「相乗効果は足し算ではなく掛け算に」エンタメ領域のデジタル×リアルの融合でIPOへ向けて邁進!

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「相乗効果は足し算ではなく掛け算に」エンタメ領域のデジタル×リアルの融合でIPOへ向けて邁進!

エンタテイメント領域において、感性メタ*を活用したレコメンド・パーソナライズ・分析サービスを提供する株式会社ソケッツは、このほど、レジャー施設が定額で遊び放題となるサブスクリプションサービス「レジャパス」を提供する株式会社ORIGRESS PARKS(オリグレス・パークス)へ出資を行いました。

資金調達クラウドで出会った両社が、どのようにして信頼関係を築き、成約に至ったのでしょうか。ソケッツ代表取締役社長の浦部浩司氏、Corporate Division General Managerの川瀬尚子氏と、ORIGRESS PARKS代表取締役社長の吉武優氏にその経緯を伺いました。

*顧客が感じている印象や主観的な感情表現をメタデータ(データの意味を表す属性情報)として付与するもので、顧客の購買心理と商品や情報を関連付けるデータ情報

プロフィール

株式会社ソケッツ 代表取締役社長 浦部 浩司(うらべ・こうじ)

1992年、学習院大学経済学部卒業後、日本合同ファイナンスに入社。IT企業への投資などに従事し、1999年ベンチャー企業のビジュアルコミュニケーションの執行役員に就任。2000年にメディアソケット(現ソケッツ)を設立し、代表取締役社長に就任。アプリケーションやデータベースの開発・提供を進め、2009年には東京証券取引所マザーズに上場を果たした。

株式会社ソケッツ Corporate Division General Manager 川瀬 尚子(かわせ・しょうこ)

1999年新卒で株式会社ジャフコに入社。総務・経理業務に従事。その後メーカーでの経理を経て、2007年2月株式会社ソケッツの経営管理部のメンバーとして参画。現在は、コーポレート部門の責任者としての役割を担う。

株式会社ORIGRESS PARKS 代表取締役社長 吉武 優(よしたけ・まさる)

宮崎県出身。上智大学を卒業後、電通に入社。同社ではベンチャーのグロース支援を広く手掛けると同時に、テーマパークの開業プロジェクトでマーケティングを統括。その後、都内エンタメ施設の開業プロジェクトにおいて代表取締役として経営を担う。その後2021年4月に株式会社ORIGRESS PARKSを創業した。

重視したのは、シナジーも生み出す事業会社との提携

株式会社ORIGRESS PARKS 代表取締役社長 吉武 優氏
株式会社ORIGRESS PARKS 代表取締役社長 吉武 優氏

――はじめに、ORIGRESS PARKSの事業内容を教えてください。

吉武:当社は2021年に創業したスタートアップで、主にレジャー施設へのプロデュース業を行っています。メインプロダクトは「レジャパス」で、定額でエンタメ施設が遊び放題になるサブスクサービスです。これのOEM版が3つ、エリア版が5つ今年展開予定であり、今後も種類を増やしていく予定です。

ほかにも、集客に悩む商業・エンタメ施設、自治体などと、営業・マーケティングに特化した事業者とのマッチングサービス「エンタメベース」や、エンタメ施設でのイベント開催なども行っています。

――今回、「資金調達クラウド」を活用いただいたきっかけを教えてください。

吉武:当社はIPOを目指しており、そこに至るまで圧倒的なスピード感をもって成長していきたいと考えています。そのためには、新規プロダクトの開発、中長期でより良いサービスの提供などが求められると思いますが、当然長期的な資金が必要不可欠です。

そこで、ラウンドごとに今まで2回ほど資金調達を行ってきました。前回までは、個人投資家とVCから調達していたのですが、今回はシナジー面も重視し事業会社と提携したいと考えました。そこで、資金調達クラウドを活用することにしました。

プロダクトをより拡張・進化させるためには、自社にないアセットを持っている企業と組むことが成長を加速化させる要因になると思ったんです。

連携すれば、相乗効果は足し算ではなく掛け算に

株式会社ソケッツ 代表取締役社長 浦部浩司氏
株式会社ソケッツ 代表取締役社長 浦部浩司氏

――ソケッツは、資金調達クラウド立ち上げ(2022年11月)から、サービスを利用いただいております。ORIGRESS PARKSから打診があった時、最初の印象はどうでしたか。

川瀬:資金調達クラウドを通じて多くの打診を受けてきましたが、ORIGRESS PARKSさんから打診を受けた時は「ビビッ!」ときました(笑)。

当社がデータを活用したデジタル上でのビジネスを行っている一方、ORIGRESS PARKSさんはエンタメ施設など、リアル体験に特化したサービスを展開していらっしゃいます。どちらもエンタメ領域で事業を行っていますので、非常に親和性が高いと思いましたね。

浦部:普段よりテンション高い様子で川瀬がORIGRESS PARKSさんを提案してきたのを覚えています(笑)。それで、「どれどれ……」と、企業情報を拝見させていただきました。すると、確かに「ソケッツのデータを活用して何か新しい体験型のサービスが生まれるのでは」という期待感がそこにあったんです。

特に「レジャパス」は、一人世帯・ファミリー世帯問わず、人々が外出するきっかけを作れ、思いもよらない体験を生み出せる素晴らしいサービスだと感じましたね。

――ソケッツへの打診が承諾された時、吉武さんはどう感じましたか。

吉武:ソケッツさんがデジタル、私たちはリアル寄りのサービスを展開していますが、エンタメ領域で根底はつながっています。似通った事業を展開している企業と提携しても「1+1=2」にしかなりませんが、ソケッツさんとだったらそれが掛け算になり、予想だにしないようなビジネスが生まれるのではとワクワクしましたね。

「セレンディピティ」という共通の想いを実感

株式会社ソケッツ Corporate Division General Manager 川瀬 尚子氏
株式会社ソケッツ Corporate Division General Manager 川瀬 尚子氏

――2023年8月に最初の面談をされましたが、お互いどのような印象をお持ちになりましたか。

吉武:まず、お二人の人柄が素晴らしいと感じました。私たちはスタートアップなので、どうしてもまだまだ事業の完成度等で不足する部分が多々あります。そうした部分も許容していただき、大変ありがかったです。

川瀬:お話を伺っていく中で、なんて真っすぐな方なんだろうと感じました。印象的だったのは、会話の中で「セレンディピティ」というキーワードが出たことです。この言葉は「偶然の幸せな出会い」という意味なのですが、当社が大切にしている考え方でもあります。会社のフィロソフィーがつながっていたことが分かり、さらに親近感が増しましたね。

吉武:「セレンディピティ」については当社も非常に大事にしている考え方なんです。「レジャパス」には「新しい出会いの提供」というテーマがあり、今まで出会ったことのない体験に触れることで、少しでも幸せな時間を過ごしてほしい、という想いがありました。そうした“想い”の部分を評価してもらったことで、今回は業務提携ではなく資本業務提携にしてくださったんだと感じています。

また、「レジャパス」は単に人気施設へ送客することだけが目的ではありません。最終的には、施設ごとの人気格差をなくし平準化したいと考えています。ソケッツさんが提供する感性メタデータを活用することで、ユーザーにパーソナライズされた、本当に満足できるような体験の後押しができる、と思っていますので今から楽しみです。

感性メタデータ×レジャパスで、さらなる満足度の高い体験の提供を

――今後両社ではどのようなかたちでの協業をお考えでしょうか?

吉武:まず「レジャパス」は今後も提携先のレジャー施設を増やしていきます。提携先が3,000施設ほどになってくると、各都道府県に30~50施設が利用できる計算になります。そうした状況になったタイミングで、自宅からの距離、ユーザーの興味・関心、年齢・性別などの属性情報から、ユーザーごとにパーソナライズされたレコメンドができればと考えています。

ユーザーの満足度が高そうなレジャー施設をレコメンドできる機能・仕組みを、ソケッツさんの感性メタデータを活用させていただきながら、実装できれば幸いです。

浦部:当社は、音楽・映画・アニメ・ドラマなどで感性メタデータを活用したレコメンドを行うことで、デジタル上のエンタメサービスを繋いでいく役割を担ってきました。ただ、当たり前の話ですが、人の行動はインターネット上だけで完結はしません。そのため、リアルの体験を提供するORIGRESS PARKSさんと連携することで、新しいサービスが生まれるのでは、と非常に期待していますね。

――今回、資金調達クラウドを活用してどう感じましたか。

浦部:スタートアップが数多く生まれている中で、重要な使命を担っているプラットフォームだと思っています。創業1年目のスタートアップの中には、資本金が100万円以下というところも少なくありません。そうした中、生まれたての企業が頼れるサービスはまだまだ少ないです。

資金調達クラウドは、オンライン上でマッチングでき、スピーディーに資本提携ができる。また、資金面はもちろん、自社を理解してくれる企業と出会えることも大きな魅力の1つですね。

吉武:私は、資金調達クラウドを活用したことで、自分の考えがよりクリアになったと感じています。どのようなシナジーがあるかを考えながら、それぞれの会社に沿った提案書を作り、打診を続けました。

さまざまな企業と話していく中で、だんだんと頭がクリアになっていくのを感じたんです。「レジャパス」にあるものは何か、反対に足りないものは何か。たとえば、顧客とつながる導線作りはかなりできていると自負があります。ただその一方で、ユーザーを深く掘り下げていく部分はまだ不得意。そうした欠如している部分が資金調達クラウドを使っていく中で分かったことは、自分自身にとって大きな収穫となりました。

――逆に、資金調達クラウドに足りない部分、追加してほしい機能などはありますか?

浦部:あえて言うならば、会社のパーパス、フィロソフィー、カルチャー、代表の想いなどが、プラットフォーム上に掲載されていると、出資側としては、より判断しやすいと思いました。

確かに、事業内容、貯達希望額、代表のこれまでのキャリアといった情報も重要な指針になりますが、今回ORIGRESS PARKSさんとは「セレンディピティ」という考えで共感したことも出資の決め手となりました。

そうした共感ポイントで繋がることができれば、思いもよらない出会いにつながる可能性があります。たとえば、私たちで言えばカテゴリー検索を行う場合、飲食関係はまず選ばない。ただ、パーパスやフィロソフィーといった想いの部分で共感できれば「とりあえず会ってみようか」となるかもしれません。実際に料理人の方はクリエイターでもあるので、そのあたりでデータやエンターテイメントとの掛け合わせで何か協業できるかもしれませんよね。

プラットフォーム上で感性面においても繋がれると、「セレンディピティ」ではないですが、いい意味で”思わぬ出会い”を誘発する可能性を秘めています。今後も資金調達クラウドではさらなるいい出会いを期待したいです。

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