【アントレ×ウィルフ】起業を志す、全ての世代の人々を支えていく。マッチングメディアとスクール運営に強みを持つ2社が、運命の出会いでパワーアップ!

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【アントレ×ウィルフ】起業を志す、全ての世代の人々を支えていく。マッチングメディアとスクール運営に強みを持つ2社が、運命の出会いでパワーアップ!

個人の独立開業を支援する株式会社アントレは2021年4月、学生向け起業スクール事業を展開する株式会社ウィルフの全株式を取得し、子会社化しました。社会人向け独立・開業支援において、日本最大級のサービス「アントレ(https://entrenet.jp/ )」を提供するアントレと、学生向け起業スクール「WILLFU STARTUP ACADEMY( https://willfu.jp/ )」が急成長を遂げているウィルフ。M&Aクラウドを通じてつながった2社が互いにどのような期待を抱き、どのように成約に至り、現体制の下で何を実現したいと考えているのか――アントレ 代表取締役の上田 隆志氏(写真中央)、同 取締役の川本 傑氏(写真左)、ウィルフ 代表取締役社長の黒石 健太郎氏(写真右)に語っていただきました。

プロフィール

上田 隆志(うえだ・たかし)

1976年生まれ。関西学院大学卒業後、凸版印刷株式会社を経て、2005年株式会社リクルートエイブリック(現株式会社リクルートキャリア)入社。人材紹介事業部門にてIT・Web業界の転職支援・中途採用支援部門の担当〜責任者を8年間務めた後、2014年よりアントレ事業部門の責任者。4年間を通じて売上・利益を大きく伸長。 2020年6月末にリクルートキャリアを退職し、2020年7月より株式会社アントレの代表取締役に就任。

川本 傑(かわもと・すぐる)

大阪市立大学・商学部卒、2008年に株式会社リクルート新卒入社。住宅領域のSUUMO立上げ期に企画営業として従事。2012年、アントレユニットに異動。2014年よりアントレ事業の営業・営業企画および新規事業責任者。2019年、リクルートよりスピンアウトのタイミングで株式会社アントレの取締役就任。 アントレでは主に経営計画の策定、事業・営業戦略立案、人事、アライアンスを担当。JMAA認定M&Aアドバイザー。iU(情報経営イノベーション専門大学)客員准教授。

黒石 健太郎(くろいし・けんたろう)

東京大学法学部卒。株式会社リクルート入社後、採用・育成・社内活性コンサルティング等の営業、新規事業の戦略企画、立ち上げに従事。2013年6月株式会社ウィルフ(WILLFU)を設立、代表取締役社長に就任。サイバーエージェント様のアントレプレナーイノベーションキャンプ優勝。2018年9月より、国立大学法人金沢大学 特任准教授 に就任。著書に、「渋谷で教える起業先生」(毎日新聞出版)がある。

“起業支援” “リクルート出身” 共通項の多い2社が「M&Aクラウド」でつながった

ウィルフ 代表取締役社長 黒石氏
ウィルフ 代表取締役社長 黒石氏

――ウィルフさんの事業紹介からお願いいたします。

黒石:起業に興味がある大学生を対象にした起業の学校を運営しています。メインは個人向けですが、一部大学向けに提供しているプログラムもあります。さらに、2年ほど前からは、起業経験のある大学生に特化したキャリア支援サービスも始めています。

創業は2013年。リーマンショックの余波で、25歳以下の若者の失業率が10%を超えていた時期ですが、一般の就職支援サービスは、支援効率のよい若者にフォーカスするので、人材ピラミッドのトップ30%ほどしかカバーできません。当時、私はリクルートの社員として、就職意欲はあっても機会を得られない若者を支援するCSR活動に携わっていました。そんな中で、「『就職できてよかった』で終わるのではなく、就職した先の未来にも希望を持ち続けられる社会をつくりたい」という思いを抱くようになり、日本が20年、30年と経済成長を続けていくためには、起業家の数をもっと増やしていくことが大切だと考えました。この思いがウィルフ創業の根幹にあります。

上場を果たした起業家のプロフィールを見ると、学生時代に起業を経験している確率がとても高いんです。逆に、リスクの低い学生時代のうちに起業を経験することなく、就職した人たちからは、なかなか起業する人は出てこない。規模はごく小さなビジネスでも、本気で考え抜いて実行し、成功させた経験を学生時代に積んでおくことが、その後、より大きなビジネスを立ち上げようという意欲につながるようです。一部の意識の高い層だけでなく、どんな学生でも、そうしたビジネスの立ち上げにチャレンジできる仕組みを作りたいと考え、いわば起業のライザップのような形でウィルフを立ち上げました。

――「M&Aクラウド」に登録いただいた背景をお話しください。

黒石:会社設立から7年目を迎え、株主還元をどうするかという課題がありました。昨年から起業の学校をオンライン化したところ、受講者数が大幅に伸びたこともあり、このまま上場を目指すことも考えたのですが、調べてみると、上場準備コストがかなりかかりそうだなと。全く別の事業を立ち上げ、規模感を大きくしてから上場を狙うか、もしくは他社に売却する選択肢もあると思い、まずは人材系など、可能性のありそうな会社に自分で当たり始めました。

ただ、人材系の会社の場合、当社の人材データベースと先方の営業力を掛け合わせる方向性は考えられるのですが、営業現場にとっては、当社の特殊性の高いデータベースは活用のハードルが高い点がネックになります。M&A仲介会社にも相談し、教育系の会社を紹介してもらったりもしたものの、こちらは価格面で折り合えませんでした。

そんなときに目にした「M&Aクラウド」で、アントレさんが掲載されているのを見つけました。アントレさんも、もともとリクルートの社内事業としてスタートされており、私は「将来、ウィルフをリクルートに売却するとしたら、一番親和性のある事業は『アントレ』かな」と漠然と考えたこともあります。「M&Aクラウド」の記事を見て、アントレさんも独立していたことを知り、「アントレさん単体で意思決定できる今の状況なら、話が決まりやすいかもしれない」と気持ちが動きました。

「こんな人が本当にいた」。理想のパートナーの出現に、面談の場で感動!

アントレ 取締役 川本氏
アントレ 取締役 川本氏

――登録のきっかけそのものが、アントレさんの記事だったのですね。黒石さんから昨年11月末に打診され、12月初旬に川本さんと初面談されました。川本さんの第一印象はいかがでしたか?

川本:当社でも、起業スクールや副業スクールの運営には関心を持っていました。ただ、集客やオペレーションに関しては、自社でできそうだという自信があった一方で、コンテンツづくりが難しい領域だと感じていたんです。一口に起業といっても、事例ごとに必要とされるスキルや知識は千差万別で、共通項を取り出そうとすると、どうしても抽象的なものになってしまいがちです。ウィルフさんはその点、受講者一人ひとりが起業を実体験できる、実効性の高いカリキュラムを開発されており、しかもそれが体系化されている。ご説明を聞いて、純粋に「すごいな」と思いました。

――黒石さんの印象も教えてください。

黒石:川本さんがどんな感触を持たれたのかその時点ではつかめず、手ごたえが得られたとまでは言えませんでしたが……話しやすい方だなというのは印象に残りました。コミュニケーションや意思決定が速そう、仕事がしやすそうだなと。

――上田さんが黒石さんに会われたのはいつですか?

川本:年明けすぐですね。上田、私を含め、当社からキーメンバー4人が参加し、2回目の面談をさせていただきました。

上田:川本から話は聞いていましたが、黒石さんにお会いして、「こんな方が本当にいたんだな」と思いました。私はマーケティングのために、さまざまなスクールの説明会に参加してみたりもしていたのですが、中には「お金の稼ぎ方教えます」といった怪しい印象のプロモーションをしている会社も結構ありました。その点、黒石さんは全然怪しくない(笑)。真っ当なコンテンツを提供して、真っ当な経営をされている方に、ついに出会えたという感動がありました。

川本:この面談で、全員の相性もよさそうでしたし、事業内容に関しても「ぜひ進めたい」ということで、社内の合意が取れました。早速NDAを締結し、詳細な資料を頂いて、手続きを進めていきました。

――アントレさん側としては、どんなシナジーを思い描いていらっしゃったのでしょうか。

川本:当社は主にミドルシニアを対象に、フランチャイズの開業をはじめとする独立支援をしています。独立支援サービスとしては、すでにかなりの知名度があるので、この基盤の上に新たにミドルシニア向けの起業スクールを立ち上げ、ウィルフが学生向けに培ってきたノウハウを転用できれば、大きなシナジーが出せると考えました。また、これまでのサービス対象は、フランチャイズや代理店としての独立支援にほぼ限定されていたので、自力での独立を支援するサービスを開始するということも、今後の可能性を広げることにつながる点で魅力的でした。

――ウィルフさんの方は、アントレさんに対してどんな期待をお持ちでしたか?

黒石:当社がSEO強化を図っていた際、アントレさんの強さを実感していたこともあり、一緒になることで、既存スクールの集客力をまだまだ伸ばせそうだと思ったことが一つあります。

また、新規事業の立ち上げに関しても、それまでにいろいろな企業と話をした中で、人材データベースを活用した就職支援の方向よりも、当社最大の強みである教育コンテンツを活かした方が、早期の成長が見込めそうだなと感じていました。大学生とはまた別のマーケットを開拓していくにあたり、ミドルシニアを対象に、すでに膨大なデータベースと流入パワーを持つアントレさんと組めれば、時間的にかなりのスキップが期待できると考えました。

――最終的に、決断されたポイントを教えてください。

黒石:グループ入りすれば、当然、アントレさんの関係者と連携して動くことになり、コミュニケーションコストは増えます。過去に他社と組むことを検討した際も、一番悩んだのはその点で、そのときは最終的に、オーナー経営者としての自由度を優先する判断をしました。

アントレさんとも、物事の考え方や進め方には、多かれ少なかれ違いがあると思います。ただ、違いはあっても比較的近いとか、もしくは互いに相手の考えを理解できるベースがあれば、ディスカッションを重ねつつ、物事を前に進めていけるはずです。アントレの皆さんとであれば、そうした関係性を築けそうだと感じました。

上田:私もやはり、最終的には人柄だと思っています。M&Aの面談の場では、自社をよく見せようとしがちになると思いますが、話しぶりに誇張や矛盾を感じてしまうと、「この人と長くやっていけるのか?」と不安を抱かざるを得ません。シナジーが期待できるだけのロジックがあり、能力があったとしても、それを本当に実現できるかどうかは、関わる人たちの相性次第でしょう。今回は、ロジックの面でも、また黒石さんの能力はもちろん、人柄の面でも、不安を覚えるような点が全くなく、まさに求めていたパートナーでした。

ウィルフ独自のカリキュラムをミドルシニア層へ。経営者としてのステップアップも図りたい

――4月に契約締結され、新体制をスタートされました。今後の抱負をお聞かせください。

黒石:ある調査では、起業に興味・関心のある大学生は全国に約16万人いるそうですが、当社のスクールを通じてサポートできているのは、まだそのうちの数%です。昨年、スクールをオンライン化し、全国の学生にサービス提供できる体制もできました。今後アントレさんの集客ノウハウなどを学びつつ、できるだけ多くの若者たちの挑戦を後押ししていきたいです。

また、ミドルシニア向け起業スクールの立ち上げについても、個人的な思いがあります。一つには、これまで「起業支援」というキーワードを通じて私を知ってくださった方々から、起業に関する相談を受ける機会がたびたびあり、中には第二のキャリアを始めることを目指すミドルシニアの方々もいました。そうした皆さんに、具体的なサポートを提供できていないことを心苦しく思っていたので、今回、アントレさんと一緒に、多くのミドルシニアの方々にサービス展開していく体制ができたことは、本当に嬉しいです。

もう一つ、今までウィルフ単体で目指せる事業規模は、売上数億円レベルでしたが、アントレさん傘下の現体制なら、数十億円レベルを狙えるはずです。この環境をフルに活かして、経営者としてステップアップしたいと思います。

――起業スクールに関して、学生のうちから起業を志す人と、ミドルシニアになってから挑戦に踏み出す人では、人材のタイプにも、背負っているものにも、かなり違いがありそうにも思えます。

黒石:最初は小さなビジネスから始めて成功体験を重ね、徐々にステップアップしていく、このプロセスのスタートラインに着いてもらうことが、ウィルフの起業スクールの目的です。受講生が抱える課題には、確かに年齢層による違いもあるかもしれませんが、目的そのものは変わらないと思っています。

プログラムの中で重きを置いているのは、「講師が受講生を指導する」ことよりも、「受講生が仲間と共に実践できる場を提供する」こと。「クラスのみんながやっているのだから、自分もできるはず」という気持ちになってもらうことです。

起業ストーリーは、とかく「特別に才能に恵まれた人だからできた」という結論になりがちです。そうではなく、再現性の高い起業プロセスを見出し、展開していくことで、起業家が生まれやすい社会づくりに貢献したい――そうした思いのもと、過去数千人の受講生が成功したポイント、苦労したポイントを吸い上げ、随時反映しながらプログラムを進化させてきました。新たに立ち上げるミドルシニア向けプログラムも、このコンセプトはそのままに、実践と検証を繰り返しながら、発展させていくつもりです。

“マッチング”だけでは、全ての人の独立支援はできない。“意思決定”もフォローする仕組みづくりへ

アントレ 代表取締役 上田氏
アントレ 代表取締役 上田氏

――アントレさんは、今後に向けてどんな展望をお持ちですか?

上田:黒石さんが言われた通り、今の学生向けスクールには、まだまだ伸ばせる余地があると思います。マーケティングノウハウをはじめ、アントレの培ってきたものをすべて投入し、成長をサポートしていきたいですね。併せて、新規のミドルシニア向けスクールの準備も今、急ピッチで進めており、本格立ち上げに向け、7月には検証フェーズに入ることを目指しています。

また、アントレのメイン事業は、独立したい人とフランチャイザーや代理店を求めている会社のマッチングメディア運営ですが、マッチングメディアでサポートできる範囲には、私は限界があると考えています。「情報は提供します。これを見て、行動するかどうか、意思決定するかどうかは、自分で決めてください」というスタンスのサービスを使いこなせる人は、独立したい人全体の中の一部ですよね。意思決定が重大であればあるほど、「半か丁かで決めなさい」という形ではなく、たとえば業界知識のガイダンスが受けられるとか、検討時の留意点を教えてもらえるとか、ライトな体験ができるとか、決定プロセスをスムーズにするようなフォローアップが求められているのではないかと思います。今後はそうした領域でも、ウィルフさんと一緒に、積極的にサービス開発していきたいです。

川本:「アントレ」は、リクルートから引き継いで運営してきたサービスなので、上田も私も、ここまで本当のゼロイチフェーズは経験していないんです。今回、まさにゼロから起業スクールを立ち上げ、現在の規模にまで育て上げた黒石さんを経営陣に迎えられたことは、当社にとってすごく大きい。これまで当社もいろいろと新規サービスを投入してきてはいるものの、苦戦している部分もあります。そのあたりも、黒石さんのアドバイスをいただけると、一気に改善できる可能性があるのではないかと期待しています。

――最後にアントレさん、この記事を読まれている経営者、起業家の皆さんに向けて、メッセージをお願いいたします。

上田:「独立」「開業」「起業」「副業」などに関わる領域に関しては、引き続き、メディアであれ、リアルのサービスであれ、一緒に成長していける可能性があると考えていますので、ぜひお声がけいただきたいと思います。

また、独立支援だけでなく、開業後にビジネスを軌道に乗せていくフェーズにも、将来的には関わっていきたいと考えています。個人事業主や超小規模の法人を対象にしたサービスを展開している会社様ともどんどん連携していきたいと思いますので、お気軽にご連絡ください。

――引き続き、「M&Aクラウド」がお役に立てれば幸いです。皆さん、本日はありがとうございました。


■本ディールの経緯
2020年9月 アントレが「M&Aクラウド」で募集開始
2020年11月10日 ウィルフが「M&Aクラウド」に登録
2020年11月24日 ウィルフからアントレに打診
2020年12月2日 初回面談
2021年1月初旬 2回目面談
2021年4月 契約締結
2021年5月10日 プレスリリース


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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

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