【SHIFT×A-STAR】IT業界の変革を共に目指す! 国内最大のエンジニアデータベース構築を目指すSHIFTが、フリーランス人材事業のA-STARを選んだ理由

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【SHIFT×A-STAR】IT業界の変革を共に目指す! 国内最大のエンジニアデータベース構築を目指すSHIFTが、フリーランス人材事業のA-STARを選んだ理由

ソフトウェアの品質保証・テストを手がける株式会社SHIFTは2021年3月、フリーランスエンジニアのマッチングプラットフォーム事業を展開する株式会社A-STARの全株式を取得し、子会社化しました。本件は、オフラインでのマッチングをサポートするM&Aクラウドのプロフェッショナル部隊、M&A Cloud Advisory Partners(MACAP)が支援し、成約に至った案件です。

フリーランスエンジニア向けのマッチング事業に早くから取り組み、大きな成果を上げつつも課題に直面し、新たなパートナーとの再スタートに賭けたA-STAR。その豊富なノウハウを必要としていたSHIFTと出会い、MACAPのサポートのもとで繁雑な交渉を乗り切った今、SHIFTと共に大きな夢に向かっています。成約に至る経緯と今後の展開について、SHIFT 上席執行役員の菅原 要介氏(写真左)、A-STAR 代表取締役の高瀬 俊誠氏(写真右)に語っていただきました。

プロフィール

菅原 要介(すがはら・ようすけ)

慶応義塾大学大学院 理工学研究科修了。株式会社インクスに新卒入社し製造業コンサルティングを経験後、2008年SHIFTに参画。品質保証事業を本格化する折に、大手Web制作会社QA部隊の組織化コンサルを手がける。その後、新規事業の立ち上げを経て、ビジネストランスフォーメーション事業本部全体の統轄に加え、採用・人事施策・人材マネジメントなど、SHIFTグループ全体の人事領域を管掌している。

高瀬 俊誠(たかせ・としのぶ)

1977年生まれ、埼玉県出身。2000年明治大学 政治経済学部政治学科卒業。 大学卒業後、23歳で株式会社ネオキャリアを創業。これまでに計4社を創業し、連続起業家として活動している。2021年現在、株式会社A-STAR代表取締役社長のほか、投資会社 エージェント・テクノロジー・インベスターズ株式会社代表取締役社長も務める。

新たなパートナーのもとで再スタートを切れる環境を求めて

――A-STARさんの事業紹介からお願いいたします。

高瀬:フリーランスのIT人材に特化した案件マッチング事業とメディア運営事業を手がけています。

創業は2012年、サイバーエージェントのインキュベーションを受けてスタートしました。当時、国内ではフリーランスを対象にした人材マッチングを手がけている会社はわずかしかなく、ブルーオーシャンだったんです。正社員や派遣社員向けのサービス市場にはすでに大手企業が多数参入していましたが、フリーランス向けなら十分に勝機があると考えました。

当時、日本ではまだフリーランスという働き方そのものが、社会全般に受け入れられているとはいえない状態だったと思います。一方、米国やオーストラリア、中国などでは、フリーランスを対象にしたサービス市場がすでに盛り上がっていたので、日本でも流れが変われば一気に大きくなるだろうと予測しました。

――順調に事業拡大され、2018年には外資系の大手人材会社のグループ会社になられました。

高瀬:同社で当時計画されていた事業において、よい協力関係が築けると考えたこともあり、ジョインを決めました。ただ、その後、同社の欧州の本社側で事業方針の転換があり、当初思い描いていたような事業展開を行うことが難しくなってしまって……。2019年末ころから、新たな方向性を模索することにしました。

――2020年4月、当社の営業からコンタクトさせていただいたことが、当社サービスを利用いただいたきっかけですね。高瀬さんはこれまで複数回の会社売却を経験されていますが、M&Aクラウドのことはご存じでしたか?

高瀬:いえ、知りませんでした。でも、最初にCEOの及川さんとWeb面談した際の印象がとてもよく、この会社なら利用してみたいと思いました。

菅原:過去の会社売却の際に利用したM&A会社とのつながりもあったと思いますが、なぜあえて別の会社を選択したのですか?

高瀬:今回、A-STARの株式は、親会社が100%保有している状態だったことが大きいです。M&A会社には、A-STAR、親会社、買い手会社の3者の間に入ってもらう必要があり、交渉が複雑化することが予想されました。これまでは大手仲介会社を利用してきたのですが、こうした手のかかる案件をお願いするには、むしろ大手でない方がよいかもしれないと思ったんです。

及川さんは同じ経営者としての視点で、私の立場に寄り添って相談に乗ってくださいました。その後、担当してくださったアドバイザーの三浦さん、神原さんも、非常に手際よく、こちらの希望に合った買い手候補を紹介してくださり、信頼できました。

――次のジョイン先となる会社は、どんな会社がよいとお考えでしたか?

高瀬:私が特に重視していたのは、カルチャーフィットです。サイバーエージェント出資時代に培った、当社の持つスピード感やチャレンジ精神を共有できる会社に出会いたいと思っていました。

もちろん、先方のビジョンに共感できるかどうかも重要です。傘下に入る以上、グループとしてのビジョンをよく理解したうえで、その実現に向け、当社のリソースやノウハウを駆使して貢献していきたいですから。同じ方向に向かって、手を携えて走っていく関係性を築けるかどうか、トップの方はじめ幹部陣との相性をよく見極めることが大切だと考えていました。

プラットフォーム構築の豊富な経験値が決め手に

――SHIFTさんは買い手として、これまでにも多数のM&Aを経験されていますね。

菅原:当社はソフトウェア開発の品質保証・テスト事業を軸に、多様な専門分野を有するグループ企業と連携してお客様のIT課題を網羅的に解決することで、最終的にはIT業界の構造を変えていくことを目指しています。これまでに顧客約1,800社を開拓し、グループで年間1,600人ほどのエンジニアを採用する規模に成長してきました。この営業力、採用力を活用いただくことで、大きく成長できそうな会社を仲間に迎えています。

――今回のA-STARさんのグループ化を発表された際のリリースには、「プラットフォーム事業の加速度的な拡大に大きく貢献する」とあります。この「プラットフォーム事業」についてご紹介いただけますか?

菅原:当社では、顧客の多くと直に取引しており、業種も金融からエンターテインメントまで、非常に幅広い会社と関係性を築いています。そうすると、その中で、案件情報、そこに関わるエンジニアの情報、品質に関する情報がどんどん蓄積されていくんですね。このデータベースを活用した事業展開に挑戦したいという構想は、早くから持っていました。

実際に事業として本格化させたのは、2020年9月。SESのエンジニアを対象に、当社の取引先が抱える開発案件とのマッチングを手がけており、徐々に売り上げも上がってきている段階です。

――今後はどのような展開をお考えですか?

菅原:SHIFTグループでは、今後のマイルストーンとしてFY2025には1,000億円、FY2030には3,000億円という売上規模を視野にさまざまな改革を推進しています。これを実現するための鍵となるのが、数十万人規模のエンジニアのデータベースを確保していくこと。この基盤の上で、案件マッチングをはじめとするさまざまなサービスを展開したいと考え、M&Aを通じた起業家支援にも取り組んでいます。同時に、データベースの獲得においても、M&Aの活用が有効と考え、パートナーを求めていた中で、今回のA-STARさんとの出会いがありました。

――A-STARさんは、フリーランスのエンジニアに特化した事業展開をされていますが、SHIFTさんとしても、もともとフリーランスの領域を視野に入れていたのですか?

菅原:数十万人規模のデータベースを形成していくうえで、いずれ攻略したい領域ではありましたが、すぐにとは考えていませんでした。ただ、今回の面談でA-STARの皆さんの説明を聞いているうちに、市場の成長スピードが思っていた以上に速そうだなと。もう一つ、SHIFTグループの中でも、フリーランスの活躍の場を広げていけると感じたことも大きいです。

――数多くのM&Aを手がけられている中で、A-STARさんに魅力を感じたポイントが他にもありましたら、教えてください。

菅原:A-STARの皆さんは、オンラインでのマッチングプラットフォーム構築において、豊富な経験をお持ちである点も魅力でした。当社は創業メンバーがコンサルティングファーム出身で、コンサルタント的な視点を持ってサービス提供できるところに強みがある一方で、自動マッチングの仕組みを考え出すとか、UIにこだわったサービスを作るといったことには経験がありませんでした。この点、プロダクトづくりに対して、経験もさることながら、非常に高い意欲をお持ちのA-STARさんを迎え入れることで、大きな推進力が得られると感じました。

――高瀬さんは、SHIFTさんとの面談を通じて、どんな印象を持たれましたか?

高瀬:SHIFTさんは、先ほども話題に出た、インキュベーションを通じたサービス開発力の強化、そしてエンジニアデータベースの構築を推進していくという明確な方向性をお持ちです。かつ、その先の事業展開については、オンライン/オフラインの両面で、いろいろな挑戦をしたいという思いを、特に菅原さんが熱く語ってくださいました。聞いていてわくわくしましたし、自分たちが貢献できる余地が大きいと感じましたね。

当社の事業内容に対しても、さまざまな角度から、熱心なご質問をいただきました。真剣に検討してくださっているのだなと感じて嬉しかったです。

菅原:M&A検討の際、当社なりの成功の方程式が見えるまでは、慎重に情報を集めつつ、分析を重ねていき、一度確信が持てたら、そこからはスピード感を持って一気に進めるのが当社のやり方です。ただ、今回は、A-STARさん側の事業主とオーナーが別だったことで、通常のM&A案件とは違う難しさもありました。

高瀬:間に立たれたM&Aクラウドの三浦さん、神原さんが大変だったと思います。当社の親会社だった人材会社と、さらにその親会社である欧州の会社から承認を得なければならない場面が多く、繫雑なコミュニケーションに追われる日々でした。

この間、SHIFTさんは終始、非常に丁寧にご対応くださいましたが、M&Aに積極的に取り組まれている中では、当社以外の候補会社もたくさんあったはずです。交渉に時間がかかればかかるほど不利になるという焦りもあった中で、三浦さんと神原さんがうまく立ち回り、クロージングまで持ち込んでくださいました。本当に感謝しています。

フリーランスが“やりがいと報酬を最大限に得られる”環境をつくっていく

――グループ入りから約1カ月経った今の感触をお聞かせください。

高瀬:スピードの速さ、皆さんのお人柄のよさ、そして丹下社長の面白さ。グループ会社が活発にやりとりしながら切磋琢磨していく自由な空気感は、組織が大きくなってもスタートアップ感を大切にしていると感じるところがあり、私たちにはとても馴染みやすいですね。グループ全体の持つ可能性を日々肌で感じています。

丹下社長は先日も、国内に約2万社あるソフトウェア開発会社をすべて仲間にして、今の業界の課題である多重下請け構造の解消やエンジニアやクリエイターの待遇改善を進めたいと、大きな夢を語られていました。これは10年、20年かけてもやり抜く意義があるし、日本のIT企業の国際競争力を高めていくうえでも欠かせない取り組みだと思います。

その中で、当社はやはりオンラインの独自サービスをつくっていくことを通じて貢献していきたい。ゼロからサービスを立ち上げる際には、走りながら市場の反応を試し、軌道修正や撤退を含めて、機敏に判断していくことが大切です。当社の持つ経験値とイノベーションを生み出しやすいSHIFTグループの仕組みを最大限に活かし、結果を出していきたいです。

――フリーランスのマッチング事業に関して、今後の目標をお話しいただけますか?

菅原:2030年には、年間1,000人規模のフリーランスエンジニアがマッチングするような、完全自動のプラットフォームを作りたいと考えています。目標時期については、ひょっとすると大幅に前倒しするかもしれません。この実現の鍵になるのは、集客の入口となるメディアを育てていくこと。A-STARさんが昨年すでに立ち上げているコラムメディアをベースに、SHIFTグループ内の使えるものはすべて使って、パワーアップさせていきたいです。

高瀬:たとえば「フリーランスエンジニアとして、SHIFTグループで輝く」という働き方を紹介していくことも、魅力的なコンテンツになり得ます。フリーランスでありながら、6,000人規模の一部上場企業で働けるという、これまでになかったようなハッピーな選択肢を発信していけたら、自ずと人は集まってくると思っています。

菅原:正社員でもフリーランスでも、単に所属と契約形態が異なるだけで、同じように活躍できる、そんな世界観を作れたら面白いと考えています。当社のエンジニアは、平均で年間10%昇給していて、それが5年続いているんですよ。フリーランスにも同様の人事評価制度を適用するとか、福利厚生面でもSHIFTの制度を使えるようにするとか、できない話ではないと思います。やりがいと報酬を最大限に得られる環境をフリーランスにも広げ、それをメディアでどんどん発信することで、エンジニアのデータベースをスピーディーに拡充していきたいですね。

フリーランスも含め、国内には約100万人のエンジニアがいます。そのうちの10万人、30万人が集まるような、日本最大のプラットフォームをA-STARさんとも一緒に創り上げ、IT業界の多重下請け構造をなくしていくことが私たちの大きな目標です。優秀なエンジニアが正当に評価されるようになることで、業界全体が健全化し、国際競争力も上がっていくでしょう。そんな社会のインフラといえるような会社になるべく、今後とも一緒に走ってくれる仲間を募集しています。

――引き続き、M&Aクラウドがお役に立てれば幸いです。菅原さん、高瀬さん、本日はありがとうございました。


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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

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