「M&Aクラウドは、経営者に直接会えるから話が早い」人材業界で共に戦う仲間を見つけ、キャリアカウンセリングの普及を目指す

公開日:

「M&Aクラウドは、経営者に直接会えるから話が早い」人材業界で共に戦う仲間を見つけ、キャリアカウンセリングの普及を目指す

スタッフィングやBPOを中心に「Human resource」と「Technology」を軸とした各種事業を展開する株式会社デルタは、2022年9月30日、B2B向けにキャリアカウンセリングやアセスメントを行うSaaSプロダクトを開発・運営する株式会社キャリアブリッジに出資しました。

両社がM&Aクラウドのマッチングプラットフォームで出会い、信頼関係を築いて成約に至った経緯を、株式会社デルタ代表取締役の平井 健一氏と、株式会社キャリアブリッジ代表取締役社長の石川 靖氏に伺いました。

※2022年11月1日、当社は「M&Aクラウド」で提供していた出資・資金調達機能を独立させ、「資金調達クラウド」をリリースいたしました。記事内ではご成約当時のサービス名称である「M&Aクラウド」と表記しておりますが、今後、出資・資金調達機能は「資金調達クラウド」でご利用いただけます。

プロフィール

株式会社デルタ代表取締役:平井 健一(ひらい・けんいち)※取材時の情報を記載しております

1997年4月、大学卒業後、人材系会社に入社。営業を皮切りに、営業企画、人事、編集部などを歴任。2007年4月、同社退社時に、かねてより親交のあった株式会社第一広栄社(現株式会社デルタ)の創業社長から会社を引き継ぎ、代表取締役に就任(現任)。その後、事業領域の拡大とともに、全国に拠点展開。2015年には海外進出を果たす。2022年現在、株式会社デルタ 代表取締役、株式会社デルタマーケティング 代表取締役、株式会社デルタソリューションズ 取締役を兼任。

株式会社キャリアブリッジ代表取締役社長:石川 靖(いしかわ・やすし)

大手IT企業複数社、Web系企業、ITベンチャー執行役員、Webサービス会社のプロダクトマネージャを経て、2015年に現在の前身の会社となるシステム開発会社を起業設立し、代表に就任。2020年キャリアカウンセリング事業を本格的に展開するとともに社名も「キャリアブリッジ」に変更し、現在に至る。

M&Aクラウドは、出資を考えている経営者に直接会えるから「話が早い」

株式会社キャリアブリッジ代表取締役社長:石川氏
株式会社キャリアブリッジ代表取締役社長:石川氏

――キャリアブリッジ様は、キャリアカウンセリング事業を手がけていらっしゃいます。今回、資金調達を検討された経緯を教えてください。

石川 2015年に現在のキャリアブリッジの前身に当たるシステム開発会社を創業したのですが、2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、お客様が投資を控えるようになったりして仕事が減り始めました。

少し時間的な余裕ができたので、3ヶ月ほどかけて自分の事業を見直してみたのです。「自分は何をやりたいんだっけ」と。その結果、システム開発からキャリアカウンセリング事業に舵を切ることを決意しました。

実は私自身、システム開発のプロジェクトマネージャとして現場仕事をしていた2014年頃に、メンタルの問題で半年ほど仕事を休んだことがありました。そのときにたまたま産業カウンセラーに出会ったのです。

カウンセリングを通じて、自分を見つめ直したり新たな気付きをもらったりして、とても救われました。そうした自分の体験を広めたいと思って、仕事に復帰した後に自分でも産業カウンセラーの資格を取り、キャリアカウンセリング事業を小規模ながら立ち上げました。

コロナで事業を見直したとき、それを会社の主軸にしようと決めて、社名も「キャリアブリッジ」に変えることにしたわけです。それから1年ほどかけてシステムを開発し、2021年6月にローンチしたのが、ITを活用したアセスメントとアナログの対話によるキャリアカウンセリングをかけ合わせた『SMART CAREER』というサービスでした。

このサービスは幸い、親しくしてもらっている経営者の方々や展示会での出展を通じて多くの企業に導入していただきましたが、1年ほど経った頃、もっと認知度を上げて拡販していきたいと思って、資金調達を考え始めたのです。自己資金だけでの運用が辛くなってきたタイミングでもありました。

――資金調達の方法にもいくつかの選択肢があるかと思いますが。

石川 2021年、サービスができあがった前後にいくつかのベンチャーキャピタルなどとも話をしたのですが、タイミングやニーズがなかなか合致せず、上手く協業できる方が見つかる感じがしませんでした。このままだと時間だけがかかってしまいそうだと焦っていたとき、弊社CFOがM&Aクラウドを勧めてくれて、登録したのです。結果的には、ここに賭けてみて正解でした。

――M&Aクラウドを使って、どのような印象をお持ちでしょうか。

石川 使いやすいサービスでしたし、何より、相手の経営者と直接話せるのがとてもよいと思いました。普通のサービスなら、先方の人事部などの担当者が社内で稟議を上げるといった手続きになるところが、M&Aクラウドでは決裁権者である経営者の方が最初から来るので、話が早い。今回何社かコンタクトしたうち、ほとんどがそうでしたね。

M&Aと出資を使い分けながら、M&Aクラウドを活用して事業を拡大

株式会社デルタ代表取締役:平井氏
株式会社デルタ代表取締役:平井氏

――総合人材サービスを展開されているデルタ様が出資を検討されたのはなぜですか。

平井 当社ではもともとM&Aと共に出資を積極的に行っていました。コアの事業、つまり本業は自分でマネジメントしやすいけれども、新規事業を立ち上げるとなると、経営者としても会社としても求められる能力が違うため、苦労や失敗も経験した。そこで、新しいことが速くできるM&Aや出資に力を入れていたのです。

特に、同じ人材ビジネスではあっても自分たちの本業とは少し距離があるHRTechやEdTechについては、M&Aではなく出資で協業する形を選んできました。本業に近ければM&A、少し遠いけれども関連性が高い領域なら出資して協業というふうに使い分けています。

従来は知り合いのつてなどをたどって相手先を見つけていましたが、それ以外の選択肢もほしくて、M&Aのマッチングプラットフォームが出始めたときに、各サービス一斉に登録しました。M&Aクラウドでは実際に複数件成約もしていますから、使ってよかったと思っています。

――M&Aクラウドを使用された感想をお聞かせください。

平井 私は、打診が来たらできるだけ会うようにしているのですが、M&Aクラウドでは本当にいろいろな人に会えるのがいいですね。成約に至らない企業でも情報交換できる関係になることもあります。

共に戦ってくれる人を求めて。「初回面談で、一緒にやりたいと思った」

――資金調達を希望するさまざまな企業に会う中で、キャリアブリッジ様にはどのような印象をお持ちになりましたか。

平井 テック系はレバレッジが効きますし、世の中への影響力もあって面白い。キャリアブリッジさんはITとアナログとのハイブリッドですが、まずは会ってみようと思いました。資料だけ見ているのと実際に会ってみるのとでは、かなり印象が違う場合も多いので。

最終的に出資をするかしないかは、基本的に経営者で決めています。市場性やビジネスチャンスを強調する人や、イグジットが目的の人などさまざまですが、そういう人にはあまり興味が湧かない。その人が何のために、どんな事業をやりたいかを重視しています。

自分の思いを実現しようとしていることが、初回の面談で伝わってくるかどうかです。石川さんは、かっこいい言葉を並べるのではなく、ご自身の経歴を踏まえて、「社会に必要とされるサービスだからちゃんと作りたい」という思いがしっかり伝わってきました。

石川 「経営者を見ている」という言葉はうれしいですね。本当に事業を見て、私を見てくれているんだなと。

初回の面談では、とても厳しい方だろうと感じましたが、言葉の端々に優しさもある。私は比較的ゆるい人間で、つい自分に甘えてしまいがちなので、厳しい人、一緒に戦ってくれる人を求めていた。孤独な経営者同士の立場で何かと相談にも乗ってもらえる、兄貴みたいな人とやろうと決めていました。

印象的だったのは、目ですね。経営者の目、獣の目。目が生きていて、「戦っている人だな」と感じました。私はカウンセラーなので、ボディーランゲージや表情などを見る勉強もしているのですが、目は特に大事です。初回面談でも、私が経歴や自社サービスについて説明するのを一通り聞いた後、「で、いくら調達したいんですか」と言って平井さんの目がギラッと光った。その目を見て、「この人とやりたい」と思いました。

平井 金額のことなど、相手側としては言い出しにくいかもしれないことも含め、初回に一通りのことをお互いに知っておけるように、普段から心がけています。後から聞くのはお互いにストレスにもなりますし、基本的な判断は早いほうがお互いに幸せですから。

――その初回面談で、いい手応えをお持ちになったわけですね。

平井 通常は初回の面談で10分の1くらいに絞ります。2回目に進むのは1割。キャリアブリッジさんの場合は、当社に来ていただき、実際の画面を見ながらサービスの説明をしていただいたり、あらためて思いをお話しいただいたりしましたよね。

石川 そうですね。対面でお会いして、私がキャリアカウンセリングにかける夢を語らせていただきました。

キャリアカウンセリングというと「転職ですか」と言われますが、キャリアとは「働き方」ではなく「生き方」なんです。リスキリングや再雇用といったことが注目される中、人生全体に関わるキャリアは、もっと見直されるべき。企業としても重視すべきなのですが、成果が目に見えにくいため、投資しづらく後回しにされがちなのが現状です。

でも本当に大事なことなので、私は、誰でも気軽にカウンセリングを受けられる仕組みや動機づけを社会に広めていきたいと思っています。将来的には、ワンコインでいつでも相談できるカウンセラーがいるような世の中にしたい。そのためのプラットフォームを提供できれば……。そんなお話をさせていただきました。

平井 実は当社内でもキャリア面談をしていた時期がありました。でも、なかなかうまくいきませんでした。本来の意味でのキャリアの話には広がらず、仕事・職場に閉じたアドバイスになってしまう。それではふだんの目標設定と変わりません。

そんなときにキャリアブリッジさんの話を聞き、外部の人の視点で相談できる機会があれば、やりたかったキャリア面談に近づくのではないかと思いました。それをきっかけに転職してしまう人が出ることを危惧する声もありましたが、個人の長いキャリアを考えれば、今の時代、転職もあっていい。

そんなことを考えていた時期でもあったので、石川さんの話にはとても共感するところがありました。

――そこからどのようにして成約に至ったのでしょうか。

平井 2回目の面談であらためて石川さんの話を聞き、同行した取締役も含めて「大丈夫だろう」という手応えを得た上で、さらにもう一度、石川さんを食事にお誘いしました。

石川 私は初回の面談で「この人とやりたい」と決めていましたし、他の方から高い金額をオファーされたときも、金額ではなく「人」で選びたいという思いは動きませんでした。

誘われた食事の席では、「何を見られるんだろう」と最初は肩の力が抜けませんでした。でも、好きなお酒がたくさん出てきてテンションが上がり、けっこう酔ってしまった。平井さんが作ってくれたハイボールがすごく美味しい配合だったのを覚えています(笑)。2人ともジャパニーズウイスキーが好きだとわかって、お酒の話ばかりしていました。

事業の話が一向に出てこないので、このまま終わってしまうのではないかと心配になり、我慢できず最後に私のほうから切り出したところ、その場で「わかりました」と言っていただけたんです。うれしかったですね。

実際に使って良さを体感することが、キャリアカウンセリングを世に広めるための第一歩

――今後どのように協業していくかなど、お考えをお聞かせください。

石川 本格的な動きはまだこれからですが、仕事上の相談に乗っていただいたりはしています。先日も、会社のミッション・バリューを見直している際に煮詰まってしまって、相談させていただいたら、「その気持ちはよくわかるよ」と言っていただけた。結局はほとんど変えなかったのですが、「これでいいのだ」と背中を押してもらえました。本当にうれしかったです。

平井 具体的な中身については、石川さんの思いに関わることなのでアドバイスできませんから、お話を聞いた上で「こう考えたらどうですか、私ならこう考えます」といったお返事をするくらいでした。

石川 経営者になると、社内で相談できないこともある。そういった内容の相談は誰にでもできることではありませんから、とても感謝しています。

また、デルタ様でキャリアブリッジの製品の拡販もご検討いただいているので、まずはデルタ様に導入し、実際に使っていただくという計画も進めています。

平井 拡販をするにも、上から「これを売れ」と言っただけでは営業担当者は動いてくれません。まず実際に導入し、営業担当者がサービスを受ける側として良さを体感すれば、自然とお客様に案内していくだろうと考えています。社内で取り組んで結果が良かったら、私からも経営者仲間に伝えていきます。

先ほど言ったように、私自身もキャリアカウンセリングは今後ますます重要になるものと考えていますから、世の中に広めていきたい。まずはその第一歩を早々にも踏み出したいと思っています。

――両社が同じ思いでしっかりと結ばれて進んでいこうとしていらっしゃることがよくわかりました。本日は貴重なお話をありがとうございました。





■本ディールの経緯
2020/01/21 デルタが『M&Aクラウド』に掲載
2022/07/15 キャリアブリッジが『M&Aクラウド』に登録
2022/07/21 キャリアブリッジがデルタに打診
2022/08/05 初回面談(WEB:双方の事業内容紹介等)
2022/08/08 2回目面談(対面:キャリアブリッジのプロダクトデモンストレーション等)
2022/09/14 3回目面談(対面<会食>:最終意向の確認等)
2022/09/30 クロージング




=======
本ページに掲載している情報には、M&Aが成立するに至る経緯に加え、インタビュー時点での将来展望に関する記述が含まれています。こうした記述は、リスクや不確実性を内包するものであり、環境の変化などにより実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。

類似の成約事例