【セントロ×stak】スマート電球の市場導入を不動産会社のネットワークで強力サポート。共に“天井をハックする”未来へ!

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【セントロ×stak】スマート電球の市場導入を不動産会社のネットワークで強力サポート。共に“天井をハックする”未来へ!

スマート電球「stak」の開発を行う株式会社stak(本社:広島県広島市)は、2019年10月、株式会社セントロ(本社:東京都港区)を引受先とする資金調達を行いました。両社が「M&Aクラウド」を介してつながり、最初の打診から約2か月半で着金というスピード成約に至った経緯や今後の事業展開に向けた思いなどについて、セントロ 執行役員 新規事業本部長の常田 佳宏氏(写真左)、同 新規事業部 兼 財務部 担当部長の菊池 昌彦氏、stak CEOの植田 振一郎氏(写真右)に語っていただきました。

プロフィール

常田 佳宏(つねだ・よしひろ)

国内大手信託銀行にてファイナンス・不動産・債権流動化・職域ライフサポートなど幅広い業務経験を積み、2019年4月株式会社セントロに入社。新規事業本部にてさまざまなコンテンツビジネスを立ち上げ、相互に融合させユニークな事業構築を目指す。

菊池 昌彦(きくち・まさひこ)

欧米系投資銀行で不良債権投資、不動産ファイナンスおよび流動化などを経験し、2019年2月に株式会社セントロに入社。入社後、バイアウトやベンチャー投資を含む企業投資、オペレーショナルアセットなどへの投資を含む新規事業を担当。

植田 振一郎(うえだ・しんいちろう)

広島県出身、中央大学文学部卒。株式会社ティーケーピー入社後、同社100%出資の株式会社コンビニステーションの設立を手掛け、無人会議室事業で第1期に売上3億6,000万円、経常利益6,000万円を達成。その後、貸会議室事業でアジア進出も果たす。2014年、独立して株式会社Needolを設立。アプリ開発などを経て、2017年より機能拡張型IoTデバイス「stak」の開発をスタート。2019年2月、株式会社stakに社名変更。

募集領域の拡大を検討し始めた、ベストタイミングで受けた“打診”

――stakさんの事業内容からご紹介をお願いいたします。

植田:当社は「天井をハックする」をミッションに掲げ、スマート電球「stak」の開発・販売を行っています。「stak」は、自在に組み合わせができるモジュールで構成されており、基本は本体、照明モジュール、エアコンやテレビの操作をスマートフォンで行えるようにするリモコンモジュールの3部構成。さらに、今後追加できる新しい機能(モジュール)としては、虫よけモジュール、スピーカーモジュール、フレグランスモジュール、照度・湿度・温度などを搭載したセンサーモジュールなどを予定しており、現状では機能ごとにバラバラに導入されがちな住環境のIoTの一元化を実現する画期的な商品です。
商品の導入にあたっては、基本的に今、使っている電球と差し替えるだけでよく、配線工事などは一切必要ありません。また、リモコンモジュールでは赤外線リモコンに対応した家電であれば操作が可能になるほか、「Amazon Echo」をはじめとする他社のIoT機器とも連携しやすい点も大きな強みです。
2017年から開発を始め、2019年4月にいったん発売したのですが、その後、先々の機器連携をより簡単に行えるようにするためには、現段階でもう一工夫しておいた方がよいことが分かりました。そこで一時販売停止して、仕様のアップデートを進めてきました。いよいよ2020年3月中旬から(インタビューは2020年2月末)販売再開を予定しています。

――「M&Aクラウド」に登録いただいたきっかけを教えていただけますか?

植田:資金調達に関しては、商品開発と並行して、早くから継続的に活動を展開してきました。商品化の次は、拡販という大きなハードルが待ち受けていることを考えれば、単に資金を提供してくれるだけでなく、商品の販売チャネルを開拓するうえでもバックアップしてくれる先を見つけたい。そう思い、不動産関連のCVCなどを中心に、シナジーのありそうな会社を30社以上訪問してきました。そんな中で、あるとき訪問先の面談相手から、「こんなサービスがあるから使ってみたら」と勧められたのが「M&Aクラウド」です。登録したのは2019年の夏だったと思います。

――無料相談サービス(https://macloud.jp/consulting_apply)にお申し込みいただき、2019年8月に当社M&Aアドバイザーと面談いただいたのですね。

植田:そのときのことはよく覚えています。最初に僕から商品の概要を説明したら、「以前からIoTデバイスには注目し、興味を持っていました」と言ってくださって。理解が速かったので、お話ししていて安心感がありました。翌日には買い手候補をピックアップしてくださり、そのスピード感もありがたかったです。

――セントロさんを含む候補会社数社を当社からお勧めした後、即、植田さんから打診され、セントロさんからも同日中に、「面談希望」の返信をされたのですね。初回面談は打診の1週間後と、とてもスムーズな滑り出しでしたね。

常田:今、振り返ってみると、セントロにとって非常によいタイミングで打診を頂いたなと思います。

――想定されていた通りの会社から声がかかったという感触でしたか?

常田:実は、募集を開始した当初の想定領域とは少し違っていたのですが・・・ちょうどターゲットの範囲を広げようとしていたタイミングだったんです。

菊池:そこまでの経緯を簡単にご説明したほうがよいかもしれませんね。
まず、セントロは2000年の設立以来、マンションのやオフィスビルの開発や賃貸管理を中心に事業展開してきました。そして、2017年にいちごグループに加わって以降は、新規事業開発にも力を入れています。グループ入り前から手掛けていたセルフストレージ(トランクルーム)事業に加え、コインランドリー事業、駐車場の上部空間を活用した商業施設開発事業、ホテル運営事業、シェアオフィス事業など、それぞれパートナー会社と連携して進出してきました。
2019年6月に「M&Aクラウド」に掲載し始めた時点では、そうした空間活用ビジネスを主な募集対象として想定していました。ただ、その後2か月ほどの間に、まだはっきりとした形にはなっていなかったものの、私たちの間で、構想がさらにふくらみつつあったのです。「空間活用ビジネスそのものだけでなく、それぞれの周辺領域まで対象を広げてみてもよいのではないか。かつ、当社が経営権を持つ形だけでなく、スタートアップへの出資などを通じ、ゆるやかなネットワークを作っていくのも面白いのではないか。それによって、不動産活用を核とする幅広い領域に仲間を増やし、既成概念の枠を越えた事業開拓の可能性を探っていければ」――そんなことを話し始めていた矢先に、植田さんからの打診を頂きました。

常田:スマート電球なら、当社の核である不動産そのものとつながっていて、シナジー創出の可能性は十分にある事業ですからね。まずはお会いしてみようと思いました。

初回面談で猛烈アピール! 「事業領域のどこかに刺されば・・・」

――植田社長とお会いになって、第一印象はいかがでしたか?

常田:とにかく「熱い社長だな」という印象でした(笑)。最初に簡単なプレゼンをお願いしたら、そこから話が止まらなくて。

――植田社長の意気込みが伝わってきます(笑)。

植田:それまで何十社と訪問してきて、「もう少し商品が売れたら考えましょう」などと言われ続けていたんです。一発逆転を狙ってアメリカの会社も回りましたが、結局よい返事はもらえず、焦りがつのっていた時期でした。ですから、セントロさんを初訪問した際は、「今回も断られるのでは」という不安が大きかった反面、事前に菊池さんと電話でお話しし、「丁寧に話を聞いてくださる方だな」という感触を得ていたので、かなりの期待も抱いていました。

――どんなプレゼンをされたのですか?

植田:僕は、当社の立ち上げ前に貸会議室運営会社に勤めていた関係で、不動産業界のサイトマップは頭に入っており、いちごさんのことは当然知っていました。セントロさんの事業内容ももちろん調べ、いろいろな業態を手掛けていることも分かっていましたから、そのどこかでスマート電球に関心を持ってもらえる可能性は高いと感じていました。仮に出資がだめでも、商品をお試しで導入してもらうところまでは何とかこぎ着けたい、当日はその一心でしたね。「導入に際しては初期費用がかからず、工事もいりません。使ってみてもしも不要だと感じたなら外すのも簡単です」と、商品の機動性を中心に、必死にアピールしました。

――熱いプレゼンを聞かれて、常田さんと菊池さんはどうお感じになったのでしょうか?

常田:stakさんのミッションの「天井をハックする」というフレーズがまず斬新ですよね。業界に変化をもたらしてくれそうな予感がありました。
商品の機動性にも、もちろん注目しました。いちごグループでは、“心築”事業と称してリノベーション事業に力を入れています。電気系統の入れ替えにはかなりのコストがかかりますから、既存の建物にも工事なしで導入できるメリットは大きいですよね。フレキシブルに他の機器と連携できる点も、発展性に富んでいて面白いと思いました。

菊池:当社ビジネスとのシナジーが明確だったことと、植田さんの人柄が信頼できると感じたこと、僕の中ではこの2点が大きかったです。どれだけ機能の優れた商品をもってしても、スタートアップが導入先を開拓していくのは簡単なことではありません。その点、植田さんなら、困難な状況にぶつかった際にも、きっと責任を持ってやり遂げてくださるだろうと感じました。

常田:菊池君も前向きに考えていることはその場で伝わってきました。その日、ちょうど当社の社長も在席していたので、声をかけて会議室に来てもらったところ、彼も「面白いね、やってみようか」という反応だったんです。セントロとしては、実質、初回面談時に方向性が固まった形でした。

菊池:ただ、M&Aや出資に関しては、親会社のいちごとセントロの担当部門が、適宜連携して進めるようにしています。そこで、本件については、当社の社長を通じて速やかにいちご側に話を通し、初回面談の1、2週間後には、いちごの副社長との面談もセッティングしました。そうしたら、副社長もその場で早速気に入りまして。

植田:ミーティングが始まって数分後には出資いただくことが決定していました。あまりにもスムーズすぎて、会議室を出た後も狐につままれたような気持ちだったのを覚えています。

事業可能性を尋ねつつ、測っていたのは“熱量”だった

――本当にスピーディーな展開だったのですね。セントロさんではもともとIoT領域に関して調査されていたのでしょうか?

菊池:関心は持っていましたが、特に知識があったというわけではありません。ですから、植田さんには、競合状況、stak商品独自の特長、参入障壁など、基本的なところから質問させていただきました。ただ、その答えが決め手になったかというと、必ずしもそうではないんですね。答えそのものは、実はそれほど重視していないんです。

――と言いますと?

菊池:自社商品に自信を持ち、勝算を持ってチャレンジしようとしているのは、各社同じでしょうし、いずれにしてもIoT業界については僕たちは門外漢ですから、そこは信じてお任せするしかない。ただ、資金を提供する以上、どんな人がその事業をリードしようとしているのかは見極めなければなりませんから、僕はそこにフォーカスして聞いていました。最終的には、植田さんの、この熱量に賭けようと思えたことが、自分の中の決め手になりました。

常田:僕自身もそうですが、菊池君も銀行出身です。これまでに多数の起業家に会ってきているので、経験値から人柄を判断できる部分があります。
当社はスクリーニングやデューデリジェンス(投資先の価値やリスク等の調査)を得意とする菊池君と、PMI(M&A後の経営・業務・システム等の統合プロセス)を多数手がけてきた僕がコンビで動いており、トップの決断も早い会社です。近々の出資を必要とするケースにも対応できることは、他社と比べても強みだと思っています。

植田:スタートアップはどこも同じかと思いますが、stakも限られた人数で動いており、ちょうどその時期は、商品の市場導入準備もまさに佳境でした。会社が広島ということもあり、僕が面談に来る時間をひねり出すにも、正直なところ、苦心していた部分がありました。その意味でも、セントロさんのスピード感は本当にありがたかったです。

――11月1日にニュースリリースを出されたということは、2回目の面談から約2か月で着金まで済まされたのでしょうか?

植田:そこもセントロの皆さんのおかげです。10月の僕の携帯の着信履歴はほぼ菊池さんからだったというほど、きめ細かくサポートしていただきました。
僕にとっては初めての経験だけに、やるべきことの流れが頭に入っておらず、「司法書士はいるの? 弁護士は?」といったところから、菊池さんにリードいただいて進めていきました。慣れない手続きに忙殺されながらも、得るものの多い2か月間でした。
結果的に種類株(経営参加や配当請求等の権利内容が普通株と異なる株式)を発行する形を取りましたが、これも僕には経験がなく、当社にとってどんなリスクがあり、どんなメリットがあるのか、難しかったですが勉強になりました。今後に向けて、非常によい経験ができたと思っています。

――今回のご経験を踏まえ、同じように資金調達を計画されているスタートアップ経営者の皆さんへのアドバイスをお願いいたします。

植田:今回の展開はセントロさん、いちごさんの決断力に負うところが大きかったのですが、僕からアドバイスできるとすれば、「あきらめないこと」でしょうか。期待していた出資先候補に断られれば当然落ち込みますし、僕も思い出すのも辛いような時期もありました。とはいえ、よい出会いがあるまでは、動き続けるしかありません。
実はセントロさんとの初回面談当日にももう1社訪問しましたが、そちらではどれだけアピールしても響きませんでした。面談に際して、準備はもちろん大切ですが、最後はやはり相性だと思います。セントロさんへのアプローチを勧めてくださったM&Aクラウドのアドバイザーには、大変感謝しています。

セントロといちごの持つパイプも武器に、商品のローンチに全力投球!

――stakの今後の展開についてお聞かせください。

植田:3月の商品の再発売を控え、今(2020年2月末)は予約の獲得に全力を注いでいます。ホテルや旅館、民泊といった宿泊施設の運営者、マンションの販売や賃貸管理を手掛けている不動産管理会社やデベロッパー、設計会社などを中心に、サンプル配布などを行いながら、アプローチをかけています。昨年は仕様のアップデートを行うため販売停止しました。そのため、今回が実質的には最初の市場へのローンチです。チャレンジングではありますが、セントロさん、いちごさんを介して続々と営業先を紹介していただけており、ありがたいですね。
もちろん、セントロさんに甘えるだけではなく、他のパイプを作っていくことにもチャレンジしています。大手不動産デベロッパーが始めたオープンイノベーション事業のパートナーにも選ばれ、間もなく具体的な進め方の打ち合わせが始まるところです。ビッグネームのネームバリューはどんどん活用させていただきながら、認知度を高め、ユースケースを増やしていきたいです。

――将来的にはどのようなビジョンをお持ちですか?

植田:最終的には、「人が快適だと思える空間」が人手を介さず完全自動で実現する世界を創りたいと考えています。部屋の照明、空調、音楽、香りなど、快適空間の演出に関わるファクターを調整する機器は、今後もどんどん新しいものが出てくることでしょう。これらの操作にかかる時間は、1回わずか数秒かもしれませんが、積もればそれなりの時間になります。そのロスをなくすことができれば、その分家族のだんらんを増やせるかもしれませんし、クリエイティブな活動ができるようになるかもしれません。
僕は、人にとって最も価値あるものは“時間”だと思っているので、自動化できることは極力自動化したいと考えているんです。スマート電球を入口として、IoT、AI、ビッグデータを連動させることにより、理想の空間づくりを追求していきたいです。

――セントロさんは、今後はどのようなM&A、もしくは出資を手掛けていかれるのでしょうか?

常田:先ほども触れたように、不動産に接点のある事業であれば幅広く検討し、一緒に新しい価値を生むビジネスを創っていきたいと考えています。IoTのような先端技術ももちろん対象になりますし、コインランドリーのように、業態そのものは古くからあるサービスでも、そこにカフェなどを組み合わせれば、これまでになかった時間の使い方を社会に提案していける可能性があります。今後も不動産×〇〇の可能性を柔軟に追求し続け、いちごグループの中でもユニークな会社として存在感を発揮していきたいと思っています。

菊池:まさに今、常田さんが触れたように、従来からある業態でも切り口次第で新しくなり得るのが、不動産ビジネスの面白いところです。ホテルでも、単なる宿泊場所ではなく、たとえば滞在そのものが目的になるような、ユニークな体験ができるホテルを作れたら、同じ立地でも、集客力も収益力も変わってきますよね。ホテルを核とした事業展開では、ほかにもたとえば日本と海外をつなぐビジネスを展開している会社と組み、インバウンドとアウトバウント双方の需要を取り込んでいくといったことも、できたら面白いなと思っています。
そんなふうに自由な発想で、近い領域で事業を展開する人たちが互いにアイディアを出し合い、ディスカッションしながら発展させていく環境をつくれたら、可能性はますます広がるでしょう。
「M&Aクラウド」から頂く打診は、当社ニーズにマッチしたものが多く、今後も期待しています。少しでもつながりを感じることができる限りは、まずはお会いしたいと思っていますので、ぜひ前広に、いろいろな企業様に来ていただければうれしいです。

――引き続き「M&Aクラウド」がお役に立てれば幸いです。本日はありがとうございました。


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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

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