました。杉本さんに説明し始めてから5分くらいたったところで「面白いじゃん」「やろう」と言っていただいて。説明し終わるまでも20分くらいで、出資を即決していただきました。

杉本 そんなふうに言うと、投資判断が甘く聞こえちゃうけども(笑)。もともと、当社内でもUnitoが提供しているサービスを検討していたんです。
更新料をなくしてその代わりに家賃を上げ、貸し出しが出来るとか、これまでにない民泊を展開するといったことです。でも法規制とか、いろいろな懸念があって進んでいませんでした。

それを近藤さんがすでにやっていて、先陣を切って知見を積み上げてくれていると分かったので、じゃあうちがやる必要はないだろう、と。応援する側に回ったわけです。

――自社でサービス展開を考えていただけに、即決につながったわけですね。

杉本 しかも、Unitoさんは東急さんなど大手企業も共同事業を展開しているので信頼性は高い。また、当社はデベロッパーでもあり、物件を提供できるので、事業提携すればシナジーを出せる。出口もIPO以外に事業売却もあり得る。投資家として、ほとんどリスクはないだろうと考えてすぐに決断しました。

近藤 当社のビジネスモデルはちょっと分かりにくいんです。一般的な不動産会社に説明しても、1時間くらいはかかります。しかし、シーラホールディングスさんは、不動産はもちろん、プロップテックに対しても非常に理解があるのですぐに分かってくださった。国内の大手不動産会社のなかでも非常にまれだと思います。

――話がまとまってからは、どのように進みましたか?

杉本 『unito』のサービスと我々が提供しているサービスに高いシナジーが見込めたので、ラウンドのクローズまでの間に業務提携を先に進めました。具体的には賃貸部門の責任者にいくつか住戸をピックアップしてもらい、掲載に向けて細かい話を詰めていきましたね。

近藤 2021年11月に業務提携と出資の契約を締結し、シーラさんが所有する9部屋を『unito』に掲載しました。キャットウォークや屋上のドッグランスペースなど、ペットに嬉しい設備が整っているペット同居可のマンションや、アーティスト・ライバーにおすすめの完全防音マンションなどです。

――現在までの稼働率はどうでしょうか?

近藤 立地的には決して良い立地とは言えない物件なのですが、ユニークなコンセプトが受けて高い稼働率で推移しています。

杉本 5割くらいの稼働率かなと想定していたのですが、実際は7割を超えていますから、相当優秀だと思います。きっちりと実績を残せていると思います。

――今回の資金調達ではシーラホールディングスさん以外にも支援をいただいていますね。

近藤 シーラホールディングスさんのほかに、株式会社アイティーファームさんや株式会社ベクトルさんなどを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額約1.2億円の資金調達を行いました。

プラットフォーム事業ではまだ赤字ですが、一方で自社ホテルの運営や管理業務で堅く利益を積み上げています。スタートアップでありながら安定した事業運営を行っている点を、評価していただいたのだと思います。

今後は売買サービスも視野に『unito』をより充実化へ

――あらためて今回のディールを振り返っていかがでしたか?

近藤 高いシナジーが見込める資本業務提携ができたと思っています。今後、ラウンドが進んでいくうえで、「シーラさんとやっています!」というのは大きなアピールポイントになるので、とてもいい実績ができたと考えています。

杉本 資金を出すだけでなく、実業でもシナジーを出せるのが理想的な資本業務提携だと思います。こんな素晴らしい提携ができたのも、M&Aクラウドさんのおかげです!

――資金調達やM&Aを検討している他社へのアドバイスをお願いできますでしょうか。

近藤 M&Aもファイナンスも、従来は知人からの紹介など人脈を活用するケースが多かったと思いますが、それをサービス化したのが『M&Aクラウド』ですよね。ビジネスモデルが何よりも格好いいし、今後も積極的に利用したいです。起業家は必見のサービスなので、ぜひ活用していただきたいなと思います。

杉本 買い手企業として、いろいろな人に自社を知っていただいて、パートナーを集められるのが『M&Aクラウド』のいいところ。成功報酬ですし、気軽に始められて何もデメリットはないですから、買収や出資を検討しているなら使われた方がいいですね。

――今後、両社でどのような連携を想定されていますか?

杉本 現段階では新規物件の提供の予定は立っていませんが、今後もガンガン進めていきましょう!

近藤 ありがとうございます。引き続き物件を増やしていきたいと思います。あと、将来的には売買もやっていきたいですね。「留守の日がホテルになる家を、買ってみませんか?」というような形で。

地方の別荘などではありますよね。夏の一時期だけ別荘として利用して、その他は貸し出すみたいな。ああいった形の住宅を、都心のマンションでも実現してみたら面白いんじゃないかと。

杉本 面白いですね。

近藤 実は『unito』ユーザーの解約理由の一つに、「家を買ったから」があるんです。そして、解約する時に「売買物件ってないんですか?」と聞かれることも多い。したがって、留守の日がホテルになる家はニーズがあると思っています。

杉本 ファミリー層には難しいかもしれませんが、単身者やDINKSの人がそういう物件を買って、外泊している時は貸して家賃を受け取るというのは、ありかもしれない。投資用物件としてもいいかもしれませんね。

――最後に近藤さんの意気込みをお聞かせください。

近藤 我々のすることはすべて、最適化されていない暮らしの賃貸という仕組みをアップデートするところから始まっています。初めての1人暮らしで初期費用に困っている人、一定期間だけの仮の住まいがすぐに欲しい人、二拠点・多拠点生活で使ってない家がもったいないと感じている人。

暮らしに課題を感じているすべての皆様に向けて最大限、最適なサービスを提供できるよう、今回の資金調達を経てアクセルを加速させていきます!

――杉本さん、近藤さん、本日はありがとうございました。



■本ディールの経緯
2019年11月6日 シーラホールディングスが『M&Aクラウド』で募集開始
2021年5月13日 Unitoが『M&Aクラウド』に登録
2021年5月18日 Unitoからシーラホールディングスに打診
2021年7月5日 初回面談(リアル)
2021年8月31日 2回目面談(リアル)
2021年11月30日 契約締結

注:株式会社シーラホールディングスは、2022年7月、社名を株式会社シーラテクノロジーズに変更。

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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

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