「本気度の高い企業と出会えた」不動産領域企業のグループ会社が、タンパク質解析に夢を載せ、バイオテックベンチャーに出資

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「本気度の高い企業と出会えた」不動産領域企業のグループ会社が、タンパク質解析に夢を載せ、バイオテックベンチャーに出資

次世代のタンパク質網羅的解析技術の実用化と社会実装を進めるaiwell株式会社は、不動産専門のデータ会社である東京カンテイグループの株式会社メタセクォイア・デザインを引受先とする第三者割当増資を実施しました。

不動産領域のグループに属する企業が、なぜバイオテックベンチャーに出資したのでしょうか。M&Aクラウドのサービスを介して出会った両社はどのような夢を描いているのか。メタセクォイア・デザインの小澤 崇秀氏とaiwell代表取締役の馬渕 浩幸氏にお話を聞きました。

プロフィール

株式会社メタセクォイア・デザイン 小澤 崇秀(おざわ・たかひで)

1997年、慶応義塾大学商学部卒業、監査法人トーマツにて精密機械メーカー・小売業等の監査に従事。不動産鑑定士になるため、2005年に株式会社東京カンテイに入社。入社1年間は鑑定業務に従事。2年目以降は、創業者オーナーとともに新規事業に取組み、大手ハウスメーカーとの共同事業会社等、3つの新規事業会社の立上に参画。 現在は、2代目経営者とともに「不動産を笑顔に」するために必要なサービス・技術要素の 習得に向けて、外部企業との連携に取組む。また、グループ企業の英知を結集し、「人々の暮らしの幸せづくりに貢献する」ために、2021年3月31日に「株式会社メタセクォイア・デザイン」を設立。

aiwell株式会社 代表取締役 馬渕 浩幸(まぶち・ひろゆき)

1975年生まれ。大学卒業後、外資系企業勤務。その後、化粧品マーケティング、海外スポーツ器具の国内立ち上げなどに従事し、2009年スポーツ専門システム開発会社CLIMBFactory株式会社を設立。2017年10月に当該事業を株式会社エムティーアイに譲渡。 2018年1月より東工大の最先端技術AIプロテオミクスの実用化に向けた、aiwell株式会社を設立し現在に至る。

「担当者が幅広い企業に声をかけてくれ、当社に本当に興味のある企業だけをリストアップしてくれた」

タンパク質を網羅的に見える化し、人の健康状態がわかる世界を目指すaiwel
タンパク質を網羅的に見える化し、人の健康状態がわかる世界を目指すaiwel

――aiwellさんの事業概要と資金調達の背景をお聞かせください。

馬渕 aiwellは「世界中から未病を無くし、人をずっと健康にする」をミッションに掲げ、次世代のタンパク質網羅的解析技術「AIプロテオミクス」の実用化と社会実装を進めている国立東京工業大学認定ベンチャー企業です。

AIプロテオミクスとは、体内に存在しているすべてのタンパク質の状態を、AI画像診断を使って網羅的かつ俯瞰的に観ること。この技術を導入した解析サービス『ai-PoP』をさまざまな企業との共同研究に活用し、病気の超早期発見や、日常生活における健康管理、家畜・野菜の品質管理などに役立てようとしています。

当社はバイオテックベンチャーであり、多額の資金を必要としています。そのため資金調達は2018年1月の設立時だけでなく、それ以降も断続的に行ってきました。今回もその一環で、『ai-PoP』サービスを拡大するための資金が必要だったということです。

M&Aクラウドは、及川CEOと親しい知人から紹介を受けて知りました。話を聞いて、2021年11月からCFOコミットメントサービスを利用開始しました。

――CFOコミットメントサービスは、スタートアップ企業向けに資金調達や事業売却などに必要な財務サポートを提供するサービスです。どうして利用されようと思ったのですか?

馬渕 当時、常勤の取締役は私だけで、営業、経理、人事など経営面はすべて私がやっている状況でした。1人でやれることには限界があり、資金調達面の業務全般をお手伝いいただきたいと考えたんです。

――実際に利用されてみて、いかがでしたか?

馬渕 単独での資金調達活動ではなかなか会えない会社、しかも当社事業への理解がある会社との出会いが得られたのは、M&Aクラウドのおかげだと思っています。

他の会社からも、出資を検討する企業の紹介を受けたことがあります。しかし、あまりマッチしていない企業を紹介されることが多いんです。そういった会社と面談すると、開始早々、事業内容に興味がなさそうな様子だったり、目先の数字の話ばかりしてきたり……。

M&AクラウドのCFOコミットメントサービスでは、何か一つでもシナジーがある企業とつながりたいという当社のニーズを聞いて、担当者が業種を問わず幅広い企業に声をかけてくれました。そして、当社に本当に興味のある企業だけをリストアップしてくれたんです。

そういった細かいやりとりができるのは、CFOコミットメントサービスならではだと思います。他の会社から紹介された企業も、一度M&Aクラウドのフィルタを通したいくらいで(笑)。リソースの少ない当社としてはとても助かりました。

――投資家向け資料の作成等もサポートさせていただきました。

馬渕 当社はタンパク質解析を使った共同研究をサービス化している会社であり、自社製品・サービスのための研究開発だけをしている会社ではありません。

しかし、投資家にはその部分がうまく伝わっていないということが、M&Aクラウドの担当者との話し合いのなかで見えてきました。それがきっかけとなり、事業計画の根幹を見直し、タンパク質の解析サービス『ai-PoP』を立ち上げることにつながりました。私たちの意識と投資家の意識のギャップを埋めてくれたのがM&Aクラウドだったんです。

この『ai-PoP』を立ち上げたことで今後、海外の投資家や大きなファンド等と交渉するときにも、非常に話が伝わりやすくなると考えています。

グループ内での成約は半年間で2件目。「M&Aクラウドでのやり取りはスムーズかつスピーディー」

高い技術と”デザイン思考“*を駆使し人々の暮らしの幸せづくりを手伝うメタセクォイア・デザイン
高い技術と”デザイン思考“*を駆使し人々の暮らしの幸せづくりを手伝うメタセクォイア・デザイン

――メタセクォイア・デザインさんの事業概要や出資を検討していた理由を教えてください。

小澤 当社は不動産専門のデータ会社である東京カンテイを有するグループの会社です。東京カンテイは1960年代に創業者が興したマンション開発会社をルーツに持ち、いくつかの企業とともにグループを形成しています。

グループ全体でまもなく創業60周年を迎えるなかで、代表取締役社長の長田が「不動産にこだわらず、人々の暮らしの幸せづくりをお手伝いしたい」という思いで2021年3月に立ち上げたのがメタセクォイア・デザインです。

東京カンテイでは以前からM&Aクラウドに登録し、協業先を模索していました。実際に出資にまで至った案件もあり、その後も引き続き案件を探していたのですが、候補企業はどうしても不動産領域に限定されてしまいます。

メタセクォイア・デザインとしてであれば、不動産にこだわらず、環境・健康・教育に関する領域でパートナーを探すことができます。M&Aクラウドにこの話をしたところ、ご紹介いただいたのがaiwellさんでした。

――東京カンテイ様の出資成約から半年以内で、2件目のご成約となりました。改めてM&Aクラウドはいかがでしたか。

小澤 良い意味で「いつも通り」ですね(笑)。前回の案件とは異なる担当者だったのですが、今回も非常に丁寧な対応をしていただき、スムーズかつスピーディーに交渉を進めることができました。とてもよかったと思っています。

資料を見て、面談前に出資を決意。シナジーだけでなく、より良い社会の実現まで見えてきた

WEBでの対談の様子。(左)メタセクォイア・デザイン:小澤氏 (右)aiwell:馬渕氏
WEBでの対談の様子。(左)メタセクォイア・デザイン:小澤氏 (右)aiwell:馬渕氏

――小澤様がaiwellさんの資料やオファー内容を見たときの印象は?

小澤 私は文系ですから、事業概要を理解するのはなかなか難しかったですね。ただ、タンパク質の重要性は認識していましたし、東工大の認定を受けているベンチャー企業ということで信頼感はありました。

決算書も確認しましたが、それよりも事業にかける思いや、実際に展開しているサービスが非常に素晴らしい。「人々の暮らしの幸せづくり」の一環として、またメタセクォイア・デザインの挑戦の第一歩として、ふさわしい出資先だと直感しました。

代表の長田と事務方の私だけで意思決定できる会社ですので、aiwellさんには情報を見た段階から出資を決めていました。M&Aクラウドの担当者にその旨を伝えたら、「いや、まだ面談もしていないですよね」と諭されて(笑)。ひとまずWeb面談に臨みました。

――馬渕さんはメタセクォイア・デザインさんについて、当初はどのような印象を持ちましたか?

馬渕 私の父親が不動産事業を長年営んでいた関係で、東京カンテイさんについては知っていました。目黒駅すぐ近くのビル看板が目立っていますから、目黒では知らない人はいないはずです。その東京カンテイさんのグループの会社がなぜ?と思いましたね。半信半疑です(笑)。

ただ、当社の技術顧問でタンパク質研究の権威である東工大の林宣宏教授のところには、住宅メーカーや住設機器メーカーなどが相談に来ることもあります。住環境に対してタンパク質解析が役に立つ可能性はあるということだと考えると、東京カンテイさんのグループとも何らかのシナジーは生まれるのかもしれないと漠然と思いました。

――初回のWeb面談ではどんなお話を?

小澤 当社の代表と私で面談に臨みました。aiwellさんの事業概要や経営戦略について伺い、技術的なお話についても噛み砕いて、丁寧にご説明いただきました。そしてますます、新しいビジネスの可能性を感じました。

人間の好みや意思決定に、タンパク質が何かしらの影響を与えているかもしれない。それを見つけることができたら、不動産を選ぶうえでの価値の感じ方の違いがわかり、東京カンテイの事業にも生かせるかもしれません。

健康の増進に役立つサービスにもつながりそうです。私はここ最近ほぼ毎日コロナの抗原検査を自分で行っていますが、これを続けることで自分の体とコミュニケーションする習慣ができました。暴飲暴食していないか、睡眠は取れているかなどを自分自身でチェックするクセがついたんです。

aiwellさんの技術を使えば、ユーザーが自分自身の体とコミュニケーションを取りながら健康チェックをするサービスなども実現できるはず。それが普及すれば、多くの人が健康になり、より良い社会になる。そんな未来もイメージできました。

馬渕 技術顧問の林が唱える理論でいえば、いま小澤さんがおっしゃったようなことはすべて可能になるはずです。各種健康診断の数値などで「病気」を定義することはできますが、「健康」を定義する指標は今のところないんです。

この健康の定義を積み重ねていくのに、タンパク質の解析技術が重要な役割を果たすと考えています。健康な状態を定義できれば、その範囲からズレることで病気の予兆がわかり、病気を先回りして防ぐことができます。

タンパク質解析技術で共に追いかける夢。住環境や不動産への転用も?!

――初回面談から約2カ月後、2022年7月29日に成約となりました。その後は何か動きはありましたか?

小澤 改めて対面でキックオフを行い、一時間ほど話し合いをしました。いくつか具体的な取り組みの案も生まれたので、時間はかかるかもしれませんが、お互いに協力しながら、世の中にない新たなサービスを生み出していければなと思っています。

馬渕 次回は当社の技術顧問である林も交えて話し合いたいですね。タンパク質解析技術の主な使い方は病気の早期発見や創薬支援などですが、林の技術はあらゆる産業に転用できると考えています。住環境、不動産、生活習慣にももちろん転用できます。

実際に林は、地方公共団体やエネルギー企業と一緒に、独居老人の見守りを行う共同研究を手がけています。ガスメーターの情報など生活に関連するビッグデータと、タンパク質解析によって得られたデータを紐付けて、高齢者の健康状態をチェックするといったような研究です。それを都心のマンションで行う場合には、東京カンテイさんのご協力が必要になるかと思います。

――今後の展望をお聞かせください。

小澤 東京カンテイは不動産のデータをコツコツと40年ためてきた会社です。遠い未来を見据えて、最初の一歩を踏み出し、コツコツと事業を進めていくことがどれだけ大変か理解しています。その大変さはaiwellさんも一緒のはず。

馬渕さんもいろいろな苦労を重ねて、失敗もあったかと思いますが、私と同年代で新たに事業を立ち上げてがんばっています。その思いにグッときました。ぜひお手伝いしたいし、我々の夢も載せて成長していただきたいと思っています。

馬渕 ありがとうございます。両社の協業のために今後詰めていくことはたくさんあります。ただやりたいという方向性は一致していますし、具体的な案も出ています。夢を語れるということはスタートアップの特権ですから、当社のタンパク質解析技術を日本に広めていくという夢を一緒に語り、ともに歩んでいきたいです。

――両社の夢の実現に期待しています!本日はありがとうございました!



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本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

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